栄通記

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2010年 09月 23日

1380) 市民ギャラリー 「第11回 北の墨人選抜展」 終了・9月15日(水)~9月19日(日)


○ 第11回 北の墨人選抜展

 会場:札幌市民ギャラリー・第5室
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471

 会期:2009年9月15日(水)~9月19日(日)
 休み:無し
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~16:00まで)

※ 公開制作会 ⇒ 9月18日(土) 14:00~  於・当会場
                19日(日) 11:00~

※ 公開研究会 ⇒ 9月19日(日) 14:00~ 

 【参加書家】
 18名。

ーーーーーーーーーーーーーーー(9.18)

 公開制作日に訪問した。会場の奥半分には新聞紙が拡げられ、準備万端、書家のパフォーマンスを待つばかりだ。

 公開制作の様子は別の機会ということで、作品の紹介をします。

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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 だだっ広い部屋の壁面に、グルリと作品が並んでいる。一望することができる。瞬間のイメージは、実にバラバラで落ち着かない。今までの墨人会の展覧会は、書家それぞれの違いが、全体の流れの中で良きリズムに見えた。今回は、流れるうねりでは無くガタガタの折れ線に見えた。

 最近は春と秋の年2回開催だ。春の方が参加者が多い。秋は「選抜展」と名を売っている。「選ばれた」というよりも、「積極的に参加したい」という意味だろう。だから、この会では比較的意欲の高い人達の展覧会とも捉えることができる。

 もし作品を年齢順に並べたら、書歴の長さ順で並べたら、より安定した見方ができたかもしれない。いや、そんな姑息的価値観ではなく、「より上手い人達」と「まだまだな人達」を分けて並べてみたかった。あるいは、断定的な価値観・美学に準じて並べたらどうだろう。


 以下、僕ならばこういう風に並べたい順番に載せます。基準は、当展で目立った作品が第一基準で、好みや流れ上の技術的な問題を加味してのものです。


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     ↑:太田俊勝(札幌)、「冴」(さ・える)・180×280。

 意欲満々の作品だ。文字通りのキバのような鋭さだ。太さにまろやかさが加われば、もっと僕好みだろう。サエとマロヤカサは相反するが、その辺の対立と調和を見たい。


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     ↑:左がわ、吉田敏子(札幌)、「寛」・140×180。
     ↑:右側、照井心磊(旭川)、「團」・142×180。

 本展を尊重して2人を同時に並べよう。その場合、「團」を「冴」の右側に置こう。その隣に、吉田敏子の「寛」を置こう。

 「寛」、細い世界だがとても目立つ作品。余白を生かした書の美学ではあるが、現代にマッチした雰囲気がある。書家以外の人気に耐える作品だろう。書家でも「かな書」を専門にしている人が見たならば何と言うのだろう?


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          ↑:渋谷北象(旭川)、「老」・180×126。

 凛々しい人の立ち姿に見えた。分かりやすく目立つ字だ。「花」あるいは「志」と読んでしまった。「老」、余りにも若々しい字だ。


 以上が第1弾で、ここからムードを変えます。


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     ↑:特別出品・中森博文(神奈川)・「風神 A・B」・139×69。

 見せることに長じ、才長けた作品。上手さの方が先に目に来て、気分を味わえない。個展の人だと思う。見たいものだ。


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     ↑:樋口雅山房(札幌)、「里」 「竹」 「圓」・全て53×106。



 全体のムードの優雅さ、どことなく線が内向きなひ弱さ、と同時に直線に現れた強さ。

 それぞれの字の直線に注目した。「里」の字の最後の横線、「竹」の字の2本の縦線、「圓」の字の囲いの縦線。それぞれ強い。爆発ではなくて、圧迫力というか押圧感だ。が、その強さが字全体と妙にずれている感じ。「竹」がもっとも統一感があるのだろう。
 

 江戸文人を想像したくなる書だ。一つの遊びではあるが、現在に背を向けているとも見られるだろう。
 今までの書も、江戸文人傾向だった。それでも、他の作品と整合性を保っていた。少なくとも良きリズムというか、味わいになっていた。が、今回はとても浮いていた。なぜだろう?
 今回は展覧会全体に統一感がなかった。それはドンのいない集団研鑽会の宿命でもある。同派ということで、会員の表現が一つに感じる時もあれば、個性の違いが際だつ時もある。今回は後者なのだろう。
 確かに雅山房の書も個性的だ。だが、個性の醸し出すムードが、「オレがオレが」という体の向きが違いすぎたようだ。それと、氏特有の雅品が全体とそぐわなかったのだろう。


