栄通記

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2013年 12月 05日

2323)「果澄 個展」大丸藤井セントラル 12月3日(火)~12月8日(日)

       
  


果澄 個展     



 会場:大丸藤井セントラル・7Fスカイホール
      中央区南1条西3丁目
       (東西に走る道路の南側)
      電話(011)231-1131

 会期:2013年12月3日(火)~12月8日(日)
 時間:10:00~19:00
      (最終日は、~17:00まで。)  

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12.4)



 小柄な少女が丸い顔を膨らませ、太い目の玉でギラギラと暗い森を見る。そこのパワーを内に内に溜め込む・・絵画にエネルギッシュに重たく発散する。若いから明るくあどけなく・・・そういう果澄ワールドだ。
 
 会場風景を見て下さい。栄通氏言うところの、エネルギッシュさと重たさに着目して下さい。



 入口は--


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 入口からの右側--


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 入口からの左側--


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 衝立で仕切られた入口側と奥の部屋--


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 メインの奥の部屋です--


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   ↑:「鯨森」。





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   ↑:「トムラウシ」。



 青の好きな画家だ。澄み渡る空色、ではなくて宇宙的な黒い青。沖縄の珊瑚の海色、ではなくて日本海的というか深海的な黒い青だ。

 北海道の人間は比較的淡泊だ。が、絵画となるとなぜかしら淡泊は飛んでいき、べったり感が強い。果澄もそうだ。

 果澄絵画はべったり感というか重いのだが、若き新鮮なエネルギ-を隠さない。マグマ溜まりの中で生き物がピチピチしている。「あ~、若さだな~」と、うっとり見とれてしまった。


 やはり圧巻は上の2点だ。

 大きい。
 大きいことが好きだから画題も「鯨」で大きい。
 もっとも「鯨森」は大通公園の8、9丁目辺りを指す言葉だ。なぜかしらそこだけが鬱そうとした自然の相を残し、「鯨の森」と呼ばれていた。今は完全公園化で、その面影はない。
 果澄はその地形近くの美系専門学校を卒業した。1987年生まれの人だ。現在26歳か?森の好きな画家の卵が、今は無き森の跡地に夢を膨らませていたわけだ。
 そして、鯨だか森だかへんてこりんな「鯨森」が誕生した。


 もう一つの大作は「トムラウシ」。大雪山系の名山・トムラウシは有名だが、その山の意味ではない。
 画家は「トムラウシ=花が沢山咲くところ」と語っていた。素晴らしい解釈だ。果澄版「銀の滴ふるふる」だ。北海道の大地に花を見て、咲き乱れ舞う姿を夢見ているのだろう。「トムラウシ」は理想郷なのだろう。それはまさしく彼岸花だ。

 (地名研究家の山田秀三氏は、自信なく「トンラ・ウシ [tonra-ush-i] トンラ(一種の水草)・が生えている・もの(川)」と解釈している。)


 人物は皆無だ。果澄ドリームには男女の綾など吹っ飛ぶのだろう。基本は八百万的な山川草木、生きとし生きるものへの愛だ。ただ、柔な愛は欲しない。小さな愛と夢物語をドドーンと絵画で花開かせて、みんなでを大きく抱きしめ合うのだろう。




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   ↑:「背美鯨と空」。




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   ↑:「羆と森」。




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   ↑:「きぼうの樹 -ハミングバード-」。




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   ↑:左から、「名もなき花」、「向日葵」。


 この両点は異色だ。「明るさ」全開だから。間違いなく暗さを好む画家だ。ただただ明るいだけでは不満だろう。でも描く。世界を拡げるために。




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 ブックス・アートのような、ボックス・アートのような作品がある。大きい心を描く人だが、根っ子はこういう宝物ような小さな世界で遊んでいるのだろう。使い切った感じの古物が好きなのだろう。だから箱だ。気持ちが一杯になって言葉も生まれる。だから本だ。



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by sakaidoori | 2013-12-05 14:15 | 大丸藤井スカイホール
2013年 12月 04日

