人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2008年 12月 01日

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)

○ 藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会

 ◎ ライブドローイング  -黒い祭典ー

 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー)
    中央区南2条西2丁目 NC・HOKUSENブロックビル4階
    (北西角地、北&西に入り口あり)
 会期:2008年11月30日(日)
 時間:14:30・オープン 15:00・スタート 
 料金:1,000円

 ◎ 展覧会  -ウルトラサイレンスー

 会場:(ライブ会場と同じ)
 会期:2008年12月2日(火)~12月6日(日)
 時間:11:00~19:00 
    (最終日は ~17:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(11・30)

 ライブを見に行った。

 ①ライブ作品考、②ライブ考、③展示作品考と3回に分けて書きます。
 幸い、写真掲載快諾、有難う。

○ ① ライブ作品考 

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_117493.jpg


826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11105643.jpg826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11122438.jpg










826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11153262.jpg
     ↑:①
826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11181673.jpg
     ↑:②

 何が起こるかは分からない無手勝流の線描ライブではない。2時間限定での公開絵画制作であり、仕上げきるというものだ。

 左右に幅広の刷毛で何かを画いた段階で、絵画制作と認識した(写真①、②)。
 ①は走る巨人、あるいは逃げる妖怪であり、②はそれを見つめる鳥獣だ。遁走するサルと、見つめるニワトリである。
 あとは空間(背景)を画家はどう処理していくかだ。二つの存在の中間は両者を繋ぐ何かが描かれるだろう。純粋の背景は装飾的に覆われるだろう。そして、画材には印鑑を用意してある。その使用が最後という合図である。同時に強く日本画(伝統)を踏まえていることを主張している。実際、日本画的装飾で背景は塗りつぶされていくのであろう。

 僕の問題意識は絵としての細密度の深まりよりも、余白をどんな感じで、どこまで残すのかに注目して見続けた。過剰なエネルギーで全部を塗りつぶして真っ黒にする・・・かもしれない。が、そうはならないであろう。仕上げを無視した白の余白が全体のバランスを崩すような、白い紙としての生理を晒(さら)すのを期待した。画家が統御できない視覚存在を「お手上げ」という状態で支持体に残してしまうことだ。
 それは僕の好みを要求しているだけではない。藤谷康晴は「見えない何か」、「感じる何か」に捉われている人間だ。絵を画くことはそれにこだわることの一つの証である。だが、画いたからといって「目に見えた」と安心できる心理でもないだろうし、全容を画けるわけが無い。その辺の葛藤を絵として表現するには?全面を塗りつぶす。絵として細密で全面を覆い、余白の恐怖を避ける。あるいは、絵画放棄と受け取られない、画かれない、絵ではない部分を挿入する。ホワイト・ホールが人を誘うのだ。鑑賞者は絵を見て、絵から離れて幻想していくのだ。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_1153492.jpg
826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11554491.jpg












 ↑:太い骨格線を入れた後に細い筆で肉付けしていった。
 その後に、二本の黒テープが貼られていった。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_11593743.jpg
 ↑:太いマジックで竹の筋のようなものを画いていった。これは実に素晴らしい。黒太で破線にしていくのだが、実にシンプルなことなのだが心で唸ってしまった。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_12535981.jpg
 ↑:手形を花びらのようにして叩いていった。竹に手花が咲いた。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_1382711.jpg
 ↑:木炭チョーク?で背景が塗られていった。チョークの腹で大きな波模様が蛇模様が画かれていった。遁走する巨人(サル)の砂塵とオーラの痕跡だ。強い線がアクセントを付けていった。
 いわゆる絵としての背景処理作業だ。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13214336.jpg
 ↑:僕は左の物体を逃げるサルとして見ていた。栄通の目をあざ笑うように、鳥を睨む目が描かれた。仕上がった左の妖怪は遁走とばかりは言えなくなった。それでも負け惜しみのように僕は言いたい。巨人の背から現れた体内妖怪、ソイツが目となって画面を支配しようとしているのだ。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13275282.jpg826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13304141.jpg










 ↑:出来上がった作品から黒テープを学ラン姿のスタッフが剥がしていく。テープは紙と引っ付いていて簡単には取れない。紙をむしる音が聞こえる。スタッフは思いの他の難事に、真剣である。見ているほうも緊張する。ある意味で本日の一番クライマックスともいえる。
 スタッフは白い手袋をしている。この時までにライブでの細やかな片づけで手袋は汚れているのだ。はがしながら汚れが紙に引っ付いていく。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13385214.jpg

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13395911.jpg


826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_1345196.jpg
 ↑:ライブ終了後、藤谷君はいつになく自分を語っていた。有料でも来て頂いたお客への感謝とお礼の気持ちだろう。あるいは、1年ぶりのライブということで、公式に語りたかったのかもしれない。

826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13413450.jpg


 藤谷康晴君の迫力を久しぶりに味わうことができた。

 作品としては予想の範囲内で終止した。「余白に対するこだわり」ということでは、期待通りには終わらなかった。僕の思い込みだから仕方が無い。
 絵としても伝統的な世界に現代感覚を足したところで終わった。絵全体の破綻の魅力はないが、線描と線描の間に凄みを感じた。そういう意味では筆先と紙と墨との、接点のミクロの世界に魅せられた。
 できれば年末の定例イベントにしたもらいたいが・・・。

 今週の土曜日までです。他の作品同様に是非見に行ってあげて下さい。
 若さのエネルギーの痕跡を確認して下さい。


826) ①アイボリー 「藤谷康晴・ライブドローイング&展覧会」 11月30日(日)~12月6日(日)_f0126829_13501420.jpg
 ↑:展示会場風景。

 

by sakaidoori | 2008-12-01 13:12 | 北専・アイボリー


<< 827)テンポラリー 「中嶋&...      ※ 栄通の案内板  12月(2... >>