栄通記

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2012年 12月 18日

1920)「佐藤隆之展 「全てを抱きしめる天使の翼」 北海道文化財団 11月29日(月)~1月25日(水)

  
企画展vol.11 

佐藤隆之展 

       「全てを抱きしめる天使の翼
     


 会場:北海道文化財団アートスペース
      中央区大通西5丁目11 大五ビル3F
       財団法人北海道文化財団内
      (南向一方通行道路の西側のビル)
     電話(011)272-0501

 会期:2012年11月29日(月)~1月25日(水)
 休み:土・日・祝日、12・29~1・3 
 時間:9:00~17:00 

ーーーーーーーーーーーーー(12.14)

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 紙細工師よろしく、虫たちをいくつもいくつも作っては並べて見せて、「あ~、虫だ虫だ~、いっぱいあるな~」と驚かせていた「佐藤隆之」、その人の個展だ。

 今回は紙ではなく、針金?による動物細工だ。羽根による翼もある。作家のことを紙使い師で、小さめが得意とも思っていた。針金で骨格を巧みに組み立てて、のんびりと大きく見せているのには驚いてしまった。

 氏の作品の特徴は親しみやすさだ。優しく手にとって、遊びたくなる。スキン・シップしたくなる。
 今展、会場が事務所の一角だ。氏のカバーしたい子供たちが出入りするところではない。物好きな大人のおもちゃが集まったような空間だ。それに、ここで見ず知らずの鑑賞者に会える可能性も低い。だって、事務所に美や芸術やアートなどを人は求めはしない。しかし、今展の作家はそんなことにはお構いなく、力一杯の大きな生き物たちを登場させている。やはり、作家は心優しき良い人みたいだ。

 「佐藤隆之」、必ずもっともっと知名度が上がるだろう。だから、彼の作品が人目に止まる機会も増えるだろう。子供が喜ぶ世界だから、公共美術館からも人寄せ作家として重宝がられるだろう。そういう普通の人気は間違いなく頂戴するだろう。楽しく親しめる世界をグイグイ突き進んで、今より10倍も100倍も笑みが止まらないような作品を作ってもらえれば。それはどんな作品かはわからないが・・・。



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          ↑:「すべてを抱きしめる 天使の翼」・2012.7.28。


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 このペンギンはスチール・ケースの上にあるので、そんなに大きなものではない。



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by sakaidoori | 2012-12-18 23:50 | アルテポルト・ART SPACE | Trackback | Comments(2)
2012年 12月 17日

1919)「武山友子個展 『甘い憂鬱』」 創 12月12日(水)~12月17日(日)

 
武山友子 個展 

        甘い憂鬱
     


 会場:ギャラリー創(ソウ)
       中央区南9条西6丁目1-36
        U-STAGE・1F
       (地下鉄中島公園駅から西に徒歩5分。
       南9条通り沿いの南側。)
     ※駐車場は2台分完備
    電話(011)562ー7762

 会期:2012年12月12日(水)~12月17日(日)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:11:00~18:00
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーー(12.15)

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          ↑:①


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          ↑:②



 ②の写真に展示されている写真作品を載せます。



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 風景を撮るでもなく、身近な世界を撮るでもなく、とりとめもなくあれこれの一コマ一コマが続いていく。濃い色合いが大人のムードを思うが、はて、撮影者の目は何に焦点を合わせているのだろう?一日の仕事を終え、のんびりと何かをすすりながら雑誌をめくっていく、そんな感じで写真は流れていく。


 反対側の作品群に目を向ける。


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 こちらの作品群は落ち着いて見ることができる。室内に絡んだ作品ばかりで、何となく「マイ・ルーム」という匂いがする。それに、女の小道具が見えもするし、少し秘密めいた香りもある。


