2008年 07月 31日
○ 今泉心・個展 会場:大丸藤井セントラル・7Fスカイホール1室 中央区南1条西3丁目2 電話(011)231-1131 会期:2008年7月29日(火)~8月3日(日) 時間:10::00~19:00(最終日は~?:00まで) 主催:社団法人・日本パッケージデザイン協会 (「北海道を包む」展・実行委員会事務局。 連絡先・(011)642-2035) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・29 火) 1956年、北海道千歳市生まれ。道展会員。現在伊達市在住。 52歳ですが、札幌での初個展です。今春東京の画廊で初個展とのことです。驚くことに道内では初個展なのです。なぜ驚くかというと、その実力で初個展とはなんとも不思議でなりません。時折り見かける作品の強さに、まとまって作品を見たいなと、いつも思っていました。 以前は「今泉真治(いまいずみ・しんじ)」という名前です。「今泉心」と改名しての個展です。その辺に心境の変化と、発表姿勢の心意気を見る思いです。 まずは会場風景を載せます。 氏の作品を初めて見たのは、芸森の常設展だったと思います。大きな絵でした。本当は山を描いた風景なのですが、その全体像よりも暗がりの山の表面を藪が覆っている描き方のほうを注目しました。たなびく藪がブラック・ホールに吸い込まれるような不気味な絵でした。深く沈み行くような空間を表現する為の風景描写と理解しました。失礼な言い方ですが、嘘としての「風景画」に心引かれたわけです。その時の絵のムード近い作品が、下の写真作品です。白や青の色があるのがチョッと違います。(「2004年 第3回 具象の新世紀展」の図録より。「残雪」・油彩 130.3×162.1cm。) 今展は「石」・シリーズです。今展の為に2年間書き溜めた作品です。量的にそれだけでは個展としては少ないので、旧作の風景画を5.6点並べたそうです。 驚いたことに、僕の抱いていた「今泉・ワールド」とは全然違うのです。確かに、細かい描き込みは藪を描いていた描法と同じです。が、絵の主張が全然違う。ここには、ただひた向きに「石」という実体に触れて、眺めて、修行僧のように「石」と語り合う作家がいるばかりです。 会場に雑誌の切抜きからの作家の言葉があって、それには「僕は石が好きなんだ。昔から好きなんだ。慰められ、励まされ、石と関わってきた。その石を描くのだ」という主旨の言葉がありました。 石を人に見立てての擬人化された作品もあります。画中の石同士が語り合っている絵もあります。 「細密絵画」、今泉絵画をひとまずこう言うことができるでしょう。「山」を描く時の細密性は山が画面に占める割合が大きかったから迫力もあり、その細密の意味合いも「山」を越えたところに見るものを誘ったと思う。 「石」のみに取り組む細密性はどういう風に進展していくのでしょう?石以外の背景はどうなっていくのでしょう?リアルなテーブル・クロスを背景にした絵もありました。よくある静物画の手法です。まだまだ「石」が生きているとは思えませんでした。背景の空気感を細密に描いた「石」の絵もありました。 確かにどれも上手い。が、実体としての「石」をリアルに細密に描く本格的な旅は始まったばかりだと思います。おそらくは今後は細密とは親戚関係の「省略」が問題になってくるのでしょう。それと、石を擬人化するヒューマンな絵画は、見るほうにとっては少しは息抜きになっても、絵画自体の余裕が無ければ中途半端な感じがしてしまう。「寄り添った石」ではなくて、「石自体の表現」で、こちらが寄り添いたくなるような「石」が見たい。 厳しい旅の始まりの個展、そういう機会にめぐり合うことが出来ました。 ↑:左から「石・ふたつ」・F6、「映」・F6。
by sakaidoori
| 2008-07-31 18:49
| 大丸藤井スカイホール
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丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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