栄通記

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2008年 06月 19日

667) さいとう 「大坂寛・写真展」  終了・6月10日(火)~6月15日(日)

○ 大坂寛・写真展

 会場:さいとうギャラリー
     中央区南1西3 ラ・ガレリア5階
     電話(011)222-3698
 会期:2008年6月10日(火)~6月15日(日)
 時間:10:30~18:30(最終日は17:00迄)

 企画・構成:吉岡達夫(フォト・ディレクター)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(6・15)

 文学館での「加藤多一・展」を見た。近代美術館に行くには時間があったので、ユリイカの北海学園写真部の写真展と、たまたまさいとうギャラリーに立ち寄った。

 大坂寛氏の写真展を見ることが出来た。僕は画家もそうだが、表現者の中央での知名度や評価の程は全然知らないと言ってもいいだろう。おそらく、大坂氏は著名人の一人かもしれない。風景写真以外で、力のある写真を見れた良い機会であった。
 幸い、企画担当の吉岡達夫氏がおられた。簡単な会場風景しか載せれませんが、掲載の快諾に感謝。



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 ↑:入り口の第一室。

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 ↑:第二室。

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 ↑:第三室。


 会場は2室ある5階の会場全部を使ってのもの。エレベータの近くの入り口を締め切って、遠くの入り口からの訪問である。展示会場まで少しばかり歩むことになる。静かな時間作りと、作品を左周りに見せようという工夫だ。吉岡氏の演出である。(展示は左回りの方が良しと一般的にはされている。行動心理学の知恵。そういう意味で近美と芸森は正反対の設計思想で、おそらく芸森の方に軍配が上がることになるのだろう。)


 会場は三室に区切られている。

 第一室は「巨樹と裸婦」で、大坂氏の現在の取り組みである。インクジェットの大判の樹木が真っ先に目に飛び込んでくる。大樹に小さく恥毛も赤裸々にあっけらかんとした裸婦が立っている。女性の官能美を、あえて無視するかのような演出だ。それは写真家が大樹そのものに取り組んでいる姿勢を際立たせる。樹の持つ生命力、樹形や樹皮の力や象徴性を表現している。体内回帰や女性器そのものを連想させる構図もあるが、どうしても「あっけらかんとした裸婦」を画面に入れたいという撮影者の強い意志がある。何かを表現したいというよりも、裸婦を挿入することによって、何かを確認しているようだ。

 第二室はシモン風を表現した初期の作品、エロス、風景写真と多彩な紹介になっている。官能的な女性美が圧巻だ。エロス表現は次室へのプロローグにもなっている。ポラロイドもあり、写真技法としていろいろと取り組んでいるのが分かる。テクニックの見せ所だ。全て小品。

 第三室。
 再び大樹の大きな作品があるが、第一室とはうって変わって、樹にたむろする官能美・エロスの世界だ。いやらしくもゾクゾクする世界だ。第一室の裸婦による官能の世界とは全然違う。箱の中にエロスを閉じ込める男の美学が充満している。黒の下着を身に着けた外人風の女の表情、目そのものがエロスとなって挑発している。彼の作品はどこか見る人を挑発する。
 「いやらしい」、僕はこの言葉を愛する。もし、性行為だけを目的にした表現を「いやらしい」と言うならば、僕はこの言葉に多くの弁護をしたい。「いやらしい」、この言葉の無い官能の世界などあるはずはない。その言葉だけでは言い尽くせない、男の美学・エロスがあるだけだ。
 作品に赤印が付いている。写真だから、赤印は売約作品と思った。赤印の作品だけを見ていった。というのは、質の高い似た傾向の作品ばかりで、てっきり買い手は、ある種のエロス作品をまとまって買ったのかと思ったからだ。その買い手に感情移入したのだ。ところが、それらの赤印は非売品だった。撮影者の好みだったのだ。写真作品にはいろいろと加工がされていて、モノタイプ(一点物)なのだろう。

 再び鑑賞者は、第一室から第三室へと繰り返しいていくことになる。
 大樹はもしかしたら、写真作家になる前からの、彼の「何か」の反映かもしれない。自分自身の原点とエロスを重ねての模索かもしれない。大坂作品は技術もあり、表現力もあり、評価も高いから、彼の秘部を見逃しがちだ。「大樹と裸婦」で、新境地と言われているのかもしれない。僕はそこに、「巧みな技」に隠された、大坂氏の裏と表のせめぎ合いを感じた。


f0126829_23492473.jpg ディレクター・吉岡達夫氏には見応えのある紹介をして頂いた。来年も何かを企画されるそうだ。見逃したくない企画になるであろう。
 (文字写真はクリックすれば大きくなります。)











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by sakaidoori | 2008-06-19 23:53 | さいとう | Trackback | Comments(0)
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