栄通記

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2008年 05月 31日

635) コンチネンタル 「金工展」・学生展 5月27日(火)~6月1日(日)

○ 金工展
   (北海道教育大学岩見沢金属工芸研究室・展)

 会場:コンチネンタル・ギャラリー
    南1西11 コンチネンタルビルB1F・東向き
    電話(011)221-0488
 会期:2008年5月27日(火)~6月1日(日)
 時間:10:00~18:00(最終日のみ~17:00まで)

 【参加学生】
 院1年 佐藤あゆみ、4年 吉成翔子 杉田斐子(あやこ) 町嶋真寿(ますみ)、3年 清水愛美(まなみ) 佐藤有希、2年 上舘恵理 佐々木清美・・・以上、8名。
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 鉄を中心にした女子学生による金属作品展。非常に興味深く、面白かった。

 彼女達は学生だから、技術を習得中であろう。「造形」という美術概念も勉強し作品に取り込んでいることだろう。だが、あいにくと技術的には年齢を考慮してもたいしたことはない。作品を見ても、あらためて彼女達の作品から「造形」を考えるレベルにまでは達していない。
 それでは何が面白いのか?技術や芸術を勉強してはいるが、そんなことには関係なく、「今の私を、私達を見てよ」という、あまりにも無防備とも思える素直さが良いのだ。しかも、学校展にありがちな全体の不協和感がこの展覧会にはない。あたかも、全体のことを考えての作品になっている。おそらく、彼女達個々の感性に、通奏低音のような共通性があるのだろう。意図せずにでてくる共通感覚、これがこの展覧会の面白いところだ。

 もし総合タイトルをつけるならば、「異星人とのファンタジー」だろうか。
 そのメルフェン性や幼さ拙さに「まだまだ」という意見もあるだろう。だが、軽くでてくる創作精神に、僕は拍手を送りたい。

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 ↑:吉成翔子(4年)、上から「何時でもいい」・40×90×220cm・鉄、「かわいこさん」・12×12×15cm 16×16×15.5cm 19×19×21cm。
 
 吉成さんは他にも「雑貨やさん」という作品があります。彼女は田舎育ちで、幼い頃の古里の田園風景や家の周りのごちゃごちゃした物が創作原点になっているようです。自分の原体験を喜びでストレートに創作に結び付けれることは良い事だと思う。ここから作品上の変化球や深みが生まれると思う。卒業後、どう鉄と関わるかは気になる所だが、分野に拘らないで進んで欲しい人だ。
 「かわいこさん」、これは面白い。ただ鉄を卵形に作ってぶら下げただけだが、鉄をテングスで下げるという思いつきと実行がよろしい。一つの造形美学なのでしょうが、絵本的な発想の転換と、見る人に喜びを伝えることの出来る人だ。


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 ↑:左から、佐藤あゆみ(院1年)・「雲路」・30×70×148cm 鉄&たも、杉田斐子(4年)・「おしりのでっかい宇宙人のいす」・100×120×85cm。


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 ↑:清水愛美(3年)・「あなた たね」・70×70×150cm。
 優しい装飾的な曲線模様で、どれだけ完璧に球体が作れたか?その球体に閉じ込められて、透かし見られている卵の内部。愛の始まりなのでしょうか?


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 ↑:上舘恵理(2年)・「生活」・42×46×27cm・銅 アクリル ひも。
 一人異質な作品です。そして、僕はこれがとても好きなのです。
 足の太ももから折り曲げられた膝の一部と見れるかもしれない。そうすると、アテネ芸術のようなリアルで大きな人間が浮かび上がるのです。
 僕は正座させられて、その足を縛られて、腰を曲げている人を連想した。それは綺麗な女性で、白装束に自害させられる姿になってしまった。身悶えるエロスがお尻の部分などにほんのりと感じられて、随分と連想をたくましくして、なめる様にして見てしまった。
 あるいはアフリカン太鼓にしてもいい。実際、上部の平らなところを静に叩いて音色を確認した。
 ただ、タイトルがいただけない。もっと工夫が欲しい。「生活」という言葉で、「罪と罰」を思い出した。主人公がシベリア流刑になり、追ってきたソーニャとの関係の中で、「・・・生活が到来したのだ。・・・新しい物語が始まる・・」という言葉で小説が終わると記憶する。もし、この故事からの本歌取りならば、「ソーニャ」のほうがタイトルにはいいのだが・・・。


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 ↑:佐藤有希(3年)・「ex1stenc1a」・110×70.5×204cm・鉄 タイル 鏡。
 作品もいろいろと出していて、意欲的実験的傾向の強い人です。アール・ヌーボー風の流線好みなのかなとも思いますが、どうなのでしょう。
 
 
 他の学生は今回は省略させてください。
 会場には古風豪華な薪ストーブがあった。「2007年度 3・4年生共同制作」とあった。今展の4年生以上が関わっての作品だ。楽しい作品を作ったものだ。何を作るのかというアイデアと図面作りが大変だったろう。心温まる作品である。
 ふと、昨年のテンポラリーでの阿部守・作品を思い出した。勿論、鉄だ。その折に、彼女等の教官でもあろう坂巻氏とも会話が弾んだ。氏に「雪の持つ、色や季節感だけではない『造形性』」という、貴重な意見を伺うことが出来た。今秋、阿部守さんはテンポラリーで個展をされます。わざわざ九州からの来客です。是非勉強の為に訪問して下さい。

