2008年 07月 04日
○ 槌本紘子・展 会場:ギャラリー・門馬 ANNEX 中央区旭ヶ丘2丁目3-38・(バス停旭ヶ丘高校前近く) 電話(011)562ー1055 日程:2008年7月3日(木)~7月9日(水)・会期中無休 時間:11:00~19:00 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(7・3) (作家とは一面識もありませんが、飾り付け作業を仕事として行いました。一日掛りで作業をして、作品を目の前にしていれば、単純に作品や作家のことを好ましく思うものです。テキスタイルというジャンルは、感想であっても余り多くを語れる分野ではありませんので、その親しみが以下の文章を作ったと思います。褒め言葉を差し引いて読んで下さい。) ![]() ![]() ![]() 作品は6m×4m、3m×4m(?)の2作品が段違いになって吊るされている。 白く明るく綺麗な部屋で、その異様な立ち姿は目を驚かせる。作品は初夏の爽やかな時期に反し、場違いのような厚さ、泥臭さ、坊主池地獄のような地肌で狭い通路にむき出しになって屹立している。狭い通路だ。しっかりと作品と向き合うのだ。彫刻として優しく触れて大地と作家が譬える地肌を確認する、それが作家の狙いだ。 会場には荘重な散文詩が用意されている。 「The Dawn (夜明け?) それは日常に蕩け/それは自然に溶ける 混沌と秩序の交わり 日が沈み、また昇るように/生物は土に還り、また糧となる 古の時代に思いを馳せ 静謐を祈る」 作家は今春、武蔵野美術大学を卒業した。1984年、札幌生まれの女性だ。今秋には再び海を渡るということだから、つかの間の帰省であり、卒業作品の地元へのお披露目である。初個展だ。 真綿と羊毛をフェルトにする。絞り染めの技法などを応用して石や豆で凸凹をつくり、同時に天然素材で染色する。その作品を布(ガーゼ)を挟んで両方から接着して、裏表からダブルで作品を見るわけである。 何と言っても重い、力強い。作家にとっては大地であり、生命の源である。誕生し、還り、糧となる所なのだから当然なのだろう。 それにしても、この若さで強情な人だ。剛速球一本勝負という作品だ。だが、吊るされた作品はよく見ると、現在の彼女の技術の粋を傾けたことが伺える。力技のような技法の隙間に、艶やかにいろいろな模様が綾なしている。泥臭い装飾性に、欠落部分を施したりして、その部分は光に当たり、妖しげな陥没やグラデーションになっている。色は天然素材だから、不均一で重く感じるが、遠くから見ると直線に色が重なり、豊かな表現になっている。 会場には二点の作品以外には、わずかなワーク・ブックとパネルしかない。さすがは中央の大学出身者だと感心させられる。展覧会の為の自己表現技術をチャンと教育にプログラムされているのが分かる。それはデザイン教育の一環ではあろうが、仕事としての会場構成や、ワークブックが如何にあるべきかという良き見本だ。 彼女の場合は優れているのはもちろんだが、特徴がはっきりしている。ターゲットは外国人で、英語表現が主眼である。ここは日本だから、それらの意味はデザインとしてのお飾り以上のものではないから、問題はあるが彼女の進路に即した意匠だ。 表現スタイルは実直そのものだ。大きく分かり易くするというのが彼女のスタイルのようだ。若さと勉学の真っ只中で修行中というのが感じられて好ましい。 芸術は自己表現としての美術性、伝統表現としての技術性、不特定多数への訴えとしてのデザイン性という三つの概念でくくれると思う。もちろん、その境界や定義は一律ではないが。テキスタイル作家としての槌本紘子はどこに軸足を置くのだろう。何年後かの作品の変貌が楽しみである。 ![]() ![]() ※ 伝言⇒eituuki○jcom.home.ne.jp ○を小文字の@に置き換えてください。
by sakaidoori
| 2008-07-04 20:18
| 門馬・ANNEX
|
アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
検索
最新の記事
ファン
カテゴリ