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     ↑:馬場怜(余市)。左から、「回天」・69×135 「泉」・140×90 「雨」(古文)・94×90。

 「回天」が右始まりなのが古風だと誰かが指摘していた。書いた人の年齢が想像できるとも語っていた。なるほど、昔の活字は全て右始まりだった。

 そういうベテランが、己の因習に囚われないで、勢いで書こうとした雰囲気がある。勢い勝ちと、幼児(原点)帰りの書ともとれる。


 以上を第2群にして、以下大きさと書の雰囲気を考慮して並べ替えをしたいものだ。

by sakaidoori | 2010-09-23 10:05 | 市民ギャラリー | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 22日

1379) 小樽・旧手宮線跡地 「2010年 11th 小樽・鉄路・写真展」 終了・8月30日(月)~9月12日(日)


○ 2010 11th
      小樽 ■
      鉄路 ■
      写真展



 会場:小樽旧手宮線跡地
   小樽市色内2丁目マリンホール裏

 会期:2010年8月30日(月)~9月12日(日)
 時間:24時間屋外展示、当然無休。
     (最終日は~17:00まで。)

 主催:小樽・鉄路・写真展実行委員会
 後援:(社)小樽観光協会
 協賛:(有)石崎電気商会

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(9.12)

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 やっぱり最終日になってしまった。

 小樽美術館で「素描展」を見た後、午後3時半頃の訪問。空は快晴、訪問客も多くてお祭り気分だ。こういう展覧会はワイワイガヤガヤ・ムードの方が良い。藤川弘毅さん、ウリュウユウキさんと見知った写真家にも会えて更に良い。他にも沢山の参加撮影者が居られた。本当は皆さんの撮影の楽しさや苦労談、あるいは写真観なども会話すれば良いのだが、目の前には写真の山だ。ノンビリ見た後に、改めて撮影し始め、気になる作品には更に見入るので、時間はいくらあっても足りない。

 以下、全体風景を流れるようにお伝えしたい。なかなか流れるようにはいかないが、気分は線路を流れるようにです。
 流れの中で大きく個人作品をお伝えしたい。ですが、余りにも沢山撮りすぎて、そして取材気分などほとんど無いので、撮影者のお名前は今となってはわからない。いつもながらスイマセンデシタ!
 (どなたか撮影者のお名前や、グループ名が分かる人がいましたら教えて下さい。)

 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


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     ↑:(スイマセン)。

 学生の作品でしょう。淡いモノトーンでさわやかです。


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     ↑:(スイマセン)。

 絵画のような場面です。錆色を交えた面構成。背景を大きく、作品は小さく。


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     ↑:小樽潮陵高校2年・成田聖花

 小樽潮陵高校の学生作品が沢山あった。「恋」や「性」に関するテーマが多かった。
 上の作品も、彼氏が彼女を撮るという物語。恋に恋する乙女心だ。もっとも、恋は老若男女の共有するところだ。


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     ↑:國生?。

 写された駅は「ほろか」です。水没する橋梁として有名なタウシュベツ橋もあある。

 帯広と十勝三股を結ぶ士幌線。大正14年に帯広と士幌が結ばれた。その後、昭和12年に糠平、昭和14年に十勝三股まで延長された。そして、昭和62(1987)年3月23日に廃止された。
 路線跡はかなりの部分で歩くことができる。鉄橋も多く残っている。川に降りて、その橋桁から真上を見上げるといい。静けさの中にムシの音、鳥のさえずり、川のせせらぎしかない。晴れた日には、その青空がまぶしいだろう。もやった日では、笹のすれる音に不安で胸が高鳴るだろう。もう秋だ、紅葉が待っているだろう。


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     ↑:乾英男、「あの日の小樽」。

 札幌在住の撮影者だが、心はいつも小樽のようだ。


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     ↑:ウリュウ ユウキ、「同じ海を見ていた」。

 旅する人・ウリュウユウキ。今回はいつもと少し雰囲気が違う。モノトーンは闇(黒)が秘密めいていた。そして、列車からの撮影とわかるように、「流れ」の世界だ。カラーは「今」という普段着にピッタリだ。


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 今展の顔だ。ただただベタベタと参加撮影者が「小樽」をはめ込んでいる。展示期間が屋外ということで、丸まった作品もある。これがなかなか全体の雰囲気を高めていて、心地良い。それでも多くの作品は保護材を使ったりして安心して見ることができる。いい加減さは程良い展示効果で、全体はしっかりしたものだ。

