2008年 12月 08日
838) 品品法邑 「美水まどか・松原成樹 ~余白から」 終了・11月22日(土)~11月30日(日) ○ 美水まどか・松原成樹 余白から 会場:品品法邑(2階) (北郷13条通の北側。道路を挟んだ同じ北側に法国寺有り。) 東区本町1条2丁目1-10 電話(011)788-1147 期間:2008年11月22日(土)~11月30日(日) 休み:火曜日(定休日) 時間:10:00~18:00 (最終日は ~17:00まで) 企画:当ギャラリー ーーーーーーーーーーーーーーーー(11・29) 台に置かれて空間を占めているのが松原成樹さんの焼物。 壁を占めているのが美水まどかさんの重なる色と紙。 作品数は多いというものではありませんが、互いに時間を手繰るような世界で、余韻を楽しめる展覧会でした。 ○ 松原成樹 の場合 松原さんとお話しをするのは3回目です。今回は尋ねる前に、松原さんご自身から作品のことを聞くことができました。いつになく積極的で少したじろいだのと、作品を味わい尽くす以前の会話で戸惑ってしまいました。そういう時の僕の頭は作家のエネルギーに満たされて、話された記憶が飛んでいってしまうのです。嬉しい体験です。 上の写真の作品、石に骨で線を刻みこむ、というイメージです。甲骨文字を連想してしまいます。それは中国での有史の始まりを告げる出来事でした。漢字という文字の発生・発明です。我々日本人には直接の関係は無いのですが、それらがあたかも我等の文化のように遺伝子に組み込まれているところがあります。漢字使用が日本人の文字表現・言語活動に不可分の存在ですから仕方がないことでしょう。 松原さんは文字発生以前のイメージを楽しんでいるみたいです。「何かに、何かで、線を引く、それを残す」ということはどういうことなのかを自作を通して確認しているようです。 考古の人類史において、砂や土の上に棒で何かを描いていたのでしょうか?それは持て余した時間の一人の人間の楽しみ?あるいは仲間に言葉以上の説明の手段として?あるいは仲間同士の絆を深める為の行為として? それらが限られた儀式としての場所や空間としてでは無く、日常生活で営まれていたのでしょうか? 特に、空間に一本の線を引いて上下あるいは左右を分かつ、この行為は非常に思想的なものだと思う。 丸みを帯びて優しい松原作品の石・骨・線描き、人の歴史は血の屍の重なりの結果とも言える。非情な刻の流れを優しく手繰っています。優しさがイメージを膨らませるのでしょう。 ○ 美水まどか の場合 版画の為の写されるものとしての紙づくりが、その紙が一人歩きしてしまったのです。紙は色や水を吸い、何層にも重ねられて僕達の前に地層・表皮のように標本のように、静かに並べられています。 とにかく微妙な色のグラデーションが綺麗です。その重なりにはかなさを感じるかもしれない。ですが、はかなさと同時に力強くもあります。しっかりそこにある自然そのもの塊のエネルギーというものを感じるからでしょう。 今回は緑中心です。大地としての自然というよりも、緑なす自然景観の中に作家自身が身を置いて、心と植物世界との交流・観照の軌跡のようです。 松原さんは具体的な物を通して有史以前の刻の旅をしているよです。 美水さんは紙という物そのものを通して、見える自然から見えない自然の原点を探求しているようです。 展示会場は建物の2階です。階段を昇りきったところに芳名帳などが置かれた机があります。正面に美水まどかさんの赤い作品も展示。部屋の緑の世界を壊さない、それでいて緑を強調するといいう作家の意図でしょう。僕には緑だけの単一な世界では満足できない表現者・美水まどかの激しさを感じた。
by sakaidoori
| 2008-12-08 13:27
| (くらふと)品品法邑
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||