2322)②「『Timeless:時の肖像』(大井敏恭 末次弘明 林亨)」由仁実験農場 終了・11月3日(日)~11月30日(土)

Art in Progress企画展 

Timeless:時の肖像

 大井敏恭 末次弘明 林亨
  


 会場:由仁実験農場
     北海道由仁町東光149
      (JR由仁駅から徒歩15分)
     電話 090-8902-1533 (大井)

 会期:2012年11月3日(日)~11月30日(土)
 休み:月曜日
 時間:土日祝日 ⇒ 11:00~18:00
     火水木金 ⇒ 開場時間は要連絡 

 主催 :北翔大学北方圏学術情報センター美術研究プロジェクト 
 
※ アーティスト・トーク ⇒ テーマ「それぞれの自作について」 初日(日) 14:00~15:40 
             作家・大井敏恭 末次弘明 林亨 聞き手・塚崎美保
 
            
※   トーク終了後はミニパーティー  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.30)


 2321)①の続き。


 個別作家を見ていきます。既に①で大ざっぱに印象を記しています。それ以上の言葉がでてくればいいのですが、重複することでしょう。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)



◯ 大井敏恭の場合




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 タイトルはあったかもしれません。あったならば完全な見落としです。


 以前、「絵画の場合」という画家グループがあった。定期的に展覧会を開いていた。そこで、氏の作品を知り、見慣れている。
 その時の作品は、線描というかドローイング的なビルがあり、人が群れなし、それらがフラットに重層的に綾なして、美術でいうところの空間や構図を作っていた。ムードはアメリカンだ。アメリカンは構わないのだが、いかにも「実験しているんだ」という知的ムードと堅さに一歩退いて見ていた。

 今回も基本は同じなのだろうが、随分と感じが違う。お洒落に散らかした雰囲気が作品とあっていて、スルーッと入り込めたからか。それと、明瞭に和の雰囲気が立ちこめていた。直線を間違いなく愛する作家と思うのだが、「いかにも直線ありき」が退いていて、木版画的(シルクスクリーン的?)な色の重なり具合がたゆたゆしさを生んでいて目に優しかった。
 それに植物を描いているわけではないのだが、水面に見えたり、花びらが散っている感じもした。

 相変わらず実験的絵画であることは間違いない。というか、「試み絵画・大井敏恭」だ。「こうしたらどうなるのだろう、あ~したらもっとオレが出てくるかもしれない・・・アメリカの空気と日本の空気は違う、人も違う。同時代の忙しき現代人なのに明瞭に違う。この違いは文化の違いだ。そこを現代絵画人であるオレは見据えている。そこんところを視覚で表現する・・」などなど、電波は外に向かい、大井カンピューターは忙しなく「今」を問うている。


 すばらしい建物だ。おそらく、今までの美術活動の中から生まれた意図的施設だろう。しっかりした制作現場を持たねばならない、そこで画家や美術人などがいろいろとコミュニュケートせねばならないと思い詰めたのだろう。
 現代の象徴であるアメリカに繁く通う作家だ。そして札幌は重要な生活基盤だ。札幌、著名な地方都市ではあるがどこかおっとりして刺激が少ない。住むには良いが創造妄想という美術刺激には迫力不足だ。そして田園地帯の由仁町を美術の発信地として選んだ。アメリカ、札幌、由仁、氏の選んだ3本の柱だ。いわゆるインターローカルだ。

 インターローカル、その言葉はネーション(国家・社会・民族)という血なまぐさい問題を不問にしている。おそらく、そこから一端離れて世界を広々と見渡そうという意志が生んだ言葉だろう。国家に病んだ人たちが作ったのか?逆に国家を軽い存在と感じている人が育てた言葉か?いずれにせよ、しがらみからの積極的浮遊だ。が、その抜け落ちた部分に迫らないインターグローバルという美術造語は無意味で虚構だし、知的怠惰だと思っている。