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 「鉄」、人類にとってそれほど古い金属ではない。だが、鉄は「文明」の構築という礎を気付いた。「都市国家」を超えた「国家」を作った。生産性を高めたが、人口の過度の集中や高度な武器をもたらし、「戦い」の世界に革命をもたらせた。支配構造を造ったといってもいい。
 その発見は近代的男の論理の出発でもある。その「鉄」の造形の学徒に男子が集まらないのは、現代の皮肉を体現しているようだ。

by sakaidoori | 2008-05-31 12:02 | コンチネンタル | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 29日

634) たぴお 「08’ 抽象8人展」 5月26日(月)~5月31日(土)

○ 08’ 抽象8人展

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2西2・道特会館1F (中通り・東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年5月26日(月)~5月31日(土)
 時間:11:00~19:00(最終日は18:00)

 【出品作家】
 伊藤みゆき 加我雅恵 上水啓子 甲斐野弘幸 永井健介 名畑美由紀 能登智子 原田勢津子・・・以上8名。
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 作品の講評会も兼ねるということで、オープニング・パーティーに顔を出した。なぜだかワインの説明会をしていて面食らったのだが、オーナー林さんの司会で来賓の美術関係者や、新道展やベテランの画家のトークが始まった。かなりのお客さんの前でのスピーチだ。その後の、酒が入っての作品を交えての個別会話の方が盛り上がっていた。
 今展の参加者の多くが新道展関係者ということもあり、先日の市民ギャラリー・「抽象派協会展」の関係者も多数居られた。

 パーティーはいつものことではあるが、なかなか真剣な話が賑やかな言葉の中に飛び交っていた。僕自身は席に近い一部の作品に注目して全部を真剣に見れなかった。以下個別作品と僕の感想です。
 全体の感想としては、絵の深みや距離感にはまだまだといった感じなのだが、絵に取り組む姿勢と意欲が好ましかった。


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 ↑:加我雅恵
 実は、初日に行ったのは加我さんがどんな作品を出すのかに興味があったからです。彼女は新道展やたぴおの関係者でもないから、ここで彼女の作品が見れることに、個人的に嬉しかった。
 彼女はまだまだ発展途上です。今展の彼女の良さは自由度が高いことです。テーマが抽象画ということで、彼女なりの試みです。リボンのコラージュはともかくとして、赤の描きなぐりや色爛漫なところが、今までの彼女の作品には無かったので、見に来て良かった。本人は他の方の作品との比較でいろいろと刺激を受けたようです。絵の深みの希薄さは指摘されるところでしょうが、元気の良いのがいい。


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 ↑:伊藤みゆき・「EROSION 侵食」。
 席に近い綺麗な女性なので、ついつい話し込んだ。
 僕はツララのような侵食する物体と、そのタイトルに興味がわいた。侵食する妖しげな美しさ、あるいは侵食するおどろおどろさには欠けている感じ。要するに、僕はこういうテーマは極端を欲するのですが、作家は宙ぶらりんなところで矛を収めている。小さな世界に、もっともっと激しさが欲しいな。
 胸痛むような突き刺す風景、それでいて切ないリズム感、激しい心象風景・・・銀色の世界に雪のボリューム感を感じて、なおかつ侵食する世界・・・これは単なる僕の願望です。


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 ↑:能登智子、左から「蒼」、「Bright」。
 能登さんは遠慮したようです。作品構成が他の方と比較すると弱すぎました。おそらく、こういうグループ展には不慣れなのでしょう。そういう意味で、良い経験になっったのではないでしょうか。
 僕は右側の曇った雲の中での線描が面白いと思った。たったの3点では意味を成さないのですが、日記風に沢山の作品を並べたら面白いと思う。そうすれば一点一点の拙さなどは吹っ飛んでしまって、全体で線描の心象世界が誕生すると思うのです。
 線の好きな方だと思う。不得手な技術を高めるよりも、好きな事をグイグイと進んだらいいのになー、と思った。新道展の中年女性の方は真面目だから、欠点を指摘されると素直に取り組みすぎると思う。欠点には目をつぶって、好きな事に邁進したらいいのにと思った。

 (真剣に見たのはこの3人の作品まで。当日は酒が入りすぎました。以下、駄弁です。)


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 ↑:永井健介・「連環」。


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 ↑:原田勢津子、上から「静寂の森へ」、「静寂の森から」。
 同じ図柄を白黒に反転している。展示を含めて日本美を醸し出そうとしているのですが、日本美特有のリズム、間(ま)、空間構成に欠けている感じ。少しムード先行のように思えた。
 一方で、展示の部屋全体から見れば、チョッと異質な空間を生んでいた。

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 ↑:甲斐野弘幸、「(あしおと) ’08」。
 (左側に白い作品もあるのですがピンボケて、失敗しました。すいません。)
 元気な女性とのツーショットです。彼女は先週、ここに出品していた宮本市子さんです。(先週の「たぴお・現代美術展」は後日載せます。その時に彼女のことを書きましょう。)きっと、酒が入って意気投合したのでしょう。良い写真です。二人を見ていると、絵のことをあれやこれやと言う気が萎えてしまいました。


