栄通記

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2007年 02月 28日

80) 時計台 ㊤「北の日本画展」 ~3月3日まで

○第22回 北の日本画展
 第1回企画展 「北の息吹」

 場所:時計台ギャラリー 2階3階全室
    北1西3 札幌時計台文化会館・仲通り南向き
    電話(011)241-1831
 期間:2月26日~3月3日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

 時計台ギャラリー全室を使った展覧会です。
 昨年3月には近代美術館での20周年記念展、その後時期は忘れましたが、21回展はセントラルで開いていました。そして今展。わずか1年の間に3回も「日本画集団」の絵画をまとまって見れたのです。レベル、意欲、企画力、参加作家の確認と鑑賞者にとっては本当に嬉しいことです。

 作家集団の意欲の現れでしょう。本展の「北の日本画展」と併設して、今後3年間、テーマを決めて企画展を同時開催との事です。初年度の今展は「北の息吹」会員の中から20名が参加しての展覧会です。成功したかどうかは別にして増加する会員の発表意欲、展示のメリハリ、鑑賞者の好奇心と良いことだと思います。もっとも、テーマが余りに幅がありすぎて、テーマによる緊張感が生まれないのは残念です。たかだか3年、3回の企画です。テーマそのものが魅入るような事を考えてくれると嬉しいです。

 2006年3月の段階での会員数は80名。今展は総勢46名の参加。全く栄通の好み、興味で2回に分けて写真紹介をしたいと思います。敬称は省略。

f0126829_23205329.jpg 中野邦昭。左「天の川」、大仰さが無くていいですね。民家シリーズの一作ですが空や手前の木々が以前にない自然さで好ましいです。右「千の風」、この作品は1月にも発表しているのです。水の流れ出てくる所とか、何となく背景とか書き足しているように感じるのです。だから凄く良く感じるのです。たまたま作家がいたので一言確認しましたが、「ノン」という返事です。納得しがたいですが気に入った作品です。


f0126829_23323754.jpg 平野久美子、風にのって」。この手の長いのと、女性のポーズ、四辺形分割の画面構成にひかれました。








f0126829_23352840.jpg 袴田睦、「悠」。木のシルエットと、一番手前の木の黒さが僕の目をひきつけます。

    





f0126829_23401342.jpg 池田さやか、「深雪」。女性のあどけなさ、ボリューム感、背景の雪の装飾性とふくよかな大きさ。かなり好きです。









f0126829_2344272.jpg 小林文夫、「白花緑映」。闇夜の、輪郭くっきりとしっかりたたずむ草花、黒と草花の明快さ。









f0126829_23485521.jpg 馬場静子、「彩」。他に赤く日本画的に燃える作品が少ないので、何が何でもこういう作品を推奨します。
  
 以上、「北の息吹」展より。






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 吉川聡子、「抱」。
 今展で勝手に大賞をあげるとすれば、この作品です。何の権威もありませんが「栄通賞」であります。

f0126829_9283343.jpg 田村直子、「エクステ」。一瞬何が描かれているかわかりにくい。目の下で切っているからでしょう。もし、全体像を描かれていたら、迫力も面白みもないと思います。
 作家はデザインの仕事もされているとのこと。キャラクターの先入観を利用して自由に日本画に取り組んでいるようです。他に「早く」




f0126829_9383450.jpg 朝地信介、「揺らぐ種」。一目ではこの作品が日本画だか油彩画だかわかりません。日本画と知らされて、描かれた建物の輪郭線に残り香を感じるだけです。画材としてのジャンルを離れて彼の作品には強い関心を持っています。徹底して追及してもらいたいですね。他に「無機質なふくらみ」




f0126829_9465377.jpg 伊藤洋子、「リマト川の秋」。油彩のようにヨーロッパの建物のある風景を得意とする人だとおもいます。人間臭を突き放すような冷ややかな空気感。公園や街並木をかくことはあっても人を描くことはあまりありません。






f0126829_955927.jpg 皮膚の人・野口裕司、「white skin under」。この作品もジャンルに拘らないで見たほうがいいのでしょう。向こうと此方の狭間にある皮膚、アンテナとしての皮膚、自分を自分らしくする為の皮膚・・・・・。

