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2008年 12月 28日

867) ②茶廊法邑 「SAG INTRODUCTION」 12月20日(土)~12月29日(月)

○ 札幌アーティストギャラリー作品展 (2会場)
     SAG INTRODUCTION

① 会場:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)785-3607
 期間:2008年12月20日(土)~12月29日(月)
 休み:23日(火)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、17:00まで)

② 会場:品品法邑(2階)

 企画:法邑芸術文化振興会

 【出品作家】
 (茶房法邑のみ) 大井敏恭 笠見康大 小林麻美 林亨 山本雄基 LESLEY-TANNAHILL 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・27)

○ 林亨 の場合。

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 ↑:林亨、「心を浮かべて」・1630×1300mm。

 実にざっくばらんです。驚いてしまいました。ポロック風の色や線が踊りこむような絵ばかりを見てきました。なのに今回の変わりよう・・・。
 ポロックが「狂」的と言えるならば、林絵画は雅な濃密な世界です。似て非なるものです。更にポロックの激しい生き様は絵と不可分なところがある。林さんはどこか日本の伝統的美学を引きずりながら、「絵画の可能性」という知的探求の場としても絵画があるようです。だから、どうしても実験的側面の強い絵がポーンと出て来ます。今作が正にそれでしょう。

 絵の濃密な装飾性を後退させて、白壁を意識した浮遊感や立体感そのものを見せています。この浮遊感は林さんの基本モードです。韓紙に描かれた作品を空中に浮かべたこともあります。林絵画は抽象ですが、描かれた模様自体が浮き沈みしていて、捉えどころの無さがあります。
 林さんが目をつぶれば青色の世界なのでしょう。青に沈殿する世界を軽く妖しく何かが漂っているのでしょう。そのことを絵画化したいのでしょうか?それは絵画の探求の道標であって、その先に彼の思い悩む「絵画の可能性」があるのでしょう。


山本雄基 の場合。


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  ↑:山本雄基。大作(1455×1455)の部分図。タイトルは全て「みえないみえる」。

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  ↑:ともに450×450mm。

 山本君は円が好きだ。おそらく彼が選んだ理想の姿がこの形にはあるのだろう。作品のサイズも真四角。実に几帳面な完全形ばかりをバックボーンにしている。技法は分からないが、その円を並べては透明材で覆い、その上に再び円を並べては透明材で覆う、と言った感じで作品は見える。透明な世界に円が何層かにわたって重なり合い、色としては交じり合うこと無くしっかりと自己主張している。薄いプラスチックが埋め込まれていると言ったほうが分かりやすい。

 理想形とは決して楽しいものではない。意外に絵が窮屈なのだ。だが、山本美学の楽しいところは、どこかユーモラスな臭いがするのだ。あっけらかんさが良い。色の按配、形の重なり具合、試行錯誤の作品傾向などからくるイメージなのかな? 
 完全形に拘る厳しさ、どこまで追求できるのだろう?
 今展の大作、仕上がりの上から白ペンキでの悪戯模様が新工夫か?


笠見雄大 の場合。

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  ↑:左から、「つぶれる風景」・2000×1650mm。「entoptic」・840×1120mm。(「entoptic」とありますが、「entopic」ではないでしょうか?)

 初めて彼の作品を見た時には本当に驚きました。感心したものです。そして、その後の殆んどの作品が同じ印象ばかりで、あまりにも変化が少ないので、ちよっと残念に思っています。今作も同じ世界です。けっしてこの技法に100%満足はしていないと作家自身が思っていると思うのですが、発展性が余りにも無さ過ぎると思う。多情多感なこの時期、もっと突っ込んで実験絵画にチャレンジしてはどうでしょうか。


 ③に続く。

 

by sakaidoori | 2008-12-28 14:01 | (茶廊)法邑 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 27日

866) ①茶廊法邑&品品法邑 「SAG INTRODUCTION」 12月20日(土)~12月29日(月)

○ 札幌アーティストギャラリー作品展 (2会場)
     SAG INTRODUCTION

① 会場:茶廊法邑
    東区本町1条1丁目8-27
    電話(011)785-3607
 期間:2008年12月20日(土)~12月29日(月)
 休み:23日(火)
 時間:10:00~18:00
     (最終日は、17:00まで)