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 ↑:上水啓子、「紋葉」。


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 ↑:名畑美由紀
 名畑さんの絵画表現では、こういのが僕は好きです。画質感の追求もそこそこのところで止めていて、かろやかなリズム感が良いのです。引っかき線もあり遊んでいます。ピンクが若さの象徴です。
 竹田たぴお時代に、現オーナーの林さんは数多くのたぴお企画展に出品して協力していました。今、林たぴお代わって、名畑さんが以前の林さんの役割を演じています。それは協力することによって、自己表現を高める、深めることでもあるでしょう。同時に、たぴおに関心のある画家達にも刺激を与えているのではないでしょうか。
 次回の名畑作品も楽しみにしています。

by sakaidoori | 2008-05-29 23:42 |    (たぴお) | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 28日

631) 時計台 ②「第23回 北の日本画展」 5月26日(月)~5月31日(土)

○ 第23回 北の日本画展  C~G室
○ 第2回 企画展  A・B室
     「日本画、ニホンガ?にほんが。」

 会場:時計台ギャラリー  2・3階全室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(中通り南向き)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年5月26日(月)~5月31日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)
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 それでは、普段着の会員展の様子を載せます。
 基準は、作品を見て気に入ったもの、ウオッチャー的に追っかけている作家作品です。

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 ↑:朝地伸介、「成長する構造 Ⅱ」。
 オーソドックスな作品群の中で非常に意欲的な作品。僕は朝地君には関心と期待は高いが、彼に対する思いは僕だけではないだろう。
 期待に応えるような大作を持ってきた。おそらく、F150以上はあるのでは。縄文土器のような意匠巧みで豪華な画題だ。海老茶の背景色ー専門家が見たら、この画質感はどの程度の評価をするのだろう?識者の評価を気にしては栄通記は成り立たない。
 静寂な中での豪華さには圧倒される思いだ。素晴らしい作品だと思う。若い人を褒めてばかりでは面白くない。20年後には同じ物を50号で見てみたい。緻密で1点の曇りの無い緊張した作品を見てみたい。若さが迫力だとしたら、経験は深さ・精神性が絵に滲みでるだろう。
 それと、この作品がどうのこうのというわけではないが、朝地作品の魅力の一つに視覚へのトリッキーさや、ユーモアがあると思う。今作の本格的作品にそういう知的ユーモアは両立し難いのだろうか?
 ですが気力充実した朝地絵画、有難うございました。

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 ↑:吉川聡子、「N2W3 -雨ー」。
 昨年に引き続いて、吉川さんは見せてくれます。数年前に今は無きどらーるの個展を見ましたが、その時は上手さ以上には迫る物が薄かった。それが、最近は見るもの見るもの実に迫ってくる。
 今展は日常世界のありふれた風景。雨に濡れたコンビニ前の横断道路を巧みさを抑えた透明感とモノトーンならぬ青ト-ンでの表現。空気感と場の印象をスッキリと表現している。何処が良いのだろう?花鳥風月的な安定美と距離を置いていること、技の巧みさを殺していること、現代人の距離感・空気感にテーマを絞っていること、どこか映像的な写真的な効果を意図的に取り入れていること・・・そんなことを考えた。


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 ↑:左から、前田健洪・「幹」、齋藤美佳・「雨上がり」。


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 ↑:左から、池田さやか・「ケープ」、丸野仁美・「想う」。
 池田さんのボリューム感というのですか、大きな造形感覚が好きです。

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 ↑:北口さつき・「SAVE OUR SHIP」。
 普段見慣れている北口さんですが、オヤッとした親近感を持ちました。彼女の今までの人物画はビシッと鑑賞者を正面に見据えがちです。そこが若々しい元気さや、衒いの無いストレートさを感じて好きだったのです。今作は顔の向きを変えたり、それにボリューム感全体が大きくて優しいという感じです。どこか気になる変化があります。キーワードは優しさとボリューム感です。


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 ↑:左から、川内厚子・「ひととき」、高木久仁子・「12月」。


 ③に続く

by sakaidoori | 2008-05-28 23:46 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 28日

632) 時計台 ③「第23回 北の日本画展」 5月26日(月)~5月31日(土)

○ 第23回 北の日本画展  C~G室
○ 第2回 企画展  A・B室
     「日本画、ニホンガ?にほんが。」

 会場:時計台ギャラリー  2・3階全室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(中通り南向き)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年5月26日(月)~5月31日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)
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 ↑:中野邦昭、「?」。


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 ↑:左から、古瀬真弓・「待つ」、笠嶋咲好・「遠雷」。


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 ↑:千葉晃世・「冬」。
 組み木の詰め合わせかと思った。面白い試みだと思う。