 まだまだ載せたいのですがこのへんで止めておきます。今週の土曜日までです。



 



 
 

by sakaidoori | 2007-02-28 23:50 |    (時計台) | Trackback(2) | Comments(2)
2007年 02月 28日

79) 資料館 「WHITE ROOM」(4人展) ~3月4日まで

○ WHITE ROOM  4人展
anna oilpaint
haruka textile
nanaco oilpaint
midori japanesepaint

 場所:札幌市資料館2Fミニギャラリー4室
    大通西13 (旧札幌控訴院)
    電話(011)251-0731
 期間:2月27日~3月04日(日)
 時間:9:00~19:00

 二十歳前後の若い人たちのグループ展。

 資料館の楽しみはこういうのが時々見れることです。冬場は比較的空いているので、展覧会経験の腕試しに作品発表という根性作りに活用されればと、いつも思っています。

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 ↑:床に白い布を敷き詰めてホワイト・ルームにすること。清楚あるいは静寂な部屋というよりも、リラックスした女の子の遊び場というムードです。敷き方があっさりしているのと、輪っこを置いてケンケン遊びをしたくなるからでしょう。「白い部屋」にするにはまだまだ工夫が必要と思いますが、彼女達の意思はしっかり伝わってきます。出来ばえ以上に好感が持てます。床作りはハルカさんの役割でしょう。

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 ↑:アンナさんこと高橋杏奈さんと自作の前で立ち話。大谷短大専攻科美術1年総合造型コースに通っています。油彩で小品は「旅」シリーズ、旅に思いをはせる心象風景。大作は「浄化されていく」白い部分の形が面白いなと思ったら、大根が発想の基とのこと。それが浄化装置のようにして画面を支配しています。小品はムードが出てると思いましたが、大作はことさら描かれるものが少なくて空間表現が大変だなと思いました。受け答えがしっかりしています。自分の作品、仲間の作品、真剣に語ってくれました。


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f0126829_17593872.jpg ↑→:アンナさんの説明によるとミドリさんは東北の大学生とのこと。日本画で、何かを描くというよりもボックス・アート風にしたり音符を描いたりして、知的操作を試みているみたいです。木目調の色彩が印象的でした。「その中と外」「物質の変化」「音楽」他。




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 ↑:ナナコさんは昨年道展で協会賞を取られた方。一昨年青年心理を描いた人物群像はわかりやすかったですが、最高賞は随分と絵画的テーマが込められていて一作では分りづらかったです。小品が並んでいましたが、人物心理に強い関心があるようです。「意」「人物」他。

 普段見慣れた展示とは違い心地良く見ることができました。来年も大変でしょうがしてもらいたいです。

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by sakaidoori | 2007-02-28 16:17 | 資料館 | Trackback | Comments(0)
2007年 02月 28日

78) sosoカフェ 「YOMI個展」 終了

○ YOMI個展 「もう一度言うよ 僕に君の夢の話をしてくれないか?」

 場所:SOSOカフェ
    南1西13 三越ビル1F・電車通、北東角地、東向き
    電話(011)280-2240
 期間:年2月3日(土)~2月27日(火)
 時間:11:00~21:00

 元気の良い個展だ。大きくドカーンと何のけれんみも無い作品があった。

 圧巻は壁一面に取り付けられた世界地図とめくれるコンパネ大の絵本だ。

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f0126829_14525144.jpg 彼女は10代にオーストラリア留学の体験を持つ。当地で、日本人だから広島の話を聞かせてくれという趣旨の出会いがあったという。日本人なのに何も広島のことを語れなくて口惜しい思いをしたという。帰国時に家に帰る前に真っ先に広島に行ったという。この世界地図は彼女の世界体験、平和へのメッセージだろう。プライベート・ルームや喫茶厨房へ行く部分は空いた状態だが、多分描ききっているのだろう。10mmほどの厚さの発泡スチロールを壁に取り付けやすいように適当に区切って描いている。小学生用の国別色分け地図だが、彼女に「一本取られたなー」という感じ。国別なのが形作りには治まりがいいのではないだろうか。それと、「現実を直視せよ」と作家は言っているのでは。沖縄、台湾などが無く、パブアニューギニアも2色だと思うが、単なる間違いだろうか。参った参った。

