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栄通記

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2008年 10月 22日

789) 大通・CAI02 「岡部昌生・展」 10月4日(土)~11月1日(土)

○ 岡部昌生・展
   「都市の/皮膚」のインデックス 2007-08

 会場:CAI02
    中央区大通西5丁目 昭和ビル・B2 
    (地下鉄大通駅1番出口。注意⇒駅の階段を下りてはいけません。昭和ビルの地下2階です。)
    電話(011)802-6438
 会期:2008年10月4日(土)~11月1日(土)
 休み:定休日は日曜日・祝日
 時間:13:00~23:00 

※ 期間中にリレー・トークショーや映像上映会なども予定。
    日程は決まり次第、CAIのH.P.に掲載とのこと。

 主宰:CAI現代研究所
ーーーーーーーーーーーーーーーー(8・21)

 素晴らしい展覧会だと思う。ことさら凝った展示でないのが良い。


 僕は彼の作品発表に2点の問題意識を持っている。

 一つはフロッタージュという手法のマンネリ化を華美な展示方法で「見せる展覧会」に置き換えていることだ。それは彼の剥ぎ取る(フロッタージュ)という強い美術表現を取替え可能な美術様式に置き換えすぎた。

 一つは彼は「広島」を強く意識している。その事自体は素晴らしい。だが、たゆたゆしい今日の時流の中で、その主張が中途半端な気がする。
 「広島」はいかに展示に工夫しても「広島」以上にはなれない。一瞬にして多くの命が消滅したということだ。しかもその焼け跡はむごたらしく、被災は深く静かに残り、傷跡をいつまでも塞ぐことはない。
 「広島」へのアプローチはいろいろあるだろう。人間の傲慢さ、戦争、科学の知、国家論・・・。

 北の地に住んでいて「広島」の語り部であることに驚く。日中戦争、太平洋戦争の主役である旧日本陸軍の跡地や痕跡は此処札幌でも沢山ある。自衛隊こそ旧軍隊の嫡子だ。それらに真正面から取り組むのも、発表しない「広島」への逆照射にもなると思う。だが、華麗に粘着的に「広島」にこだわる人に注目すべきなのだろう。

 今展、CAI02の地下室が展示の工夫への配慮を不必要にした。あまりにもその壁と作品とのマッチングが素晴らしい。きのこ雲のように作品が会場を覆っている。
 愚鈍に単純に発表を、熱い心と覚めた目と剥ぎ取る腕の行為、僕はそういうものに美術としての限り無き魅力を感じる。


○ ラオム(ルーム)1を左から載せます。(本来は右回りの展示なのですが、大判の作品が目に飛び込んできて、左から廻りたくなります。)
 ここでは「広島」がテーマ。ミナト・チヒロ氏、鯉江良二氏が引き立て役であり、同志的存在。
 二台のモニターから常に音がせわしなく流れている。「カシャカシャ・・・」、フロッタージュの音。

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 ↑:「宇品の土のドローイング」・一つが240×351cmの3点組 土 繊維 紙。
 圧巻の作品である。
 2004年に廃止になって久しい旧・宇品駅は取り壊された。今では記念としてわずかなレールが残るのみという。おそらく、その撤廃時にフロッタージュしたのだろう。
 広島港は宇品港とも言われ、市街地の直ぐそば。日清戦争以来軍用港として発展した。広島とはそういう都市なのだ。戦後残された軍事跡地をマツダが利用するようになった。被爆時にはその近さにも関わらず被害が比較的軽かったとのこと。救済活動の中心になったと聞く。

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 ↑:岡部昌三+鯉江良二、「土の記憶 1945/1990/2008 時の断章」・フロッタージュ 標本ビン 宇品の土のドローイング。
 先日来札された鯉江氏との合作?標本ビンは鯉江・作と思う。

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 ↑:左側の壁、オカベ・マサオ+ミナト・チヒロ、「Is There Future for our past」。
 ↑:右側の壁、「AFTER UJINA」・植物標本 中國新聞 宇品の土によるドロ-イング 3連画(各37×55cm)5点。
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○ ラオム(ルーム)2・3
 ヨーロッパの都市を中心にしたフロッタジュ作品。
 この部屋にも強烈な作品がある。正面奥のマンホールのような敷石?(写真①)。
 部屋は狭いが非常に充実している。展示過多かもしれないが、時には余白美や静寂美の限界を超える力を持つ。

 岡部氏は昨年のヴェネチア・ピエンナーレの日本選出作家だ。その折の記念的作品群だと思う。
 この部屋にもモニターが1台設置。同じくせわしなく機械音に翻訳された音が大きめに響いている。合計3台のモニターは多すぎるのでは。過多な配置と思う。

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 ↑:① 「ローマ 取り壊された噴水跡」


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 ↑:喫茶コーナーの内壁の作品群。「シーエーアイ、ツーはオカベ美術館になった。」



 (余裕があれば写真の追加をするかもしれません。

by sakaidoori | 2008-10-22 13:01 | CAI(円山)


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