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 ↑左から、百野道子・「leaf shower」、駒澤千波・「夏至」。
 百野さんと会場で多くを喋った。大半は彼女に対する将来の期待と、今展の不満だ。
 彼女の学生時代(教育大学)は、若者をやや暗めの画面にリアルに描いていた。描写力は優れていて、やや描き込みすぎは少しオーバーなのだが、かえって若者の悩みを伝えていて好感が持たれた。最近は色に目覚めたというのか、明るい中での女性を多く描いている。そして背景はあまり描かない。きっと画面(画布)から何かを立ち上げたいという動機だからと思う。
 そういう気持ちが今作では葉の乱舞になっているのだろう。だが、安易な伝統的美の表現、花鳥風月と似た結果になっている。人物もそうだが、パターン化してきて面白くない。いや、背景や人物の安易さも不満なのだが、それ以上に絵に対するチャレンジ精神の不足なのが一番の不満だ。最近の作品は、何かをつかむ為の過渡期だと思う。それに、僕の百野道子に対する期待は彼女自身の方向性と一致していないかもしれない。お門違いの願望を彼女に求め過ぎているのかもしれない。
 彼女は描写力もある。色もこなせる。だから、ついそこそこの所で落ち着く、自分の力量の範囲内で悶えている。20歳代は今しかない。今しかできないあっぱれな失敗作を見てみたい。

 
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 ↑:佐久間敏夫・「椿」。


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 ↑:小林文夫・「夜明け」。

by sakaidoori | 2008-05-28 23:34 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 27日

630)時計台 ①「第23回 北の日本画展」 5月26日(月)~5月31日(土)

○ 第23回 北の日本画展  C~G室
○ 第2回 企画展  A・B室
     「日本画、ニホンガ?にほんが。」

 会場:時計台ギャラリー  2・3階全室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(中通り南向き)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年5月26日(月)~5月31日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)

○ 深川移動展
 会場:深川アートホール東洲館
    深川市1条9番19号深川市経済センター2階・(JR深川駅を降りて直ぐ左側のビル)
    電話(0164)26-0026
 会期:6月3日(火)~6月15日(日)
 時間:10:00~18:00
 休み:月曜日
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・26)

 参加画家の総数は確認しませんでしたが、全館を使った展示ですから沢山です。基本的には一人ー点です。目録があると助かるのですが、残念ながらありませんでした。

 展示はテーマを設定した企画展と、会員の普段着のような作品群です。大きさとかは抜群に企画作品が大きい、そういう意味でドアで繋がれて2部屋を使った企画展のほうが、見応えがあったと思います。会員展は個々の作品なり、作家の今年の創作姿勢を垣間見て、楽しむという感じです。

 まずは企画展、「「日本画、ニホンガ?にほんが。」の全体作品と、個別作品を載せます。とても全点を載せれませんが、お喋りは極力省略して、多く載せたいと思います。
 掲載は関係者の許可を頂いていますが、差しさわりのある方は非公開でも連絡下さい。写真をクリックすれば大きくなります。

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 ↑:左から、中井緋紗子・「四季の宴」、櫻井明子・「晴れ着」。

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 ↑:左から、大塚博子・「Friend」、横川優・「雪の舞」。

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 ↑:平向功一、「GULLIVER」。
 最近の平向さんはユーモア的傾向を強めています。工事中のバベルの塔の中で、巨人・ガリバーの寝転んでいる姿、絵が大きく見えます。

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 ↑:左から、樋口雪子・「卓上」、伊藤洋子・「クリスマスツリー」。

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 ↑:小島和夫、左から「想(オーランガバード)」・「想(臼杵)」。

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 ↑:安栄容子、「カリフォルニアにて 時計草・他」。


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 これから先の作品はやや狭いB室です。個人的にはこちらの部屋の方が好きでした。キュッとした緊張感がありました。好きな作家が多かったからかもしれません。

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 ↑:伴百合野・「旅の日記より、コルドバにて」
 いつも意欲的な作品を見せてくれる伴百合野。今回も期待に違わない。安易な異国情緒に流れず、薄塗りだが華やかにワイルドに外国を見せてくれる。

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 ↑:左から、竹澤桂子・「おおぜいのなかのわたし」、野口絹代・みち」。
 野口絹代、僕にとっての字(あざな)は「キリンさん」だ。とても失礼な言い方ですが、彼女は人目を引くような上手さや特徴の持ち主ではありません。真摯に直向(ひたむき)に堅実に進んでいる、毎回毎回静かな進歩を感じる。
 今回の作品、戦時中の若き洋画家達の自画像に通じるムードがある。彼女の求めているテーマは「現代と青年、その群像心理」と理解している。立っている青年、きっと彼女自身でしょう。

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 ↑:上野秀美、「life」。
 赤が眩しい。絵全体としてはどこか「もう少し」と言いたくなるが、この赤の眩しさは素敵だ。

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 ↑:田村直子、「山菜採りの日」。
 絵本原画展みたい。ユーモラスな春の山菜採り風景です。口をワンパク小僧のように開けて、はしゃぎ回っている動物達。昨年のこの展覧会で田村さんのことを知りましたが、いっぺんにファンになりました。


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 ↑:野口裕司
 透明のアクリル板に墨絵のような作品が「ごろり」。その作品の裏側に映像作品が流れていて、上の写真はその一齣です。だいたいこんな感じで流れています。タイトルは「流転」。音は有るのか無いのか、ビデオの機械音のようなノイズがいつも聞こえていました。

 「日本画とは何か?」を考えることがこの企画展の主旨だ。野口君の作品は、音響や映像を取り入れた総合美術・現代美術ということになるのだろう。どこが日本画かというと、彼が北海道で日本画を学び、日本画の団体に所属することを許され、彼がその団体に出品した時に、その団体が日本画として出品したことで日本画になったのだ。極端な話し、描き手が日本画と宣言すれば日本画として認めるということだ。

