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栄通記

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2008年 06月 23日

671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)

 【参加作家】
 阿地信美智  阿部典英 荒井善則 泉修次 伊藤隆弘 柿崎煕 加藤宏子 国松明日香 小石巧 佐々木けいし 下澤敏也 菅原尚俊 鈴木隆 高橋昭五郎 武田亨恵 田村陽子 ダム・ダン・ライ 中江紀洋 楢原武正 韮沢淳一 野又圭司 林弘堯 伴翼 藤井忠行 藤沢レオ 藤本和彦 松井茂樹 森川亮輔 山田吉泰 山本良鷹 渡辺行夫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(6・15)

671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_1011665.jpg
 ↑:伴翼、「ある日」・2008年 A(55×55×106)他 木(松材)。

 これが何であるかが気になるところです。キノコ?コケシ?。答えは「シャンパンのコルク」です。
 伴君は正確無比なまでの具象性にこだわります。それは再現力の巧みさや誇示が目的ではありません。具象へのこだわりは、作家自身の存在する物に対する実在感でしょう。そして、全ての存在が関係によって成り立っているということを、自分の作品で再現しているのです。
671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_11304079.jpg 作品を見た時のオヤッという驚き、触った時の心地良さ、作品を挟んで老若男女が語らう、それが彼の作品の魅力です。その時に作品の具象性が切り離せないのが、彼の持ち味です。
 残念なのは今回の展示空間でした。上の写真ですと、「この作品を見よ」という感じですが、作家の意図はそこにはありません。触るのは当然ですし、腰掛ける、テーブル代わりにする、肘を当てて考える人になる、そういう光景を外から見て、他の鑑賞者が楽しむ。ホールなり、緑の芝生の上に並べたい作品です。今頃はポプラの種が近美を舞い踊っています。きっと「ある日」はそれらの種達君と挨拶がしたかったでしょう。


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_10342979.jpg
 ↑:(四角く並んでいる作品)藤沢レオ、「パサージュ(passage)」・2008年 300×200×90 鉄・不織物。
 芸森の屋外作品で紹介した藤沢君です。彼は「パッサージュ」(通路)をテーマに制作に取り組んでいるようです。その完成度・成功度にあまりこだわらないで見ないといけないようです。「パッサージュ」への拘りが、どういう展開を見せるか気になります。


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_10421597.jpg
 ↑:山本良鷹、「私的空間」・2008年 50×110×100 花崗岩・その他。
 暗い部屋に、更に暗く輝いている作品。以外に大きいです。 


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_10454116.jpg
 ↑:藤井忠行、「れん(ren)」・2008年 450×450×160 ドロノキ・シラカバ。
 木の幹そのものを鉛筆のようにして遊んだ作品です。この作品も、違う空間に置いたら全然違った印象でしょう。


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_10525842.jpg
 ↑:武田享恵、「視覚と意識の交差」・2008年 150×150×140 アルミニウム・塩ビ版。
 相対理性原理論の空間(立体)作品として、いつも見てしまう武田さんの世界。美しく輝いていました。


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_1153562.jpg
 ↑:林弘堯、「Earth-Defomation」・2008年 20×900×400 Fibet・Acrylic・net。
 壁一面に黒く意味不明のカーテン?林さんは地球を見ているのですね。こういう風に見えるのか、こういう風にしたいのか、暗い部屋をいっそう暗くしていました。妻はクリフトの「包む」をしきりに連想して、意味不明に感心していました。
この作品と伴君の作品が一緒に並ぶミス・マッチがこの展覧会の魅力ですね。


671) 近代美術舘 ③「北海道 立体表現展’08 」 終了・6月14日(土)~6月22日(日)  _f0126829_11145539.jpg
 ↑:韮沢淳一、「檻」・2008年 120×120×200 鉄・花崗岩。
 花崗岩のみで800kgある作品です。その石がタイトルにあるように檻に閉じ込められているのです。一見、その重さ黒さ迫力に深刻そうですが、これが意外に笑いを誘うのです。このアンバランスが作品の魅力です。深刻ぶって、「作家さん!そんなに苦しまないで下さい。明日を信じてください!」というよりも、「オー、檻に入って、鉄筋に突き刺されて、痛いでしょう。サビオ、貼りますか?」と、笑いで石君を励ましたくなります。

by sakaidoori | 2008-06-23 12:06 | ☆札幌・近代美術館


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