 この壁展示に限らず、今回は一人一人のブースがしっかりしていた。自分の展示場をしっかり確保して、心意気は個展に迫るものがあった。当然、作品にも力が入っていた。

 壁作品の中から舟を中心にピンポイント紹介です。
 長くなったので②に続きます。

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 やっぱり舟だけでは寂しいので人物他を載せます。


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 (②に続く。)

by sakaidoori | 2010-09-22 11:10 | ☆小樽美術館 市民ギャラリー | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 21日

1378) ニュー・スター 「mamizu 第3回 展覧会 『はこいりむすめ』」 終了・9月18日(土)&19日(日)


○ mamizu (まみず) 第3会展覧会

    ひらいてむすんで
      はこいりむすめ


 会場:ギャラリー ニュー・スター
     中央区南3条西7丁目・KAKU1階
     (西向き一方通行の道路の北側。
      美容室kamiyaの隣。)

 期間:2010年9月18日(土)&19日(日)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:11:00~20:00

ーーーーーーーーーーーーー(9.18)

 夕方の6時半頃に到着。もう辺りは暗い。入り口付近には多くのお客さんだ、それぞれの仲間たちで話が弾んでいた。
 そして、しっかりそこに居たマミとミズ、早速他のお客さんには失敬してお部屋の中に入り込んだ。

 何やら箱がぶら下がり、箱と箱とはリボンで結ばれている。床には小さな小さな折り紙のカケラ。七色の床はかわいくてバージンロードのよう、土足での入室に戸惑ってしまう。「女の子」の部屋に男性が入り込むのは、なかなか勇気がいるものだ。


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 女の子の手作り着せ替え人形のような部屋。

 入室すると本物の携帯電話が鳴って、お話をすることになる。
 「ハコイリムスメノ オウチニ キテクレテ アリガトウ」
  ミズの声が聞こえて、ちょっと恥ずかしドキドキ気分。
 「・・・」
  あれやこれやと簡単な会話。そして最後は、
 「コッチヲ ムイテ」
  振り向くとマミがカメラ目でこちらを見つめている。
  パシャリとカメラに収まって、ハコイリムスメのお友達になってしまった。


 マミの案内でつり下がった箱を開けてみる。中から二筋のリボンが降りてきて、小さな紙くずがひらひらと床に落ちていく。(あ~、床の紙くずはこれなのかと納得する。)リボンを他のリボンに結んで、網の目のような結ばれの世界ができていく。


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 左壁にはハコイリムスメの経歴が記されている。過ぎし人生というには若過ぎるが、誰でもが通る道だ。
 初恋、別れ、普通の学校生活・・・一大事件は200万の借金生活。月6万の返済生活、完済したかどうかは分からないが、「気になるアイツ」と出会い、2人生活・・推定年齢27、8歳のハコイリムスメだった。

 天井、空間。左壁、床と適当に埋まっている。右壁には何にもない。もったいない。うるさくなるかもしれないが、大きな仕事(表現)の練習のために、ささやかな工夫の欲しい所だった。省略の美学はまだ早い!


 たわいのないお遊びだった。こんな遊びも時には良いものだ。

 マミは札幌在住、ミズは大阪?在住。だからだろう、札幌から関西まで、ハコイリムスメ・ツアーがしてみたいと2人は言う。良き仲間を見つけて、できる所から開いていけばいい。
 何かがしたい、もっともっと弾けたいと念じている2人だ。「若さ」と「女の子性」を武器にして、ドンドン・ドンドン歩いたらいいのだ。
 そしてまた来年、札幌で会いましょう。もしかしたらひょっこりと、「ハコイリムスメ・ツアー」にお邪魔するかもしれない。


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by sakaidoori | 2010-09-21 13:37 |    (ニュー・スター) | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 21日

1377) 旅行記 「③ 2010年9月道北旅行  ③遠軽ー太陽の丘公園の彫刻」 9月1日(水) 晴れ時々大雨

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 コスモス園とは道路を挟んで、向かい側に彫刻が立っていた。何をするでもない広場にただのんびりと立っていた。広い公園にはよくある光景だ。青空と緑の芝生、僕は美術愛好家だ。作品を撮りにしばし歩くことにした。


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     ↑:道展会員・小林繁美、「精霊たち(木神)」・平成15年4月。


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          ↑:小林繁美、「精霊たち(芽甲)」・平成16年5月。


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     ↑:小林繁美、「精霊たち(ミノタウロス)」、平成16年5月。