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 次は絵本だ。
 巨大ブックス・アートともボックス・アートとも呼んでいいといいと思う。めくりは滑らかとはいえないが、なかなか上手く作っている。奇想天外ではないが「大きいことはいいことだ」大人の絵本ですね。色を変えたほとんど同じ図柄に長々とメッセージが大文字で書かれている。僕は文章の中身よりもあっけらかんとした自己主張・表現の虜になった。
 以前、ANEX(門馬ギャラリー)で彼女の油彩を見たことがある。動物を画材を沢山使って描いていた。広い部屋で発表したらどうなるのだろうと思っていたが、こういうことなのかと再認識した。地図見ての夢、絵本めくっての夢、「もう一度言うよ 僕に君の夢の話をしてくれないか?」

 此処は喫茶店だがだだっ広いメイン・ルームは椅子もテーブルも移動は自由自在でインスタレーションの会場のようだ。観覧料としてコーヒー一杯400円と紹介したくなってしまう。この日は最終日ではないが、クロージング・パーティーが行われていた。知り合いが来れば、テーブルを組み木のように継ぎ足していった。

 油彩画が3点あったと思う。1点はお客さんがいてタイトルを含めて確認できませんでした。
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 彼女は三岸好太郎が好きだという。蝶は彼に触発されて描かれたものだろう。今回の油彩は原色カラフルという感じではない。

 次会えるのが楽しみな作品である。橋本理巳子(はしもと・よみこ)さん、20代中葉の作家。

 (写真上段:「大きな世界」 コラージュ、アクリル、クレヨン、発泡スチロール、壁紙 2700×5400。写真下段:左・「たくさんのものを手にできなかった日」 アクリル、コラージュ 1130×1460.右・「蒼い象」 油、ニス 910×1170。)
 

by sakaidoori | 2007-02-28 14:09 |     (カフェ・soso)  | Trackback | Comments(0)
2007年 02月 26日

77) 時計台 「PISTOL 2(齋藤周&武田浩志2人展)」 終了

○ PISTOL 2
    齋藤 周 &武田浩志(Azukepanpan)2人展

 場所:時計台ギャラリー 2階A室
    北1西3 札幌時計台文化会館・仲通り南向き
    電話(011)241-1831
 期間:2月19日~2月24日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

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 ピストル、女性が保身用の小さなピストルを袂から「パーン、パーン」と撃ったような展覧会だった。イギリス貴族はこのピストルを被った帽子の中に忍ばせていた。、脱帽して他人に会うのは「わたしはピストルを持っていません」という意思表示であった。レディー・ファーストもピストルから自分を守る為の楯として女性を使っていたのが起源である。ジェントルマンとはかくも隠微できわどい存在である。

