栄通記

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2008年 03月 29日

577) 時計台 ③「第7回 サッポロ未来展」 終了・3月17日(月)~3月22日(土)

○ 第7回 サッポロ未来展
     THE PRESEN  


【参加作家】

 渡辺直翔 藤田有紀 吉田浩気 平野可奈子 宮澤祐輔 明円光 片山美季 秋元美穂 高村葉子 長屋麻衣子 こうの紫 青木美歌 西山直樹 渡辺元佳 佐藤仁敬 谷地元麗子 福森崇弘 風間真悟 齋藤麗 田中怜文 宮地明人 河野健 竹居田圭子 波田浩司 水野智吉 村山之都   ・・・・・・以上、26名
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・22)

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 ↑:渡辺直翔。
 上の写真を見ればわかるように、整然とびっしりと沢山沢山の展示。同室がガラスの青木美歌さんだから、部屋全体がやや薄暗い。、一瞬では何を撮っているのかは分からないのだが、何を撮っているのかがわかってもただただ同じ写真の行列に感心するばかりだ。
 映像を学んでいる20歳の学生だ。現代の明滅する社会現象の瞬間・連続・増殖運動とか、表現者自身の自己表出とか難しいことで分析すればいいのかもしれない。むしろ、ドロー・ペインティング的な表現者の「行為」として楽しんだ。ただただ規則正しく並べていくだけ。きっと誰かが手伝ったんだろうが、それでもただただ貼っていくだけ。
 人はなぜかしら連続模様に脳神経を揺さぶらされるのだ。渡辺君、ご苦労さん!俺はしっかりこの「映像」を見たよ。焼き付けたよ。

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 ↑青木美歌。
 今展はオーソドックスな展示。現代工芸女流作家のガラス作品販売展示にもなっている。実際、彼女の作品が幾等するのか、値段に折り合いが合えば、購入する人も沢山いるだろう。
 僕自身はガラスの作る造形美にも関心はあるのだが、それらが光に当たって他との関係性、それがたとえ「場の空気」というボリュームであっても、何かと関係して輝いているほうが見ていてゾクゾクする。そういう意味では少し物足りないが、テーブルに置かれた作品達はやはり楽しく綺麗にに並んでいた。


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   ↑:竹居田圭子、「この星で生きていくこと」。
 不思議な作家だ。

 特に今作品は悩ましい。作品は「結合双生児用子供服」の展示だ。単なる子供服の展示と思って、その中身を見過ごしてしまった人が多いのではなかろうか。
 「結合双生児」それは尋常ならざる子供である。ベトナム戦争の枯葉剤の犠牲による子供を直ぐに想定してしまった。だが、その文脈では反戦や人間の尊厳の象徴として子供は扱われがちだ。
 竹居田は作品を象徴的に提示するのを好まない。そのものを素直に見て、そのものの良さを認めたところを立脚点にしている。あまりに健全な視点に、皮肉や揶揄は無いのだろうか?有る、有るのだがそこを軽くすり抜けるフットワークの良さの方が目に付いて、彼女の真意をつかむことなく、笑いや機智で終わってしまう。
 今展、重いテーマをあまりに普通に扱っている。「共生」という倫理的美名の綱渡りを見ているようだ。世間を肯定して肯定して、それでいて軽い刃物を突きつけるような凄みがある。こんな作品は絶対に男には作れないだろうな。男は否定から、建前から入りがちだから。竹居田圭子に脱帽だ。

by sakaidoori | 2008-03-29 01:26 |    (時計台)
2008年 03月 27日

576) 時計台 ②「第7回 サッポロ未来展」 終了・3月17日(月)~3月22日(土)

○ 第7回 サッポロ未来展
     THE PRESEN  

 会場:時計台ギャラリー 2階3階全室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(仲通り北側)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年3月17日(月)~3月22日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

【参加作家】

 渡辺直翔 藤田有紀 吉田浩気 平野可奈子 宮澤祐輔 明円光 片山美季 秋元美穂 高村葉子 長屋麻衣子 こうの紫 青木美歌 西山直樹 渡辺元佳 佐藤仁敬 谷地元麗子 福森崇弘 風間真悟 齋藤麗 田中怜文 宮地明人 河野健 竹居田圭子 波田浩司 水野智吉 村山之都   ・・・・・・以上、26名
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・22)

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 ↑:明円光(みょうえん・ひかる)。
 初めにおわびします。作品に関する話を作家から聞いたのですが、きっかけの話の面白さと、鏡の展示効果と、僕のほうで作家に関係なく展示空間を楽しんだので、作家のコンセプトは正確にはわかりません。ゴメン。

 おそらくタイトルは「不思議の国のアリス症候群」では。この言葉は正式な精神科用語です。対象が小さく見えたり大きく見えたり、遠ざかって見えたり近づいて見えたりする症状です。直ぐにジャコメッティーのことが頭に浮かんだ。彼は自分の異様な距離感覚、空間感覚を近代的造形空間に視覚化することに努めた。彼はこれだったのかもしれない。
 鏡には、鏡に写った人がご自分の顔をなぞっていて、ご本人の写真が肖像のように添えられている。少し邪魔な顔の絵のある沢山の鏡を斜めに見ていると、何も描いてない綺麗な鏡に自分の顔が同時に目に入り、顔顔顔の浮島模様の部屋の四隅が「カガミの国のアリス」状態になってきて空間に幾つもの境界線がデジタルラインのように走り出してきて・・・う~ん、明円仕掛けに白旗を上げてしまった。 
 線は細いが都会的なシャープな感覚を明円君に見た。病的な題材を健康的に処理している。

