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栄通記

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2008年 06月 02日

639)時計台 「安藤康弘・コラージュ絵画展」 終了・5月19日(月)~5月24日(土)

○ 安藤康弘・コラージュ絵画展

 会場:時計台ギャラリー  2階B室
    中央区北1西3 札幌時計台文化会館・(中通り南向き)
    電話(011)241-1831
 会期:2008年5月19日(月)~5月24日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・24)

 最終日の最後の時間帯の訪問。まったくの失敗であった。安藤さんの個展は、ここでは3度目の拝見なのだが、名前がうろ覚えで、ついつい最後の訪問になってしまった。「今将(まさ)に片付けんと欲す」で、慌てて見るは、慌てて安藤さんと話すは、慌てて写真撮影の許可を貰うわで、忙しいことこのうえない、それ以上に安藤さんには申し訳ないことをしてしまった。

 短時間の鑑賞ならば写真掲載などしないのですが、今回は記録の為にも載せておかねばならないのです。まずは会場風景と単作です。

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 ↑:「堆積からの派生」

 安藤さんは全道展会友の版画家だ。大昔の作風は知らないが、技法はモノトーンによるエッチングで、画題は象徴的な種子がうねり、のたうち廻り生命の進化・分化・運動を表現している。一見(いっけん)した時には、おどろおどろした感じだが、よく見ると怖さや不気味さよりも、遊び心とユーモアを感じる。とにかく白黒による曲線と物体がのた打ち回る世界なのだ。
 その安藤さんが、何故か今展では版画色を薄めて、賑々しいカラーでの個展なのだ。エッチなカラー写真を貼ったりして、大変身した個展なのだ。
 以下、作品紹介です。

639)時計台 「安藤康弘・コラージュ絵画展」 終了・5月19日(月)~5月24日(土)_f0126829_2313415.jpg639)時計台 「安藤康弘・コラージュ絵画展」 終了・5月19日(月)~5月24日(土)_f0126829_2323863.jpg 















 ↑:左から、「生態保存」、「予感」。



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 ↑:左から、「落下する卵 B」、「仮面達」。




639)時計台 「安藤康弘・コラージュ絵画展」 終了・5月19日(月)~5月24日(土)_f0126829_23105629.jpg 今展の安東作品を沢山載せたいのだが、きりが無い。ちなみに、左の作品は昨年の全道展の作品だ(「分化する生命体」・70×50cm 全道展図録より)。

 今展は、この版画の世界に色を塗り、いろんな物をコラージュしているのだ。しかもデザイン的で装飾的な爛漫な色だ。更に、コラージュの技術が素晴らしい。コラージュとはこれ見よがしに作品に貼り付けるものと思っていたが、彼の作品は張った痕跡が不明瞭なのだ。どこまでが肉筆で、どこまでが既製品の借り物なのかは、直ぐには分からない。その辺を安藤さんに聞くと、「コラージュとは本来、こういう物なのですよ」と、あっさりした返事だ。コラージュというものの理解の浅さを思い知らされた。

 技術的なことはともかくとして、今展で安藤さんはいままでの版画制作の欲求不満の様なものを、一気に吐き出した感じだ。中堅画家がこういう色を使うのは、創作発表の原点に油彩なりの色を塗るという体験があったのだと思う。その原体験が白黒の世界ばかりを表現していると、その表現に鬱積した物が溜まった時に、自己解放として色として、肉筆として描きたくて描きたくて仕方が無くなって、こういう個展になってしまったのだろう。
 安藤さんが、今後この路線を進むとは思われない。だが、表現者のあたかも今までの表現を否定したような個展を見れるとは、鑑賞者にとってこれ程嬉しいことはない。
 日々変わらぬ生活、行動、表現を人はするものだ。だが、その時間の流れ中であたかも今までの自分を否定したような姿を見れる、鑑賞者冥利に尽きる。

 ほぼ2年おきに安藤さんは個展をされている。次はどんな姿で僕の前に現れるのだろう?今展はデザイン性、色彩豊かな装飾性、今風のエッチな写真を挟んだエロスの表現・・・それらはモノトーンで表現していた禁欲の中でのユーモア精神がはじけた姿であろう。
 中堅・安藤康弘の一皮向けた次回作が楽しみだ。


  

by sakaidoori | 2008-06-02 18:32 | 時計台


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