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 こういう作品を見ると、「あー、やっぱり自分を撮っているんだなー」と、思いたくなる。
 もし、自分自身の領域をレッド・ゾーンとするならば、この写真群はピンク・ゾーンと言えるかもしれない。自分自身にまとわりつく心地よい世界、だ。
 すると、②の作品群は?
 もし、外の世界をブラック・ゾーンと呼ぶならば、②の作品達はピンクを散りばめながら灰色・ゾーンをたむろしている感じだ。自分自身は間違いなくあるのだが、さて、自分をどういう位置に置こうか?観察半分、楽しみ半分で外の世界を眺めている。時にはぐっと入り込む姿勢もあるのだが、ここで食い入っては大人の時間がだいなしだ。だから、じっと見ていよう、そんな余裕とも躊躇とも言える中途半端なリラックス・ゾーンだ。
 しかし、色も強く、見る視点は明快だ。被写体に距離を置いて、つかず離れずで「今」を確認しているのかもしれない。



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by sakaidoori | 2012-12-17 23:01 | 創(そう) | Trackback | Comments(1)
2012年 12月 16日

1918)「PATER個展 『ねこみたいな人生』」 g.犬養 12月1日(土)~12月16日(日)

       
  
PATER個展 

      「ねこみたいな人生
          


 会場:ギャラリー犬養 2階 
      豊平区豊平3条1丁目1-12 
     電話(090)7516ー2208 

 会期:2012年12月1日(土)~12月16日(日)
 休み:火曜日(定休日) 
 時間:13:00~23:00  

ーーーーーーーーーーーーーーー(12.13)


 「ねこみたいな人生」、好きなネコになりきりたいのか、人間になりきれない自分を見つめているのか?余裕しゃくしゃくのプラスの言葉なのか、自己否定とまでは言わないがマイナスイメージのつぶやきなのか?



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 お面を見つめているのは、「見つめるねこ」だ。お面は、「顔か仮面か」と題している。
 背景にもいろいろ作品はあるが、ただただこの対峙するぬいぐるみとお面を見せたかったのだろう。ヌイグルミやお面をとおしての自問自答だ。
 ヌイグルミには明快な顔の表情はない。だから、沢山のお面の中から、何かの顔をを選んでいる場ともいえる。その日の着替えのように、あれこれの「顔という人格」を選んでいる。

 全ての作品はオモチャのような出来栄えで、「わ~、これぞ芸術だ!!」と、その匠を賞賛するものではない。「僕、作っちゃった。こんなつまらないものでも見てくれる?一緒に遊ぼうよ。」という親しみ第一の風貌だ。
 僕はこの作品を、「自問自答」と見ている。誰が何と言おうと「自問自答」以外にはありえない。そして、この手法は、ある意味で陳腐なまでに普通だ。「普通」、そう、あまりに普通で、普通にあれこれと自分を世界をポツネンと見つめている。ことさら何かの願望を、哀愁を、悲哀を、夢を語っているのではない。ただただ見つめているだけ。



 以下、ほかの作品を適当に載せます。ピエロ達の舞台裏のようでもあり、懐かしくもあり、小さな愛と幸せを感じるかもしれない。アート以前の「優しさ」と、アートに期待する「見つめ合う世界」を感じてしまった。



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 静かなカラフルさだ。何より自然なのが良い。本当に普通に素敵だ。


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by sakaidoori | 2012-12-16 12:34 | (ギャラリー&コーヒー)犬養 | Trackback | Comments(2)
2012年 12月 16日

1917)②「札幌大谷高校美術科 第24回卒業制作展 他」 時計台 終了12月10日(月)~12月15日(土)

  
札幌大谷高校美術科 第24回卒業制作展

         ✖

札幌大谷中学美術コース・高校美術科 第3回infinity展
  
        

 会場:時計台ギャラリー2階3階(全館) 
      中央区北1西3 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2012年12月10日(月)~12月15日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12.14)

 (1916番①、A室の個別作品の続き。)


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          ↑:高3・久村芽生、「象<家族>」・水彩 B1。


 家族の一体感を表現しているのだが、象という具体的形だけに頼らないで、色で主張している。ひとつの色合いだけで、絡みつくような世界を表現しているのに感心した。どこか肉感的にむっくらとしていて、しかもピンク系でだ。



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          ↑:高3・磯崎瑞恵、「夜半」・アクリル F50。