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 ↑:風間真悟、「crystal」。
 風間君は以前は精悍な油絵を僕たちに見せていた。楽しみにしていたが、ある時「僕は絵を描かない」宣言をした。イベントなどで環境インスタレーションをしている。だから小空間での彼の作品は見れなくなったのだ。展示はいつも既存のイベントの写真紹介である。それなりに面白いのだが生の熱気が伝わらなくて寂しいおもいだった。
 今展のイベント展示は実に良い。詳しい説明はほとんど無い。それでも充分に制作意図・主張が良く分かる。と言うより、展示が作品発表になるような屋外企画を案出し、演出・編集しての構成になっているのだ。ずばり、「現代美術」を嘲っていると見た。

 舞台は旭川市忠別川護岸のフラットな雪野原。ものものしい服装に包まれて、重そうな実は軽い偽ジュラルミン版で雪の上に六角形の雪の結晶模様を刻印していく。そのことが文字で語らなくても分かるように展示されているだけだ。
 思わず黄色い放射能防御服のヤノベを連想した。その服装の「カザマ」がジュラルミン版を手に持って白の上に立っている。雪にそんなに道具立てをして模様を付ける意味があるのだろうか?「ハザマ」は彼自身を含めて「現代美術」にアイロニーを込めて、愛を込めて「何か」を言っているのであろう。

 
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 ↑:齋藤麗。
 いつもはろうけつ染めによる黒白模様の増殖する空間を表現していた。
 今展もテーマは同じだと思うが、ファックスの感光紙を使った紙と流体と模様の増殖だ。ファックスという支持体をオブジェにしたものだ。紙の白さが目立って、いつもより「美」が強調された感じ。
 好きな作家だけに久しぶりにちゃんとした作品を見れてすっきりした。STVエントランス・ホールあたりでしてくれると良いのだが。人の流れ、人口光、自然光の絡み具合い、カガミを挟んだ内と外、天高くどこまでも上へ上へと階段状に増殖する姿、見てみたいな。

(③に続く

by sakaidoori | 2008-03-27 23:11 |    (時計台)
2008年 03月 27日

575) 時計台 ①「第7回 サッポロ未来展」 終了・3月17日(月)~3月22日(土)

○ 第7回 サッポロ未来展
     THE PRESEN  

 会場:時計台ギャラリー 2階3階全室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(仲通り北側)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年3月17日(月)~3月22日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

【参加作家】

○ 渡辺直翔  1988年  伊達市。武蔵野美大在籍。
   (佐直麻里子  1987年)
○ 藤田有紀  1986年  札幌市生。武蔵野美大日本画在籍。
○ 吉田浩気          札幌市生。武蔵野美大在籍。
   (稲實愛子 1985年)
  平野可奈子         倶知安町生。多摩美大在籍。
  宮澤祐輔          札幌市生。多摩美大在籍。 
  明円 光           滝川市生。武蔵野美大在籍。  
  片山美季   1984年  苫小牧生。女子美大日本画専攻在籍。
  (小林愛美)    
  (菊池博江)   
  秋元美穂   1983年  函館生。武蔵野美大卒、全道展、函館教育大付属学校勤務。   
  高村葉子          士別市生。武蔵野美大在籍。
  長屋麻衣子         斜里町生。多摩美大卒(予定)。
  こうの 紫   1981年  札幌生。女子美大修士課程修了。
  青木美歌           東京生。武蔵野美大ガラスコース卒。
  西山直樹          東神楽町生。京都造形大在籍。
  (藤井康子)    
  渡辺元佳          伊達市生。武蔵野美大卒。  
  佐藤仁敬   1980年  滝川生。金沢美術工芸大修士課程修了。独立展会友。
  谷地元麗子         江別市生。道教育大研究科修了。道展会友。
○ 福森崇弘          苫小牧市生。武蔵野美大卒。
  風間真悟   1979年  東川町生。武蔵野美大大学院在籍。
  齋藤 麗    1978年  北海道生。多摩美大大学院修了、御茶ノ水美術専学勤務。
  田中怜文           旭川生。東京在住。
  (三浦卓也)    
  宮地明人   1977年  岩見沢市生。武蔵野美大在籍。全道展会友。
  (渡辺和弘)  1975年  札幌市生。教育大卒。道展会員。
  河野 健    1973年  苫小牧生。愛知県立芸大卒。
  (久津間律子)   
  (佐藤正和)   
  竹居田圭子  1971年  東京生。道教育大卒、道展会友。
◎ 波田浩司           江別市生。教育大卒。独立展準会員、全道展会。
  水野智吉   1969年   函館市生。上越教育大大学院修了。全道展会員。    
  村山之都          旭川市生。武蔵野美大大学院修了。
  (戸山麻子  1967年)