② 会場:品品法邑(2階)
    (北郷13条通の北側。道路を挟んだ同じ北側に法国寺有り。)
    東区本町1条2丁目1-10
    電話(011)788-1147
 期間:2008年12月22日(月)~12月29日(月)
 休み:23日(火)
 時間:10:00~18:00 
    (最終日は ~17:00まで)

 企画:法邑芸術文化振興会

 【出品作家】
 (茶房法邑のみ) 大井敏恭 笠見康大 小林麻美 林亨 山本雄基 LESLEY-TANNAHILL 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・27)
 
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 本日訪問。
 情報によると小林麻美さんが当番とのことです。作品共々どんな様子かなっと思って日にちを選んでの鑑賞でした。顔見知りの山本雄基君も居られて、特に絵の話をしないままで終わったのですがご両人とも元気そうで何よりでした。

 画家のお顔を拝見がてらの気楽な訪問でしたが、年末を飾るにふさわしい内容でした。


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 二会場に別れています。それぞれの場を生かした展示です。
 この記事では茶廊法邑の風景を載せました。

 不思議なことにまるでテーマ展になっていました。特に男性4人は「丸」にこだわっています。そして全員が錯視的効果を狙っているようです。それぞれの作家の現在の表現様式なのでしょうが、これ程似るとは面白い。何か時代性があるのかもしれません。品品法邑とこの会場の個別作品の感想はおいおい書いていきます。
 明後日までです。

~~~~~~~~~~~~~

 SAG(サグ)の展覧会です。
 サグとは札幌アーティストギャラリーの略称です。そしてこの場合のギャラリーとは造語的なネーミングです。普通、ギャラリーとは通路・回廊を意味した具体的空間概念であり、そこに集う人達も意味する英語だと思います。サグは場に捉われない空間概念としてギャラリーという言葉を使っています。「定点的場に捉われずに、その場限りの場からの発信。作品で作家が発信し、人々(ギャラリー)が感じあう関係性」を作ろうということでしょう。
 サグ専属の作家が居るのかどうか?今回の発表メンバーはサグ事務局?選定の発表の場でしょう。
 ただ困ったことに外人を全て英語紹介していました。項を改めて意見を述べたいと思います。

 

by sakaidoori | 2008-12-27 23:19 | (茶廊)法邑 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 26日

865) 品品法邑 「五人展 (陶&織&ガラス)・・仮称」 終了・12月13日(土)~12月21日(日)

○ 五人展 (陶&織&ガラス)・・仮称
    「師走の仕事部屋から」 ~クリスマスの贈り物
     
 会場:品品法邑(2階)
    (北郷13条通の北側。道路を挟んだ同じ北側に法国寺有り。)
    東区本町1条2丁目1-10
    電話(011)788-1147
 期間:2008年12月13日(土)~12月21日(日)
 休み:火曜日(定休日)
 時間:10:00~18:00 
    (最終日は ~17:00まで)

 企画:当ギャラリー

 【参加作家】
 朝野顕子(「土ー夢」・陶) 宇都宮麻希(「楡工房」・染め織) 坂田真理子(「吉兆窯」・陶) 高臣大介(「グラグラ」・ガラス) 内海真治(「浮浪工房・陶、陶板画)

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・13)

 品品法邑は2回目の訪問。
 2階のギャラリー空間が一変していました。原因は通路との間仕切りを取っ払って、広々しているのです。壁の代わりに長い机がギャラリーに向き合っていて、いかにも小物を置くにはムード満点です。机の上の窓、奥の喫茶ルームの椅子とテーブル、ファション感覚を満喫できます。

 今回は個々の作品よりも全体のムードを中心に載せます。

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 時計の逆周りで載せました。
 最後の写真、窓の下の机と向こうに見えるテーブルがお洒落です。テーブルには特に作品は置いてはいません。くつろいでお話しをしたり美術資料で時間をつぶすのです。
 テーブルは見た目はざらっとして棘がささるのかなと思いますがそんなことはありません。彫りをあらわにして繊細に木肌処理をしています。長さは一枚物です。薄いがリッチ!

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     ↑:ガラスの高臣大介君。出しゃばらずに優しくキラキラと飾っていました。

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     ↑:陶作品は坂田真理子さん。(織物は全て宇都宮麻希さん。)今回いろいろな事情で出品数は少し。でも、このヒョウキンなお面は僕の目を惹きます。


