2008年 12月 01日
○ 藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会 ◎ ライブドローイング -黒い祭典ー 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー) 中央区南2条西2丁目 NC・HOKUSENブロックビル4階 (北西角地、北&西に入り口あり) 会期:2008年11月30日(日) 時間:14:30・オープン 15:00・スタート 料金:1,000円 ◎ 展覧会 -ウルトラサイレンスー 会場:(ライブ会場と同じ) 会期:2008年12月2日(火)~12月6日(日) 時間:11:00~19:00 (最終日は ~17:00まで) ーーーーーーーーーーーーーーーーー(11・30) ライブを見に行った。 ①ライブ作品考、②ライブ考、③展示作品考と3回に分けて書きます。 幸い、写真掲載快諾、有難う。 ○ ① ライブ作品考 何が起こるかは分からない無手勝流の線描ライブではない。2時間限定での公開絵画制作であり、仕上げきるというものだ。 左右に幅広の刷毛で何かを画いた段階で、絵画制作と認識した(写真①、②)。 ①は走る巨人、あるいは逃げる妖怪であり、②はそれを見つめる鳥獣だ。遁走するサルと、見つめるニワトリである。 あとは空間(背景)を画家はどう処理していくかだ。二つの存在の中間は両者を繋ぐ何かが描かれるだろう。純粋の背景は装飾的に覆われるだろう。そして、画材には印鑑を用意してある。その使用が最後という合図である。同時に強く日本画(伝統)を踏まえていることを主張している。実際、日本画的装飾で背景は塗りつぶされていくのであろう。 僕の問題意識は絵としての細密度の深まりよりも、余白をどんな感じで、どこまで残すのかに注目して見続けた。過剰なエネルギーで全部を塗りつぶして真っ黒にする・・・かもしれない。が、そうはならないであろう。仕上げを無視した白の余白が全体のバランスを崩すような、白い紙としての生理を晒(さら)すのを期待した。画家が統御できない視覚存在を「お手上げ」という状態で支持体に残してしまうことだ。 それは僕の好みを要求しているだけではない。藤谷康晴は「見えない何か」、「感じる何か」に捉われている人間だ。絵を画くことはそれにこだわることの一つの証である。だが、画いたからといって「目に見えた」と安心できる心理でもないだろうし、全容を画けるわけが無い。その辺の葛藤を絵として表現するには?全面を塗りつぶす。絵として細密で全面を覆い、余白の恐怖を避ける。あるいは、絵画放棄と受け取られない、画かれない、絵ではない部分を挿入する。ホワイト・ホールが人を誘うのだ。鑑賞者は絵を見て、絵から離れて幻想していくのだ。 ↑:太い骨格線を入れた後に細い筆で肉付けしていった。 その後に、二本の黒テープが貼られていった。 いわゆる絵としての背景処理作業だ。 ↑:出来上がった作品から黒テープを学ラン姿のスタッフが剥がしていく。テープは紙と引っ付いていて簡単には取れない。紙をむしる音が聞こえる。スタッフは思いの他の難事に、真剣である。見ているほうも緊張する。ある意味で本日の一番クライマックスともいえる。 スタッフは白い手袋をしている。この時までにライブでの細やかな片づけで手袋は汚れているのだ。はがしながら汚れが紙に引っ付いていく。 藤谷康晴君の迫力を久しぶりに味わうことができた。 作品としては予想の範囲内で終止した。「余白に対するこだわり」ということでは、期待通りには終わらなかった。僕の思い込みだから仕方が無い。 絵としても伝統的な世界に現代感覚を足したところで終わった。絵全体の破綻の魅力はないが、線描と線描の間に凄みを感じた。そういう意味では筆先と紙と墨との、接点のミクロの世界に魅せられた。 できれば年末の定例イベントにしたもらいたいが・・・。 今週の土曜日までです。他の作品同様に是非見に行ってあげて下さい。 若さのエネルギーの痕跡を確認して下さい。
by sakaidoori
| 2008-12-01 13:12
| 北専・アイボリー
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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