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     ↑:道展会員・望月建、「環」・平成16年5月。


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     ↑:道展会員(彫刻家)・小石巧、「漂」・平成15年4月。


 平成15、16年頃に道展立体造形作家に依頼してのモニュメント群。適度な量の作品群で、これ以上は必要ないだろう。
 辺りに寝そべりたくなる。子供の頃、遊ぶことに飽きたら、暇つぶしに寝ころんだ。草が首の辺りをちくちく刺した。香も覚えている。いつまでも寝そべっていたかった。そのうちに小さな虫にかまれて、体中がむずがゆくなる。何分もしないで起きあがってしまう。いつもそうだった。もっと皮膚が強くて、いつまでもいつまでも青空の下に居れたらと思った。本当に寝れたらどんなに幸せだろうと思った。


 旅行記、いつもながら最後の小平まで行けるかどうか?
 次回は紋別です。

by sakaidoori | 2010-09-21 12:26 | 【2010年旅行記】 | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 20日

1376) 道新ぎゃらりー 「2010 横山文代・個展  小樽・後志旅日記」 9月16日(木)~9月21日(火)


○ 2010 横山文代・個展

    小樽・後志旅日記



 会場:道新ぎゃらりー
    中央区大通西3丁目
     北海道新聞社北1条館1F・道新プラザ内
     (入り口は東向き)
    電話(011)221-2111

 会期:2010年9月16日(木)~9月21日(火)
 時間:10:00~19:00
     (最終日は、 ~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーー(9.18)

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 (以下、敬称は省略させて頂きます。)


 横山文代は漫画家であり、イラストレーターであり、油彩画家だ。その順番で今日がある。

 漫画家、そこでは絵空事の嘘の物語が楽しく元気よく展開しているのだろう。
 イラストレーター、今展を見ればわかるが本当のことを分かりやすく明るく伝えている。
 虚実の違いはあるが、明るく元気よく、そして人間が大好きという世界だ。(漫画の実作を見たことがないので推測の言葉ではあるが、あえて断定形を使いたい。)

 そして油彩画だ。漫画やイラストの延長上の人間大好きで、明るく元気な絵をめざすのならば話は簡単なのだ。ところが、彼女は本格「油彩風景画家」をめざしている。漫画やイラストで表現できないことがそこでは大きな比重を占めている。

 横山文代は明るく強い作品をめざしている。それは良い。そして「正直にありたい」と願っている。そういう人の絵は、どんな形であれ正直さが強く画面を覆う。問題は、絵画とはそもそも「嘘」なのだ。紙か板か生地などの表面を、作家の意思で画材が覆っているだけなのだ。「嘘」から出た「誠」を追求せねばならないのに、「実」の上に「誠」を彼女は重ねる。それでなくても絵画には自然に「作家の心根」が反映されるわけだから、「真、真,真」の作品になってしまう。だから「写真」に近づいてしまう。実際、そう言われている。個性的な絵をめざしながら、没個性の世界を漂っている。「風景の美」の虜になってしまい、「写実」に忠実なお姫様のようだ。「自己の信念という風景」を見るゆとりがないのだろう。

 だが、横山文代はそう言われても怒らない。丸顔の童顔に漫画のような苦笑を浮かべてお客との会話を続けていく。この天真爛漫な正直さ、その徹底振りは凄い。中途半端ではない。「写真」のように見られるのは不本意だろう、悔しいことだろう。だが、見られる事実を受け入れている。他者の言葉に真実を見いだそうとしている。本当に果てしなく正直な人だ。

 彼女がどこまで大成するかは分からない。だが、凄い勢いで制作している。しかも、発表している。
 当分は今の傾向が続くだろう。焦ることはない。風景にどんどん人物が入り込み、「人間万歳!!」の絵になるかもしれない。どう変化し深まるか、楽しみに見ていこう。


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          ↑:しりべし旅日記、「ブナの原生林」・100号。

 今展の力作。この作品がスタートだ。
 欲張りな人だ。あれもこれも描こうとして、特徴薄い作品になったのが残念。動じぬ「信念」があればと思う。


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          ↑:しりべし旅日記、「賀老の滝」・60号くらい?