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     ↑:会場の織と染めの作品は全て宇都宮麻希さんです。アクセントのように壁や天井への展示です。


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     ↑:朝野顕子さんの陶の箸置きです。会場の真ん中テーブルに飾ってあるのが彼女の作品です。その撮影に失敗していました。代わりに購入したマイ・箸置きを載せます。
 彼女は陶板も作るそうです。今回はグループ展で他のからみも有り日用品を中心にしての展示です。


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     ↑↓:内海真治さんの陶板と内海・人形。
 今回はすけっぴと的発表です。お助けマンだからといって遠慮する内海さんではありません。しっかりと壁一面に渋く淡く内海カラーを表現していました。

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     ↑:2階の喫茶ルームからの会場模様。

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     ↑:2階の喫茶ルームからの下の様子。その日はパンを買いました。


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     ↑:二階からの外の交差点。

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     ↑:右側が品品法邑の裏?玄関。左側は道路の面していて表玄関があります。

by sakaidoori | 2008-12-26 22:10 | (くらふと)品品法邑 | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 25日

864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)

○ 所蔵品作品展第3期 三岸好太郎の世界
    ~三岸の魅力再発見
 
 会場:三岸好太郎美術館
    中央区北2条西15丁目
    (知事公館北側。入り口も北向き)
    電話(011)644ー8901
 会期:2008年11月1日(土)~1月18日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:9:30~17:00
ーーーーーーーーーーーーーーー(12・)

 常設展です。
 それなりにここは見ているほうですが、初めて見る作品も展示されていました。三岸ファンでしたら、チョッと顔をだしても損はなさそうです。

 それと今展の展示にはいつもとは違う工夫があります。
 作品の横に参考資料として写真作品を展示して、作品をより深めようとしています。確かに面白い。一方で、活字がどうしても多くなるので、絵画それ自体を楽しむには目障りかもしれません。公共美術館が教養としてのビジュアル展示にチョッとチャレンジということでしょう。 

 色々と面白いパターンがあるのですが、「海」と「ピエロと花の共通構図」を載せます。


○ 「海」シリーズ。1933年~34年。

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 (↑:「海」・ともに1933年~34年制作。)

f0126829_1113039.jpg 展示解説には二つのことを指摘しています。
 絵画の面白発見という意味で、上の作品のサインに注目しています。「S.Migishi」と描かれています。これは好太郎の妻の節子の自筆によるものです。彼女が売る時に書き添えたのです。
 次に、絵画上のことで水平線の位置の変化や海と空だけという構成上の研究。それと、次の「貝殻シリーズ」や「海上を飛ぶ蝶」の連作への予兆を見てます。

 ところで、この「海」の連作は現在までに6点しられていて、当館『館報NO.18・(2001年12月)』で当時の主任学芸員の苫名真・氏がその制作時期の特定という作業を通して、制作時期の好太郎の意図やこの海の意義を語っています。
 結論から言うと、1933年~1934年かけて。「断定は出来ないが・・」という前書きで、1933年10月~翌年の3月以前と推論しています。
 そして、「1933年の前衛的実験をくぐり抜けた後に、再びフォーブ的表現に立ち戻った」ということになります。
 苫名氏は三岸の画業を基本的にはフォーブ的なものとして捉え、それが全面に押し出される時期と、絵画上の研究が強い時期との変遷として捉えています。この場合のフォーブという言葉は感情爆発的表現というよりも、ロマンチック漂う情緒的なものと理解したほうがわかりやすい。

 苫名氏の三岸研究ばかりを書いてしまった。そのことが言いたかったのではないのです。美術学芸員が考古学の研究者のように、作品をなめるようにして接する態度、そのことが驚いたのです。たった6枚の作品が、地層(人生)のどの当たりかを比較確認していく、相対年代を細かく推論する。そこから導き出される総合的な見識、推理小説を読むようなワクワク感がその研究ノートにはあった。優れた発表というものは、そういうものだろう。(説明文と参考写真との整合性が悪く誤植もあり、読みづらかったのが残念。簡明な文章で良い論文です。)