・・・・・・以上、26名。○印、今年初参加。◎印、代表。アンダーライン、全展参加。( )印、昨年までの参加
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・22)  

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 ↑:以上、2階。

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 ↑:3階。

 7回目の札幌展。7回目にしてようやく全6室を楽しく見れた。
 昨年はとても充実していた。しかし、交流による他地域の画家作品の導入による全体の底上げの結果だった。今展では彼らは参加していない。同人だけの展示として、全体としてきっちりしていた。展示として空間を埋める作業に6回もかかるのかと驚いている。個々の作品はともかくとして、全体のレベルの向上が来年からの本当の課題だと思う。
 特に3階のインスタレ-ション的展示が良かった。大胆・ワイルドと言う作品は無いが、コンパクトな主張が小気味が良かった。
 2階の壁面作品群、正直な気持ちとしては全体にもっと元気があっても良いのではと思うが、期待度としては7割位の満足度だが、これはこれで良いか、という気持ちだ。気に入った作品、見直した作家作品もあったので、全体としてはほっとしている。ほっとしている・・・もっともっと実験的作品、意欲的な作品が見たいという意味だ。

 昨年は道内関係者が32名、招待作家が4名の36名の出品作家数だ。
 今展は道内関係者だけの26名だ。入れ替わりもあり、随分昨年の作家がいなくなったことになる。(参考までに参加作家欄に不参加の作家の名前も書いておいた。)その辺の事情は知らないし、これがこの会の姿勢だからどうのこうの意見を言う筋合いではないだろう。2階の壁面作品群がおとなしく見えたのも、作家減少が原因なのかもしれない。

 ②で個別の作品を載せます。

by sakaidoori | 2008-03-27 20:08 |    (時計台)
2008年 03月 26日

572)ADPギャラリー ①「小樽商科大学写真部三月展」 終了・3月16日(日)~3月23日(日)

○ 小樽商科大学写真部 三月展
    『お前は今までに食べたいパンの枚数を覚えているか』 
    
 会場:ADPギャラリー
    中央区南2西10丁目1番地 アラゼンビル3F(東北角地、中小路の南側に入り口)
    電話(011)214-8411(担当・北野原)
 会期:2008年3月16日(日)~3月23日(日)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)

 協賛:㈱アラゼン
 後援:ADPギャラリー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・23)

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 会場はビルの3階。若手の表現者を支援する為に、無料で会場を提供している。真四角な場所で事務所という感じだが、利便性も良く、適当な広さだし、是非個展でもグループ展でも利用されてはどうだろう。詳細は会場を見学するついでに、上記の担当者と相談されたらいいと思う。

 小樽商科大学、美術にはあまり馴染みのない大学だ。それと、小樽は歴史もあり美術館内の市民の発表の場など充実しているから、ダイナミックな札幌ー小樽の交流は少ないのではないだろうか。こうして、学生ではあっても、わざわざ札幌で開催されることを嬉しくもあり、応援したくなる。彼等自身が札幌の学生・表現者と積極的に交流されたことであろう。

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 今展の記は少し大上段的ですが、展評風に書き進めます。ほとんどの意見は当日会場に詰めていた岩村君と話したことばかりです。思いっきり自分の意見を述べました。文章で丁寧語や歪曲表現はかえって失礼と思い、美術愛好家の断定意見を述べます。

 名前から判断して男性6名・女性2名、一人1点から10点の展示構成。  敢えてくくって言えば、男性陣は「人物」との距離感に特徴がある。女性陣は「美」に特徴がある。

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 ↑:佐々木貴博
 カラー2点を含めて7点の展示。上の写真が強烈に迫ってくる。人の痕跡を一瞬の強烈な光の中に閉じ込めようとしている。閉じ込めずにはおれない強い意志を感じる。それと、佐々木君の特徴は絵画的構成美を写真の白と黒と輪郭・光で表現している。
 上の写真と絵画美という視点に立って、展示を見直す。僕にはカラー作品は邪魔だと思う。白黒のメリハリの強さがカラーはボケてしまっている。強い1点の視点で作品の取捨選択の余地がある。

 
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 ↑:高橋隼人。被写体はインド、チベットと旅先で出会った英国人。
 自分自身の体臭をもろともせず、相手にグイグイ接近して、ゲタゲタ大笑いして「パチリ」。人間大好きの典型的な作品だ。揺らぎがないのが良い。 更に良いことは、メインのインド・チベット人とは違って、知り合った西洋人青年を撮っているのだ。それは西洋人が旅先で現地の人達とくつろいでいる光景で、それ以上に西洋人を自分の分身の様に扱い、展示空間に「高橋隼人」を忍ばせているのだ。憎い演出効果だ。
 問題はこういうカメラマンが「日本の人」をどんな風に収めるかだ。外国だから可能、許せることがある。その手腕を日常性の中で見たいものだ。

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 ↑:中津川道也
 小振りの作品4点を斜めに並べての展示。
 一見たゆたゆしく心もとない写真だが、僕は繊細な強情さを感じる。特に、上の写真の様に子供を撮った写真が2点ある。良い写真だ。道路を一人歩く少年の強い意志、孤独・・それをカメラマンは睨みつけるように後追いしている。そこには叙情性はない。もちろん、その可能性をカメラマンは体質的に備えてはいるが。小さいがピンと張り詰めた心という風船、カメラマンは執拗に追いかける。5・6点程度の組写真でいいから、もっと沢山発表経験を積んで、中津川君の感性を確信として発表してもらいたい。経験を積むべきだ!

