栄通記

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2008年 12月 25日

864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)

○ 所蔵品作品展第3期 三岸好太郎の世界
    ~三岸の魅力再発見
 
 会場:三岸好太郎美術館
    中央区北2条西15丁目
    (知事公館北側。入り口も北向き)
    電話(011)644ー8901
 会期:2008年11月1日(土)~1月18日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:9:30~17:00
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 常設展です。
 それなりにここは見ているほうですが、初めて見る作品も展示されていました。三岸ファンでしたら、チョッと顔をだしても損はなさそうです。

 それと今展の展示にはいつもとは違う工夫があります。
 作品の横に参考資料として写真作品を展示して、作品をより深めようとしています。確かに面白い。一方で、活字がどうしても多くなるので、絵画それ自体を楽しむには目障りかもしれません。公共美術館が教養としてのビジュアル展示にチョッとチャレンジということでしょう。 

 色々と面白いパターンがあるのですが、「海」と「ピエロと花の共通構図」を載せます。


○ 「海」シリーズ。1933年~34年。

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 (↑:「海」・ともに1933年~34年制作。)

864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)_f0126829_1113039.jpg 展示解説には二つのことを指摘しています。
 絵画の面白発見という意味で、上の作品のサインに注目しています。「S.Migishi」と描かれています。これは好太郎の妻の節子の自筆によるものです。彼女が売る時に書き添えたのです。
 次に、絵画上のことで水平線の位置の変化や海と空だけという構成上の研究。それと、次の「貝殻シリーズ」や「海上を飛ぶ蝶」の連作への予兆を見てます。

 ところで、この「海」の連作は現在までに6点しられていて、当館『館報NO.18・(2001年12月)』で当時の主任学芸員の苫名真・氏がその制作時期の特定という作業を通して、制作時期の好太郎の意図やこの海の意義を語っています。
 結論から言うと、1933年~1934年かけて。「断定は出来ないが・・」という前書きで、1933年10月~翌年の3月以前と推論しています。
 そして、「1933年の前衛的実験をくぐり抜けた後に、再びフォーブ的表現に立ち戻った」ということになります。
 苫名氏は三岸の画業を基本的にはフォーブ的なものとして捉え、それが全面に押し出される時期と、絵画上の研究が強い時期との変遷として捉えています。この場合のフォーブという言葉は感情爆発的表現というよりも、ロマンチック漂う情緒的なものと理解したほうがわかりやすい。

 苫名氏の三岸研究ばかりを書いてしまった。そのことが言いたかったのではないのです。美術学芸員が考古学の研究者のように、作品をなめるようにして接する態度、そのことが驚いたのです。たった6枚の作品が、地層(人生)のどの当たりかを比較確認していく、相対年代を細かく推論する。そこから導き出される総合的な見識、推理小説を読むようなワクワク感がその研究ノートにはあった。優れた発表というものは、そういうものだろう。(説明文と参考写真との整合性が悪く誤植もあり、読みづらかったのが残念。簡明な文章で良い論文です。)

864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)_f0126829_12125576.jpg ちなみに、「海」を描く頃の好太郎はサインをフランス風に描く癖があったそう。末尾は一定しないが、「gi」→「gu」と描くのです。下の作品のサイン、分かりにくいので画像処理しての掲載です。
 「K.Migishi」とあります。苫名氏は自筆を疑っています。売る人がサインの無い絵は名画にあらず、と思って書き加えたのでしょう。



○ 「ピエロと花の構図」

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864) 三岸美術館 「所蔵品展第3期 三岸好太郎の世界 ~三岸の魅力再発見」 11月1日(土)~1月18日(日)_f0126829_044063.jpg
     (↑:写真による参考作品。「道化役者」・1932年 222.2×167.2。)
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     ↑:「白百合」・1932年。

 この「白百合」を見るのは初めて。
 同年に描かれた大作との構成上の類似を指摘しています。本当に似ている!画家29歳の時です。画題もサイズも違っているのに、似た絵を描く。若い時にこそできることでしょう。

 彼の才能のは認めるが、こういう似た絵を目の当たりにした時に、これからの人でもあったと強く思う。もっとも時代は自由なロマンチシズムを認めない空気が強くなっていった。戦争が終わって10年は長生きしないと、彼の更なる魅力は発揮できなかっただろう。
 突然の病による死ではあったが、妻・節子は自殺と同じ感覚で捉えている。彼の死で彼女自身は「自分は生きれる」と悟った。そういう男があの時代に後20年生きれたか?自由奔放にしたいことを手掛け、向こうの世界に勝手に行ったのだろう。悔いが残るとすればフランスの地を踏めなかったことだけだろう。妻と息子がその代わりをしてくれた。


 今展はこんな工夫が一杯。また見に行こうと思う。初見の作品は載せるかもしれない。

 
 

by sakaidoori | 2008-12-25 23:45 | ☆三岸好太郎美術館


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