 小さいけれども目立つ色の人物がいる。「なぜ描いたの?」「滝の大きさがわかるように」「ダメ!!!」


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     ↑:左から、「紅葉と初雪」 「中の植物園の紅葉」。

 左側の絵が好きだ。好みはもっと地平線を上にして、ピンクと白だらけだ。そこに横山文代ボリューム感なり、造形が生まれればと思った。


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          ↑:「夏へ」・小品。

 大海の中の中央に孤舟があるだけ。
 完成度は別にして、こういう僕好みの絵を描く人でもある。



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          ↑:記念すべき「しりべし旅日記 第1号」


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          ↑:比較的最近のイラスト。


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by sakaidoori | 2010-09-20 14:14 | 道新プラザ | Trackback(1) | Comments(2)
2010年 09月 19日

1375) 茶房法邑 「吉成翔子・個展」 9月15日(水)~9月23日(木)


○ 吉成翔子・個展

 ・会場:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)785-3607

 期間:2010年9月15日(水)~9月23日(木)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~15:00まで) 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(9.17)

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 スッキリした展示だ。入り口近くの木の長椅子に座り、縦長に奥に奥にと見渡すことができる。

 左側の壁面にはお絵かきクラブのような線のリズムの世界。
 右側の壁面には5個の牛顔のシルエット。かぶり物にして遊びたくなるような表情だ。でも重たいだろう。
 手前の床には林のようにして作品が楽しく立ち並んでいる。揺らめきスタイルで、すくっと上に上に伸びて一塊だ。伸びる拡がりよりも、コンパクトな親しき人間模様が伝わる。

 その奥に3個の「線であり円」の造形作品、それぞれの線にメルヘン気分を膨らませるようにして小物が添えられている。地平線で戯れる小人のよう。
 そして、一番奥に三角おむすびのような立体造形作品がお座りしている。

 吉成翔子・金属造形牧場だ。
 実際、彼女は牧場育ちなのだろう。現在は道教育大学の大学院に在席している。今風の若者気質のたゆたゆしさと、北海道の白さ緑さ野生育ちの中でのメルヘン気分が合体した感じだ。そこに鉄という素材が気分を代行している。「鉄」とは随分重たい相棒だ。だが、牧場には「鉄」はなくてはならない。彼女にとっては武具や道具とは違って遊具なのだろう。

 吉成翔子の基本はメルヘンだ。鉄による壮大な一人遊びだ。
 二つの作品傾向で語ることにしよう。
 一つはメルヘン気分を具象形に近い形で再現すること。「そのまんまヒガシ君」スタイルだ。誰でもがしていることで、限られたスタイルの中で、個々の作家は独自性を発揮するのに工夫し苦労している。

 もう一つは、形なりボリューム感そのもので吉成心を表現すること。あからさまなロマンティック・スタイルもあるにはあるのだが、「あっ、こういう形もあるよな~」というザックバランな驚き作品が彼女にはある。今展で言えば奥にたたずむ3個の線の世界であり、三角おにぎりだ。形そのもの、自分の造形感覚そのものにチャレンジしている。だから、その心のメルヘン性とは違った魅力、美術造形を楽しむことができる。
 例えば、「ふっくら気分」をふっくらなままで、どのようにして形にするかだ。今、「ふっくら気分」と言ったが、そこにはいろんな気分があるはずで、だから作品に対する誤解が生じる。見る人は千差万別のなのだから、誤解の生じない作品は力不足だと思っている。
 吉成翔子はそこの所を無意識にチャレンジしている。だが、余りにも根っこに持つイメージが強すぎて、そのイメージを愛しすぎる人のようだ。「愛」はすばらいい、だが「愛」だけではいろんな「ふっくら気分」は生まれない。

 線の造形作品に可愛く小人が引っ付いている。僕としてはこの小人がいなくて、小人を感じる世界を見たかった。だが、作家はどうしてもそこに小人を置きたいのだ。仕方がない。その気分も楽しむことにしよう。


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by sakaidoori | 2010-09-19 14:44 | (茶廊)法邑 | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 18日

1374) ①本郷新美術館 「現代美術展  PLUS1 This Place」 9月11日(土)~9月26日(日)


○ 現代美術展
   PLUS1 This Place


 会場:本郷新記念札幌彫刻美術館・本館
    中央区宮の森1条12丁目
    電話(011)642-5709

 会期:20010年9月11日(土)~9月26日(日)
 休み:9月13日(月)、21日(火)
 時間:10:00~17:00
 料金:無料

 主催:PLUS1 
 企画協力:柴橋伴夫(美術評論家)

※ エセプションパーティー
      ⇒ 9月18日(土) 本館1階 17:30~19:00

※ 当館主催関連事業 
        ⇒ 9月11日(土)、19日(日)、23日(木)
           (パンフを拡大して詳細を確認してください。)