f0126829_12125576.jpg ちなみに、「海」を描く頃の好太郎はサインをフランス風に描く癖があったそう。末尾は一定しないが、「gi」→「gu」と描くのです。下の作品のサイン、分かりにくいので画像処理しての掲載です。
 「K.Migishi」とあります。苫名氏は自筆を疑っています。売る人がサインの無い絵は名画にあらず、と思って書き加えたのでしょう。



○ 「ピエロと花の構図」

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     (↑:写真による参考作品。「道化役者」・1932年 222.2×167.2。)
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     ↑:「白百合」・1932年。

 この「白百合」を見るのは初めて。
 同年に描かれた大作との構成上の類似を指摘しています。本当に似ている!画家29歳の時です。画題もサイズも違っているのに、似た絵を描く。若い時にこそできることでしょう。

 彼の才能のは認めるが、こういう似た絵を目の当たりにした時に、これからの人でもあったと強く思う。もっとも時代は自由なロマンチシズムを認めない空気が強くなっていった。戦争が終わって10年は長生きしないと、彼の更なる魅力は発揮できなかっただろう。
 突然の病による死ではあったが、妻・節子は自殺と同じ感覚で捉えている。彼の死で彼女自身は「自分は生きれる」と悟った。そういう男があの時代に後20年生きれたか?自由奔放にしたいことを手掛け、向こうの世界に勝手に行ったのだろう。悔いが残るとすればフランスの地を踏めなかったことだけだろう。妻と息子がその代わりをしてくれた。


 今展はこんな工夫が一杯。また見に行こうと思う。初見の作品は載せるかもしれない。

 
 

by sakaidoori | 2008-12-25 23:45 | ☆三岸好太郎美術館 | Trackback(22) | Comments(0)
2008年 12月 24日

863) 富士フォト・サロン 「宮川恵子・写真展 ~してきくうかん」 終了・12月12日(金)~12月17日(水)

○ 宮川恵子・写真展
    ~してきくうかん~

 会場:富士フォトサロン札幌
    北3条西3丁目 札幌北三条ビル1階・北向き
    電話(011)241-7366
 会期:2008年12月12日(金)~12月17日(水)
 時間:10:00~18:30

ーーーーーーーーーーーーーーー(12・16)

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 (↑:歩道から見える展示紹介写真。)

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 (↑:DM作品。撮影家の写真作品です。左上の茶色の沁みはコーヒーをこぼした汚れです。スイマセン!)

 
 札幌駅の熊澤桂子・にんじんを見た後に、久しぶりにここに立ち寄った。


 都会の風景なのだが、トリック撮影に見える。カラーできっちり、びっちり被写体を撮っている。

 赤い太線で覆われた写真がある。オッと目を見張ってしまう。空間がグニャグニャと曲がっていて、何を撮ったのだか分からない。もっとも、写真ということは分かっているから、こちらの目の焦点をいろいろといじっていくと、白いスポーツカー?に廻りの赤い世界が写っているのがようやく判明した。それらはビールとかジュースの赤いケースだった。
 街中の風景が鏡効果で不思議な別世界として姿を出すのに敏感に反応しているのだ。喜んでいるのだ。
 「面白がっている自分発見」、「あらゆるものに感動」と会場の自己紹介に書いている。

 撮影者が不思議被写体を発見して、その作品に僕らが面食らって不思議体験が膨らむのです。

 上のDM作品がその一例です。
 この写真には別の愛着が僕にはあるのです。写っている白いワゴン、我が愛車と同じ。僕の車は鏡で撮らなくても妖しげによじれて余命幾ばくです。

 面白かったのは総ガラス張りのビルを写したもの。
 ガラスだから、空や街の風景が写っている。大きな窓を開けた所が何枚か続けてあって、他のガラスと角度が違うから別の都市風景が写っている。数は少ないのだがこの何枚かは光の加減で、他のガラスよりも鮮明でリアリティー抜群。とても何かを写している風には見えない。他の写しだされたガラスの風景と見事に虚実の世界を捉えている。おまけに写真にはビルを取り巻く空や風景も四隅に散りばめられて、「宮川・トリックワールド」の決定版だ。一枚のガラスには撮影者が上向きでカメラを撮っている姿も映っている!

 他にも雨模様の向こうに写る通行人をガラス越しに、心象風に撮ってあるのもあった。
 間接的に被写体に迫る姿、妻も早速真似をして携帯に収めていた。

 シンプルで解りやすくて楽しい写真展だった。

by sakaidoori | 2008-12-24 16:16 | 写真)富士フォト・サロン | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 24日