 綺麗な展覧会だった。手馴れた美人が腕を伸ばしてピストルを撃ったような緊張と、かすかな白煙が余韻を保つように。

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 「撃つ」「対決」ということでいえば、齋藤さんのほうが意識が強いようだ。作品は「撃たれる標的」のようだ。床には「撃たれた残骸」としての作品群もあった。
 彼の作品は比較的横広がりが多い。これは仕方のないことで、視線を上下に動かす攻撃的運動、感覚よりも、両目が左右に並んで焦点以外はぼやけていて、ぼやけた部分に自然に焦点が行くという均衡感、安心感という美意識が齋藤さんの根底にあるのだろう。作品には少年が少し背を曲げているか細い優しさを感じる。画題としては圧倒的に女性しか描かないのだが。
 女性に潜む少年心は時に飛び跳ねもする、走り回ることもある、おもちゃのピストルで打ち合いたくなる、「禁じられた遊び」もする。そういう少年心の起伏が齋藤絵画の1枚1枚の小さな絵としてパズルになって、アメーバーのようにいろいろな形に群れなすのだろう。赤や緑に輝きながら、白い海を漂いつつ。
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 武田君の場合はどうなのだろう。
 齋藤周さんの意識が撃つ人ならば、彼は「撃ってください、構いません」と、優しげに手を大きく広げて待ち構えているようだ。作品群は生理をなるだけ出さないように、綺麗に綺麗に纏めている。誰かの作品にヒントを得たようなピンクの絵も遊びとして展示していた。僕は若い男性がピンクを多様することに抵抗を感じている。それは「空、青くて綺麗ですね」と書いて、文章表現が成り立つと思っているのと同根のような気がするからだ。だが武田君の桃色は自己表現としての色ではないようだ。彼は自己表現ということにどの程度の関心を持っているのだろう。齋藤作品の中にある少年のような優しさとは違う。知的な行為としての美術活動とそういうことを他人と一緒にせざるをえないような優しさを感じた。知的な人間の優しい表現は見る人に小賢しさを感じさせる時もある。今のところ何を制作しても「美」にまとめ上げている。彼は絵を描くことが好きだったと思うのだが自分の「美術」を信用しているのだろうか。群れて活動してもいるから他人の「美術」は好ましくもあり、信じているのであろう。武田君、君は若い。自分の「美術」を狭く決め付けないでもらいたい。君は相当に賢い人と思う。まだまだ君の気づかないことは沢山あるだろう。
 CAI展以来の武田ワールドに一応の言葉を書くことができた。僕は彼との面識はない。偏見はしないように自己努力はした。誤解は沢山あるだろう。次からの作品鑑賞で変更していけばいいだけだ。だらだらと長くなったのは不可解な作品群を不可解を前提にして、書き進むことによって自分なりに像を作ろうとしたからだ。
 
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追記:上の作品は二人の合作です。どこが誰だか楽しんでください。
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by sakaidoori | 2007-02-26 12:12 |    (時計台) | Trackback | Comments(1)
2007年 02月 25日

76) 「藤山由香展」・油彩 ~3月4日まで

○ 藤山 由香展   Unlimited

 場所:ギャラリーミヤシタ
    南5西20-1-38 西向き  
    電話(011)562-6977
 期間:2月14日~3月4日(日)
 休み:月曜日
 時間:12:00~19:00 (最終日17:00)

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 中品が3点、他小品が7点ほどの展示。

 心象的抽象画ということになると思います。
 青を基調にして白が按配されているという感じです。作品そのものとグッと対峙せよというよりも、作品を壁に並べて壁全体が青に通じる宙(そら)とも海とも青の織り成す心象世界とも感じてくれたら嬉しいですという作品です。おかしなものです。この3年程見ていると、D .M.を手にすると「青と白」の人だなと思い、強烈な印象ではないのですが、懐かしくなって見てしまいます。おそらく年々少しは変わっているのでしょうが定かではありません。そういう変化をしっかり記憶にしまいたいと思ってこのブログを始めたような物です。
f0126829_23553644.jpg 帰りしなにご本人に会うことができ、しばしの会話。想像していたように若い女性でした。此処での個展は5回目のこと。具象絵画に悩んでいて抽象的なものを此処の画廊をしって描き始めたそうです。おそらく初めは手探りだったのでしょう、描くことは好きだが何を描いたらいいのかわからないという悩み。ギャラリーというものはそういう作家の新たな指針のキッカケにもなるのですね。



f0126829_2358069.jpg 僕の感じてる範囲では彼女は倦まずに今回の作品の連作をされていると思います。このシリーズに入ってはや5年、これから変化の時になるのでしょうか。白はナイフを使って削っているそうです。鋭さを感じるのはその為でしょう。布をスポンジ風にぽんぽんとしてもいるそうです。
 青系色と白とのせめぎあいが来年はどうなるのか確認に来ましょう。色が増えているのか、分離しているのか、見心地に変化はあるのか・・・・。

 記帳テーブルにD.M.用の作品が置いています。18cm×14cmという小さなかわいい物です。葉書は鋭さがきついですが、実物はいろんな物が凝縮した感じで良品です。忘れずに見ていって下さい。

