栄通記

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2010年 04月 11日 ( 2 )


2010年 04月 11日

1261) 時計台 「外山欽平・絵画展」 終了・4月5日(月)~4月10日(土) 

○ 外山欽平・絵画展

 会場:札幌時計台ギャラリー 2階A室
      中央区北1条西3丁目
       札幌時計台文化会館
      (東西の中通りの北側にあるビル)
     電話(011)241ー1831

 会期:2010年4月5日(月)~4月10日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

ーーーーーーーーーーーーー(4・11)

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 抽象画家・外山欽平氏の今年のお題は「M」です。
 以下、全てF100サイズ。


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 氏の場合、何を描くかという問題からはあっさりと解放されている。アルファベットを毎年一つずつ描き続けると決めている。何故かはここで問う問題ではないだろう。それは画家の決断の問題だから。「何を描くか」という問題からは解放させてはいるが、より深い探求の契機になったかは結果が示すことになるのだろう。だから、見る方も長きに渡って画家を追体験していくことになる。

 今展、色合いなりの大きな変化は無いのだが、絵の発散するムードが変わった。激変と言えるかは微妙だが、それに近いものがある。

 まず、氏独特の濃厚な垂れ模様が激減した。顔料が今までのように分離しなくて、垂れないからとのこと。そのことに画家は余りこだわってはいない。だから、絵がスッキリした。
 そして、「M」という字面の影響かもしれないが、人体が踊るような意匠になった。それはマチス張りの動きに見える。マチスほど人間臭いボリューム感はなく、やや繊細な感じ。同時にデザインの要素が大胆に浸入してきたみたい。そもそも、抽象とデザインは兄弟というか鬼っ子的関係だから、見かけ上の近似はおかしいものではないのだろう。おそらく画家自身が、こみいった「M」という意匠に取り組んで、今までに無い心境になったのかもしれない。「凄み」から「軽るみ」という変化だ。

 それはともかく、今展の大作は今週からの北海道抽象派協会展のための作品群だ。そこでは個々バラバラの作品としてではなく、全体の意匠として楽しむことができる。一つ一つはその為の部分でしかない。その全体の様子も報告したいと思います。

by sakaidoori | 2010-04-11 21:59 |    (時計台)
2010年 04月 11日

1260) テンポラリー 「『触れる -空・地・指』 (教育大3年3人展)」 終了・3月23日(火)~4月4日(日)

○ 触れる ー空・地・指ー
    秋元さなえ 太田理美 森本めぐみ
    (北海道教育大学岩見沢校美術コース在籍)


 会場:テンポラリー・スペース
     北区北16条西5丁目1-8
     (北大斜め通りの東側。
      隣はテーラー岩澤。)
     電話(011)737-5503

 会期:2010年3月23日(火)~4月4日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00

ーーーーーーーーーーーーーー(3・22)

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 天井、壁、床と見事な棲み分けをしている。互いに目配せし合っているようで、心なごむ空間でもある。
 今展は「あたかも個展のような3人展」という言葉に尽きるようだ。
 もし、3人が「一つの空間を作ろう」ということならば、「よろしい3人展」だと言える。それぞれの個性重視よりも共同空間重視という立場だ。何の為の一つの空間?3人全員が教育大学岩見沢校の空間造形研究室四年生だから、共同研究の試みとしては頷ける。個よりも場であり、生理よりも空間だ。

 だが、3者の緊張関係を不問にした融合展であることは間違いない。
 自然の「棲み分け」は共生関係ではあるが、決して優しいものではない。他者の絶対的排除を前提にした棲み分けだ。だからその境界領域は血みどろの格闘の場である。個が餌を占有する為の生きる知恵だ。
 自然の本質は人間の倫理的解釈とは無縁な存在だ。だが、人の世界はそれでは身が持たない。社会というテリトリー内部で、相互のテリトリーを認め合う境界、人間らしく保つ術(すべ)の一つの試みが今展のなのだろう。
 だが、なぜに一つになる必要があったのだろう?発表という行為はどんな時でも自己主張だ。まとまる所とまとまらない所が露わになるのを確認する場だ。その意味では「よろしくない3人展」と断じたい。