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 ↑:岩村亮太
 岩村君と人の距離、それは着かず離れず、傍観者にも当事者にもなりきれない中途半端な位置を取る。それは現代青年気質を正直に表明している。好きな女の子に「お茶飲もうよ・・・それじゃ、また明日」と笑顔で分かれる。人生はそれでいい。被写体との距離感もそれでいい。ダメなのは表現は徹底しなければならないということだ。中途半端な位置が自分の距離感と見定めたのならば、その距離感で作品の全体構成をすべきだ。幅のない展示は面白くないという批判を受けるかもしれない。だが、ぶれない定点を自分なりに掴むことが先だ。その自信が少数作の発表の時に、自分なりの幅・変化を入れる呼吸を生むと思う。
 今展、いろいろな要素を入れ過ぎた。文章説明が多すぎた。バスの写真、良い写真だと思うが全体との整合性に疑問だ。気に入った作品だから挿入したのだろうが、断腸の思いで排除の選択もあったのでは。
 「人との関係が中途半端な距離」と言った。だからと言って彼は人間不信ではない。「覚めた目」、「温かい目」の自覚と、作品に対しては冷たい態度をとるべきだ。君の被写体は身の回りに沢山ある。君の目を通して僕自身が「人間」を再発見したい。

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 ↑:芳岡完祥(ひろただ)、「ZZZ ~親愛なるkkk へ」
 彼はこの作品1点だけだ。
 KKK(クー・クラックス・クラン)とは、アメリカの白人至上主義団体だ。おぞましい黒人排斥・暴力主義は止まるところを知らず、行き着くところまで行って消えてしまった。アメリカ南北戦争の南部敗戦を契機に生まれ、1929年の世界恐慌の中で社会的存在意義を失った。現在はどういう形で生き残っているのかは詳しく知らない。
 そういう政治色の強い「人物」の一枚勝負。ことさら展示方法に異を唱えないが、あと何枚か連作として見たかった。芳岡君の主張が皮肉にあるのか、ユーモアにあるのか、チュッとした冗談にあるのか、そういう芳岡ワールドを楽しみたかった。そういう意味で、僕にとっては論ずべき対象ではない。昔を思い出して簡単な勉強はさせてもらった。
 残るのは写真の出来栄えとしての技術的なことだが、僕には皆目分からない。

 (②に続く

 

by sakaidoori | 2008-03-26 14:34 | ADP
2008年 03月 26日

573)ADPギャラリー ②「小樽商科大学写真部三月展」 終了・3月16日(日)~3月23日(日)

○ 小樽商科大学写真部 三月展
    『お前は今までに食べたいパンの枚数を覚えているか』 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 (①の続き)

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 ↑:青野未央
 今展出品女性は2名。出品を見合わせた学生の作品ファイルもあった。共通しているのは、モノクロ、全体がやや暗め、イメージや心象に流れすぎないでビシッと撮っている、そしてそれぞれの心象のすかし見える「美」の表現ということだろうか。どれも平均的に綺麗で質の高さを保っている。キチッとしている。し過ぎるきらいもある。

 青野さんは一見いろいろな被写体を撮っている。だが、全ては同じ心根だろう。一つのことを撮っているのだ。対称そのものと直に向き合って、見詰めて、自分の心象(願望)を対象の魅力の中に包んで撮っているようだ。
 空に向かって光の中に立ちつくす一本の木の姿勢のいとおしさ、筒状のアーケードに包まれたまろやかな空間の魅力、水面を覆う勢いの桜の艶やかさ、鴨を撮り見る側の人の方向性と、撮られ見られ側の鴨の方向性の接点への視準、・・・。
 素直な綺麗な写真だ。写真に構成や加工的要素が無いだけに、青野さん自身がうつろいだ時に、この姿勢が貫けるのかどうか、写真が変わっていくのかどうか・・・。

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 ↑:佐藤弘庸
 佐藤君は「人物」を象徴的に撮る。公園の遊具道具、家だけ、足だけ、(下の真ん中の写真は露出過多で分かりにくいが)横に置かれた木の幹がベンチに見えたりと。佐々木君の絵画性とは違って、文学的象徴的アプローチだ。一方でたった6枚の作品なのに強烈な作品を並べた。上の写真と、露出過多のベンチの作品だ。僕には全体の象徴性と、これ等の作品のインパクトは馴染まなく見える。佐藤君は「人物」との関係を被写体の象徴性という知的操作でアプローチする。そのことが我慢・自己抑制になり、テンションがはじけて佐藤君自身が中に入り込んだような象徴的写真を撮ってしまった。
 いっそのこと、物語的展示を廃してバリバリのピンポイント作品の展示にしたほうが良いのでは。それで一貫性に破綻をきたしても良いと思う。岩村君のように淡々と被写体に迫れない体質の人ではないだろうか。