 写真上段:中品、ノンタイトル。写真中段下段:小品、ノンタイトル。
 個展の総合タイトルは「無限、極まりなし」

by sakaidoori | 2007-02-25 23:56 | ミヤシタ | Trackback | Comments(0)
2007年 02月 25日

75) テンポラリー 「藤谷康晴ライブ・ドローイング」 (終了)2月23日(金)

○ 藤谷康晴ライブ・ドローイング
     「肉体 VS CONCRETE FICTION」

 場所:テンポラリー スペース
     北16西5 斜め通・西向き
 期間:2007年2月23日(金)
    電話(011)737-5503
 時間:11:00~19:00

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 2回目のライブ・ドローイングです。僕は落書きライブといってます。彼の落書きの特徴は何かしら書かれた物の上から落書きをするのです。f0126829_21453697.jpg1回目のそれは近所の道路に布をあてがい、上から鉛筆でこすって道路の凸凹(模様)を剥ぎ取り、その布を支持体(描かれる物)にして落書きをしていました。約1メートル×7メートルの布の支持体でした。この作品は今回適当な四辺形に裁断してパッチワークのように縫い合わせ、二階に飾ってありました。ほとんど原型を残さない大風呂敷になってしまいました。作品を知っている者にとってはなんとももったいない話です。これはこれで演劇の飾りとしての小道具や、ファッションショーなどの衣類としてテキスタイルとして使えそうです。

f0126829_21464583.jpg 今回は完形としての作品に落書きをするのです。メインは円い実物大のマンホールの蓋と四角い排水溝の蓋を描いたものです。実に几帳面に描かれていています。その周りはいろんな肉性響く模様を描き込んでいます。その作品の周りに小さい四角形の心象の投影のような模様を描いた厚紙を飾っています。これにも落書きをするのです。本当に実に惜しい。この模様の出来具合は間違いなく秀逸です。
 修正液が画材です。筆で丁寧に丁寧に、時に素早く書き込んでいくのです。描き込まれた支持体は下地色になり白がだんだんと画面を支配していき見る人はその行為に描かれた図柄に楽しむわけです。

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 落書きは午前11時から始まります。夜の7時まで、この日は食事をすることもなく2,3度の用足しだけ。先程説明した量では1日落書きは足りません。昔1階には天井があったのですが今は吹き抜けにして、その天井の名残のような所にA 4版の道路の剥ぎ取り(フロッタージュ)の紙を張り、二階部分の壁にも紙を張り、その上から落書きをしていました。こちらはノートの紙ということで、クレヨンのような黒い物で手を汚し、壁も少し汚しながら落書きを続けます。足元が怪しいので見がいがあります。観覧にきたお客さんはあんぐりと下から上を見ているわけです。真剣な顔、おかしくて笑いを我慢している顔、藤谷君と同じように2階にいる人は備え付きの椅子に座りきちんとした姿勢で見ています。

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 藤谷君から声がかかります。「丸島さん、7時になったら教えて下さい」手は休めませんが、穏やかな顔をこちらに向けて頼みます。前回もそうでしたが、携帯のアラームを7時にセットして・・・・・その時になり音が鳴り、ディ・エンド。やはり拍手をしたくなります。何人いたでしょうか、7,8人でしょうか、なごやいだムードです。前回は男ばかりで7人でした。たたく拍手も力強く、意気揚々としたエンディングでした。

f0126829_21523119.jpg 出来上がった模様はいろいろ想像されて、名々が物語を作ることでしょう。僕の場合は図柄に対する感心よりも行為とその意思に感心しています。2、30年以前でしたら、こういうパフォーマンスも特異ではなかったかもしれません。逆立ちで2,3時間歩行しているのを見たことがあります。今のような時代に淡々とエネルギー全開で、自分の作画スタイルを人前に自己主張するとはたいしたものです。何の意味があるのかと問われれば彼も返事に窮するでしょう。
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 食事も撮らない藤谷君はほほもこけて青ざめた顔です。
 先日ライブをした酒井君が友情出演のフォーク・ライブ、聴き終えて僕は帰りましたが余韻はいつまで続いたのでしょうか。

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by sakaidoori | 2007-02-25 22:17 | テンポラリー | Trackback | Comments(6)
2007年 02月 25日