 身の回りの世界を見つめているのでしょう。学生自身は、「周りの環境の情報量に圧倒させされた」と言い、そんな気分の表現と語っている。でも、絵の世界はブルーによる統一感ある世界だ。この統一感が気に入った。
 絵画は一点に収縮するような遠近法で描かれ、その集約点を画家自身は微動だにせず見つめている。「世界は世界、私は私」という安定した力強さを感じた。 



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     ↑:左側、高3・磯あかね、「喫茶Rapportのポスター」・デザイン B1。
     ↑:右側、高3・菊池眞子、「FASHIONABLE MAP」・デザイン B1。


 左側の喫茶店のポスターは、文字はしっかりしていて、ポスターの使命は果たしている。惜しいのは、ちょっと古めかしいファッション・デザインを多用しているのだが、もっと大胆に絵で遊んで楽しめばと思った。
 対する、右側のファション・マップ。マップの実用性は軽いが、四角い形を楽しく描いているのがよく伝わる。
 デザインの遊び心と実用性を見る好一対だった。



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          ↑:高3・柳瀬可奈子、「samey-R」・油彩 F50。


 ちょっと不思議な絵。人物は大事な人なのか、そうでないのか?心臓は正しくリズムを打っているのか、壊れそうなのか?人物だけなら静かで安定した世界といえるかもしれないが、そこに血の流れのような、細胞の息吹のような網目模様が這い回ると、学生はどこに行こうとしているのか?と、ふと考えてしまった。そういうこれから動こう、決意しようという直前の身構えか?



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          ↑:高3・重光美希、「誰そ彼」・油彩 F50。


 黄昏時に、「不自由な私、全員集合、そして直進行進」だ。確かにブルーな私は自己嫌悪や不安不満が一杯なのだが、絵の中の学生自身は悩みがあっても胸を張って歩むんだ、という決意行進みたいだ。暗さを含めて高校生らしい。




 漫画的なハチャメチャな作品が一番好きなのだが、残念だがそういう作品は少ない。かわりに、正攻法表現の中で、一所懸命に若者心を伝える作品が目立つ。しかも女子学生が大半だから、一途さ優しさはひとしおだ。直向きに生真面目に美術制作に励んでいるからだろう。そのことは年齢に関係なく絵書きの基本ではあるが。しかし、この時期の作風は日毎に一変していくものであるから、意外なことに、このまま真っ直ぐに絵が成長することはない。まさに、人生で今だけの表現かもしれない。そして、「今、良い絵、悪い絵とか、上手い絵、下手な絵」とかは、僕たちは言葉にはするが全く意味も重みもない。願いは、長く長く美術を発信する人になって欲しい、そのことを君たちに伝えたい、それだけだ。



 もっともっと今展を紹介したい。いつになるか分からないですが、③に続く

by sakaidoori | 2012-12-16 10:14 |    (時計台) | Trackback | Comments(3)
2012年 12月 15日

1916)①「札幌大谷高校美術科 第24回卒業制作展 他」 時計台 12月10日(月)~12月15日(土)

  
札幌大谷高校美術科 第24回卒業制作展

         ✖

札幌大谷中学美術コース・高校美術科 第3回infinity展
  
        

 会場:時計台ギャラリー2階3階(全館) 
      中央区北1西3 
       札幌時計台文化会館
      (中通り南向き)
     電話(011)241-1831

 会期:2012年12月10日(月)~12月15日(土)
 時間: 10:00~18:00 
      (最終日は~17:00まで。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12.14)

 大谷高校の卒業制作展は、昨年まで大丸藤井セントラルで開催されていた。そして、大谷中学と大谷高校の制作発表展は卒業展とは別の会場で開いていた。今年は全部まとめて当館で一挙大公開だ。


 さて、セントラルで見慣れた大谷高校卒業展だ。久しぶりに高校生の絵画や立体作品を見た。それも大量にだ。気分がすっきりした。何はともあれ、2階A室の卒業生の作品から報告します。立体、絵画、デザインと全部載せます。今年の大谷の傾向はつかめるでしょう。


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 昨年までの会場と違って狭いので、作品がバリバリと目に迫ってきた。それと、本格絵画が多くて、それは凄く楽しめたし、上手いと思ったのだが、一方で上手さを度外視した腕白な作品がなかったのは残念でもあった。