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 ↑:川本結衣
 バライタ印画紙ー見慣れた印画紙がコーティングされて光沢しているのとは違って、光を吸収し白や黒の色調豊かな仕上がりになっている(いろいろと勉強させられます)ーを使い黒味を強調した色調美、3枚組・2枚組という展示構成美、一点を見詰める視野狭窄的美。
 見えるものだけを暗がりから強調している。キリンやイヌやネコやハトなどが多い。キュッと引き締まった作品にしては、普通の動物をかっこ良く撮っている。写真技術の高さと撮影者の心持のギャップを感じてしまった。心象を普通のスナップ写真に託すのではなくて、高い写真技術と美的センスで被っている感じだ。僕の好みとしては、ここから突っ込んだ写真表現をして欲しい。

573)ADPギャラリー ②「小樽商科大学写真部三月展」 終了・3月16日(日)~3月23日(日)  _f0126829_1441684.jpg
 ↑:川本さんの一番上の写真から。川本さんは子供や動物が好きなようだ。その子供の落書き、「人、信じるなかれ」。


 本当に学生らしい写真でした。長い、お喋りお許しを。また作品に会えるのを楽しみにしています。

by sakaidoori | 2008-03-26 14:34 | ADP
2008年 03月 24日

567) 4プラ「佐野妙子 富樫はるか 2人展、vol.3」 終了・3月4日(火)~3月9日(日)

○ 佐野妙子 富樫はるか 2人展、vol.3

 場所:4丁目プラザ 7階4プラホール
    中央区南1西4
    電話(011)261-0221
 期間:2008年3月4日(火)~3月9日(日)
 時間:10:00~20:30 (最終日は18:30迄)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・9)

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 2人展は今年で3回目、その間に渡辺さんが加入しての3人展を1回しているので、ここでは4回目ということになる。僕は3回目の観覧なのだが、4プラという処が年齢的に合わなくて、記憶の回路がおかしくなっている。それで、この展示会をここでの基準点にしたいので、何としてもこれからも継続的に載せていきたいと思う。

 つまらない個人的な気分を書いてしまった。
 会場は入って左側の壁が佐野妙子。いつものように公募展的な油彩の大作がある。奥のほうにあるのだが、この展示会の顔だ。今回の佐野さん、少し様子が変だ。随分と厚塗りを抑えた。小品では夢現(うつつ)の世界から白昼夢的凄みのある絵を描いている。ピンクがまぶしかった。現在変化進行形である。
 夢見る女心、揺れる女心、妖しき女心と当世若者女性心理描写なのだろう。いろいろと試みているのが好感を持てる。

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 ↑:「花蜜」。今展の個人的お気に入り。
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 ↑:「春ツモル」。どこか、齋藤周の影響が感じられる。かえって、同時代の響き合いがあって面白い。


 富樫はるか
 
  富樫さんはキャラクターものと日本画の二本立て。取り立てて今展で劇的変化を起こしたとか、変化の兆しとかは気付きませんでした。我が道を行くというスタイルです。変化というよりも、少しづつ絵を深めているといった感じです。

 彼女は基本的には連作を好む表現者だと思います。それが絵本になったり、一枚のアニメの場合でも漫画的にストーリーを想像させるという風になります。
 日本画の場合は何枚かの組になるのですが、最近は2枚一組で発表しています。対効果による描かれていない時間とか空間の自然の移ろい、人間味(青春)を仄かに垣間見せるという手法です。物理的制作時間の制約がこういう手法を選んだと思いますが、結果的には富樫スタイルにまで高めたいという意気込みも感じられます。

 拙い写真ですが、掲載作品の対効果を確認してください。
 上の対作品。学生時代の青だけによる内に篭る空想上のロマンが、いろんな色の選択・実験によって、自然色の中に心象を表現しています。
 下の対作品。絵本による滑稽な展開、日本画の几帳面な心象描写、それだけでは飽き足りない富樫絵画の一断面です。ストレートなあやかしの世界です。




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by sakaidoori | 2008-03-24 11:24 | 4プラ・華アグラ
2008年 03月 21日

566) たぴお 「絵画サークル  空(そら)展」  終了・3月3日(月)~3月8日(土)

○ 絵画サークル  
     「空(そら)展」

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2西2・道特会館1F (中通り東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年3月3日(月)~3月8日(土)
 時間:11:00~18:00

 【出品作家】
 五十嵐朋子 酒巻進 酒巻治子 島貫久子 中茎裕美 原田径子 東岡和子・・・以上、8名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・7)

 オーナー林教司さんの教室展です。

 幸いというのですか、出品者お二人とお話が出来て楽しい時間を過ごすことが出来ました。派手な個性ではないのですが、自分のペースで描いていて、それぞれの世界が見えて、満足のいく展示会でした。早めに書けばよかったのですが、仕方がありません。