74) 小林麻美ギャラリー訪問記(訪問記①)

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 小林さんのアトリエを訪問した。この3月一杯で閉鎖予定の曙学舎の一室である。油の臭う部屋に案内される。以前に一度だけ建物内を散策したことがある。彼女の部屋とガラス越しに見覚えのある作品をとうして、彼女の「場所」を確認していたので始めてという感じはしない。旧教室は広い。3人の共同使用ということだが、意識は彼女の占有空間に集中することを強いられる。

 日時を決めての画家訪問は始めての経験だ。何やかにやと好条件が重なり訪問を決意することができた。僕が小林作品をどう思っているかは36番の記事を読んでもらいたい。

 訪問には目的というものがある。少なくとも、この記事を書くわけであるから取材という側面はあったはずだ。聞きたいことをまとめておき、確認し、新たな疑問や気付きを掘り下げ文章化しなければならない。言語化できない点は留保、判断の停止をもって暖めておくようにしなければならない。残念というか情けないというかほとんど何一つできなかった。2時間半ほどの対話だった。冗談などほとんど無く、「小林にとっての絵と、小林作品と知人の作家考」だった。録音を蘇らせれば濃いい「小林麻美とその作品」として纏めれると思うのだが、対話というライブになって、精神の充実はあっても、個々の言葉は記憶の回路から遠ざかってしまった。物書きという職業人の並々ならぬ努力と才能を思い、自身の準備と自覚を高めなければと反省している。今回は言い訳じみた言葉から始まってしまった。今後も作家のいるアトリエで話がしたいと思っている。不覚の思いを記しておきます。
 取り留めなく思い出すままその時のことを書き進めてみます。今日書かねば、本当に印象すら忘れてしまいそうだ。

 
f0126829_133356.jpg アクリル用の真白きキャンバスの後ろに「世紀の具象展」に出品した作品があった。それを表に出す。その影に「これは未発表です。いろいろ問題があってこのままにしています」という中品も表に出して、その作品を常に目にしながら話は進行した。

 あらためて小林絵画の興味を記しておきます。
 絵画の中の不等質な空間描写、それを見ることによって非日常性を絵画的に体験するということがまずあります。このことは作品を見ることによっていろいろと判断すればいいことですから、彼女との会話は質疑にはならない。確認はできたと思うが、彼女自身が言語化できる「不等質な空間描写」「不均一な距離感」まで引き出すことはできなかった。というより、会話としては「何かそういうものを表現したいのだろうな、僕は見たいものだな」という辺りをうろうろするばかりで、会話を楽しむばかりだった。未完成の作品は小林絵画を語るのにいいテキストになった。あまりこの作品のことを具体的に語ることはできないが、今までの作品傾向と少しずれているから会話を膨らますのには絶好であった。「どこが違うのか」「焦点の位置はどうなのか」「人の描き方の違いはどうしたことか」「異時空間は実現されているのか」「僕はこの絵にこんな期待をしたい」などなど・・・。彼女は実にチャンと応えてくれる。応えながらどこか自問自答気味になり、いろんな表情をさらけ出す。・・・(ああー、何て人の悩ましい顔は綺麗なのだろう。僕はこういう表情を見ると思考が止まってしまうのだ。ただぼんやりと女性の顔を見てしまう。会話の中身を忘れた原因に、絵を描く人のある側面を垣間見ることによって、僕自身が気後れしてしまったのだ。画家魂に触れたのだ。「見ること」の意識を高めねばならない。)

 聞きたいことの一つに、「空間表現にとっての顔なし人物描写の問題」があった。人を描くのに特別な意識があるようだが、その点を聞くと明快な返事が返ってきた。「あんまり意識していません」意外な返事だったので、肝心なことを聞き忘れた。「絵画の中に滲み出る小林麻美の生理と、この人間臭さと先程の不等質な空間表現との絡み具合はどう相計っていくのか。生理は捨象される物なのか、独自の小林ワールドのキーになるのか」思えば聞きたいことをチャンと聞かなかった。が、楽しい会話だった。楽しければ良いのかと問われれば辛いが、今回は良しとしたい。
 