 とても目立つ立体作品で、とりあえずこの記事は締めます。絵画他は②に続きます。


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     ↑:高3・泉ゆい、「ほんの少しのひらめきと」・120×100×70cm。


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 この大きさ、実に良い。この力強さ、これまた実に良い。そして、大きな手にリアルな裸電球をしっかりとつまんでいる。この電球は「ひらめいて」いる。しっかりとコンセントに繋がれているではないか。このアイデアも素晴らし。タイトルも機知に富んでいて、「前向き、ひたむき、上昇志向の高校生、ここにあり在り」だ。



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     ↑:高3・飯嶋望璃、「磨硝子を割って向こう側が見えるか」・65×65×65cm。


 手作品の電球は明かりは頭の中の願望だが、こちらは本当に灯っている。そして、「向こう側が見えるか?」と自問自答している。「灯る小さな幸せ」という弱な発想でないのがいい。



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     ↑:高3・北口霞、「溶け出した記憶」・250×120×130cm。


 綺麗な色と、なんとなく不気味な物体という組み合わせが目を惹く。タイトルから判断すると、「記憶は綺麗なもの、それが溶け出すと不気味なもの。すると記憶とは本当に綺麗で気持ちの良いものだろうか?」そんな含意を思った。「記憶」、高校生にとっては「今」という時間が、同時に「記憶」そのものであり、ギラギラと輝きもし、それに負けそうな自分自身かもしれない。記憶をしっかり造形化しているのに感心した。



 展覧会は15日の土曜日までです。以下、 ②に続く

by sakaidoori | 2012-12-15 00:56 |    (時計台) | Trackback | Comments(1)
2012年 12月 14日

1915)「石と木のかたち 同時開催『In My Room』(吉成翔子の場合)」本郷新 11月17日(土)~12月16日(日)





コレクション展 石と木のかたち 

(吉成翔子の場合)
 



 会場:本郷新記念札幌彫刻美術館・本館
      中央区宮の森1条12丁目
     電話(011)642-5709

 会期:2012年11月17日(土)~4月14日(日)
 休み:平日の月曜日
 時間:10:00~17:00
 料金:一般 300円 65歳以上 250円 高大生 200円 中学生以下 無料

 主催:当館 


◎ 同時開催

     In My Room   

  同期間中同会場の一角で、吉成翔子(12月6日・日まで)から始まり板本伸雄まで、5人が入れ替わって展示。

 【参加作家】
 吉成翔子・11月17日(土)~12月16日(日) 向川未桜・12月18日(日) 引山絵理 池田悠太 板本伸雄 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12.12)

 (注意⇒吉成翔子展は今週の日曜日までです。) 


 本郷新の顔一杯の通路や空間の中で、一室を使っての「吉成翔子」。


 当館の奥まった部屋での、のんびりとした展示だ。


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 いかにも若い女性の世界だ。ロマンでラブリーでメルヘンで・・・。

 右側の写真は会場全体の全貌で、もしかしたらこれだけで充分なのかもしれない。
 どういうわけだか、目にも優しくふんわか気分になってしまった。きっと曲線ラインと、影と重なったボリューム感が気に入ったのだろう。それを思い出しながら、角度を変えていろいろと紹介していきます。



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 古風な言い方をすれば、オモチャのような可愛い形の作品がなくっても、十分におとぎの国にいるみたいだ。だから、そういう作品を限りなく減らしたほうが、「子供みたい」という言葉から離れて「夢の世界」で遊べれる。それでは吉成翔子にならないのだろう。彼女は具体的なもうひとつの世界の住人だ。誰かさん達に囲まれてお話やかけっこや、とりとめのない遊びをしているから、どうしてもその具体的世界を再現させたいのだろう。