862) テンポラリー 「中岡りえ展 『DNA DIRARY 1902-2008』」 終了・10月23日(木)~10月29日(水)

○ 中岡りえ・展
    『DNA DIRARY 1902-2008』

 会場:テンポラリー・スペース
     北区北16条西5丁目1-8
     (北大斜め通りの東側、隣はテーラー岩澤)
     電話(011)737-5503
 会期:2008年10月23日(木)~10月29日(水)
 休み:月曜日が定休日
 時間:11:00~19:00
ーーーーーーーーーーーー(10・28)

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 (↑:入り口の様子。カーテン風にして中と外を遮断している。会場内は暗室とまではいかないが、少し暗いのだろう。)


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 (↑:① 迷彩服模様の生地が二列に入り口を塞いでいる。)

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 (↑:② 正面の壁の展示。明らかに日本列島だ。見開きの大学ノート大の生地の裏表を使って、何かが刺繍されている。)

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 (↑:③ 左の壁。ただ3点のみ。)

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 (↑:④ 展示物の生地の作品を束ねて日記のような体裁。)


 恐ろしい展覧会だった。女、家族、家系の血の執念、怨念を見た。

 写真①の二列のカーテンはニューヨークのツイン・タワー事件を表わしている。だから迷彩服か?作家はニューヨーク在住。
 写真②が生地の日本列島だから、自分の生活圏を定点にして世界の政治経済を問うているといえなくも無い展示だ。

 だが僕にはそれらは作家の生理を包む飾りでしかないように思えた。人は裸で街を歩いたりはしない。防寒のためなどではない。自分に合った服を着て他人と交じり合う。迷彩服を着ているから右翼だ左翼だといっても始まらない。服は着ている人を飾っているのだ。社会性という安定した約束事の中で。
 ①や②の社会に発言するというのは中岡リエの服でしかない。その服を脱いだ下着の姿、それが④の日記としての生地の本だ。この展覧会はこの本を見るためだけのものだと僕は思う。他は飾りだ。

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 何枚綴じていたのだろう?光の射す窓辺で一枚一枚ゆっくりと見ていった。白日に曝け出された怨念針のその縫い跡。裁縫する時の濃密な時間が、それは過去の出来事だったのかと思うほどのどかに光が当たっていた。まるで思い出のアルバムを見る雰囲気だ。
 黒糸は髪の毛。それも生きたままむしり取られて復讐のように生地に模様を描こうとしている。
 赤糸は血。初潮という言葉は今の作家には無縁な言葉だが、制御できぬ己の体内の生命活動の過剰な姿は、今とはそんなに離れてはいないだろう。血がうずくのだ、汚れた血を吐き出したいのだ。
 家族の写真を切り刻んで縫い合わせている。特に目に対して攻撃的だ。両親の自分への眼差しを拒否したいのだろうか?拒否したいのは目だけであって、両親の存在は認めているのだろうか?

 過剰なまでの血や家族へのこだわり、自分へのこだわり。これらは他者と共有されるべき事柄ではない。「人前に晒す」、それは自己安定と自己満足以上のものではないだろう。
 「自己満足」と言った。この言葉で彼女の発表する態度、表現者の社会的位相を否定するものではない。だが、彼女の赤裸々な肉声は「美術、それを見る・見せること」に対して考えが飛び交う。果たして現在の美術(視覚)表現と社会一般には、繋がらなければいけない必然性などあるのだろうか?だからどうしてもグループ化する。群れる。離合集散が起こる。人間関係の中で作品が見られがちだから、人間関係が切れたら作品もどこかに行ってしまう。
 ギャラリーに集う人達、公募展、各種の師弟関係、先輩・後輩、国家レベルの受賞を目標にする人達、はどなど・・・。現在の表現の社会性とはそれらのグループを超えることは無いだろう。個が単に好みで作品に付きまとうー僕のようにー以上の関係、それは美術の妄想かもしれない。
 

 作品は2階にもある。まさに屋根裏展示だ。どこか東北の旧家の臭いがする。
 座敷牢で、与えられた生地と糸で毎日毎日縫っていく。糸が足りなければ漆喰の壁をはがして何かを探す。無意識に髪をむしっては糸にする。

 今展を「下着だ」と言った。妖しげな下着だ。裸体が透けて見えるがやはり下着だ。男にとって女とは分からないものだ、恐いものだ。

 彼女の明日は知らない。僕自身の明日を考えるばかりだ。


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 最後になりましたが、1階の作品を何点か載せます。


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by sakaidoori | 2008-12-24 12:50 | テンポラリー | Trackback | Comments(1)
