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栄通記

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2008年 12月 14日

848) ①HOKUBU記念絵画 「版画常設展」  10月23日(木)~12月28日(日)

○ 版画常設展

 会場:HOKUBU(ホクブ)記念絵画館
     豊平区旭町1丁目1-36
     電話(011)822-0306
 会期:2008年10月23日(木)~12月28日(日)
 開館日:毎週木・金・土・日曜日
 時間:10:00~17:00
 料金:一般300円、小中生200円 

ーーーーーーーーーーーーーーーー(12・12)

 明治維新は美術を一変させた。
 しっかりした伝統版画(木版画)の技術を持つ日本ではあったが、西洋絵画との出会いは衝撃的だった。創作・独創性ということや、石版画やエッチングという未知の版画に出合い、職人的技としての版画からの脱却が課題になった。
 一方で明治の社会環境の激変は職業としての版画師の職場を奪い、新たな時代要請の中で版画を捉え直すことでもあった。

 創作版画の確立、すべてはそこに帰する。それを自創・自刻・自刷で実現することでもあった。職人としての版画師・業師から、表現者としての版画家になることだ。
 新聞や雑誌という新たな大衆情報誌の中に発表と生活の足場を固めていくことでもあった。

 本展はその明治後半の版画黎明期から戦後の初期までを大雑把ではあるが、木版画によってその流れを確認しようとするものだ。
 2階が小振りな作品を中心にして、黎明期から戦前まで。
 3階がより大きな作品で戦前戦後の初めまで。

 現代のような大仰な個人主義の作品は全然ありません。
 人物画や風景画の中に当時の風景観、絵画感を、古拙なるが故に楽しめるとというものです。

○ 2階。

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     ↑:山本鼎、「漁夫」・1904年。
 日本近代版画黎明期の代表作として、必ずでてくる作品。明治37年の出来事です。三岸好太郎が生まれる頃の話です。

 物知りの冒頭文でしたが、言葉で書けれるのはそこまでです。版画史の細かい具体的なことは知りません。以下、展示作品の中から適当に個別作品を載せます。


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 ↑左:恩地孝四郎、「女俗選野内 桜」・1944(昭和19)年。
 ↑右:織田一磨、「モデル」1922(大正10)年。

 「モデル」、女性の顔の下手さ加減に笑ってしまった。苦労しているのですね。


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 ↑左:藤森靜雄、「羽田の秋」・1932(昭和7)年。
 ↑右:亀井藤兵衛、「車中の人」・1945年前。

 
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 ↑左:前川千帆、「みかんと柿」・1946年。
 戦後すぐの作品だからでしょうか、顔や姿が随分とくつろいでいます。

 ↑右:谷中安規、「葬葬行進曲」・1933(昭和8)年。


 2階はマニアックな部屋でした。古き良き時代のロマン、試行錯誤の画題のとらえ方などなど、版画らしい部屋でした。


○ 3階

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 ↑:畦地梅太郎。左から、「槍ヶ岳」・1952(昭和27)年。「大野原小松池」・1949(昭和24)年。

 いっぺんに畔地ファンになってしまいました。写実に捉われない自由な表現が良いですね。人物、目が特徴的です。古代エジプトの顔と同じです。体は横を向いて、目はこちらを向く。強い個性的な目を感じます。人物は漫画的なのですが、それだからこそ近代的人間を連想してしまう。
 風景、全然写生的でない。一つのイメージと思いますが、不思議と別の世界に引き込まれてしまいました。
 畦地梅太郎、きっと有名な方でしょう。

 (②として、もう少し3階の個別写真を載せます。)


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 僕はここの知り合いでも宣伝マンでもありませんが、札幌という地方の地元の美術環境を多くの人に知ってもらいたいと思っています。企業運営のギャラリーは周りが勝手に盛り上げないともったいない。企業業績によって撤退もあるでしょう。それは仕方が無いことです。新たに業績の良い企業が登場してくれれば良いことです。そういうムードを作ることが大事です。もっともっと企業ギャラリーを盛り立てて、出来ることなら彼らにもっともっと前にでてきてもらいましょう。
 北武絵画記念館、来年こそ一度は足を運んでみて下さい。

by sakaidoori | 2008-12-14 11:33 | ☆北武記念絵画館


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