 夢の世界だから、空間も夢のようにしたい、ということで曲線がまわりを回っている。決して空間だけが一人歩きをしているわけではない。僕としてはこのたよたよとした曲線が、壁なり部屋全体を包み囲み、そこに僅かに1、2点の吉成玩具たちがひっそりと佇んでいるのも良い。僕のような初老のおじさんがうさぎの国に淡く浸かって、初恋の人を思い出したり、連れ合いの可愛い仕草に耽ったり、今朝すれ違った小学生のランドセル、きっと教科書ががまだまだ綺麗に入っているのだろう、そんなつまらないことで一時をすごす。気がつけばパイプの曲線が頭元をうねっていて、自分の今日の顔はねじれているのかと錯覚もする。きっと世界はねじれていたんだ。真っ直ぐな世界なんてないんだ、とふと安心もする。でも、やっぱり今という現実もいいものではと、吉成翔子の変な部屋から退出する。

 今展はそこまでにはならない。あくまでも作家・吉成翔子の夢の世界だ。こちらの気分に火を灯すというより、翔子の灯りに、その若いエネルギーにうっとりさせられる。



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by sakaidoori | 2012-12-14 11:19 | ☆本郷新彫刻美術館 | Trackback | Comments(1)
2012年 12月 12日

1914)①「上條陽子 ~解体と再生、そして試行~」 (深川)東洲館 終了10月16日(火)~10月30日(火)

   

上條陽子 

   解体と再生、そして試行
  
    
  
◎ 会場:アートホール東洲館 
      深川市1条9番19号 経済センター2階
       (JR深川駅を降りて直ぐの左側のビル)
      電話(0164)26-0026

 会期:2012年10月16日(火)~10月30日(火)
 休み:10月9日(火) 
 時間:10:00~18:00
      (最終日は、~16:00まで)


◎ 会場:網走市立美術館

 会期:2012年11月23日(金)~12月16日(日)

ーーーーーーーーーーーーー(10.20)

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     ↑:(会場受け付けルーム兼ホール。)


 上の写真の右側に見える入り口が第一室。
 以下、その部屋の展示風景。


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     ↑:(第一室)。 


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     ↑:(第一室)。


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     ↑:(第一室)。


 次は写真の奥に見える第二室。


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     ↑:(第二室入り口。)


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     ↑:(第二室。奥に見える空間が出入り口。)



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     ↑:(第二室。奥が出入り口。)


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     ↑:(第二室。入り口側から会場奥を見る。)


 非常に刺激的な個展だった。

 タイトルは、「解体と再生、そして試行」というもので、解体にしろ再生にしろ試行にしろ、何か美術造形的な命題でも追究しているのか?あるいは、思想的な問題探求の一過程か?そういうイメージで深川まで見に行った。何が「解体」であり、「再生」であり、「試行」かという主語や目的語をはっきりさせることだ。

 展示は二部屋だ。
 第一室はそれぞれ別々に発表したような個別作品を一堂に会して、「過去」、「現在」、「その次への展望」ということを構築的に表現しているのでは。

 第二室も壁面作品の連続だが、よりリズミカルで、「流れ」るよな精神のありようだ。

 こちらの整理不十分なところがあるので、とにかく第一室だけでも紹介します。思想的にはこの部屋だけでも充分でしょう。

 一番印象的だったことを、忘れないうちに先に記しておきます。

 間違いなく、「上條陽子」は過剰な精神の持ち主だった。男が過剰性を表現すればどうしても重たく汚く混乱めいたものになりがちだ。彼女の場合は「美しさ」を保とうというバランス感があるようだ。それは女性性と言えるかもしれない。
 自己の過剰性をどうするか?今展を見る限りでは、「パレスチナ」との出会いが一つの方向性を暗示させたようだ。今展のタイトルに即して言えば、自己の過剰性が「解体」で、パレスチナとの出会いが「再生」で、これからはパレスチナの子供と関わりながら、自由な心で前に進むのだ、それが「試行」と言えるかもしれない。
 作品全般に「血の気」を感じたので、「汚濁した自身の血」が解体で、「邂逅による清められた血」が再生で、「血の自由なリズミカルな生きざま」が試行、と言い換えてみたい。