2008年 12月 23日

861) シカク 「今泉東子・個展 『海を探した日』&道展作品」 終了・12月12日(金)~12月21日(日)

○ 今泉東子・個展
    『海を探した日』

 会場:プラハ2+ディープサッポロ・2F ギャラリー・シカク
     中央区南11条西13丁目2-12
     (東南角地の2階建て民家)
 会期:2008年12月12日(金)~12月21日(日)
 時間:12:00~19:00
ーーーーーーーーーーーーーー(10・30、12・15)


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  ↑:2008年道展出品作品、「tomorrow」。

 今泉東子は海を描く。風景として心象として描く。

 どうして海を描くのだろう?海が好きだから。
 なぜ好きなのだろう?
 もし海でなければ、何を描くのだろう?
 彼女は他に好きな者は無いのだろうか?
 山、川、建物・・・好きな物は沢山あるだろう。
 なぜ他のものを描かないのだろう?

 今は確かに海を描いている。絵を描くことと海を描くことが一体化している。有り余る情報の中で、脇目を振らずに海を描いている。なんという情緒の安定さ。それは強情な気質の反映かもしれない?他を見る余裕の無さなかもしれない?


 上に掲載した作品は今年の道展入選作です。非常にリアルです。海をピンクに描くことの多い学生が海らしい色で写実的に描いています。奇をてらった大仰な表現は無く、海の大きなうねり、躍動感・存在感をリアルに表現しています。余りに素直な自然との対話に驚いてしまった。

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~

 プラハ2+dという美術施設の2階にシカク・ギャラリーがあります。8畳?の真四角な部屋です。最近は仲間の個展を連続して開いている。間違いなく間断なく開いているのです。訪問者は少ないし、身内意識が強いから一般への広がりは期待できないでしょう。それでも発表者にとっては将来のためには大事な場です。
 今回は今泉東子さんも在廊していて、場所の紹介が出来ます。何かの用事でこの辺に立ち寄る機会があったら、顔を向けて下さい。


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     ↑:入り口傍の廊下に飾られいる作品。「何処にでもあるような」。
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     ↑:一面。
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     ↑:一面と二面。
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     ↑:三面と四面。左から、「これから」、「たいせつなひと」

 小品ばかりです。彼女は来春に教育大学の研究院を終えるので、大作はその卒業展?に出品するのでしょう。道展と卒展の間隙に小品制作で気持ちを高めているのでしょう。そういう意味ではとりたてて注目すべき作品ではないのですが、彼女が海に取り組む姿勢に個人的に強い関心があるので、シカクの紹介と同時に記録しておきたいと思います。

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 ↑:左から、「海を探した日」、「まだ少しだけ」。



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     ↑:左から、「仲直りしよう」、「何処にでもあるような」。


 タイトルを読めば分かるように、全ての絵は擬人化された心象と理解して構わないでしょう。少し少女的感覚が強すぎるとは思いますが、これが絵に込めた画家の正直な気持ちなのでしょう。同時に仮の言葉でもあると思う。

 この人が今後どう変化、深化していくのか?5年、10年、20年という間隔で見ていきたいがそれは不可能です。
 画家の気持ちは心象でしょうが、海には画家の思い以上のものがある。それが画家の意志を超えて表現される時に、海そのものの存在がぱっくりと目の当たりにすることができるかもしれない。

 海。今泉・海を越えた海を今泉・海に見てみたい。

 

by sakaidoori | 2008-12-23 23:41 | (シカク) | Trackback(1) | Comments(4)
2008年 12月 23日

860) ①ミヤシタ 「藤田真理・展」 12月11日(木)~12月28日(日)

○ 藤田真理・展

 会場:ギャラリーミヤシタ
    中央区南5条西20丁目-1-38 
    (西向きの民家)  
    電話(011)562-6977
 会期:2008年12月11日(木)~12月28日(日)
 休み:月曜日(休廊日)
 時間:12:00=19:00 
     (最終日は ~17:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(12・)