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 ↑:「あじさい」
 五十嵐朋子さん、語りたくなる絵と人です。他にも「向日葵」、「紫陽花」、「秋桜」と小品を出しています。
 後者の2点は古い作品とのこと。この古い作品が『若い!』というのか、濃密厚塗りの油彩で、写真作品とは趣を異にしています。『アブラを描く喜び!』とでも言うのですか、対象の花束の勢い、五十嵐さんの心の勢いを画布にぶっつけています。
 そして、この「あじさい」。絵と闘うことを止めて、花のゆったりした表情、動き、呼吸を楽しんでいるようです。随分と花に向かう姿勢、絵筆を持つ心持地が変わったのですね。変わっても見せる絵を描く人です。

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 ↑:上段は酒巻治子、左から「旭岳」、「花」。下段は酒巻進、左から「奥入瀬」、「大沼」。
 お二人は御夫婦です。作品は下の写真作品が上の左に並ぶ形です。この会には珍しく多きめの作品を番(つがい)のようにしての展示です。林教司さんの気配りです。
 お二人とも油っぽいマチエールです。おそらく大作はあまり描いてはいないのではと思います。治子さんの見すえるような正直な視線は小品の「花」には生きいきと反映している。でも、大きい作品は慣れないせいか正直に収まりすぎた感じがしました。
 酒巻進さん、同じように小品に比べて大きめの作品は不慣れな感じはしますが、意欲を感じる。きっと大きい絵を描きたいと思っていることでしょう。白が波打っています、画布に色をうねらせて絵を楽しんでいるのですね。

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 ↑:東岡和子、「静物」。
 オーソドックスな静物ですが、ビンが人のように見れて、不思議な味がします。肖像画みたいです。他の作品もそうなんですが、濃い黄色の使い方が特徴的です。得意な色だと思います。色が内に篭って形がすくっとしている、そんな絵です。

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 ↑:島貫久子、上から「林檎」、「果実」。
 僕のお気に入りの絵です。色の勢いバランス、線のぞんさいさ、生気があると思うのです。本人の自覚以上に相当良い作品ではと僕は思っています。問題は、その良さを自覚されて、いろんな物、形、色の世界にチャレンジしてはいかがでしょうか。きっとファンも増えると思います。少なくとも僕はファンとして他の作品も見たいです。

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566) たぴお 「絵画サークル  空(そら)展」  終了・3月3日(月)~3月8日(土)_f0126829_2203443.jpg ←↑:中茎裕美、「element」。
 随分オシャレで現代的感覚の作品群と展示です。これは普段のたぴおのグループ展に出品しても注目されると思う。余白の使い方、バランスがいいのですね。作品を繋いで一つの作品にしていますが、とても巧みです。全体の妙と貼られた一つ一つの自由さ、感心してしまいました。











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 ↑:原田径子、「ひまわり」、「チューリップ」、「パタゴニア」・水彩。
 静物はとても手馴れています。しかも、こじんまりとしないで清々しく描く方なのですね。水彩ですから、暖めた構想なりを描きだしたら一気に描くのでしょう。
 「パタゴニア」、写実的な絵の真ん中がぼやけています。そこが良い。見るほうの想像力がうずいてきます。明快に描く人だと思うのですが、タマタマの仕上がりなのでしょうか?計算してのことでしょうか?
 写実的な絵に破綻したとおもわれる箇所、これが絵の魅力だと思います。「何だか分からないが、気になる所」、なぜ気になるのか自分自身の旅が始まるのです。自分の中にある靄のような暗闇との境界域、そこが見たいのです。絵はそれを見せる産婆のような役目だと思っています。

by sakaidoori | 2008-03-21 22:56 |    (たぴお)
2008年 03月 17日

560)時計台「北海道教育大学芸術過程美術コース教員・展」 終了・3月3日(月)~3月8日(土)

○ 2007年度 北海道教育大学芸術過程美術コース教員・展

 会場:時計台ギャラリー 2階全室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:2008年3月3日(月)~3月8日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)

 【出品教員】
 青木空豁(英昭) 新井義史 伊藤隆介 梅津薫 小北公英(麻記子) 坂巻正美 佐々木けいし 須田廉亭(義樹) 辻井京雲(義昭) 寺井暢彦 中村和雄 羽子田龍也 二上正司 前田英伸 三浦啓子 山本勇一・・・以上、16名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(3・7)

 「美術系スタッフの総力を挙げての展覧会」、と言い切るには少し無理があるようです。その点は残念ですが、教育大学にはどんな方が居られるのだろうということを知るには良い機会でした。
 評価に関しては、美術関係者、所属の学生の声を聞くことができるでしょう。何をさておいて教員自身がいろいろ思うところが生まれてくるでしょう。できれば継続的に開催されて、全体構成の質の向上に努めていただきたい。テーマを決めた会場作りなり、このグループだからできることに主眼をおいた企画というのも考えられると思います。それが学生の良い見本にもなるのではないでしょうか。
 個々の発表もさることながら、「教育大学の姿勢」を見たいものです。ジャンルの総花性という難しさを特徴にして、実験的展覧会もあっても良いのではないでしょうか。「北海道の芸術の知性としての新生教育大」、勝手にあだ名を付けたい気持ちです。

 ピンポイントの作品の紹介はできないので、会場風景を載せます。

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 会場は2階3室を使った展示。それぞれの作家が普段の作品を持ち寄ってきて、展示したという感じ。ここでは教育大学の卒展もしているが、似たような展示風景。そこに書が入って、レベルが高くなったと言えば良いのだろう。学生よりレベルが高いのはあたりまえです。

