栄通記

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2008年 06月 18日

664) ミヤシタ 「井上まさじ・展」・油彩 5月28日(水)~6月22日(日)

○ 2008 井上まさじ・展 

 会場:ギャラリーミヤシタ
    中央区南5条西20丁目-1-38 (西向き)  
    電話(011)562-6977
 会期:2008年5月28日(水)~6月22日(日)
 休み:月曜日
 時間:12:00~19:00 (最終日17:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー(6・17)

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 。

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 ↑:1階。

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 ↑:階段の上の作品。
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 ↑:2階。


 「井上まさじ・展」、ミヤシタの展覧会でも、特に楽しみにしている一つである。そして、今展も期待に違わなかった。

 今展は技法的には2種類の作品群から構成されている。
 一つは、糸を使ったものだと思うが、横縞模様の作品。こちらは最近親しんでいる作品だ。一つは、これがはっきりしない。水の中の水泡状の模様。

 横縞模様の世界、今回はいつになく鮮明に風景に見える。井上様式のきらびやかな山水画である。空、夕焼け、朝もやの湖畔や水面、木立の中・・・。古典的山水画が精神世界の理想郷の似姿としたならば、自然を色という美の世界で井上流に桃源郷を描いたとも言える。

 絵の中の距離感と空気感がいろんな想念を引き出す。
 距離感、自然と一体になりたくとも、なりえない自然と画家との距離を思う。距離への断絶が妖しげな空気感を生んでいる。確かに、絵そのものの持つ空気感ではある。だが、その空気感は画家と絵との距離が凝縮されたように思える。画家と絵との不分明な境界にもなっている。あたかも境界に花園が広がっているようだ、蜃気楼のように。
 画家・井上まさじが「キャンバスと絵の具と表現された絵の世界」と向き合う。修行僧のような作業の中からにじみ出る己の感覚。一方で、絵画として立ち上がってくるキャンバスの世界。両者の格闘の結果が、空気感として重層的で濃密な世界を生んだのではないか。彼の巧みな技が、彼自身と絵との断絶を悟らせないように、更に深く美しく空気として絵を覆っていく。

 井上まさじの世界は美しい。余りに美しすぎると言ってもいいだろう。耽美主義者と呼んでもいいかもしれない。
 これらの絵は井上まさじが生んだ。我(画)執と無我の境地で支持体に向かい、困苦の果ての結果だ。
 プロの野球選手が「楽しみ」とは違うところで毎日毎日ボールにバットに励む。好結果を生んだ時にお立ち台で、「楽しい」というコトバを口に出す時がある。それは彼自身に言い聞かせているのだろう。とりあえずこの場は、「楽しい」と言う言葉で時を過ごそう。それが見られる存在としてのファンサービスだ。

 井上まさじは、かつて講演で「作業(絵を描く・作る事)が楽しい」と言った。プロの野球選手と同じ意味だろう。
 その美しい絵を見ていると魅入られ狂おしくなる。作家の「作業風景」を想像すると、狂おしさがましてくる。にごった池の蓮の花の世界だ。池の中は見ないようにしよう。

 ところが、彼は新しい技法でそのなかをも美しく表現してきた。横縞模様で風景とその距離感・空気感を立ち上げた人間が、その風景の中のミクロの世界に突き進もうとしている。やはり果てしなく美しく。
 絵は美しい、それを支える技法(作業)が狂おしい。


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 ↑:(1003×730mm)。これは大作です。井上氏の技法でこの大きさは至難な作品だと思います。大きさへのこだわって、技法の変化をしない限りは今後もあまり見れない大作だと思います。

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 ↑:(450×900mm。)今展の傑作の一つです。
 僕は井上まさじ氏は絵画が描けない時期があったと聞きます。北海道の風景、特に雪景色とそれが無い時期のコントラストが彼を救ったのではないかと思っています。「風景画」は祈りあるいは救いだとも思っています。
 

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 ↑:(左から、450×270mm 300×600mm)。

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 ↑:(全て450×450mm)。
 全て、1階の作品のみの写真です。

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 ↑:上の作品の部分図。乳白色の胞子状が数ミリほど画面から飛び出ていて、全体の色合いを独特なものにしています。これを付着させる時が、絵画の完成なのだと思います。




 (昨年の個展こちら



 

by sakaidoori | 2008-06-18 12:26 | ミヤシタ | Trackback | Comments(0)
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