 今作、美しさから離脱したいのだが、どこかに形式美を引きずってしまう野口君を思ってしまった。作品そのものにそれ程の価値は感じないが、発表するという行為・動機に価値があるのだろう。本人にとっては意味も意欲もあるのだろうが、少しから回りした意欲を感じる。悶えていてもいいのだが、素直に「美」を取り入れたほうが野口君らしい。こういう時期を過ぎないと次に進めないのかもしれない。


 ②に続く。

by sakaidoori | 2008-05-27 23:01 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 24日

627) 創 「ARTISTS WEEK Vol.1 “air”」・写真展  ~6月28日(土)

○ ARTISTS WEEK Vol.1(第1回 アーティスト・ウイーク)
   “air”(空気)  
    
 会場:ギャラリー創(ソウ)
    中央区南9条西6丁目1-36 U-STAGE1F(地下鉄中島公園駅から徒歩5分。南9条通り沿いの南側、北向き入り口。)
    電話(011)562ー7762
 会期:2008年?月?日~6月28日(土)
 休み:火曜日
 時間:10:00~18:00
 ※駐車場は2台分完備

 【出品作家】
 山岸誠二 廣島経明 置田貴代美 高井稜 中橋修 (会期中、メンバーの変更あり)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・24)
 企画展覧会です。

 3月末の教育大学岩見沢校・学生展(2年生展)以来の訪問。時々ギャラリー前の道路を通るのだが、いつもいつもここでは展示会を催してはいない。おそらく、それではイカンと関係者は思ったのです。来月末までの変化球を含めた連続展示会の興行だ。変化球というのは、メンバーの変更等、勝手気ままに行うのだ。いつまで現在の作品が並んでいるかは分からない。

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 ↑:中橋修

 今展は写真展と言ってもいいと思う。一人インスタレーションで気を吐いている中橋さんだ。三角形作品でも分かるように、シンプルで都会的な幾何学美、空気感を特徴としている。そして、下に転がった円球は、それを置くことによって場の風なり、空気の流れを微妙に変える変化球だ。グループ展だから、他の方の領域を侵さないようにおとなしく置かれている。室外の入り口付近にもそれとなく置かれている。
 久しぶりに氏の作品を見れてスッキリした。ギャラリー廻りを始めた頃に知った作家で、一所懸命に個展を見に行った。新鮮に思い出された。7月には個展の予定。


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 ↑:山岸誠二、「continue」。
 以下の写真家はこの2月にたぴおで開かれた「MOVE展」にも参加していた方達ばかりだ。そういう意味で、今展覧会の作家のまとめ役は山岸さんかもしれない。違った場所での表情を楽しもう。

 横一列の写真にスーッと光が走っている。光は白だが、七色の世界を飛び跳ねるようにして、白が走っている。

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 ↑:廣島経明
 御馴染みの宇宙創成の色の語り部が、ブロックに囲まれての展示。


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 ↑:置田貴代美
 他の方を含めて、今回はピンポイントの作品紹介はしません。独特の空気感によるイメージ、あるいは心象の世界です。一人白黒です。

 
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 ↑:山岸せいじ、「air」。
 壁作品は入り口から左回りに紹介しています。摺りガラスの壁の横に並べられています。光、光にあてられたこちら側と向こう側、どこまでも明るく明滅し、光の女神の力を借りて「何か」を捉えようとしている・・・これが僕の山岸ワールドです。僕の目は曇っているから、彼の見たものがなかなか見えない。

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↑:高井稜
 女性写真家です。たぴおで見つけた僕のお気に入りの一人です。風景ですがあえてダブらせて、力強い作品です。ダブっていて、くっきりしているーこれが高井さんの魅力です。対象を見る画家の一本気な力を想像しています。


 適時、作品は入れ替わるとのこと。また行って写真を撮ってきます。

 今回は担当者・本庄女史と雑談をしてきた。内容はここの認知度を高めること。その為にも、できるだけ展示会を埋めていくこと。ここは貸しギャラリーだけを目的にしていないとのことだ。ならば、しっかりした企画を考えねばなりません。「ギャラリー創」ならぬ、「本庄美術館」と云われても良いではないですか。意気込みと意欲に期待したい。そして、良い展示会の時には褒めよう、当然問題があれば叱咤激励しよう。

by sakaidoori | 2008-05-24 23:13 | 創(そう) | Trackback(1) | Comments(0)
2008年 05月 20日

625) たぴお 「写羅」・写真 終了・5月12日(月)~5月17日(土)

○ 写羅
    SHARA Vol.1(写真展)

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2西2・道特会館1F (中通り・東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年5月12日(月)~5月17日(土)
 時間:11:00~18:00

 【参加作家】
 EISHIRO.W  KOHK.F  SUSUMU.T  YOHKO.O  YUKI KYHJI.H
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 6名による写真展。「写羅」・・・「栄通記の案内板」に「羅」に拘って漢字の字義を考えたが、「シャラ」はシャラクやシャレにも通じて、言葉遊びの意味もあるのだろう。今度、オーナー・林教司さんにお会いした時でも、話しの種に伺ってみよう。

 6人の異なるアプローチで色のある展覧会だった。展示方法、白黒とカラー、被写体の違い、被写体との距離感、今風・心象模様・エロス・海外の風景・風景一般・・・たぴお的表現を借りれば、「非連続的連続空間」ということになろう。