 それはともかく、この建物および環境に不退転的決意を感じた。今後の作品なり活動に期待したい。


 思いのほか駄弁になりました。で、 ③に続きます

 

by sakaidoori | 2013-12-04 10:54 | 【北広島・由仁】
2013年 12月 04日

2321)①「『Timeless:時の肖像』(大井敏恭 末次弘明 林亨)」由仁実験農場 終了・11月3日(日)~11月30日(土)




Art in Progress企画展 

Timeless:時の肖像

 大井敏恭 末次弘明 林亨
  


 会場:由仁実験農場
     北海道由仁町東光149
      (JR由仁駅から徒歩15分)
     電話 090-8902-1533 (大井)

 会期:2012年11月3日(日)~11月30日(土)
 休み:月曜日
 時間:土日祝日 ⇒ 11:00~18:00
     火水木金 ⇒ 開場時間は要連絡 

 主催 :北翔大学北方圏学術情報センター美術研究プロジェクト 
 
※ アーティスト・トーク ⇒ テーマ「それぞれの自作について」 初日(日) 14:00~15:40 
             作家・大井敏恭 末次弘明 林亨 聞き手・塚崎美保
 
            
※   トーク終了後はミニパーティー  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.30)




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 山際の高台に立っている真新しい建物。只今新築中だ。建物は概ね仕上がっているが、細かい処が残っているのだろう、建築関係者が忙しなく建物周囲で作業をしていた。

 立地条件からして由仁平原が一望されるだろう。そこからの眺めを想像すると心ワクワクする。羨ましい限りだ。



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 建物際の道路風景。左側が山際、右側には農地が拡がり、間近に道路と平行して線路が走っている。



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 会場は由仁町の大井敏恭スタジオ「実験芸術農場ギャラリー」だ。

 今展は施設内での絵画鑑賞という形をとっているが、ギャラリー自体は敷地や風景を含めて、いろいろと試みる場なのだろう。その全貌は定かではない。
 そして今展は企画展でもある。主催は「北翔大学北方圏学術情報センター美術研究プロジェクト」だ。具体的な運営者は不明。出品作家がそうなのか?企画者は塚崎美保。案内DMを頂いてはいるが、市内のギャラリー等でフライヤーも目にしてはいない。一般鑑賞者に積極的に告知をしている感じでもない。秘密の企画展ではないが、とりあえず小さな美術運動の一環なのだろう。建物が未完成だからか?その段階で鑑賞できることは幸いでもある。

 なにはさておき、この場と、ここからの風景と、絵画作品を楽しもう。


 気になる建物内部です。その様子をお伝えします。

 (以下、敬称は省略させていただきます。)



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 玄関先の入口は半間と狭い。一間ほどの通路の向こうに作品が見える。末次弘明作品。真新しい白さにチラリズム的感覚でのお迎えだ。




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 中は広い。ギャラリーというよりもアトリエだ。展示会場は奥の部屋とこちら側の部屋の2ヶ所。2階もあるが、展示会場ではない。


 奥の部屋を見ましょう。


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   ↑:(ベランダ越しの風景。遠くの山並みは夕張山系か。)


 ここは大家?の大井敏恭ワールド。梱包されたキャンバスなどが雑然と置かれている。「これを含めて作品だ」と、思う必要はないだろう。単に只今整理中だ。が、ニューヨーク・ニューヨーク的な大井絵画とのマッチングは良い。だからか、今までの氏の作品には感じなかった親しみが湧いてきて嬉しいような困ったような気分になった。

 後で個別作品を載せます。
 


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 右側の作品は玄関から見えていた。両者とも末次弘明作品でこの2点だけ(トイレに小品が飾ってあった)。120号。デザイン?装飾?絶対絵画?上の写真で見れば判断はつきがたいが、入れ込みの強い絵画だ。今展で真っ先に目にするので印象深い。


 右側の窓からの風景は---



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   ↑:(遠くに由仁駅周辺の街並みを見ることができる。)





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 右側が先ほどの末次弘明作品。左側が林亨作品。色味は似ているが、原画は凄く違っている。末次作品はフラット、林作品は深み、そんな違いだ。両者とも後付けのようにして絵画面に意図的痕跡を残している。見た目は情緒たっぷりの二人だが、痕跡赤裸々な意図の人でもある。




