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栄通記

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2008年 12月 21日

857)テンポラリー 「斎藤紗貴子写真展 ~キャノンはない。携帯がある。」 12月16日(火)~12月21日(日)

○ 斎藤紗貴子・写真展
    「キャノンはない。携帯がある。」

 会場:テンポラリー・スペース
     北区北16条西5丁目1-8
     (北大斜め通りの東側、隣はテーラー岩澤)
     電話(011)737-5503
 会期:2008年12月16日(火)~12月21日(日)
 休み:月曜日(定休日)
 時間:11:00~19:00
ーーーーーーーーーーーーーー(12・20)

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 麻紐が強くビシッと張られている。クロスに重なり、クの字に折られた3本の線。それらに洗濯物のように30数枚の写真。A4版。

 写真は全てぼやけている。言葉どおり心象風景だろう。どんな?

 展示の意図は一番上の写真、正面の展示風景で説明できるかもしれない。
 三つの視線がある。
 一つは、御来光のような日輪の写真。上下に刺す日の光は麻紐のクロス点にピッタリと重なっている。紐は強く張られているから、光は一点から離れることはない。クロス、十字(死)の象徴だろうか?
 一つは、その写真を振り返って見つめる猫。展示には同じ猫が幾つも登場する。それぞれに役割があるのだろうが、この猫は撮影者自身だ。十字の日輪を振り返り気味に眺める、過去への眼差しだ。
 一つは、左奥に大きなピンクの花びらが献花の様に強く自己主張している。
 撮影者自身の何かの儀式に見立てての展示であることには間違いない。

 だがそんな末法臭いことから離れろう。見る人間は作者の意図に関係なくもっと自由に作品や会場を楽しめば良いのだ。
 会場を裏に廻って見渡せば、写真の裏の白が新鮮だ。水で洗い清められた世界のよう。撮影者は、「洗濯の紐なのよ」と語っていた。漂白された日常の彼女の視線なのだろう。垂れた写真は時間とともに反り返るので、撮影者はクルクルっと丸めて平らに伸ばす。まるで洗濯物を干して、パンパンと皺を伸ばしているよう。その仕草が手馴れていて、少し踵を上げて背を伸ばした姿が可愛くもあり凛々しい。


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 作家は「穴」が好きだ。
 それは中心点への迫る場合、外に拡がる中心からの心の動き、何かを窺がう覗き窓の場合・・・いろんな姿でカメラという目に登場する。
 レンズの傷が2点、太陽黒点のようにいつもそこにある。作家の無頓着さが思わぬ効果をもたらせている。
 ぼやけた写真だが、中心点が明快だから不快ではない。心象写真だろうがムードに流されてはいない。

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 「キャノンはない。携帯がある」。無骨なタイトルだ。おそらく宣言文だろう。「無い物にこだわっても仕方が無いは。携帯があるじゃないの、私がいるではないの。大好きな猫だっている。それで充分だは」。よくは分からないが、新年を迎える門立ち展かもしれない。献花とクロスが眩しいから。

 今年はキャノンがない。次回はニコンがない。次々回はフジがない。「携帯もない。それでも私の写真展」、いつまでも続く齋藤展だ。そう約束して分かれた。

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by sakaidoori | 2008-12-21 12:30 | テンポラリー


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