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栄通記

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2008年 06月 01日

637) 写真ライブラリー 「はたち展」  終了・5月14日(水)~5月18日(日)

○ はたち展

 会場:札幌市写真ライブラリー
   北2東4 サッポロファクトリー・レンガ館3階
    電話(011)207-4445  
 会期:2008年5月14日(水)~5月18日(日)
 時間:10:00~19:00 (最終日は~17:00迄)

 【出品者】
 江波戸剛 三橋夏希 田村佳奈 櫻井智和
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・18)

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 今年、成人式を迎えた学生4人による写真展。

 以前、少しだが三橋さんと学生写真展で会話したことがある。彼女の作品数が少なかったので、「次はしっかり発表しないと!」と激励した。年も若いし、少し心配気味で見に行った。

 一応、三橋さんを中心に見に行ったのだが、それぞれのテーマはチャンと伝わるし、しっかりした写真展だった。まずは、その広い会場をたったの4人でそれなりに纏め上げたことを祝したい。
 そうは言っても、意外性の薄さや表現の深みの物足りなさ、構成の細さなども感じる。更に更に自分を見詰めて、世界を見詰めて、カメラを常に携えて、もっと良い写真展を期待したい。

三橋夏希の場合
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 淡いモノトーンによる心象の世界。光と闇の狭間でフワフワっと泳いでいる感じ。線の細さと表現のオーソドックスさは感じるのだが、静かな中での一途さが好ましい。
 擬人化された影や自分の影を使って心象を投影する姿には「甘さ」があると思う。安易な擬人化は表現の幅を狭めると思う。もっと普通に世界を撮った方が、三橋さんの個性が出ると思う。実際、僕は板塀の写真は好きだ。面による光と影の構成的世界も良い。
 急激に力量の高まる人では無いと思う。撮り続けて、発表し続けていて、ある時、「三橋さん、こんな表現力、あったの」と言いたくなるタイプでは。(グループ展でも、発表する時は連絡下さい。)


田村佳奈の場合

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 とても芯の強い写真です。それは、白の表面にたいする感度と表現の強さに端的に現れている。
 上の波を撮った写真はあまりに普通で、撮影者の導入の役割をしている。展示は入り口付近で、最初に見られる展示になっている。いろいろとモノトーンの作品があって、雪を撮った4枚連写の写真と続く。全体の構成はの不安定感はあるのだが、最後に持ってきた雪の写真は素晴らしい。表面を見る感性が良い。美と肉感性が程よくマッチして、しかも撮影者の強さが伝わる。とても良い写真だと思う。

江波戸剛の場合

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 江波戸剛君は素直な写真家だ。おそらく一生に一度の展示だろう。というのは、会場中央に小部屋を作って、「江波戸君の部屋」にしたのだ。その部屋の中にカラーのスナップ写真を丁寧に綺麗に一列に並べている。故郷か、よく遊びに行ったおじいちゃん、おばあちゃんの田舎のスナップ写真だろう。一コマ一コマ・・・それらは「今」の写真だろうが、思い出が一杯詰まっていて、本人が語れば嬉しくなって涙が出てきそうな風景だろう。見る僕らはその写真を見ても涙はでないが、撮影者が涙しているだろうな、と想像すると、もらい泣きしそうだ。

 二十歳を飾る「江波戸君の部屋」の外壁にはちゃんとした写真がある。下の写真がそうだが、目の写真を特に紹介しておこう。過去を見る目とは一線を画した「目」だ。

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櫻井智和の場合

 櫻井君は好青年だ。
 入り口に力強く展示している。メインの展示は、強いコントラストのモノトーンで「過去の僕の写真」と「今の僕の写真」の比較構成だ。それは現在の表現力の誇示であり、自信表明でもある。当然、演出された過去の写真よりも、今の写真の方が良いのに決まっている。その天真爛漫さが微笑ましい。
 櫻井君は人間が好きだ。
 だから、何を撮っても擬人化や象徴として被写体を収めがちになる。そのことは悪いことではない。問題は安易に擬人化しがちな自分自身の目に対する批判精神が薄いことだ。「今の僕の写真」を並べた時に、どれだけ自問自答したであろう?擬人化に徹し切れなくて人間の後姿を挿入してしまった。人を撮る自分に酔っているのだ。
 だが、櫻井君の良さは、臭いとも思える「人間」へのアプローチが素直なことだ。被写体を大きくスッキリ撮る眼差しには好感が持たれる。これほど大きく迫るのならば、素直に「人間」を撮って、「顔」を撮って、「動き」を撮って発表したら良いと思う。自分自身の素直な精神に気付いて、正面きって勝負した方が櫻井的なのではなかろうか。

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 ↑:「過去の写真」
 ↓:「今の写真」
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by sakaidoori | 2008-06-01 22:36 | 写真ライブラリー


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