栄通記

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2008年 10月 07日

775) 時計台 「'08 第32回 北海道抽象派作家協会秋季展」 終了・9月29日(月)~10月4日(土)

○ '08 第32回 北海道抽象派作家協会秋季展

 会場:札幌時計台ギャラリー 
    中央区北1条西3丁目・札幌時計台文化会館
    (中通り南向き)
    電話(011)241ー1831
 会期:2008年9月29日(月)~10月4日(土)
 時間:10:00~18:00 
     (最終日は、~17:00まで)

 【参加作家】
 同人:今庄義男(岩見沢) 後藤和司(札幌) 佐々木美枝子(札幌) 近宮彦爾(旭川) 服部憲治(苫小牧) 外山欽平(函館) 林教司(岩見沢) 三浦恭三(小樽)

 同人推薦:岩田琿(七飯) 鈴木悠高(札幌)・・・全員で10名。
ーーーーーーーーーーーーーーーー(9・12)

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 実質は同人として2名の加入です。全員で10名。

 あえて、この抽象派会派の特徴を言えば、マチエール追求型といえるだろう。年齢を重ねた絵画作家の現代的な一つの現われだと思う。マチエールは描写力などの絵画表現力と同様に大事な要素ではあるが、決して絵画そのものでは無い。だから、そのマチエール追求はそれぞれの絵画表現に何をもたらせたかを考えるべきだろう。
 単純に言えばマチエールの高さは絵に深みを与える。心に訴える時は作品から醸し出される精神性が重要だろう。美そのものとしての耽美主義にもなるだろう。
 描写力がそうであるように、マチエールの高さが技術だけのものか、画家そのものの心の叫びや表白であるか、あるいは高度の遊びや諦念を引きずっているのか、ここのところが鑑賞する楽しみだ。それは見る人の好みによって評価が分かれるだろう。僕は好悪が評価の大事な基準だが、評論家は良否が基準になるだろう。(以下、敬称は省略。)

 とても全員は紹介できません。何人かに絞っての写真掲載です。


○ 後藤和司
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         ↑:左側2点が「記憶の碑」、右側が「秋のscene」。
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 後藤和司はその画題・画風を一気に変えてしまった。実に驚きの極みだ。
 この春までは織の柄のようだった。最近は葉が舞い落ちるように何かを点在させていた。規則的な静寂さに、かすかな動きによって絵に深さを与えるという趣旨なのだろう。青を基調に、細やかにいろんな色が配されていた。当然美しいのだが凄みも滲み出ていた。年を重ねる毎に色に磨きがかかっていていた。
 今後はどういう風に深化していくのだろうと、楽しみな期待を持たせていた作家だったのだが、一気に変わってしまった。否、作家はおそらく「そんなに変わってはいませんよ」と言うかも知れない。画題の変更は彼自身の変更と同じとは限らない。果てさて、今後はどう展開していくのだろう?
   (以上、10月4日記)


○ 佐々木美枝子
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          ↑:「作品」。
 いつものようにピンク系中心の作品。今回は大作はこの一点だけ。
 春の、初夏の田舎を歩いている感じ。「昔の風景」というよりも、いつも心に持ち続けたい淡い夢や希望を見てしまう。都会の中の小さな幸せを感じる人がいるかもしれない。
 それにしてもピンク、素敵だなー。女性画家の使う色は男性のそれとは全然違って見える。色気が無いというのか、色それ自体を楽しんでいるようだ。


○ 外山欽平
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          ↑:「L-1・2」。
 アルファベットを描き続ける画家。
 「ちょっとお洒落に額装を傾けてみました。小文字と大文字、小文字は軽いダンスで、大文字は路上楽団のシンバル叩き。たった二人の演奏行進ですが僕等の前にはA・B・C・・と、僕等の後ろにはM・N・O・・・と続きます。」これからもよろしくお願いします」と、声が聞こえる。


○ 林教司
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          ↑:「種子」。
 林教司は忙しい人だ。ギャラリーたぴお・オーナーでもある。いつ創作しているのだろうと、大きなおせっかい的心配をしている。好きな画家だから、大いに期待をしているのだが、期待に応える絵を描く時間が無いだろうと思ってもいる。
 期待に反してと言うか、期待に応えて素晴らしい作品だ。お馴染みのラクビーボールのような物体に影を付けて、ボールが人になり飛び跳ねているようだ。あたかも一晩で仕上げたようにも見える。それくらいスピード感、臨場感がある。
 この「種子」シリーズは基本的に鎮魂歌だと理解している。だが、死者を静寂の中で見送るということに一区切りつけたようだ。再生、あるいは蘇生の足音が聞こえる。やはり林教司は「鉄の人」だ。前に進む人だ。鉄は武具にもなり、耕す農具にもなる。停滞を許さない恐さがある。

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          ↑:「種子 ’08」。


○ 今荘義男
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          ↑:「古里」(コリ)。
 妻はこの円い姿を「石」と見ている。僕は故郷の田園風景の抽象化されたものと見ている。田畑の一区画であり、山に囲まれた田舎の全景でもある。
 この円い中に何かが描かれていれば、家屋に見える。畔で遊ぶ子供に見える。子供が黒板や道筋に描いた落書きにも見える。その線や色により、記憶の中の事物やイメージが蘇る。
 一つの桃源郷、理想郷でもある。


○ 三浦恭三
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          ↑:「浮遊」。(全部で3点の出品。)


○ 服部憲治
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          ↑:「作品」。



○ 岩田琿(新同人)
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          ↑:「ターボ 3」。
 この画家は何故かはしらないが、いつも作品に薄いビニールをかけていた。理由はともかくとして、非常に見づらかった。今回はそれが無い。初めて絵の模様や色をじかに見ることが出来た。
 細かい作業をしている。古代中南米文明のような模様がびっしり渦巻いている。画家は「ターボ」と命名している。あまり深い意味はないのだろう。真ん中に何かが屹立している。


○ 鈴木悠高(新同人)
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          ↑:(黄色い作品が鈴木悠高・作。)
 彼は10・27~11・1に、時計台G室で個展の予定。その時に、紹介したいと思う。)

by sakaidoori | 2008-10-07 10:40 | 時計台


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