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 先ほどの林亨作品を遠くから写したもの。部屋の拡がりと明るさを確認して下さい。




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 左に見える絵画群も林亨作品。




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 この部屋から見える外の風景。



 個別作品を②で載せます。 ②に続く

by sakaidoori | 2013-12-04 09:18 | 【北広島・由仁】
2013年 12月 03日

2320) 「宝賀寿子 版画展 ~林檎園ものがたり~」 山の手 終了・10月29日(火)~11月30日(土)

    



宝賀寿子版画展 

  ~林檎園ものがたり
 



  余市サンケン農園と版画のコラボレーション  

        



 会場:ギャラリー山の手
      西区山の手7条6丁目4-25
       サンケンビル1階
       (発寒川に面しています)
      電話(011)614-2918

 会期:2013年10月29日(火)~11月30日(土)
 休み:日曜・祝日(定休日)
 時間:10:00~17:00
     (最終日は、~15:00まで。) 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(11.28)


(以下、敬称は省略させていただきます。)


 30年頃前に制作した絵巻物風版画の大公開。縦18㎝横50㎝、前編9m後編6mです。
 絵巻としての全面公開は初めてなのか、30年ぶりなのかは分かりませんが、いずれにせよ何かの縁があってのお披露目です。

 まずは会場風景で全貌を確認して下さい。



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 絵巻物前編9mの様子です。






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 絵巻物後半6mの様子が分かると思います。




 会場中央のりんご関係の商品は当館が関わっている商品です。

 30年前に制作した作品の展示です。そのきっかけにはいりいろあったことでしょう。それはそれとして、純粋に15mの大長編りんご物語版画を楽しんだ。


   1950年 稚内生まれ
   1972年   札幌市西区に在住
   1973年 北海道大学農学部農芸化学科卒
   1974年   木版画を学ぶ
   1976~2001年  全道展。(退会時は会員。)


 この絵巻は1980年頃から始まり、1982,3年頃終えたようだ。上のプロフィールで確認しておこう。作家30歳過ぎで、版画歴10年足らずの時期だ。
 当時は西野にも林檎園があったとのことです。その頃の西野の風景、札幌の風景はどんな感じだろう?街中は1972年の札幌冬季オリンピックで様変わりしたと言われています。西野も宅地化が進み、暫時農地は無くなっていったことでしょう。

 今展、あまりゴチャゴチャ言っても始まりません。とにかく作品を載せます。大半が当時の刷りです。内容はりんご農家に育った幼なじみが成長し結ばれていく様子を、りんごの年間成長サイクルと重ねて物語にしたものです。画題の内容もさることながら、膨大な量に打ち込む若き情熱も見て下さい。   



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 キューピットのようなウサちゃんを捕まえて、二人の枕元に。
 若いカップルは閨で楽しい明日を夢見るのでしょう。りんごりんご、甘くって酸っぱくて、ガリッとかじれば夢の中。巡り会いと結ばれ、物語の最後は平穏無事な日々の一コマです。人それぞれに波瀾万丈の物語もあるでしょう。でも、できればハッピーエンドで終わりたい。

 さ~、物語の後半を見て下さい。




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 前半の七色夢変化のような世界は、いかにも木版画らしいモノトーンの世界へ変身。やはり自然の懐というものはどこか不気味で、その不気味さの中に満々と生命力が潜んでいる。
 物語は年輪にて一端終了。その一輪一輪は作家の溢れるエネルギーの証だ。

 木々のうねる描写に作家の高揚する生命力と情熱を感じた。発散する粘着力、終わりなき始まりのような絵巻物だった。







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   ↑:「クリスマスローズ」・2013年。




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   ↑:「トンネル通過」・1983年。




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 今年の干支版画です。毎年干支にちなんだ版画を制作していて、廉価で販売しています。トンチというか駄洒落というか、宝賀ユーモアによる画題たちです。




 只今制作中の版木と試し刷りを載せます。



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 最後になりました。りんご絵巻からお気に入りの部分を再掲します。