 【出品作家】
 澁谷俊彦 川上りえ James Jack 千代明 齋藤周 藤本和彦 谷口明志 坂東宏哉 ダム・ダン・ライ 大島潤也 柴橋伴夫(美術評論家)
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー(9.17)

 (お詫び。重複や縦長と横長の違いなど、相当写真に誤りがありました。申しわけありませんでした。)



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 この種類のグループ展はいつも終了間際に見に行くことが多い。今回は余裕を持って見に行った。日程的には余裕はあったのだが、午後4時半頃の入場だから、とりあえず「見てきた」という感じだ。

 というわけで、一言コメントと会場風景だけでも早めに紹介します。次回は何人かだけになるでしょう、もう少し詳しく紹介したいと思います。


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     ↑:1階。


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     ↑:1階。大島潤也、「無題」。

 一年おき位で大丸藤井で個展をされている。何を表現しているのかは分かりにくい作家で、そのマイペースさが大島魅力の一つだと思っている。その分かりにくさマイペースさは今展でもしっかり生かされていて、「どこまでも我が道を行く大島潤也」だ。

 上掲の作品、まるで崖上の砲台場跡地のよう。大きな丸い作品、その丸さを標的の覗き窓のようにして外をにらみつけている。実際、ガラス窓を挟んで屋外にも、意味不明な「黒い木くず」がある。、黒い板が壁に立てかけている。破片クズの行儀の良い散らばりぐあいが大島潤也らしい。


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     ↑:坂東宏哉、「かけがいのないものへ 10-2」。

 一つの飾りである。武骨で力強い飾りである。大きな大きな「坂東宏哉」という縦長の「名刺」でもある。その強さが、他の個々の作家の軽さと良きバランスを保っている。


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     ↑:2階からの撮影。ジェームス ジャック、「Natura Naturata」・土 砂 岩絵具(北海道、伊豆、オアフなど)。

 こちらも会場では飾りだ。画材に作品の取材場所にあやかった「物」を使っている。それは「その場の記憶」なのだろう。何か生っぽいメッセージがあるのだろうが、ここででは渋くてデザイン的な飾りになっている。2階の作家への入り口という導入も兼ねている。


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     ↑:2階の風景。おみくじの縛り作品のようなのが藤本和彦・作、「ヨリシロ」。

 藤本作品はグループ展での単品でも、どこか人目を惹く強さがある。ユニークさもある。
 「ヨリシロ」、確かに目立ちはするのだが、どこか遠慮がちで生真面目だ。おそらくそのタイトルに負けたのだろう。透き間からひょっこり出てくる「オバケ軍団」を楽しむ人だが、その遊び心が後退して、ストレートに「神様」と向き合ったみたいだ。少し真摯になりすぎて神様の後塵を踏んだようだ。




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     ↑:「ヨリシロ」の向こう側が齋藤周、「one day」。

 「青年のマイ・ルーム。そしてワン・デイ」なのだろう。
 通路を利用した完璧な個展だ。道行く人に、窓から齋藤周がほほ笑んでいる。「何にも無いけど立ち寄っていきませんか・・・」。映画のワン・シーンのような美学と物語、次回に改めて紹介します。多くの言葉をそれまでに見つけておきたいと思う。



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     ↑:2階の中継ぎの間。中央で燦然と輝いているのが千代明、「Pillar of time ー時の柱ー」。
 その向こうの黒い壁に見えるのが谷口明志、「線」。

 千代明、メタリック色は鉄のみかと思っていたが「紐」だ。幾何学的模様と色ににうっとりとしてしまった。いつもの「ダンス」は出番がないようだ。神懸かり的美しさの前でスカートを拡げて、全身の華やかさをシンメトリーに見せるだけだ。


 谷口明志は「線」と題している。実際は「しずくの旅」だ。しずくの出発がこの黒い壁だ。溜まって、一筋の歩みとなって1階に降り、透き間から戸外に脱出して・・・。次回にそのしずくの旅を追いかけよう。


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     ↑:澁谷俊彦、「コンペイトウとメトロポリス」。


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     ↑:川上リエ、「Surface of 79.7」。


 
 2人は2階の奥まった閉ざされた空間での展示だ。共に鑑賞者参加型の制作スタンスを持つが、その姿勢は今展ではかなり違っていた。
 澁谷俊彦はコンペイトウを食べながらの未来の街作りに余念ががない。今展では作品の完成形に重点があるようだ。鑑賞者も用意された澁谷ソファーに身を沈めて、コンペイトウをほおばりながらの鑑賞。「見るー見られる」未来都市美だ。

