2008年 08月 25日
○ 2008 日本画の「現在」展 『北に大地より新しい波(ウェーブ) 日本画の今と「未来」を問う』 会場:大丸藤井セントラル 7Fスカイホール 電話(011)231-1131 会期:2008年8月12日(火)~8月17日(日) 【参加作家】 (性別 出生年・出身地 推定年齢 学歴等 現住所) 駒澤千波 (女性 1980年札幌 28歳 道教育大学 札幌) 朝地信介 (男性 1976年函館 32歳 道教育大学 札幌) 羽子田龍也 (男性 1970年東京 38歳 東京芸術大学 岩見沢) 平向功一 (男性 1964年函館 44歳 道教育大学 札幌) 西谷正士 (男性 1963年金沢 45歳 金沢美術工芸大学 登別) 小林文夫 (男性 1955年京都 53歳 北大理学部 札幌) 伊藤洋子 (女性 1953年札幌 55歳 道女子短期大学 札幌) 笹山峻弘 (男性 1946年礼文 62歳 札幌工業高校 札幌) 羽生輝 (男性 1941年東京 67歳 道学芸大学釧路校 釧路) 内崎さき子 (女性 1937年江別 71歳 東京にて修行 江別) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(8・12) ○ 駒澤千波 ![]() ![]() ![]() ![]() 作家の言葉によると、「境界をテーマに制作しています。境界とは『物と物とが相接する箇所』であり、私は『二つの世界が交差する瞬間』だと解釈しています。夢とうつつ、意識と無意識、日常と非日常など、ふたつのものや世界が繋がる瞬間ということに興味があり、それを表現したいと考えています。・・・。普段見慣れた場所や時間に突如違和感を覚える瞬間、視点が変わることで生まれる、新しい世界の境界。そんな不思議な心地良い感覚を表現したいという思いが、現在のテーマの原点になっています。」 以前の絵画はその境界を、中央の人物を覆うようにして表現していた。その黒はまるで背後霊・守護神のような雰囲気だった。色を魅せる駒澤絵画が変身し始めた。それ以来、以前のような天真爛漫な動物達の姿は可愛く登場しているのだが、どこか遠慮がちだ。しかし、黒そのものの境界は魅力的だった。 今展では「水」にこだわっている。技法と表現の発見・追及の痕跡だろう。 ところで、境界をテーマにすることと、画面全体が渋く暗くなることとは別のことだと思う。乱舞する色の世界でも境界はあるし、表現できると思う。カラー・ウーマンである作家はぐるぐる廻っている。黒に磨きをかけ、水に思いを致し、再びカラーの世界が見れるかもしれない。そして、再び暗くなるかもしれないが。 ○ 朝地信介 ![]() ![]() ![]() 大きな絵だ。 意力、気力、充実した絵だ。何よりも、その「男ぶり」が良い。 自分自身のイメージがどこまで膨らむかを試しているようだ。膨らんでいく自分のエネルギー。画家だからそれが形となる意味を問わなければならないのだが、まずは吐き出す、形にさせる、その「形」の生命力を楽しんでいるようだ。 画家はウイットに富んだ面を持っている。今はそれらは裏に隠れている。もう一つの彼、ユーモア精神の「朝地信介」は大蛇の如き作品の前で何てつぶやいているのだろう?ニヤニヤしてその出番を待っているだろう。その時はより壮大なドラマが展開するかもしれない。 ○ 羽子田龍也 ![]() 左側は、「WEAPON」・127×99cm。右側は、「TOY」・同。 作家の言葉によると、表現の移行期と正直に打ち明けている。 今回の展示作品、見事な風景観照画と女と小道具による今風様式だが、決して挑発的な意図ではないとのこと。 図録にも紹介されているが、以前は「風景画」を描いていた画家だ。北海道に住んで2年(現在は教育大学岩見沢校の日本画研究室で教鞭をとられているのでは)、飽きることなく北海道の自然を描けると思ったのだが、自然に対する興味が薄れたとのこと。現実の北海道の風土を前にして、風景感が変わったのだろう。 そして、不得手であった「人物画」に描きたくて仕方がなくなったと語っている。「『憧れ』の移行期」とも語っている。 問題は「憧れ」としての画題の移行が、「憧れ」る自分自身への眼差しの深度であり、それがどう絵として表現されるかだろう。 直ぐには結果は出てこない。 31歳という若さで、春の院展に入選した実力者である。揺れる「羽子田龍也」の展開を楽しみにしよう。 ![]() ![]() ○ 平向功一 ![]() 「ワンダーランド」、誰も居ない闇夜の遊園地?動物園?。 面白く、どこか冷ややかで「人間」を寄せ付けない動物達。 動物の「目」がこちらを見ている。黒く輝いて・・・。 ![]() ![]() ![]() ○ 西谷正士 ![]() 作家の言葉に「道」をテーマに制作しているとのこと。 画家が「道」を描いていたのは知っていた。 今展の大作も「道」を描いている。僕が画家に求めていたもの、期待していた道とは違っていた。今作は風景の一部としての「道」であり、「風景」全体を問い直すという感じだ。 僕の「西谷・道」への親近感は、描かれた道に寄り添うように、あるいは道の向こう側に言い知れぬ別の世界があるかのような描きぶりにあった。その絵画空間は黄泉に続いているようで不安で胸が締め付けられたこともある。絵の中に別次元の空間を感じる喜びでもあった。 今作は、絵画的空間よりも「時間」を重視しているようだ。今、風景としてそこにある存在(自然)の力強さ、尊厳。それは今作られたのではないのだ。人が関わり、時ともに成ったのだと主張しているようだ。 全体の存在の重さの為の「道」のようだ。 他の5名は③に続く
by sakaidoori
| 2008-08-25 12:18
| 大丸藤井スカイホール
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||