 もちろん、彼女は造形作家であるから、作品そのもので美術造形として「解体」、「再生」、「試行」を実践している。基礎にあるのは肉声としての線描が全ての基礎で、今では切り紙細工の中に埋没している。切り紙は面としての構築され、立体として発展している。表現の有り様は綺麗な順番を織ってはいるが、僕には過剰な精神の整理された姿に見えた。あるいは女性の持つ具体的な姿への溺愛が昇華されたとも言える。


 あー、ささやかな駄弁のつもりがいつものように超駄弁になってしまった。作品を見ましょう。そして、僕の言う「過剰な精神」と、「その美しきバランス」が当を得ているかどうか、判断して下さい。


 以下、全て第一室から。


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          ↑:(上の作品の部分図。)



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 パレスチナの指導者の顔が見える。イスラエルと闘うパレスチナは、当然正当性はある。が、彼等自身の腐敗等の問題も山積みのはずだ。パレスチナと交流するようになった作家は、パレスチナの現実を直視しているのだろう。
 ×印は何を意味するのか?政治に対する意義申し立てか?何かへのモンクか?生きていることの証か?



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 長くなりました。 ②に続く。  

by sakaidoori | 2012-12-12 23:21 | [深川] | Trackback | Comments(2)
2012年 12月 12日

1913)「炭鉱の記憶 2012  ~旧住友赤平立坑内見学~」 赤平 終了10月6日(土)~21日(日)

   

炭鉱の記憶 2012 


    旧住友赤平立坑内見学
   


   
 会場:旧住友赤平炭鉱内

 日時:2012年10月6日(土)、7日(日) ①10時~ ②13時~
                8日(月・祝)、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日) ⇒ 13時~
              ※土日祝のみの7日間
         
 料金:無料

 問い合わせ⇒ワンエイトクリエーション内
           「炭鉱の記憶」実行委員会事務局
             電話(011)207-5518

 主催:「炭鉱の記憶」実行委員会  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(10.27)


 立坑内を初めて見た。素晴らしい保存状態だ。だだっ広い空間に鉄の骨組みと道具があるだけだ。同行者はガイドを含めてたったの4人、実に静かで臨場感が立ち籠めていてすこぶる気持ちが良い。ガイドの説明に耳を傾けていくと、その頃の喧噪さをどうしても想像せざるをえない。幾数十台のトロッコの音、4台のゲージ(エレベーター)を急降下させる巻き上げ機の音、きっとドンドンガラガラと、人の声など相手にしない構内であったろう。

 随分と写真を撮ったが、大半がピンボケだった。しかも会場雰囲気を伝えれる写真は更にない。説明も聞いたが、ほとんど忘れてしまった。
 来年もこのイベントはあるだろう。是非行こう。その時はしっかりと写真報告をしたい。少しは説明も加えたい。






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 白い建物の上に見えるの立坑ヤグラだ。丸い巻き上げ機が2機ある。一機が2個のゲージを同時に上げ下げするから、4個の昇降機がある。


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 赤平駅方向。ピンクの建物も炭鉱関連建築物。廃坑になってから、なぜだかピンクに塗られた。ガイドの方は随分と怒っていた。


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     ↑:(14:30)


 同じく国道38号線の芦別方面。炭鉱は国道に面していることになり、赤平駅までは、たったの1㎞。利便性に富んだ場所だ。
 この日は昼から雨だ。だからか、見学参加者はたったの3名。そしてガイドさん1名による1時間半無料炭鉱ツアーだった。


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 まずはこの部屋で赤平炭鉱と立坑のガイダンス。
 炭鉱マン立ちもこの部屋に集まり、左に見える通路を通ってゲージのある施設に向かう。タバコなどの火気は当然厳禁で、それらのチェックを兼ねた通路とのこと。住友系の炭鉱は保安チェックが厳しかった。


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 亡霊のような人が見える。いよいよ進入だ。



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 入るなり、その広さに驚いた。向こうに見える黄色い鉄柵が4台の昇降機入り口。常に2台がペアになって動く。


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 足下は鉄板などで覆われているが、当時はトロッコ用のレールが各ゲージに伸びていたはずだ。
 定員72名、超高速での急降下だ。