 個人的な関心をメモしておきます。

○ 羽子田龍也、日本画研究室、講師。
 1970年に東京に生まれる。院展を中心に発表活動(春の三越展では見れるかもしれない)。主に風景画がモチーフ。
 日本画の教員が気になっていた。
 確かに風景画を出品していた。静謐で、心象と言うのかイメージを取り込んだ作品。丁寧で綺麗。日本画家の少ない北海道だ。何かにつけ注目されるだろう。

○ 小北公英(麻記子)、デザイン研究室、講師。
 会場には作家(教員)のプロフィールがあります。年齢を書いていないのですが若い方です。「視覚芸術が環境に及ぼす作用、コミュニケーションとメディアの関係性を研究・・・。」とあります。
 小品ですが壁面作品を何点か出品。ミクスト・メディア、「モデラート・カンタービレ」「異邦人」。ぼやけ気味の女性(子供)の手の写真を中心にしてイメージを喚起する作品。しなやかな都会的感性、まとまった作品群を見たい人。

○ 梅津薫、油彩。普通の作品になっていて、優しさが感じられるのだがどうしたのだろうと思った。

○ 坂巻正美。
 以前、音威子府で古い家屋を利用したインスタレーションを制作したが、その折の記録ビデオを流していた。作品に関するチラシも用意していて、この作品に寄せる強い思いは分かるのだが、ビデオを見ても仕方が無いなという感じ。以前に芸森で見ていたからそう思ったのかもしれない。彼のような人がビシッと作品を発表すると締まるのだが・・・。期待過多か。

○ 伊藤隆介、映像。
 いつものパターン。映像と映像の仕掛けを鑑賞者に見せるもの。手作りの舞台はおもちゃのような感じだが、伊藤マジックというのか装置を身にまとうと、不思議なリアリティーがある。未来永劫まで繰り返される誰もいない遊園地になってしまう。この仕掛けは好きだから何度見ても飽きないが、彼に多大な期待を寄せるファンにとっては、いつも同じ物ばかりの小出しのスタイルに不満がたかまっているかもしれない。
 僕はCAIでウルトラマン作品を見たことがある。安直、シンプルな仕掛けとほとんど無意味な繰り返し、語れば涙が出そうです。非常にオタク的でいつまでもいつまでも飛んでいるウルトラマン、伊藤隆介代表作品の一つと勝手に思っているので、なかなかあれ以上の作品は作れないでしょう。

○ 山本勇一の油彩もお気に入り。

by sakaidoori | 2008-03-17 11:59 |    (時計台)
2008年 03月 10日

554)資料館 「空人 ーsorabito-」  終了・3月4日(火)~3月9日(日)

○ 空人 ーsorabito-
     札幌大谷大学短期大学部美術科総合造形コース
       大場優子 中田絵美

 会場:札幌市資料館2Fミニギャラリー2室
    大通西13 (旧札幌控訴院)
    電話(011)251-0731

 会期:2008年3月4日(火)~3月9日(日)
 時間:10:00~19:00
---------------------(3・8)

 いわゆる4年生大学の3年生相当の2人展だ。当然、充分に若い。聞けば、近々、別の会場で同じ2人展を開くとのこと。その日の為の意識の高揚とか、会場構成とか、作品展示の下準備にはいい勉強になったと思う。

 僕は中田絵美さんの「サイコロ」作品を先日の市民ギャラリーでの大谷展で見て楽しんだ。そういう個人的縁があったのでここに載せておきたいと思う。細かい作品のことは、直ぐに訪れる2人展の時に書くことにしよう。

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 ↑:以上、中田絵美

 中田さんは角型と土くれだった色に興味があるようだ。技法のことを聞いてみた。十数cmの正立方体を作って白い色を塗り、直に燃やして茶色を出しているとのこと。黄色は蜜蝋。若い女性が鋸とゲンノウで黙々と工作し、真剣な顔でバーナーで燃やしているところを想像してみる。「オー、ヤチョルヤチョル」と思わず声が出てきそうで、微笑ましくもあり、どれどれと作品を更にみたくもなる。
 彼女が何をしたいのかは分からないが、見るほうとしてはサイコロを自由に並べ替えたり積んだりして遊びたくなる。本人は曲線的遊びよりも直線に対する嗜好が強そうなだ。キチンと行儀良くしないと落ち着かないだろう。(・・・ここまで書いてきて、澁谷さんの「森の雫」シリーズを思い出した。やっぱり立方体を並べていたなー。通低する部分はあるのだろうか?)黄色は蜜蝋を利用したりして、工作の要素の強い絵画だ。
 地味な色合いでは有るが、若さの感じる色でもあった。


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↑:左から「見ている」「種」「流れ星☆」・ベニヤ・紙・アクリル。
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 ↑:以上、大場優子

 中田さんの工作によるインスタレーション展示に反して、大場さんはいろんなことを小出しで展示していた。物語りで会場を埋めたいのだろう。私的空間と公的空間のハザマのようで、少し中途半端な感じがした。実験的要素が強い展示だと思う。今展で成功しているとは思えないが、こういうことが出来るのが資料館の強みだと思う。臆せず「物語」を奏でればいいのだろう。