全体 ★ 挨拶・リンク ★ 栄通の案内板 ★アバウトの写真について ★ 目次 (たぴお) (時計台) 市民ギャラリー (写真ライブラリー) さいとう 大丸藤井スカイホール (ユリイカ) ミヤシタ テンポラリー af 北専・アイボリー CAI(円山) CAI02(昭和ビル) (大同) アートマン アートスペース201 大通美術館 STVエントランスホール コンチネンタル 資料館 門馬・ANNEX 百貨店 (カコイ・ミクロ) 4プラ・華アグラ 石の蔵・はやし (シカク) ☆道外公共美術館ギャラリー (アッタ) 奥井理g. ★ 案内&情報 ★ 訪問客数 ◎ 樹 ◎ 花 ◎ 山 ◎ 本 ◎ 旅・飛行機・船 ◎ 温泉 ◎ 個人記 ◎ 風景 ◎ 短歌・詩・文芸 ☆★ ギャラリー巡り 写真)光映堂ウエスト・フォー (いろへや Dr.ツクール) JRタワーARTBOX ポルト 写真)富士フォト・サロン 道新プラザ 紀伊國屋書店 S-AIR ◎ 自宅 (ニュー・スター) 札信ギャラリー (マカシブ) (自由空間) 真駒内滝野霊園 サード・イアー (どらーる) 区民センター ★★ 管理人用 山の手 富樫アトリエ (プラハ2+ディープ) ★ギャラリー情報 ★ パンフより 創(そう) (オリジナル) ATTIC 美容院「EX]内 ADP 粋ふよう エッセ ◎ 雑記 ★「案内版」アバウトの写真 ☆北海道埋蔵文化センター ☆三岸好太郎美術館 ☆本郷新彫刻美術館 ☆芸術の森美術館 ☆函館美術館 ☆札幌・近代美術館 ☆モエレ沼公園 ☆旭川美術館 ☆北海道開拓記念館 ☆帯広美術館 ☆関口雄揮記念美術館 (☆夕張美術館) ☆(倶知安)小川原美術館 ☆(岩見沢)松島正幸記念館 ☆(室蘭)室蘭市民美術館 ☆北武記念絵画館 ★その他 【道外・関西】 ー [石狩] [ニセコ]有島記念館 [岩見沢]キューマル 他 [音威子府] [深川] [苫小牧]博物館 [洞爺] ☆小樽美術館 市民ギャラリー [美唄] [江別] [室蘭] [小樽] [帯広] [恵庭] 夢創館 【北広島・由仁】 [函館] [夕張] [三笠] [赤平・芦別] 【幌加内(政和)】 (くらふと)品品法邑 (茶廊)法邑 (カフェ)れんが (ブックカフェ)開化 (カフェ)アンジュ (カフェ)北都館 (カフェ)エスキス (画廊喫茶)チャオ (カフェ・soso) (カフェ)ト・オン (カフェ)アトリエムラ (カフェ)サーハビー 槌本紘子ストックホルムキ記 (画廊喫茶)仔馬 (ギャラリー&コーヒー)犬養 Plantation CAFE BLANC(ブラン) - コレクション ■ 複数会場 公共空間 ー ◎ 風景 新さっぽろg. ー ○ 栄通日記 学校構内 ー ◎ライブ路上パフォーマンス 道銀・らいらっく (コジカ) ▲個人特集 (風景)サイクリング・ロード (風景)札幌・都心 A.S.T(定山渓) 趣味の郷 公共空間・地下コンコース 六花亭 ◎今日・昨日・最近の風景 500m美術館 Room11 アルテポルト・ART SPACE サテライト 【2010年旅行記】 【2010年 ロシア旅行】 【海外旅行】 【2012年上海旅行】 【震災跡地2回目の旅】 【2013旅行記】 ◎ 川・橋 OYOYO コケティッシュ ・我が家 レタラ カモカモ 北のモンパルナス チチ クロスホテル札幌 黒い森美術館 Caballer ▲原田ミドーモザイク画 SYMBIOSIS (ハルカヤマ藝術要塞) 群青(2016) チカホ space1-105 100枚のスナップを見る会 北海道市民活動センター 群青(2018) HUG(教育大文化施設) 札幌グランピスタ 大洋(大洋ビル) - 未分類 タグ
個展(242)
グループ展(183) 油彩画(183) 企画展(153) インスタレーション(115) その他(98) 学生展(93) 現代美術(74) 写真(71) 公募展(70) 写真展(59) 総合・複合展(43) 温泉・山・旅行・雑記(42) 彫刻・金属・ガラス・陶(40) 日本画(38) 北海道教育大学(37) 版画・イラスト(31) シルクスクリーン(26) 藤谷康晴(25) 卒業展(24) リンク
○ 美術関係以外
古い日記 (サカイ・ヒロシさんのブログ) ○ 美術愛好家のブログ Ryoさんのイートアート (サカモト・キミオさんのH.P.) 散歩日記V3 (SHさんのブログ) ○ 表現者のブロブ(相互リンク?) Photo Foto Blue (コバヤシ・ユカさんのブログ) 水彩の旅 (タケツ・ノボルさんのH.P.) アートダイアリー (マエカワ・ヨシエさんのブログ) 画像一覧
最新のトラックバック
以前の記事
2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2017年 08月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 02月 more... ブログパーツ
その他のジャンル
記事ランキング
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||