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 閉山日時が記されている。



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 ゲージから構内側の世界だ。石炭満載のトロッコは一端ゲージから出てきて、ケージ近くで一旦停止する。止まったトロッコをガーンと叩くと、そのままトロッコは勝手に走り去っていく。自動で原炭ポケットまで行っては石炭を降ろし、そしてこのケージまで返ってくる。機械もそうだが、当時のドイツ式最先端技術とシステムだ。


 場内のトロッコも、多くはかつて其処にあったままだ。


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 ケージの反対側も広そうだ。



 そして見学は2階の巻き上げ機械室へ----。


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 説明不能なので、適当に写真だけを載せます。


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     ↑:巻き上げ機の操作室。



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     ↑:2階からの屋外の景色。



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 再び階下に戻り、無事見学会も終了。



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by sakaidoori | 2012-12-12 00:02 | [赤平・芦別] | Trackback | Comments(2)
2012年 12月 11日

1912)「炭鉱の記憶2012 酒井広司写真展 『そこに立つひと』」 赤平 終了10月6日(土)~21日(日)

  



炭鉱の記憶 2012 (赤平アートプロジェクト) 


  酒井広司写真展 

           「そこに立つひと
   


   
 会場:旧住友赤平炭鉱内 自走枠工場


 期間:2012年10月6日(土)、7日(日)、8日(月・祝)、13日(土)、14日(日)、20日(土)、21日(日)
              ※土日祝のみの7日間
         時間:10:00~16:00

 料金:無料

 問い合わせ⇒ワンエイトクリエーション内
           「炭鉱の記憶」実行委員会事務局
             電話(011)207-5518


 主催:「炭鉱の記憶」実行委員会  

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(10.27)


 JR赤平駅の裏側を・・・に向かって走ると、右側の道路淵に炭鉱遺跡「元住友赤平立坑」が見える。今回の炭鉱イベントではその施設内を見学した。当時にあっては東洋一、国内でこれほど完全な形で生き残った立坑跡はないとのことだ。その施設内を紹介したいが、それは後回し。同じ炭鉱施設内にだだっ広い旧自走枠工場、そこでの「酒井広司写真展」を先に載せます。


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 大きな建物だ。中にはびっしりと重機が綺麗に並んでいる。かつて炭鉱内で使われていたものばかりだ。写真作品は「炭鉱重機に負けない」を目指したものに違いない。実に大きくて立派だ。実際、負けてはいない。が、炭鉱遺産紹介者達にとっては、重機そのものを紹介できなくて歯ぎしりしたことだろう。だから、これほど大胆な写真展は2度とないかもしれない。
 写真家酒井広司は「風景」専門かと思いきや、今回は今赤平市で生活されている方達ばかりの作品だ。笑顔で大きく大きく紹介している。重機は見にくかったが、写真家の大きな志し、作品の人間パワーに圧倒されてしまった。


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 よくは分からないが、こいつで岩盤をガリガリとこじあけていったのだろう。



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          ↑:「米森康子さん」・(閉山路の住友赤平主婦会会長。旧炭鉱住宅地にて。)


 写真展は堂々とこの人から始まる。「そこに立つ」にふさわしい人だ。まさしく「そこに在る」。


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     ↑:左側、「岡田知治さん」・(閉山時の豊里炭鉱労働組合書記長。ズリ山を背にして。)
     ↑:「右側、「小路一夫さん」・(住友炭鉱労働組合青年部から赤平市議会議員を7期努める。)




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     ↑:左側、「菊島好孝さん」・(背後の消防署は祖父が開館した映画館「茂尻館」のあった場所。)
     ↑:右側、「佐藤勝美さん」・(茂尻出身、JR赤平駅長。)



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          ↑:「赤平市消防署のみなさん」・(かつて7ヵ所もの消防分団があった。現在の署は移転予定。)



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 会場内の重機他の紹介です。

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 これがまさしく自走枠機とでおいうのだろう。自分で穴を掘るのは機械だから当たり前なのだが、岩盤が崩れないように天井を備えている。後ろ側も鉄で壁になっている。つまり、機械自体が移動式の作業空間そのものだ。今風に言えばロボットだ。掘り終えて用事が済めば次に移動する。そうなると今までの空間は崩壊して埋まってしまう。しかし、実際にはどういう風に作業はなされていたのだろう?
 この機械、おそらく今でも動くはずだ。生きている姿を見てみたいものだ。