 川上リエ作品は写真で見ると線のオブジェのようだが、実際はかなりシンプルで、線はまさしく水面そのものを描いている。鑑賞者は下から潜って、適当に空いた場所から頭を上げて辺りの風景を見る。本当に鑑賞者参加型の作品づくりだ。後は多くの来館者を待つばかりだ。

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     ↑:同じ場所の上から目線と潜り目線。


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     ↑:水面から水面を見た時の風景。波がうねっている。


 >②に続く。

by sakaidoori | 2010-09-18 13:31 | ☆本郷新彫刻美術館 | Trackback | Comments(9)
2010年 09月 18日

1373) 門馬・ANNEX 「君島信博・展」 9月12日(日)~9月20日(月)


○ 君島信博・展


 会場:ギャラリー・門馬 ANNEX 
     中央区旭ヶ丘2丁目3-38
     (バス停旭ヶ丘高校前近く) 
     電話(011)562ー1055

 会期:2010年9月12日(日)~9月20日(月)
 休み:
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、~15:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーー(9.17)

 小憎い盆栽展で、滑稽なくらい面白かった。


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 基本はちっちゃな手のひらに収まる盆栽だ。ただ並べたのでは君島美学が許さない。門構えのような赤くて細い木枠を台の後ろに並べる。すると奥行きは分割され、何が何やらわからない距離感が生まれてしまった。
 細い通路のどこに焦点を会わせたらいいのだろう?「焦点定まらず」、なのに元気気分がむらむらと湧いてくる。ここはどこだろうという所在なさを完璧に受け入れて、感覚が200%全開になってしまった。「快感」という鏡の国のアリス状態だ。
 僕の場合は盆栽そっちのけで、赤い木枠にトリックがあるのではと、ただただ静かにうろつき廻った。ガラスを使ったりと、仕掛けは全くない。人の生理に棹ささず、色と空気と距離感を巧みに操り、一気に元気で明るい夢心地の世界に導いてくれた。

 展示回廊は赤と白と緑、・・スリガラスの効果で乳白色という味付けがあるのだが・・、奥の外庭に通じるベランダにも一つだけ小さめの赤い木枠が置かれている。間違いなく、自然の緑を引き立たせるものだ。鳥居の赤だ。
 回廊展示のもう一つの意味がここには託されているのだろう。つまり、回廊空間そのものが氏にとっては疑似盆栽空間(社会)で、それは茶の一期一会でもあるのだが、ベランダに出て赤で染められた自然そのものを見ろ、ということなのだろう。


 赤い木枠の写真だけの紹介でした。
 今展は間違いなく「盆栽展」です。ちょっと風変わりな盆栽の紹介をします。


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          ↑:アラハシラガゴケ。

 おそらくこのコケが盆栽の苗床なのでしょう。ここに種を植えて葉が咲くのです。


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     ↑:左から、「ゴヨウマツ」(実生2年生) 「イロハモミジ」(実生2年生)。


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     ↑:左から、「白花ネムノキ」(実生1年生) 「クロツバラ」(実生3年生)。




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by sakaidoori | 2010-09-18 09:33 | 門馬・ANNEX | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 17日

1372) ミヤシタ 「鈴木誠子・版画個展」 終了・8月25日(木)~9月12日(日)


○ 鈴木誠子・版画個展

 会場:ギャラリー ミヤシタ
    中央区南5条西20丁目1-38 
    (南北の中小路の、東側にある民家)  
    電話(011)562-6977

 会期:2010年8月25日(木)~9月12日(日)
 休み:月曜日(休廊日)
 時間:12:00~19:00 
     (最終日は ~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(9.12)

 早く行こうと思っているのに、いつものように最終日近くになった。今展はまさに最終日だった。


 光サンサンの日であった。その光に負けないように、真白き部屋は明るかった。明るい空間をプラレタリウムのようにして、静かに川原石が浮かんでいた。川原石、それは星なのだろう。


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 一点一点の川原星は形を変え向きを変え、わずかに背景にも小惑星風の存在を忍ばせたりしている。だからといって、それらの作品群は見る人の選択の好みはあるだろうが、「ただ一点の完成形を求めた造形の集積」ではないだろう。わずかな違いや動きを確認するようにして、真一文字に並べては「星の世界」に作家は埋没している。見る人にも夜空の営みを優しく強要している。

