2008年 12月 11日
○ M企画 Logs/River/City (河田雅文・展) 会場:テンポラリー・スペース 北区北16条西5丁目1-8 (北大斜め通りの東側、隣はテーラー岩澤) 電話(011)737-5503 会期:2008年11月4日(火)~11月16日(日) 休み:月曜日(定休日) 時間:11:00~19:00 ーーーーーーーーーーーーーー(11・6) (テンポラリーでは刺激的な個展が続いたのですが、書き逃してしまいました。遅れていますが、段々と書いていこうと思います。まずは河田雅文・展から。) ![]() ![]() ![]() 対立的な2部構成の展示。 新聞チラシが壁一面にびっしり貼られている。マンション販売のチラシを逆さまに貼り、その上から明るくハッピーパラダイスのゲームセンターのチラシ、チラシ、チラシ・・・。全体が合衆国の形に見えた。 現代社会の風刺なのだろう。作家は以前にも旧テンポラリーでマンションチラシだけの展示をしていた。安直でしかも精度の高い新聞のカラーチラシに思い入れが強い人だ。スピードコマ送りで、無意味なデジタル画像の連続を見ている雰囲気。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() もう一つの展示、これは抜群に面白かった。 床をくり抜いて取り付けられたモニターでの映像鑑賞だ。およそ1時間、ただただ流れている。 撮影者は近くの川に自転車で入り、川の流れに沿ってゆっくりとゆっくりと辺りの景色を写していく。 自宅界隈の庭景色も撮っている、その中に蜂の巣も出てくる。地上付近の草の密生した処に蜂の巣があるのだ。だんだんと近づいて、蜂の接写をしていく。「蜂に近づいて、嘘でしょう」と声が出そう。カメラの目と作家の呼吸と蜂の距離感、刺されるというささやかな緊迫感で気分が高まり、妙に人間臭くリアリティーがある。 映像には河田雅文の心臓のリズムがある。座って屈みこんで見る、という設定が良いのだろう。思いのほかにリラックスして見続けてしまう。 カメラは現場撮影で意図的被写体なども感じないし、二次加工もしていないだろう。とても「優しく」て「リアル」で、カメラの虚構性を忘れてしまいそうだ。 際立った被写体などは無い。人工湧泉の流水式の映像が異質ではある。いきなり出てきてテレビの報道番組のよう、どこかよそよそしいカメラ目線だ。 映像は自宅の近くから始まって、街の中の川に入るという発想の展開があり、全てはゆっくりと進む。それは観者とカメラと作家を一体化させる手法でもある。流水式の場面からはゆっくりだがカメラは時空を飛んで行く。、一気に画家の直接会話の思想に導かれる。儀式の水は集まり枯葉を抱いて美しく流れていく。鮭の遡上する所に飛ぶ。生きた鮭がいる。カラスがいる。産卵後の死んだ鮭。骨となって自然の摂理を滲み出す。一気に川を下って、青空が写り、海がそこにある。そしてエンドレスの映像は初めに戻ってゆったりと流れる。 そこには何一つ嘘は無く、カメラという虚像があたかも実像のように忍び込んでいる。壁のチラシは現実の都市生活の虚構性を赤裸々に揶揄している。映像は河田雅文という個の生理を素直に出すという形式で虚構性がないように編集している。 表現者の虚実の感性を見る思いだ。少なくとも、「表現者自身の感性は実体としてそこにある」、という方法だ。見る者に共鳴感を与える。果たしてそうか?文明の虚実を問う人自身が、「実」と言い切れるのか?対象を批判的に見る人間が、その目に「虚」は無いのか?ユーモラスが知性の空間を埋めようとしていた。 それにしても、河田映像は心穏やかで心地良いリズムだった。 部屋には沢山のイスがあった。 Logs/River/City、(イスとしての)丸太、川、都市。 「イスの人、あるいは座って考える人・河田雅文」・展であった。 ![]() ![]() 会場には展示説明文も用意されています。興味のある方は大きくして読んで下さい。 ![]() ![]() ![]()
by sakaidoori
| 2008-12-11 20:44
| テンポラリー
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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