 思い出せばまだまだ瑣事を書くことができるだろう。だが、今の段階では今度の訪問記の記録はこれで充分だろう。文章の濃さには恥じ入る面が多くて、小林さんには申し訳ない。多くの時間を頂きながら許して頂きたい。

 ありがとう御座いました。


追記
 以前、此処に小林さんの写っている写真がありました。
写真掲載の確認が不十分だった点がありました。小林さんに迷惑をかけました。申し訳ありませんでした。
 

by sakaidoori | 2007-02-25 02:11 | ◎ 個人記 | Trackback(1) | Comments(6)
2007年 02月 24日

73) エントランスホール 「櫻井マチ子展」・油彩 ~3月4日まで

○ 櫻井マチ子展 (エントランスアート第37回)

 場所:北2西2
    STV北2条ビル エントランスアート
    電話(011)207-5062
 期間:2月12日~3月4日(日)
 時間:月~金 9:00~18:00
     土・日  9:00~16:00

 新道展会員、櫻井マチ子さんのロビー展。

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 外の歩道から見える2点を含めて、9点の出品。(写真:左、「Boys Be Ambition Ⅳ」S80 右、「のんのん」F100。)

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 桜井さんの油彩はデザイン的カラフルさと、画題のユーモア、セクシャルさが特徴です。セクシャルさといっても「チョッとエッチね、なかなかエッチね」という感じです。

f0126829_12311124.jpg 入り口左側の作品。メインの壁面ですから、作家がもっともみせたい作品が並びがちです。というのもかなり離れた向かい側にベンチがあるので座って遠目に見ることができるからです。(写真:左、「お姫様はわたし Ⅰ」F120 右、、「お姫様はわたし Ⅱ」F120・・最近の代表作だと思います。)




f0126829_123859100.jpg ベンチがあるバックの壁面。階段が上を走っているので、穴蔵のような感じがします。
 櫻井さんは場所を考えたのか、次の写真を含めてカラフルさはトーン・ダウンして、緑でまとめたみたいです。多分旧作のシリーズ物だと思いますがやや大人の雰囲気になったようです。もっともタイトルは若々しいですが。(写真:右側、「Boys Be Ambition Ⅰ」F120。左側、、「Boys Be Ambition Ⅱ」F120。)



f0126829_12481392.jpg ベンチから先の廊下の作品。(写真:左右は「Obsession」。中央は「Boys Be Ambition Ⅲ」F120。)

by sakaidoori | 2007-02-24 12:53 | STVエントランスホール | Trackback(1) | Comments(0)
2007年 02月 24日

72) 資料館 「ある二人」・写真 ~25日(日)まで

○ 鈴木絢子・伊藤也寸志 二人展  「ある二人」

 場所:札幌市資料館2Fミニギャラリー2室
    大通西13 (旧札幌控訴院)
    電話(011)251-0731
 期間:2月20日~2月25日(日)
 時間:10:00~19:00

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 北海学園大Ⅰ部写真部員、鈴木さん(4年)と伊藤君(3年)の2人展。

 「ある二人」といっても、鈴木さんと伊藤君の「この二人」を互いに撮り会った写真展。生活空間としての部屋や街、旅を思わせるような背景の写真をそれぞれにまとめて展示しています。

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 一見してこの二人は恋人同士かな、同棲してるのかな、と思ってしまいます。服装は下着ではないのですが、朝の目覚めのまどろんだ空気感のなかに、やや緊張した二人の表情。男性はそれほど見ていて楽しめるものではないのですが、けっして美人とはいえない女性の表情、仕草は個性的でなかなかいいものです。部屋を背景にした写真が多いのも若きカップルの生活を連想してしまうのでしょう。そして、誰が取ったのだろうと不思議な感じになってくるのです。アングルも仕上げも統一されていて、被写体を追及した個展と勘違いしてしまうのです。そこがこの二人の今展の意義なのです。二人展の二人という境界を怪しげなものにして、それでもこれが二人展と気付かされた時に観者の思考はどうやってこの展覧会をまとめようかと思考の回路が走り回るのです。部屋ー街ー旅もその為の手段でもあるのです。「この二人の関係はなんなんだろう」という疑問も個展性を際立たせる為の手段でしかないかもしれません。かなりのしたたかさです。