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 大きな機械ばかりだ。これらが全て地下構内を走っていた。解体して中に運ばれては組み立てて、故障するれば解体して上に運ばれては、ここで修理していたのだろう。



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 (全く、ピンボケ写真が多くてすいません。同じバカチョン・カメラでも室内なり暗がりに強いカメラにしないといけない。)



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 今でも工場内のクレーンは動く。だから、重機の移動も追加も可能だ。ここでは何でもできる。次は演劇を見たい。

by sakaidoori | 2012-12-11 11:32 | [赤平・芦別] | Trackback | Comments(0)
2012年 12月 11日

1911)「円山動物園アートアニュアル アニマルフォトストリート」地下鉄円山 11月19日(月)~3月31日(日)

  
札幌市円山動物園 アートアニュアル  

         アニマルフォトストリート
   



 会場:地下鉄東西線円山駅 地下コンコース

 会期:2012年11月19日(月)~3月31日(日)
 時間:地下鉄が利用できる時間帯

 【参加作家】
 ・12名。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー(11.23)


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 地下鉄円山駅からギャラリー・レタラに向かった。地下歩道を歩く。出口1番はかなり遠い。淡々と進むと、前方で何やら賑やかな風景が拡がっている。黄色い幸せ回廊に、沢山の写真だ。それも動物ばかりだ。どれどれと楽しい気分を押さえながら、時間も気にしながら、見ていった。



     「 ・・・。
      札幌市円山動物園をモチーフにアート表現を主体とする写真家が
     動物園内で写真撮影を行い、12月にオープンのアジアゾーンの動物達を
     ユニークな視点で表現しています。
      ・・・・」




 「動物フォト・コンテスト」という感じだ。そして普通に「動物どうぶつドウブツ」が続く。随分と見知った撮影者も登場する。「この人ならば、変化球的ドウブツ写真もあるのでは」と期待をしたが、やはり普通に動物どうぶつドウブツが続く。確かに一人一人の写真技量は高い。視点もそれぞれ微妙に違うが、結果的には、「こんなに似た視点ばかりでいいのだろうか?」に、なってしまった。遠目には賑やかそうで近づいてはみたものの、感心して見るにはあまりに似通ったドウブツ風景写真だった。


 展示後方から全作家を載せます。

 こうしてパソコン画像でゆったり見ると、もの凄く楽しめる。撮影者の個性も一人一人明らかに違う。だが、展示空間の歩道では、余りに同じと思える写真が続いていった。
 作品が全て同じ大きさで小さいからだろうか?歩道が黄色や緑で賑やかだからか?企画者側が、もっと大胆な撮影リクエストをすべきなのだろうか?実に実にもったいない写真展であった。



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     ↑:シーズン・ラオ


 何てことはない生き物達を強く撮っている。




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     ↑:竹本英樹


 やさしい眼差しだ。




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     ↑:2点とも、アキタヒデキ


 彼特有の粘っこさがない。公共空間を撮り、公共空間に収めるということを意識し過ぎたか?




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     ↑:クスミエリカ


 白味が印象的だった。それと、猛獣といえば極端だが、動物の猛々しさを感じた。




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     ↑:keiko kawano

 綺麗だ。




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     ↑:辻博樹




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     ↑:メタ佐藤


 動物の目、彼らは何を見つめる?




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     ↑:2点とも、小牧寿里


 顔なり仕草に注目している。




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     ↑:2点とも、山本顕史


 建物とか施設に視点を置いている。廃虚に近い印象だ。




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     ↑:浅野久男


 アット・ホーム的というかヒューマンな作品群だ。




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     ↑:北川陽稔


 色と影と人と動物、皆なが交じり合って一つの世界。




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     ↑:kensyo


 黒味に動物の野生を表現か?個人的にはセクシーな動物写真を見たかった。

by sakaidoori | 2012-12-11 00:49 | 公共空間・地下コンコース | Trackback(1) | Comments(2)