 今回はあくまでも一つ一つの川原星に重きがあるようだ。その限りでは個の擬人化されたものとして見たくなる。それでも並べられた星達は隣や向の星とも関係を持ちたがっている。
 きっとこの中には男星もあれば女星もいるのだろう、。造形というまろやかな美の中で、二つが寄り添いつつ、付かず離れず漂う。触れ合えば子供星が誕生するかもしれない。子供星は生まれては直ぐに宇宙の闇に投げ出される。黒いエキスを吸収しながら両親星から離れていく。男星、女星も生まれた星のことなどは直ぐに忘れ去り、気ままな宇宙の旅に出かける。その度に星の表面は一層まろやかになり、白黒の斑点を増やしていく。もしかしたら母親星は少しは子供星を見つめながらの旅になるのかもしれない。宇宙は広い、その眼差しはどこまで届くのだろう・・・・。
 そんな物語展だった。

by sakaidoori | 2010-09-17 11:12 | ミヤシタ | Trackback | Comments(0)
2010年 09月 16日

1371) CAI02 「アサノカオリ / ちいさな海のうえ」 9月11日(金)~9月17日(土)


○ アサノカオリ

     ちいさな海のうえ



 会場:CAI02 raum2・3
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。
    注意⇒駅の階段を下りてはいけません。
        昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438

 会期:2010年9月11日(金)~9月17日(土)
 休み:無し
 時間:13:00~23:00

ーーーーーーーーーーーーーーー(9.11&13)

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 床に小さな折り紙の風船が飾られている。青と白、人の歩みを邪魔することなく、そこかしこに存在している。密にまばらに。


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 若者らしい絵もある。だが、その流れを何と解釈すればいいのか・・・。


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 壁には無造作にガラスの破片が刺さっている。

 ・・・。


 一つの心象風景だろう。他人を寄せ付けない作家だけの楽しみの場だ。この展示をもって何を作家と語り合うのか?
 ・・・。
 空間を作る、あるいはこの時限りの展示と言うことならばインスタレーションとして語り合えばいいのだろう。間違いなくインスタレーションなのだが、そこで強く主張している「思想」があるのか?それでは「美学」の自己顕示なのか?

 僕は、作家が今後表現するためのリ・スタート展としてみた。つまり、他者の入り込む余地がほとんど無い展覧会だ。自分の汚泥を吐き出す行為ではない。自分という鏡を写し出す風景として見た。
 その限りでは正直な美学と言える。それは他人を無視した正直さだ。
 それでは自分に溺れきっている美学か?そうとも言い切れないのが今の作家の弱さで、他者の目を気にする色気をほのかに感じる。
 要は、他者との交流の回路が、展示の儚さのようにどこかギクシャクしている。その確保のあがきとも見れる。
 ・・・。

 しかし、何と青年らしい展示だろう。我が道を行く細く神経質な美しさ、その唯我独尊さと、形の不分明さに見ていてモヤモヤ感を抱きはする。同時に、あまりの正直さに「これはこれで良いのだ」と一人合点をしてしまった。

 床の紙風船はこの手の展示にはよくある手段だ。踏まないように歩けばそれまでだ。
 グシャリ、踏んでしまった。何の抵抗感もなく靴底に音だけが残る。何かが消えて行く。抵抗感のある物を踏めば、壊したという対等な意識で残骸を見れるのだが、その無抵抗な紙風船のつぶれ音は、何故だか足の裏にこびりついて、その後の鑑賞の歩みの邪魔をする。『こんな、踏まれてはすぐ壊れる紙風船を床に置くなんて、罪な作家だ』、と意味もなくモンクを言いたくなった。無邪気で強情な女性なのだ。お嬢さんの持つ傲慢さと正直さなのだろう。


 あれやこれやと取り留めもなく作家と対話した。
 もうすぐ30歳になる人で帯広出身とのことだ。隣室で個展を開いている山本雄基青年と全く同じだ。女子美大出身で関東圏に住んでいる。
 本格的に都心で発表する前に、地元北海道で個展をせねばならいという信念での展覧会だ。何とも頼もしい女性だ。
 パッチリ見開いた大きな目で、言葉を探すようにして会話は進んだ。自分に言い聞かせるように言葉を見つけてはうなずき、言い間違えたならば頭を左右に振り、手のひらのハンカチを握りしめては自問自答していた。
 都会でもっともっと鍛えられて欲しい。そして何年かして、また作品に会えるのを楽しみにしよう。


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by sakaidoori | 2010-09-16 00:13 | CAI02(昭和ビル) | Trackback | Comments(0)