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   ~~~~~~~~~~




 当日は雪模様。 
 山の手ギャラリーの目の前は発寒川です。その護岸風景です。



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by sakaidoori | 2013-12-03 19:24 | 山の手
2013年 12月 03日

2319)「『霜月展』 竹中春菜 橋本つぐみ (藤女子大写真部)」 アイボリー 終了・11月26日(火)~12月1日(日)

      


霜月展  竹中春菜 橋本つぐみ 


藤女子写真部所属 モノクロ手焼き写真展示  
   

   
    
    
 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー)
      中央区南2条西2丁目 
      NC・HOKUSENブロックビル4階
      (北西角地、北&西に入り口あり)
     電話(011)251-5130 

 会期:2013年11月26日(火)~12月1日(日)   
 休み:
 時間:11:00~19:00 
     (初日は、15:00~。最終日は、~17:00まで。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12.1)


 藤女子大学写真部3年生の2人展。


 (以下、敬称は省略させていただきます。)



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 何という作品量!!しかもしっかりした大きさだ。
 ビックリした。嬉しくって仕方がなかった。

 今展は2人展。それぞれを見せるシーンもあれば、二人のまぜこぜ展示もあり。そして作風や白黒加減に極端な違いがないから、両者を一瞬で識別することは難しい。融合展という意図的試みでもなさそうだ。課題として指摘しておこう。
 写真技術や表現力のレベルが近い結果か。感覚を微妙に異にしながらも同じ路線を歩んでいるということか。

 ただ、被写体との関係で会場全体が入れ子状態になっている。それも、意図したものではないのだが、悩ましくもあり関心を惹く。というのは、竹中春菜は橋本つぐみのモデルでもある。橋本つぐみ作品の女性は同じモデルだから統一感がある。その統一感と当日会場でお喋りした竹中春菜の実像が虚像と重なり、何とも言えない統一感、不思議感が会場で生まれていた。


 
 
 始めは入口付近の自己紹介的コーナーです。藤女子大学写真部での発表作品を連続的に並べて自己紹介している。全体のイントロです。


 



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 上段の青テープが竹中春菜
 下段の桃テープが橋本つぐみ。  



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   ↑:竹中春菜



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   ↑:竹中春菜



 竹中春菜、トイ・カメラで楽しんでいたが昨年入部してからの本格的写真活動だ。
 写真作品の女性、おかっぱヘアーに黒衣装、ロングスカートに重めの靴、顔無しワールドで微妙なムードを発散させている。モデルを撮っているのだがほとんど自画像気分だ。というのも、本人の会場スタイルを見ればすぐわかる。おかっぱスタイルで全く同じムードだ。

 そういう彼女を橋本つぐみはモデルにしている。その気持ちはよくわかる。個性的なムードを持っている。真っ直ぐ立っていてもちょっとゆがんでいる感じ。どこか遅れ気味の時間を発していて、メロディーは短調傾向。暗い人ではないが、井戸から這い上がるような暗めに撮りたくなる。橋本つぐみの問題意識、「女」、「女の子」、「女という性」、を煮詰めさせる存在だ。





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   ↑:橋本つぐみ



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   ↑:橋本つぐみ



 女が撮る「女の思春期」だ。閉じこもりたい、顔を見せたくない、永久に一所に・・でも、生きているというムードだけはしっかり発したい・・・そんなグチグチした悶々の世界だ。
 若き男にも思春期はあり性の悩みはある。その悩みの対象は女だ。ところが橋本つぐみの悩みには「男という性」の影は薄い。間違いなく性的悩みを抱いてはいるだろうが、写真テーマからは除外される。「男」は追求する世界ではないのだろう。




 イントロが長くなった。これからが本番だ。
 次の塊は後にして、個展コーナーを載せます。



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   ↑:竹中春菜



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   ↑:竹中春菜、「あの夏のこと」。





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   ↑:竹中春菜、「夜の散歩」。





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   ↑:竹中春菜、「迷い子」。




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   ↑:竹中春菜、「水際」。







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   ↑:橋本つぐみ




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   ↑:橋本つぐみ。左から、「Fashion magazine」、(次の3点)「time」、「I do it」。



