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栄通記

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2008年 06月 29日

678) CAI02 ②「オープニング展覧会・サッポロ・アート展」 終了・5月24日(土)~6月21日(土)

○ オープニング展覧会
    「サッポロ・アート展」
        
  【出品作家】
 伊藤隆介 今村育子 岡部昌生 上遠野敏 黒田晃弘 鈴木涼子 3KG 清治拓真 仙庭宣之 高幹雄 高橋喜代史 武田浩志 中嶋幸治 端聡 坂東史樹 久野志乃 祭太郎 wabisabi・・・以上18名。
ーーーーーーーーーーーーーーーー(6・13)

 既に終わった展覧会です。今は「武田浩志・展」が行われています。長い会期でしたが、遅ればせながら個別作品などを載せます。


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 ↑:坂東史樹、「深層からの標本:海底でゆっくりページをめくる本」・2003年 250×180×63mm。
 入り口脇の展示、だから始めは気が付きにくい。一渡り暗がりで作品を見て、会場を出ようとしての発見だ。この作品は馴染みの作品だが、こういう作品が出口にあると足が止まるなー。地底のような会場で、めくられる本。この作品は気分は聖書だが、僕が穴倉生活をする時にはどんな本を持っていこうか?


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 ↑:久野志乃、「草の上のスカート:2008年(新作)。
 一人オーソドックスな作品。それなりに大きい。その大きさが作品の明るさを更に明るくしている。暗がりの中で華やいでいた。この部屋に、やけにピンクが合っている。


 伊藤隆介は映像作品。
 こういう会場での映像はムードにはいいのだが、どうもパッとしない。そういう作品だった。
 折角のオープニング出品なのだから、知的というか、ヒネリというか、きのきいた分かり易い小品を出してもらいたいな。「現代美術」というとどうしても彼の存在は珍重される。互いが互いをおんぶに抱っこの役割で、微笑ましいものです。この場所に果敢に挑みかかる作品を期待しようではないか。それでこそ、CAI2ありき、だ。


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 ↑:鈴木涼子、「childen」。


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 ↑:今村育子、「わたしのおうち」、「わたしのおうち  ドアをあけて」。
 右側はお家の模型です。「中」を見せたくて見せない今村さんちのお部屋でした。


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 ↑:黒田晃弘、「生きるとは」・2008年 顔料・木炭・紙。
 作品がどうのこうのというよりも、好感の持てる作品です。

 「500m・美術展」で彼のことをいろいろ思った。生真面目な制作態度です。この生真面目さが今回のように感心する場合と、前回のように真面目さを押し売りする場合と、分かれるようだ。
 前回の作品は点字だった。そして、「あなたは点字を、見えない世界を知っていますか?」と、問うていた。点字は経験もあるし知っているが、彼らの世界は知るわけがない。そのことを問うのは単なる啓蒙以上の奢りでしかない。あそこから出発せざるを得ない真面目さは、作品以前を作品化していて、残念であった。その分、今後にもの凄く期待している。


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 (↑:会場のコンクリート壁。墨だし線や、こういう落書きが残っていて、胸が高鳴る思いでの作品鑑賞だ。)


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 ↑:端聡、左から、「過去は今によって変わり、未来は今によって」、「空に聴く」・ともに2008年。
 小品ですが新作です。CAI2のオーナーなのかは知りませんが、間違いなく最終責任者である端さんの意気込みを感じます。タイトルはゴーギャン同様の聖書的箴言、余りに欧米好みの強さが違和感を持ちますが、その志を良しとしたい。


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 ↑:岡部昌生、「Studio Floor、 Montparnasse」・2007年。
 昨年、ヨーロッパで活躍されたフロッタージュの岡部作品。「モンパルナスの仕事場の床」という意味だろうか。美しい作品だ。広島を剥ぎ取り、沖縄に関わることをライフ・ワークとしているならば、ヨーロッパの恥部を東洋人が臆面もなく剥ぎ捕るだけの胆力を期待したいのだが、それは無いものねだりか。だが、そういう彼の過去の営為を認められてのヨーロッパ行で合ったはずだ。
 モンパルナス、そこは近代において、世界の多くの天才・鬼才芸術家がのたうちまわった処だ。現代から見れば、絵画の聖地といってもいいだろう。そこを剥ぎ捕る、オマージュと言えば美しいが、一アジア人のヨーロッパへの憧れ以上のものがあるのだろうか?憧れでいいと思う。オタクでいいと思う。所詮、個人のすることはしれたものだ。それを、芸術行為から現代を問うと語る姿には、等身大の誠意を感じ無い。
 誤解なきよう、氏の人間としての誠意を言っているのではない。その文化活動の誠意を問いたいのだ。
 広島を剥ぎ捕ることでの、日本選出画家がオマージュでは寂しいではないですか。彼を応援・支持したくても、それ以前の問題があるように思える。


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 ↑:祭太郎吉川寛一)、「無題」。
 上の作品、反射して見えにくくてすいません。支持体は薄い金属板です。凸凹を付けて、カッチャイて線を出しています。自画像です。祭君特有のうさぎを被った顔のシルエットが耳の表現で分かります。自分自身を静かに見詰めています。
 鉄板を叩いて、削って、光に当たれば輝いて、そしてそこに自分を見ている。祭太郎は恥らいながらパフォーマンスを続ける。まるでピエロのように。その影を美しくあぶりだした作品。

 
 (第一室には高幹雄・作品もあった筈ですが、撮影に失敗しました。)


 ③に続く
 

by sakaidoori | 2008-06-29 19:50 | CAI(円山)


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