○ YOHKO.O
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 おそらくパソコンに明るくにぎにぎしく沢山集合させたのだろう。なんといっても色の華やかさが良い。この技法は写真の一枚一枚にこだわることなく、個々の色とイメージが全体を作り、全体のイメージが個々を制約するということだろう。
 とりあえず全体のムードから入っていく。この場合は色爛漫の南国調で、その楽しい気分で個々の作品を、宝箱の中身をひっくり返すようにして楽しむのだ。個と全体のイメージと具体性。全体のムードに反した作品もさらりと取り入れられたりして、ギャップ効果も作家の意思の反映であろう。


○ YUKI、「hole」。
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 見て分かるように、セクシャルな画題とタイトルだ。綺麗な撮り方だ。どんな被写体であれ、この撮影者にとってはこのテーマは可能だろう。穴、セクシャルではあるが何かしら深淵を見る目を感じる。物自体にひそむ、秘部の闇、深さ。それを成り立たせる男と女の接点の危うさ、つまずきの入り口でもある。


○ KOHK.F
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 インスタレーション風展示。会場に変化をつけている。デザイン的感覚で、「この作品を見よ」というよりも、全体の調和の中でたたずんでいる。


○ KYOUJI.(林教司)。
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 林さんがインド?旅行に行った時の写真でしょう。セピア色が古拙な感じです。
 彼は仏教関係者でもあるから、修行の一環かもしれない。右の写真、クリックすれば大きくなるのですが、中央の男性は若かりし頃の林さんでしょうか?背景は土饅頭です。お墓です。樹木は菩提樹で、立っている女性がスジャータだとしたら、合唱している林さんは悟りを得た釈尊になります。鹿野苑(ろうやおん)で初転法輪(しょてんほうりん・釈尊が初めて四諦八正道を説いた行跡)をしているところか、子供達は純真な気持ちで教えを請う人達の象徴かもしれない。


○ EISHIRO.W(渡辺英四郎)。
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 渡辺さんらしいシンプルな色合いと構成美と、異国情緒のある写真です。春らしく花が画面にしっかりと配されています。中年男性のカメラの目と、写真の中の二十歳前後の若い女性のいる空気感、そんな調和を感じます。


○ SUSUMU.T(為岡進)。
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 ↑:左側、「朝日に輝く打瀬船(尾岱沼)」、「朝日に輝く水面(然別湖)」

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 ↑:「夕日と船(茂津田海岸)」

 オーソドックスですがしっかりした自然美。

 海、船、朝日と夕日、どれをとっても気になることばかり。
 「人は何処から来て、何処に行くのか?」そこにロマンティシズムを見る人がいるかもしれない。ドラマを見る人がいるかもしれない。哲理の始まりを見て取る人もいるだろう。
 「私という存在」は、人という「種」にとっては生まれるべくして生まれたのかもしれない。だが、「種」にとっては個々の生命は省みない時がある。
 「個」としては「生まれる理由」は生前には与えられていない。若い時には「何故」と問いて悩みもした。歳とともに考える力は衰え、時間だけが過ぎていく。
 「生きることの意味」の前に、自然はいつもそこにある。

by sakaidoori | 2008-05-20 12:17 |    (たぴお) | Trackback | Comments(0)
2008年 05月 12日

621)タピオ 「非連結展」 5月5日(月)~5月10日(土)

○ 非連結展

 会場:ギャラリーたぴお
    中央区北2西2・道特会館1F (中通り・東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年5月5日(月)~5月10日(土)
 時間:11:00~18:00(or19:00)

 【出品予定者】
 (会場左回りで)嶋田観 林教司 阿部啓八 石井眞弓 名畑美由紀
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 久しぶりにたぴお訪問。というか、諸般の事情で作品鑑賞は休みがちだった。

 (この日は7ヵ所ほど見たが、途中で古き友人に会ったり、顔見知りの作家にも会えて、雑談交じりの楽しい時を過ごせた。このブログを読んでいる人からは最近の記事の停滞振りを指摘されてしまった。体調の問題もあるのだが、やはり「書くこと」の問題でしょう。代わりにのんびりと「読むこと」をしていた。「石狩平野」、「石狩川」、「厚田村」(未読)、ミトコンドリアDNA進化史、科学一般の情報、有史以前の日本や世界の歴史、月形町の雑学・・・。長男も江別に一人生活をし始めたので、空いた部屋の整理、本をその部屋に詰め込んでしまった。整理しながら斜め読みをしていったというところか。閑話休題。)

 最終日ということで、オーナー林さんが在廊。他にも知っている人ばかりで、雑談に花が咲いた。作品はムードになってしまった。「書く」ということが無ければそれでいいのだが、それでは「栄通記」の顔が立たない。作家にも失礼なことをしてしまった。女性ボーカルのジャズが聞こえるは、作品が大人っぽい感じでお洒落に並んでいるは、話も弾むはで、何か良いムードなのですよ。車で来たから酒は飲まれないし、残念なのは残念なんですが、かえって帰り道の余韻もしっかりとしていて、もっともっと見ることに、感じることに、文章に頑張らなければいけないなーという思い。いささかエネルギー不足だが、「ヨイショ」という感じです。