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   ↑:橋本つぐみ、「忘却してゆくこと」。




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   ↑:橋本つぐみ、「乱雑なあえか」。




 ロマンス・ストーリーだ。基本に「ロンリー」というのがあって、空気や周囲を取り込んでの心象世界だ。こういう物語性の好き嫌いは別にして、少し一本調子な感じだ。彼女への期待度が大きい分、物足りなさも感じる。焼き具合というのか、色の深み浅み、クリアーさやボケ具合とか、いろいろな綾を駆使しての心象世界を見たい。・・・好みとしては、もっと自己耽溺に陥ればと思う。耽溺する強さがあればと思う。この中に恐いほどの美しい写真があれば、あるいは淡くともレスビアンを強く感じるものがあればもっと感情移入できたと思う。やはり表情が欲しい。顔に迫る訓練も大事ではなかろうか。
 少女から大人への踊り場、そういう過渡期をもっと楽しませて欲しい。
 そうこうしている間に「大人の性」が入ってくるかもしれない。期待しよう。






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 これは完全な融合展だ。識別しようとすれば大変だが、それなりに全体として楽しめる。モデルのいる作品が橋本つぐみ、作品に余計なミミや枠を感じるのが竹下春菜だ。「橋本物語」に、付かず離れずに「竹中風景」が寄り添っている。




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   ↑:竹中春菜、「ロンリネス」。



 竹中春菜はトイ・カメラを楽しんだという。それだからか、頑張って撮る時は背景の模様というか、風景の凸凹とか、明暗とか、構造とかへの感知度が高い。そういう背景の中で被写体としての人物などが入るのだが、どうしても「入る」という感じで存在が軽い。上の作品は上手くいった。背景と人物が互角に戦い溶け合っている。

 被写体にもっと迫りつつ、そこに竹中背景が包み込むなりアンバランスな調和世界を作る、そして個性的な世界を築いていく、そんなことを思った。いずれにせよ楽しい闘いは始まったばかりだ。その遊び心と一点を見つめる真剣さに期待しよう。






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   ↑:橋本つぐみ、「neon」。


 今展で一番好きな作品でした。




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   ↑:橋本つぐみ、「無題」。



 今展で一番気になった作品でした。




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   ↑:竹中春菜、「春待ち-大通にて」。



 
 残したコーナーを載せます。



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 上下左右と、4つのテーマで構成されている。それぞれのテーマにそれぞれが展示していて、どれが誰だかは分かりにくい。目録があるのでそれで確認する。それもまた楽しだ。



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   ↑:竹中春菜




 もっと写真を載せて二人をあぶり出したいが、既に随分と載せてしまった。

 最後は、二人の笑顔で別れましょう。




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  ~~~~~~~~~

 追記:

 僕は学生写真展にたいして、「大きく、沢山!」と言い続けている。まったくそういう写真展だった。僕の空念仏が彼女たちに届いたのだろうか?

 もちろん、「大きく沢山」出品すれば、技術不足、表現不足、展示方法の問題点など、数え上げたらキリがないほど未熟な面が露呈する。この2人展も、内容において他人をググッと引き込ませる魅力があるかと言えば疑問が山積みだ。それで良いのだ。たかだか二十歳前後で、一般人をうならせる写真展などムリなのだ。今のあらん限りの能力を吐き出せばいい。
 これだけしても展示を終えれば発表者自身が不満を抱くだろう。しかし、やりとげた満足感は残る。そもそも、いくら頑張っても「何の為の写真?」という自己問答の世界が解決されるわけではない。やらざるを得ない自分を発見するだけだ。

 今後、この二人が大きく大成するかはわからない。先のことは誰も分からない。問うべき問題ではない。今をしっかりやった人間は素晴らしいと思う。それは年齢の問題ではない。そして若人は密度の濃い時間の中にある。その濃さを発表という形に変えて欲しい。期待するところ大である。