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     (↑:外から玄関を撮影。)

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 暗室仕立てのインスタレーション展です。ここミヤシタ・ギャラリーでは3年連続の同形式の個展。今年は企画グループ展ですが芸術の森と本郷新彫刻美術館で、同じ方法で参加していました。刺激的でした。


 今回のタイトルは「断層」。

 こういう展覧会は初見の意外性が大事です。コメントや写真は会期終了後に感想と同時に載せます。もっとも、写真写りは全くダメです。暗がりの中での薄明かり、ぼんやりと灯火が見えるばかりで何の事だかはサッパリ分からないでしょう。

 今月の28日までです。年末、大変でしょうが栄通好みの作家&作品です。見てもらいたいと思います。


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          (↑:今展のDM。)

by sakaidoori | 2008-12-23 12:49 | ミヤシタ | Trackback | Comments(0)
2008年 12月 22日

859) ②市民ギャラリー 「2009 第2回 道展U21」 12月17日(水)~12月23日(火)

○ 2009 第2回 道展U21
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年12月17日(水)~12月23日(火)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~17:30
     (初日は 13:00~、最終日は ~16:00まで)

 主催:道展
ーーーーーーーーーーーーーー(12・21)

 好みを中心にして載せていきます。

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  ↑:奨励賞・渡邉ゆきの(札幌平岸高校)・「昔日」。
 全てが縦縞で赤茶けた世界。
 背景処理の一工夫に、画材を垂れ流して心象ムード強める方法があります。この絵の良さはそういう垂れ流し気味の縦線を絵の具象の世界に完全にのめり込ませている点です。あくまでも書かれた物その物に情念を込めている処が良いと思うのです。
 色は骨太でブルーな心象を反映している。暖簾?の不思議な七色、全体の赤茶けた世界。「昔日」を超えて「今、日(いまじつ)」です。


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  ↑:角田美友(岩見沢東高校)・「優しい玉葱」。
 玉葱の皮は剥ぎやすい。薄く透けて見える。その一枚を剥いだ時、玉葱の本体が美しく曝け出される。美しくもゾクッとする存在を大きく描いているのが良い。


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  ↑:姫野やよい(札幌大谷高校)、「立冬」。
 きっと絵としては未完成で未熟な所が多々あると思う。でも、対象に大きく迫ろう、大きく描こうとしている。対象のオーラを見つめる学生の視線
、対象そのものの形を絵として動かそうとしていている感じ。


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  ↑:則峻介(札幌西陵高校)、「to the Forest」。
 以前にこのブログで西陵高校男子の風景画を載せた事があります。名前を載せれなかったので、断定は出来ませんが、断定して間違うと赤恥をかきそうですがおそらくその学生の作品です。よほど彼の作風は僕好みなのでしょう。
 緑中心で優しい。ところが、緑に色にドップリと描き手が漬かりきっていて脂汗をかきかきベッタリと絵筆を運ばせている姿が想像される。その粘着さが僕を魅了するのだろう。異界(森)を感じる独特の嗅覚、いちど会ってみたい学生です。


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  ↑:奨励賞・千葉美香(札幌国際情報高校)・「この街のどこかで・・・」。
 見事な夜景です。原画は写真のようには見えません。写真のような載せ方になりました。千葉さん、ゴメン!現代日本画を見る思いです。


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  ↑:道展U21大賞・堀内萌未(札幌西陵高校)、「metronome」。
 今展の最高賞です。自分好みが選ばれると嬉しいのですが、昨年度の最高賞との傾向の違いに驚きます。昨年は基本がしっかりした作品を選んでいました。今回は見ても分かるように、ドローイングを散るばめた学生の溢れる思い、自由さ、遊び心です。
 サーッ、もっとっもっと自由に大きく行きましょう。


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  ↑:本間美穂(札幌平岸高校)、「犬のきもち」。
 犬のとぼけた普通の顔と、首を絞められて苦しんでいる人の顔のコントラストが愉快。