 会場は特徴ある空間です。以下、個別紹介する中で、場の全体雰囲気が少しでも伝われば幸いです。


○ 森本めぐみの場合

 手に落花生を持つデッサン群が作品です。


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 興味尽きない作品群だ。修行中のデッサンであり、現在ただ今の作家心を訴える「手のデッサン展」だ。
 形はピーナッツを持てる手だが、「手」を描いている、「手」の可能性を描くことによって「人」という視覚的量塊を見つめている。優しくピーナッツを愛でる手ではあるが、強烈な個性の発露でもある。そして今展は森本めぐみの強烈な個に絡み合い、応えあい、優しい眼差し触れ合い展になったのだろう。
 それは森本作品から鋭さを削ぐことにもなった。優しさだけが一人歩きしそうだ。

 会場に綺麗なフライヤーが用意されていた。副題に「空・地・指から、空知・指へ」とある。教育大学の在る岩見沢市が空知支庁に属している。彼女達の足下を見つめる標なのだろう。
 「空知」、雄大で清々しい名だ。「天知る、地知る、心知る」、晴れやかな気分になる。
 「空知」の由来は滝川市の石狩川に注ぐ「空知川」を起点にしている。「空」とは何ら関係しない。空知川の中流に大滝があり、そのアイヌ名「ソ・ラプチ・ぺッ(so-rapchi-pet) 滝が・ゴチャゴチャ落ちている・川(処)」(山田秀三・解)に因るという。
 僕はこの沢山の手を見ていると、まさに岩盤の上をゴチャゴチャ流れている川を連想する。ピーナッツは石だ。ゴチャゴチャする力強さ、その力は水が高みから低みに流れるように一つの方向性を示しているようだ。


○ 太田理実(オオタ サトミ)の場合

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 何と愛すべき作品だろう。安田侃ばりの無垢な白さと形態だ。彼ならば自作を「宇宙の造形」と誇らしげに言うかもしれない。太田理実は密やかに「愛の形」とつぶやくかもしれない。秘め事を告白された白いアオムシは恥じらいでピンクに染まるかもしれない。
 次回は大作を見たい。「他者を寄せ付けない愛の姿」を。


○ 秋本さなえの場合

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 手作りの拙くも可愛い鳥が飛んでいるだけ。ただそれだけなのだが、なんとも哀愁を感じてしまった。見上げる視線に影も映っている。
 あれは子供の頃だった。手作りで作った紙飛行機を投げては拾い、拾っては投げる。面白いというわけでもないのだが、時間が許す限り無言で繰り返していた。明るい頃からの遊びは、黄昏時の闇の訪れも目に入らない。暗さに気づくよりも、飛行機の影が新たに遊びに浸入して、影と飛行機と手の動きが絡まりあっていく。遊びの終わりはいつも決まっている。食事を告げる母親の声だ。

 鳥は猛禽類のトンビだろうか?だとしたら、彼はただ遊びの為にクルリと輪を描いているわけではない。下界の獲物をねらっているのだ。白きアオムシはトンビが目に入っているのだろうか?無防備に恋を語り会っていて大丈夫だろうか?


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 以下、栄通の妄想。
 指はピーナッツを握りつぶしたくて、その手前の余韻を楽しんでいるのかもしれない。白いムシは柔らかそうな肌に似合わず、もみ手をしながら相手を飲み込むかもしれない。その肌の美しさは相手の命の代価かもしれない。鳥は寂しく彼等の傲慢さを見ているだけかもしれない。生きものを食するのは定めと悟って。

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 その日は重たい雪が間断なく降っていた。

by sakaidoori | 2010-04-11 14:58 | テンポラリー