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 ↑:嶋田観。
 重厚な独特な腐食版画です。嶋田さんの作品を見ていると、「不毛な大地に立つ男の一人姿、男のロマンティリズム」を思います。


この下の写真から、写真をクリックすると大きな画像を見れます。)

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 ↑:林教司。
 針金細工。鉄は一見手間がかかるようだが、意外に自由自在に作家の意のままになる。林さんがいつも考えている頭の中のもやもやを、ジャズのアドリブのように、ポロンと小出しした感じ。(そういえば、会場にはジャズがかかっていた。)だが、小なりといえども小さな生き物のように、そうコロポックルのように、ひとりでに動き出し始めそうだ。くるくる丸められた鉄細工、掌に乗せてフッと吹けば、綿のように舞い上がるかもしれない。


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 ↑:阿部啓八。
 今回の阿部さんは工作に徹したようだ。武器はカッターと鋏とノリ。一見デザイン的アプローチだが、大都会のガラス張り感覚にならないところが特徴だ。下町の場末風なのだ。サラリーマンが帰る前に安酒を一杯引っ掛ける味が作品に漂っている。こめかみに隈ができて、ブルーなのよ。そしてつぶやくのさ、「さて今日は何を作ろう。どうも色を塗る気がしないな。ノリと鋏で遊ぼうか。おっ、影が・・影が・・波打っている。」

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 ↑:石井眞弓
 書です。半紙を額装無しでセロテープで繋ぎ合わせて宙ずりにしている。あたかも、宙ずりの紙に書をしたためているようだ。書は紙を押す筆さばきにエッセンスがあるのではなかろうか。字という約束事の中で、自由に意が運筆になり、筆跡として残ることを期待されているのであろう。
 しっかり書かれた「希」が好きです。


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 ↑名畑美由紀
 名畑さんは1点だけ。支持体は板。
 名畑さんは最近たぴおでの出品が多い。それは林・たぴおの協力ということがあるのだろう。だが、けっしてそればかりではないと思う。昨年の新道展に入選していたが、出品を決意するあたりから創作欲が高まったのではないだろうか。そういう名畑さんの内発的な創作・出品欲と新生たぴおの門出が重なって、作品を見る機会が増えていると思う。もともとは多作の経験が少ない方だと思う。今の経験が間違いなく次のステップ・アップに繋がるだろう。

by sakaidoori | 2008-05-12 22:24 |    (たぴお) | Trackback | Comments(0)
2008年 04月 21日

611)市民ギャラリー ④「’08 第35回北海道抽象派作家協会展」 終了・4月15日(火)~4月20日(日)

○ ’08 第35回北海道抽象派作家協会展

 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年4月15日(火)~4月20日(日)
 時間:10:30~18:00(初日は13:00~、最終日は~17:00迄)

 【出品作家】
 同人: あべくによし(旭川) 今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 近宮彦爾(旭川) 外山欽平(函館) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)・・・以上、7名。

 一般:石川潤(江別) 岩田琿(七飯) 甲斐野弘幸(札幌) 草野裕崇(江別) 笹岡素子(江別) 渋谷美智子(札幌) 鈴木薫(札幌) 鈴木悠高(札幌) 名畑美由紀(札幌) 宮川市子(札幌) 横山隆(札幌)・・・以上、10名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 (2008年 協会展  ①・②・③の続き。
 当初の予定に反して、④まできてしまいました。こういう大所帯のグループ展を一人一人に拘っていることに、読まれる方は辟易されるかもしれません。お許し下さい。いろんな意味で、展示会を手際よく書きおけるといいのですが、どうもそういう能力に欠けています。現在の「栄通記」の特徴と思ってください。個人の発信として、試行錯誤の状態です。)

 
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 ↑:同人・佐々木美枝子、上から、「作品 D・C・B・A」・S60。

 作品を全部の載せました。色、それもピンクを中心にして、ざっくばらんな丸や三角を描く人です。今庄・後藤・三浦各氏の惹き込まれる色ではないのです。情念をぶっつけるとか、しみ込むような色というのではない。素直な気持ちになって、春の野山を散策しているような色、ピンクですから恋の色といえなくもないのですが、そういう色恋も感じさせない。強いて言えば初恋の色か。カルピスの初恋の味か。
 初めて見た時、そのあっさり感に「若い人が描いたのかな?でも、若い人がこんなに情熱を抑えて、抜けたような世界が描けるのかな?」と思った。彼女は今庄さんと同じく創立会員で、ベテランです。若い絵を描く人だ。こういう絵は男には描けない。拘りがあまりにも感じない絵だ。
 

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 ↑:一般・宮本市子、左から、「ミカエル」・180×180cm(4枚組)、「ギターの色」・180×180cm(4枚組)。

 工作的コラージュ作品。右側の作品にはローマ字で文章を綴っている。白く見えるのが釘頭で、黒く蟻の行列に見えるのがアルファベット。その文意といい、ミカエルというタイトルといい、どこか平和への祈りを込めた作品だと思う。
 そういう画家の思弁的な主張に関係なく、非常にこちらが素直になって見ることのできる作品だ。ハート・マークの羽根をあしらった茶色の部分は木屑を張り合わせている。丁寧に丁寧に造作しているのが素晴らしい。コラージュなどの部分部分はどこをとっても技術の巧みさは感じないが、全体から伝わるイメージは実に良い。画家が制作している時のリズムが楽しく想像される。良い作品に廻り合えた。宮本市子、覚えておこう。