 帰り際に伊藤君と会ってしまいました。話す中で彼の1年生時のグループ展の写真を思い出しました。ユリイカでの夏でした。写真は白も黒もビカビカ光り、強烈に自己主張をしていました。本人も黒顔に笑みを浮かべて野生的でした。1年生ですから、地方の青年が札幌に出てきて周りに負けずにがむしゃらに遣っているという感じです。写真の雰囲気が変わるのには何の驚きもありませんが、これはど知的な展覧会をするとは予想外です。

 1年前に構想を決め、以来二人で写真を撮り合い集積し今展になったとのこと。ほとんど初期の構想にブレはなかったということです。持続力、粘着力が作品発表には大事なことなのだ。

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by sakaidoori | 2007-02-24 11:23 | 資料館 | Trackback | Comments(2)
2007年 02月 23日

71) タピオ 「寒桜忌展」 ~24日(土)まで

○ 寒桜忌展  -うただより・今井和義へ<没後3年>-

 場所:タピオ
    北2西2・中通り東向き・道特会館1F
    電話(011)251-6584
 期間:2月19日~2月24日(土)
 休み:日曜日
 時間:11:00~19:00

 現代美術を発表し、歌人でもあり、文芸批評を発表していた今井和義君の弔い展である。参加者は太田ひろ、大友洋子、鈴木功一、斉藤邦彦、高坂史彦、竹田博、名畑美由紀、林教次の8名(D.M.より。敬称は省略)。

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 初め朝日歌壇・NHK歌壇を、その後短歌人会員。享年46歳。

f0126829_1042777.jpg○ 陽だまりは猫二匹ぶん射しておりミニサボテンが欠伸している

○ 反撃を読み切りナノ秒速く跳ぶマルチナ・ヒンギス精緻な獣

○ 言の葉は電波となりて浮遊する空一面の不可視の砂塵

○ 満たされぬ飢え持つ鴉ひもじくて飽きることなく嘴を研ぐ


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 僕は彼との面識はない。作品も2度ほどタピオで見た記憶はあるが定かではない。
 
 苦い思い出がある。
 4年前、タピオで「短歌我報[1]」というA4版1枚のミニコミを手にした。創刊の挨拶として「『身辺雑記+いろいろな歌人の歌+言葉に関するもの』といったラインで書きすすめていきたいと思います。・・希望される方は切手を送ってください」という趣旨のことが書かれてあった。その記事が特別に面白かったわけではない。短歌に強い興味を持っていたわけではない。いい機会だから定期的に読みたいなと思ってしまった。あいにく、いつものずぼらでそのままになっていた。そして、1年後の突然死。

 昨年、「短歌我報」以前の「うただより」百号を借りて、コピーして全部読んだ。欠番が2号あったが。彼の言葉によれば「へたれた文章」を挿みながら、友への作歌の勧め、自身の短歌の推敲過程、歌論、文芸論と回を重ねるごとに『文芸批評家』としての顔が際立ち始めて読み応えがあった。その知識は短歌を作り始めたから文芸書を読み始めたというものではない。おそらく文学青年であったのだろう。短歌制作は「うただより」によると1999年初冬で、初制作、朝日歌壇への初投稿、初入選ということになる。文章のレベルは素人の域を超えている。おそらく生活の悶々と精神状態が命を縮めることになったのだろう。服用していた薬と体調との絡みで帰らぬ人となったという。
 「人はいつか死ぬ」という知識がある。「いつ死ぬかわからないが、太陽が東に昇るように明日も目覚めるだろう」という前提で生きている。それにしても、50歳を過ぎてからエネルギーの低下と、視線の後ろ向きが多くなった。

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 写真上:右から名畑美由紀、大友洋子、左3点は斉藤邦彦。
 写真下:林教司 「悲しき玩具」

by sakaidoori | 2007-02-23 01:12 |    (たぴお) | Trackback | Comments(4)