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by sakaidoori | 2008-03-10 23:36 | 資料館
2008年 03月 05日

550 ) 法邑③「道都大中島ゼミ 『版’s SEVEN』」・版画 終了・1月30日(水)~2月7日(木)

【出品作家】
 犬養康太 松本直也 柚原一仁 関谷修平 大泉力也 川口巧海 石井誠・・・以上6名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・7)

○ 関谷修平

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↑:「扉」とその部分図。

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↑:「虜」

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↑:左側が関谷作品で「拍」。

※ 2005年 道都大学美術部デザイン科 卒業
  2006年 同上 科目等履修生 修了
  2007年 倉敷芸術科学大学大学院 通信制 院1年生

 (写真がピンクがかって、本当に申し訳ありません。全体が「白」とイメージして下さい。後日、関谷作品を鑑賞する機会があれば、承諾の下、より良い写真を載せたい。)


 「ミニマル・アート」、関谷君との会話で真っ先に耳にした言葉だ。
 僕のこの言葉のイメージは、肉質性(個性)を排した機械的な反復で画面が構成されているというものだ。色も筆跡が残ってはいけない、印刷のようにベタでなくてはいけない。アメリカ生まれのポップ・アートが何でもありの大衆臭さを特徴とするならば、科学・知性好みのインテリ臭さと言い換えても良い。知と美の共存した絵画である。

 関谷・作品、単純な線の反復だけの作品である。原版は同じ物。版を重ねるごとに微妙にずらしていく。何回もずらしながら、色を替えながら重ねるわけだが、画家が「これで良し」と判断した時が終わりだ。(版画一般にこういう多版形式の傾向があるが、シルク技法は特に顕著なのではないか。技法の一つなのだろう。)
 作品は微妙な色のグラデーションで静謐な美を表現している。反復線の隙間隙間に人の目を引き付ける。機械的反復線、その隙間にミニマル=極小の世界を確認できる。塗られた色は薄くはあるが均一で全体からは一切の破調は無い。そういう意味では「ミニマル・アート」である。
 だが、アメリカ生まれの美術用語で様式は語れても、精神までも語りつくすには無理がある。何よりあまりにも関谷作品には「東洋(日本)美、余白美」が渦巻いている。線も定規によるものではない。自身の線描だ。等間隔に緊張しながらおびただしい曲線を引いていく。どこか職人の巧みを思う。

 きっと美意識の強い人だと思う。
 学徒として多くの西洋美術・技術を学んだことであろう。それは継続中でもある。その一方で、自己自身の顕わになる美に西洋との違いを認めているだろう。
 また、関谷君は北海道人である。日本人だが京都人のような泥臭い伝統美は持ち合わせてはいない。三岸好太郎がそうであったように、伝統の軽さは良き物を何でも取り入れる。関谷君は定期的に倉敷に通って学んでいるという。そこで日本を学んでいるのだろう。
 西洋の理論を借りながら、一切を排した美を追求しているようだ。


石井誠

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 ↑:左から「帰道」、「ASTRONOMY」(天文学)。


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 ↑:上から「ここにいること」、「幾重にも」。


 石井君は二つのことを表現しているようだ。

 一つは、表現主義的に自己の情動を直截にぶっつけること。「黒(自己)の世界」と仮に言おう。黒い線や模様がそれにあたる。若さ・勢い・情熱があって好ましいが、「汚い」仕上げになる時がある。自己格闘の軌跡であり、自己を見詰めることが作品の質の向上になっていくと思う。

 一つは、シルクによる色を模索していること。色そのものの追求や構成などを勉強しているのだろう。「色の世界」と仮に言おう。背景のような役割になるのだが、あまり大仰にならずに、黒の直截な激しい世界に華を添えている。明るさやリズムがあり、シルクの技法の習得が質の高さに直結していくのだろう。

 全体の黒と色の躍動感が石井・ワールドだ。

 改めてタイトルを読むと石井君の思いがストレートに伝わる。真摯で情熱的な青年だ。更に、彼は活動的だ。作品を見れば分かるががむしゃらな所がある。
 それは絵だけでは無さそうだ。まだ2年生だが、積極的にグループに参加し、作りもしている。札幌の若きアート・シーンの牽引車たらんとしている。  深く会話をしたことは無いが、外見は少し野暮臭く朴訥である。情熱を内に秘めて、積極的に行動するタイプなのだろう。
 何も僕には出来ないが、見て、作品を語ることによって応援したい。


○ 川口巧海

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 ↑:左から「Torso」、「心電図」、「無限の象徴」、「蜘蛛の糸」・全て銅板。

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 エッチングだと思います。他の6名がシルクスクリーンですが、川口君だけが銅板です。大きさも小振りで、会場構成の良いアクセントになっています。大きさの違いは彼の趣向というよりも、道都大学の設備の制約によるものだそうです。

 人間の「死」、あるいは「業」とか「宿命」に関心があるようです。

 他の方を書き過ぎました。次回の書く楽しみにということで、この展覧会の記を終わることにします。

by sakaidoori | 2008-03-05 17:06 | (茶廊)法邑