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栄通記

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2008年 08月 09日

719) 市民ギャラリー 「第54回 高文連石狩支部  美術展」 8月8日(金)~8月10日(日)

○ 第54回 高文連石狩支部  美術展

 会場:札幌市民ギャラリー ・全館
     中央区南2条東6丁目
     (北西角地)
     電話(011)271-5471
 会期:2008年8月8日(金)~8月10日(日)
 時間:8日(金)→13:00~17:00
     9日(土)→10:00~17:00
    10日(日)→9:00~17:00 

 主催:北海道高等学校文化連盟石狩支部
 当番:北海道大麻高等学校
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(8・8)

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 散歩がてら歩いて見に行った。2時半頃に着いた。会場は多くの学生でごった返しだ。各ブースごと、生徒は立っていたり座ったりしていた。先生が何やら作品の前で喋っていた。そこには小柄な生徒が緊張気味に背筋を丸めて立っていた。制服が大半だが、私服もいた、大半が女子だ。
 人垣をかき分けかき分け見ていくのだが、先生のお喋りが気になって傍近くまで行ってジックリ聞き入ってしまった。

 出品高校は全部で60校。平面作品は846点、立体作品は68点の総数914点が例によって二段組と空間を利用しての展示だ。絵画は30号(910×727mm)が最大なので、一般公募展とは雰囲気を異にしている。それにしても大量の作品だ。細かくは見れない。

 印象を箇条書きすると、
 ①高校生にとって30号が大きく描くのには一つの目安かもしれない。技術的に未熟なのは仕方が無いのだが、この大きさだと一つ一つがなかなか味わいがある。結構、見飽きなかった。

 ②ハチャメチャな馬鹿さかげんな作品が限りなくなかった。これは寂しい。

 ③女子学生が限りなくほとんどだから、男を描いた絵が少ない。乱暴な絵が少ない。

 ④イラスト風の作品はなかなかのものだ。

 ⑤立体は造形というよりも工作なのだが、技術の拙さがストレートな気分を表現していて、少ない出品だが楽しめた。

 ⑥学校によってそれなりのムードの一致がある。顧問先生の指導による点と、学生相互の影響があるようだ。学生同士の良い意味でのライバル意識、この点に気が付いたのは収穫であった。


 (写真は生徒が退席してからなので、あのごった返しの、美術を語り合い聞き入る人間の熱気を伝えられない。残念だが仕方がない。
 個別の作品も5、6点ほどタイトル&学校名付きで載せますが個人名は控えます。)
 
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 ↑:札幌稲雲高校(顧問・平向)が大半。

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 ↑:東海大学第四高(顧問・石川) & 札幌西高(顧問・鵜沼、田村)

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 ↑:この辺は北広島高(顧問・松井、白川、仲尾)が多い。
 若者らしく画面からムンムンするものが伝わってくる。学生同士が仲間の作品を横に見て、「君がそう来るのなら、私はこう描くわ」と、絵同士が言い合っているみたいだ。

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 ↑:札幌西陵高・2年 男子、「庭園」。
 非常に印象深い作品です。
 画面は白が大半で色は緑が主体。明るい自然や風景を描こう、という絵ではない。一つの絵画的世界が完結している。精神世界といえば、描き手が高校生だからはばかるが、筆さばきや色の感覚・組み合わせの独自性を感じる。
 筆は輪郭を追うというよりも、筆幅の色を乗せていって、モコリンペンのように飛び出して、その色の各々の飛び出しが輪郭を形成し自己主張をしている。30号の画面隅々から色が飛び出て主張している。

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 ↑:札幌大谷高・2年 女子、「森の番人」。
 とても大胆緻密な作品です。
 作品は3階の奥の展示だったので、疲れきっていたので軽くしか見ていない。見た時の第一印象はバックの梟の暗がりの中でのたたずまいが、闇の森の中に居るという臨場感が好ましかった。ヒューマニティーも甘美に流されていないのも好きだ。
 手前の赤と黒は梟ばかりに気を取られて忘れていたが、作品を遠くから見た時に初めてその大胆さに気が付いた。

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 ↑:札幌東高(顧問・武石、飯尾) 2年、「私」。
 高校生展でどうしても見たい画題があります。それは、人体の一部をアンバランスに大きく描いている絵です。それは、「私の体のここを見て下さい!」と訴えているような、叫んでいるような気がするからです。他人の叫び声を日常生活からは聞きたいとは思わない。ですが、絵としては見たい。心に叫び声を持たない青年はいないと思っている。そういう叫びがストレートに表現された自画像を目当てに学生展を見に行っている。

 手首の大きさが気に入りました。
 とても良い絵だと思う。最大の難点は上手すぎることだと思う。絵に破調というのか、乱れが無い。自画像とは「心」を描く絵だと思う。美しく描くか、苦しみを描くかで道が分かれる。この絵は後者です。その乱れを絵画的約束事で余りに上手に収めすぎたようです。それは現代のつかみどころの無い苦しみの表現でしょうか?鏡でなくて、板に怪しげに映る似ているがどこか違う顔、というのはどうでしょうか。

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 ↑:左から 札幌大谷高(顧問・奥山、冨原、原、中川)・2年 女子、「おひるね」、札幌南高(顧問・八重樫)・2年 女子、「お母さんとらんたん祭り」。
 「おひるね」、素直にそんな気分になりました。
 「お母さんー」、描きたい画題を真ん中に置くのは避けるものだし、それが愛情の対象とならばなお更なのですが、あまりに素直に好きな人を真ん中に書いている直向さに感じ入りました。しかも、赤く暖かく光が包んでいる。顔が笑っている。丹念に上手に描き上げていると思いました。

by sakaidoori | 2008-08-09 10:39 | 市民ギャラリー


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