栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2008年 12月 20日

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円

○ マリー の上映会
 ICCに現在滞在中のマリーの新作アニメーション作品の発表を含む上映会とアーティストトークをおこないます。

 【日時】 :12月16日(火) 19:30 ~ 21:00
    (上映時間は約50分程度)
 【料金】 :500円

 【会場】 シアターキノ
     中央区狸小路6丁目南3条グランドビル2F
     電話(011)231ー9355

 【問合せ】 特定非営利活動法人 S-AIR(エスエア)
     豊平区豊平1条12丁目1-12
     インタークロス・クリエイティブ・センター (ICC) 401号室
     電話 (011)820ー6056

※ マリー・ホセ・サンピエール  Marie-Josee SAINT-PIERRE (Canada)

 オランダ在住のカナダ人映像作家。実写とアニメーションを組み合わせたドキュメンタリー的な独自の技法による映像を製作。代表作「マクラーレンの世界」は 2006年さっぽろショートフェストでコンテンポラリー賞を受賞したほか、140の国際映画祭で上映されています。

ーーーーーーーーーーーーーーー(12・16)

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_22104236.jpg

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_22114757.jpg

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_22141389.jpg

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_22174751.jpg


 上の写真は上映会終了後の作家・マリー、通訳の男性&書家・樋口雅山房のトーク・シーンです。

 映画は4本。見た印象を書きます。正確な解説はパンフを見て下さい。

 ① 「分娩後に」 ・10分 2004年 16mm ドキュメンタリー 

  カラーによるドキュメンタリー・タッチの女の歴史。テーマはズバリ、「誕生、そして女とその女系という時間軸」。
 妊婦が泳いでいる。赤ん坊が誕生。赤ちゃんは泣く。海がある、洗濯場がある、赤ちゃんは祖母から曾祖母へ物の如く移動する。ことさら「子供と愛」という描写ではない。子供を産む女と子供を運ぶ女と、女の血が時を埋めている。強くて綺麗な映像。


 ② 「マクラーレンの世界」 ・10分 2006年 35mm アニメと実写によるドキュメント。

 マクラーレンは成功した伝説的アニメ動画家。彼の特徴はフイルムに直接絵を描くこと。当然その画像はコミカルで、肉感性がある。
 マリーはドキュメントが好きだ。アニメも好きだ。実写の間にマクラーレン物語をアニメでユーモラスに語る。想像の世界だ。そしてマリーのアニメは揺れている。いつもいつも気ぜわしく揺れている。皮膚の産毛が何かに感じてノイズしているのだ。
 物語はサクセス・ストーリー、彼の成功談で大団円。マリーもマクラーレンを好きに料理して音楽に乗って大満足の仕上がりである。


 ③ 「パッセージPassage・産道)」 25分 2008年 35mm アニメ・ドキュメント。

 台詞はフランス語、字幕は英語の白黒アニメ。見るこちらは日本人だから頭はバイリンガル・トリリンガルでかなり意味不明。作家の実話であり、ユーモラスにシビアーに社会告発、間違いなく作家の代表作になるだろう。
 出産を待ちわびる若き夫婦(作家とその夫)。なぜだか出産体制が宜しくなく、赤ちゃんは仮死状態で誕生。この辺の妊婦と医者・医療体制と赤ちゃんを善玉・悪玉風ににスリリングなアニメ仕立て。作家の得意な揺れる画像が、医者の愚かさ妊婦の不安描写に効果満点だ。アニメでも見ているほうはテーマが「誕生・赤ちゃん・命」だからはらはらどきどきして見てしまった。
855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_2394355.jpg
 (↑:病院への怒りを燃える現場として象徴的にアニメ化。エス・エアーのブログからお借りしました。下の作品画像も同じです。)


 ④ 「札幌プロジェクト」 ・7分30秒 2008年 デジタルアニメ(未完成)。

 ようやく我が愛する書家・樋口雅山房の登場である。今作がレジデンス期間中に制作されたもの。テーマは、簡単に言えば書家の文人的な挿絵を漫画仕立てで一人歩きさせて、ユーモラスに楽しんでいるのだ。バックの音楽がトンコリのトキオキで、揺れる画像と踊るうさぎや蛇の映像とコミカルで歯切れに良い音楽が一体となって、あっと言う間に一巻の終わりであります。特にストーリーはありません。書家の字や漫画がアニメ作家によって好きなように自由に料理されたのです。
 それにしてもこのアニメ、どれだけマリーが書家と交流を持ったかは知りませんが、良く理解している。アッパレ!

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_23211455.jpg
 (↑:書家の字と、画家のアニメ。この画像はイントロで、音楽にのって字から生まれた獣達が自由闊達に遊びまわります。)


 時間が経つのが早かった、それ位見せること長けた映像でした。当然質は高い。

 マリーは基本的にドキュメンタリー作家でしょう。テーマは「人・女・誕生・生命という時間軸。それらを包む文化という空間軸」です。そして気分は二本立てです。カラーでリアルにビシッと迫る。ユーモラスに人物に迫る。その間をアニメが行き交っているのです。単なるアニメでは命が無いから、揺れる画像にして見る人達にスイングさせるのです。

 それにマリーは美人です。誰が考えたのか時期外れの浴衣姿、ピンクが良く似合っていました。


855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_23433878.jpg

855) シアターキノ 「マリーの新作アニメ上映会とトーク」 終了・12月16日(火) 19:30 ~ 500円 _f0126829_23444250.jpg


by sakaidoori | 2008-12-20 22:20 | ★その他


<< 856) 槌本紘子のストックホ...      854) コンチネンタル 「油... >>