2008年 09月 29日
○ 萩原英雄・展 abstrct only 会場:HOKUBU(ホクブ)記念絵画館 豊平区旭町1丁目1-36 電話(011)822-0306 会期:2008年4月24日(木)~9月28日(日) 開館日:毎週木・金・土・日曜日 時間:10:00~17:00 料金:一般300円、小中生200円 ーーーーーーーーーーーーーーーー(9・28) いつでも行けると思っていたら最終日になってしまいました。 幸いにも館長にお会いすることができ、それ程の会話を交えることはありませんでしたが個別作品の紹介の許可を頂きました。有難うございます。 会場のムードと個別作品を紹介したいと思います。 会場は2階と3階が展示室です。今展は2階からの観覧です。比較的古い作品が2階の展示ですが、編年別にはなっていません。 パンフレットには「近代の木版画を切り開いた祖」とあります。 1913年 山梨生まれ。 1938年 現・東京芸術大学美術学部油彩学科卒。 1953年 結核療養中に年賀状の為に始めて木版画を制作。 2007年 逝去、享年95歳。 輝かしい画歴は木版を始めてからの成果だ。木版以前の荻原・油彩画がどの程度の力量で、どう評価されていたのかは知らない。木版を知ることにより、木版の制約を油彩画家の立場から克服していく過程が木版の可能性を広げていったようである。 木版の制約? ① 木版凸版の平面さ。いかに油彩画のように深みのある画質を表現するか。 ② 木の木目による鑿跡(線描)の方向性の制約。等々。 それらの課題は棟方志功のように、強く刷られた色が裏に滲んでくるのを利用した「両面刷り」や、ドライ・ポイントなどの西洋凹版の技術を応用すること、小さな版木をコラージュの様にランダムに張り合わせたりして、色の深みと自由さを確保していった。その成果が各種の受賞へと評価されたようだ。 一方で、キャンバス油彩への不満が浮世絵以来の木版画の伝統を踏襲することによって画家としての可能性が開けていったのだろう。キャンバスの万物創造と自己愛(画家が神になること)の窮屈さから、日本美への回帰として。パンフレットは「装飾的な平面の空間」創造と指摘している。 追憶シリーズが明瞭だが、編年的に作品を追っていくと「土に還る」という意識が濃厚のような気がする。今荘義男氏を思った。 技法の発明は先駆者としては讃えられるべきだが、今となってはそれだけでは後世に残らないであろう。技法を発明しなければ表現できない「荻原・ワールド」が大事なのだろう。 わずかばかりの鑑賞で好き嫌いは言えても、それ以上の事を語る能力は僕にはない。識者の意見を聞きたいところだ。 再び北武記念絵画館で展覧する機会があると思う。以上はその時の為の個人的メモだ。 自由な線を木版で追求しようとした作品。 上の絵、どこかミロの版画との近似を思う。 木版画の線の自由度の確保。古代中国の書家は木簡の筆の制約性(例えば、横線は木目の抵抗にあい、力強い線が出来る。)からの開放を紙により自由さを実現した。四方八方への筆の自由な運びは書の成立となった。なぜか、その類似を連想した。 ↑:左から、「白の幻想(2)」・1962年 86×59。 「古代の唄(No.1)」・1965年 90×60。 ↑:左から、「古代の唄(No.9)」・1965年 90.0×60.0。 「追憶(No.1)」・1986年 54.0×72。 背景のぶつぶつ模様は表に刷った色が裏側ににじみ出た色だと思う。深い色合いや空間表現の基礎になっている。 ↑:左から、「砂上の星(No.16)」・1983年 90×60。 「追憶(No.4)」・1987年 90×60。 ↑:左から、「追憶(No.6)」・1988年 90×60。 「追憶(No.17)」・1994年 90×60。 ↑:左から、「追憶(No.19)」・1995年 90×60。 「追憶(No.20)]・1995年 90×60。
by sakaidoori
| 2008-09-29 22:09
| ☆北武記念絵画館
|
アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||