 「犬は平気な顔をして飼い主を殺せれるのよ!油断しないでね」


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  ↑:左ー浜辺萌(札幌平岸高校)、「溺愛」。
  ↑:右ー奨励賞・高橋和佳奈(札幌平岸高校)、「情報社会」。

 続けて平岸高校の学生作品を載せてしまいました。全くの偶然です。彼女達の表現様式と僕の好みが重なっているのでしょう。
 「溺愛」、全体が淡いピンクの世界。顔がリアルです。反してポーズが苦労というか工夫というか、ぎこちなさが目を惹きました。
 「情報社会」、顔を新聞で包んでいる。人間と社会との関係に着目する作品も見たい!「美術表現」が、どれだけ社会を批判的に捉えられるかは分かりません。若い方は何にでもチャレンジしてもらいたい。そういう姿を見たい。


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  ↑:中山絵美里(札幌西高校)、「夏の日射し」。
 ドーンとこちらに向かってくる表現、こういう普段の目線とは違った感覚が好きなのです。アメリカン的ベタベタした色合い、納豆のような粘着質を発展させてもらいたい。


 受賞者を中心にした作品紹介のほうが、この展覧会の特徴が分かると思います。非常に質の高い写実力だと思います。ですが、高校生を中心にした展覧会を質を中心に述べても仕方が無いと思うのです。彼・彼女達の未熟な表現の中でこそ感じる僕自身との波長の刷合わせをして見ました。

 高校生中心と書きました。専門学校・短大・大学からの学生の参加も沢山あります。そういうところに所属していない人もいます。決して高校生ばかりではないのですが、「高校生中心」と書かせてもらいます。


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  ↑:優秀賞・川島みゆき(札幌大谷短期大学部)「夢想」。
 この夏、セントラルで大谷短大関係の展覧会でこの作品を見ました。輪島進一張りの色や線の流れ、寄り添い合う羊達を優しく表現しています。
 再び会うことができた。

by sakaidoori | 2008-12-22 14:48 | 市民ギャラリー | Trackback | Comments(2)
2008年 12月 22日

858)  ①市民ギャラリー 「2009 第2回 道展U21」 12月17日(水)~12月23日(火)

○ 2008 第2回 道展U21
      
 会場:札幌市民ギャラリー
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年12月17日(水)~12月23日(火)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:10:00~17:30
     (初日は 13:00~、最終日は ~16:00まで)

 主催:道展
ーーーーーーーーーーーーーー(12・21)

 実に盛況な作品数です。入選者666名(そのうち受賞者69名)、総数735名のおそらく735点の666点の作品数です。
 会場出入口に工夫がしてあります。大広間に通じる普段の入り口は出口専用です。横の方が入り口で、区切られた部屋に入っていくのです。その部屋に各種受賞作品がびっしりと2段組に展示されています。普段の大広間は3段組でやや実力の劣る壁面作品が一挙大公開です。


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 ↑:市民ギャラリーのホール会場。

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 ↑:入り口直ぐの受賞作品中心の部屋。

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 ↑:天上の高い大広間。立体作品が少ないのが幸いして、3段組の作品群が広々と見れる。

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 あまりハチャメチャというか勢い勝負という作品はなくて、一所懸命に作画に取り組んでいる姿勢がうかがえて気持ちが良い。確かに実力的に温度差はあるのですが、そういうのはあまり気にならない。

 それにしてもこの作品数、昨年から始まったのに凄い入選数だ。おそらく応募数の大半を展示していると思う。作品の取捨選択というよりも、学生の発表の場を増やす、彼等の作画意欲を高めることが主催者の趣旨でしょう。同時に、道展参加作家は美術の先生や顧問をされている方が多いので、彼等の普段の美術指導意識や創作意識を間接的に向上させようという狙いもあると思う。

 道展関係者の美術先生に、学校単位での出品要請があるのだろう。当然なことだ。その成果がこの作品数と意欲だ。
 それにしても悩ましい問題が発生した。これ以上の展示は不可能に近い。会場を2階にも広げるか、公募展らしく入選作品を選ぶ(応募作品を落とす)のか。大盛況の道展若者展は嬉しい悩みを抱え込んだ。

 個別作品を続けて②で書きます。

by sakaidoori | 2008-12-22 12:14 | 市民ギャラリー | Trackback | Comments(0)