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 ↑:名畑美由紀、全て「細胞」・F100(右二枚は対作品)。

 名畑美由紀さんは昨年の新道展以来大作に挑戦しているのではないか。僕はたぴおで小中品を見ていたので関心のある作家だ。大作の特徴を一口に言えば、その大きさをもてあそんでいるようだ。画質感を濃密に仕上げるには大きすぎる。だから、この作品を含めて雑さが目立つ。瑞々しい抽象模様のリズミ感が良さだと思うのだが、この大きさに表現するのに苦心しているようだ。
 ただ、タイトルが「細胞」と聞いて、納得するものがあった。彼女の抽象模様のキーワードを「細胞」としてこれから見ていこう。

 
 

by sakaidoori | 2008-04-21 12:22 | 市民ギャラリー | Trackback | Comments(0)
2008年 04月 18日

608)市民ギャラリー ③「’08 第35回北海道抽象派作家協会展」 4月15日(火)~4月20日(日)

○ ’08 第35回北海道抽象派作家協会展

 会場:札幌市民ギャラリー 
     中央区南2東6(北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年4月15日(火)~4月20日(日)
 時間:10:30~18:00(初日は13:00~、最終日は~17:00迄)

 【出品作家】
 同人: あべくによし(旭川) 今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 近宮彦爾(旭川) 外山欽平(函館) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)・・・以上、7名。

 一般:石川潤(江別) 岩田琿(七飯) 甲斐野弘幸(札幌) 草野裕崇(江別) 笹岡素子(江別) 渋谷美智子(札幌) 鈴木薫(札幌) 鈴木悠高(札幌) 名畑美由紀(札幌) 宮川市子(札幌) 横山隆(札幌)・・・以上、10名。
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○ 第二室
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 (第一室同様、右回りに書いていきます。普通に並べれば左回りが人間の生理にあっていると思います。実際、第一室の作家毎の作品展示は左回りが大半でした。ですが、ここの会場構成が出入口の関係で右回りに向いています。個々の作家の意思と人の流れがミスマッチなのが、市民ギャラリーの欠点です。)


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 ↑:同人・三浦恭三、上から 「浮遊 3・4・2」・全てF100。(他に同じような青系の作品が一点あります。)

 本当に青の水色が綺麗だ!水そのものと理解している。縁取りをお洒落に色分けしている。こういう作品は見て綺麗だなーと思ったら充分だ。水の中に抽象模様が遊んでいる。青色だけでは寂しいので、緑を共にしている。青と緑が早春を奏でている。画家は年配の男性だ。男の美にはほのかなエロスがつきものだ。だが、残念と言うべきか、素晴らしいと言うべきかエロスが無いではないか!
 三浦さんは以前は循環など、やはり水を想起するような抽象絵画を描いていた。失礼だが、色の薄さに反して理念的で面白味に欠けていた。今展、何という変身だろう!「水の具象画家」と言っても全然おかしくない。


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 ↑:同人・後藤和司、「’08 春のscene」・M100×3 (下は左の作品の部分図)。

 後藤氏は最近はこのシリーズだ。織物のような色のグラデーションの世界。無味乾燥な極小アートとは似て非なる世界。ミクロの世界に迫りつつも、全体の美を常に保っている。この織物のような蜘蛛の巣的美の世界に木の葉が舞い散るような絵を描いたりしていた。今回はあまり細かいことには拘らない、そのまんまの静謐な絵だ。
 三浦氏が後藤氏の仲間に入った感じで、後藤氏の美の世界が膨らんで見える。


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 ↑:一般・渋谷美智子、上の右から「2008-Ⅰ Ⅱ Ⅲ」・F100 F60(下の写真作品) F60。

 色は中間色、あっさりした大き目の抽象記号を重ね合わせ、盛り上げ、抽象の何たるかを研究しているみたいだ。ざっくばらんと言うのか、おおらかな気分が伝わってくる。


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 ↑:一般・鈴木悠高、「Yellow2008」・116.7×700.2cm。(Sサイズ6枚の組作品。)

 幸い鈴木悠高君は数年前から見続けているので、今展で見たかった若手の画家だ。今展は昨年の個展時の作品を連作という形で再発表したもの。僕はその時の個展を見れなかったので、二度楽しめた。
 若さのある画質感の中に、これまた若さの象徴である情動をいかに付加するか、あるいは滲ませるか、そんな風に作品を見た。気分はモネの中にゴッホを取り込みたいのではないか。ただ、ゴッホのようなストレートな激しい筆跡は好まないようだ。筆跡を残さない薄塗りの重ね絵は今のところ論外のようだ。
 そして色全体のパワーで何かを表に出そうとしているみたいだ。
 強い情動の持ち主だと思う。それを抑制するような気質の画家でもなさそうだ。彼の色との闘いは結構見ていて楽しい。どんな風に進むのかはわからないが、興味のある作品と人間である。秋には時計台で個展をすると言っていた。今展と似た作品かも知れないが、人間と一緒に載せたいものだ。
 
 
 (④に続く)

by sakaidoori | 2008-04-18 23:40 | 市民ギャラリー | Trackback | Comments(0)