 お二人へ。次回というか機会があれば小なりとも個展でしょう。やはり孤独を経験しないといけない。また会いましょう。
 

by sakaidoori | 2013-12-03 01:04 | 北専・アイボリー
2013年 12月 02日

2318)「本田征爾展 -ユメノマチモドキ-」 ト・オン・カフェ 終了・11月12日(火)~11月24日(日)

   




本田征爾展 
ユメノマチモドキ
 

 透明水彩、アクリル、オブジェ    
         

 

 会場:TO OV cafe(ト・オン・カフエ)
      中央区南9西3-1-1
       マジソンハイツ1F
      (地下鉄中島公園駅下車。
      北東に徒歩2分。北東角地。)
     電話(011)299ー6380

 会期:2013年11月12日(火)~11月24日(日)
 休み:会期中無休 
 時間:月曜~土曜   10:30~22:00
     日曜日&最終日 10:30~20:00
 電話:(011)299-6380


※ ギャラリー・ライブ ⇒ 11/23(土) 20:00~ F.H.C      

ーーーーーーーーーーーーーーー(11.24)


 (昨日、一昨日とエキサイトブログ自体に不具合が発生、写真掲載ができないのです。直ぐに諦めてお休み。

 今年も残り一月です。
 当ブログは地元の展覧会感想記です。基本は写真掲載可能な美術展です。インターネットですから形は世界に発信ですが、あくまでも見れる範囲の狭い世界です。そしてブログ発信者の主観中心のものです。偏った見方ですが情報なり意見交換の役に立てれば嬉しいです。)



 さて、終了しましたが本田征爾展を報告します。



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 絵画と立体オブジェ、ともに小さい世界です。

 当ブログにもたびたび登場する本田征爾ワールド・・・
 そこは海、深い海、人のいけない青い世界、可愛い生き物、魚かな、その様子をポカンポカンと愛着を込めて蘇らせています。確かにそれは作家の夢でしょうが、影に隠れた人への息吹も感じて、懐かしくもあり微笑ましく、他愛のない世界かもしれません。ちょっと早いクリスマスプレゼント、新年の挨拶を聞く思いです。

 今展のタイトルは「ユメノマチモドキ」、「街」です。その住人たち、ぶら下がり君から紹介します。気分は一気に海の中、空の中です。



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 続いて、陸だか海底だかで暮らしている者たちだす。




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   ↑:左側、「hybrid marine」。
   ↑:右側、「red-eyed tadpole」。





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   ↑:「tower house phantom」。





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   ↑:左側、「塔人」。
   ↑:右側、「Totem」。




 やっぱり街の様子を絵でお伝えしなくては片手落ちでしょう。ツブツブ、アオアオの家並みです。




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   ↑:「街降ル」。


 「街ガアル」のではなくて、「街ガフル」です。今展の主役でしょう。七色変化でなくて、青と白の世界。雪のよう。街のたたずまいのよう。「フルフル・・・フルフル・・・」、「銀の滴フルフルまわりに・・・」と歌ったのはフクロウの神だったか・・・、「マチマチ・・フルフル・・青い世界に」です。






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   ↑:「今昔未来街」。






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   ↑:「their floating」。



 「ツブツブでうまく海の奥域や重なりができたかしら?ウキウキ、ふわふわ感ができたかしら?」
 さてさて、上手くいったかいかないか、光の届かない海の底、ただただ生き物君達はあどけない顔でこちらにウインクだ。






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   ↑:「蛇の腕 蛇の指」。



 目をぱっちり開けて生きているのか死んでいるのか、そもそも本田君ちの海は此の世のものなのかあの世のものなのか?男と女をつなぐ蛇が仲立ちをするのだろう。






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   ↑:「マ白イ樹ノ下デ」。



 可愛いばっかりでは面白くない、憎まれ猫風情で登場だ。小馬鹿な顔も可愛いものだ。






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   ↑:「夜のカーニヴァル」。


 今展の本田ワールドは渋い。今作も渋い。華やかに迫るのはオブジェの立体に任せて、絵画は沈み込みで見せていた。




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by sakaidoori | 2013-12-02 14:54 | (カフェ)ト・オン