2008年 05月 25日
○ 福井利佐・個展(RISA FUKUI EXHIBITION VOL.2) 「KI RI GA」展 @SAPPORO 会場:ほくせんギャラリー ivory(アイボリー) 中央区南2西2 NC・HOKUSENブロックビル4F・北向き 会期:2008年5月11日(日)~5月24 日(土) 時間:11:00~19:00 休み:月曜日が定休 主催:PHILL、moss linkage(IMPRVIDE Co.、Ltd) 共催:CULTIVATE CREATION PROJECT実行委員 ※カルチベイト・セミナー 02 「Risa Hukui ~切りつづける理由~ 5月11日(日) 15:00~18:00 1,500円 於・個展会場(ほくせん・アイボリー) 「二ヶ月に一度日本のトップクリエーターを講師に迎え開催するCULTIVATE SEMINAR(カルティベイト。セミナー)。第二回目は東京を拠点に切り絵作家として活躍している福井利佐さんを講師に迎えます。・・・ 切り絵という手法に革新をもたらし、繊細かつ力強い彼女の作品は人の記憶に切り刻まれます。・・・自らの来歴と共に、作品発想の根源、作家としての未来への切り口を中心にお聞きします」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「静岡県生まれ。切り絵作家として幅広く活躍。受賞歴多数。・・・切り絵という作風ながら、大胆な構図と描写のきめ細やかさが見るものを惹きつける。・・・型にとらわれない活動フィールドは新たな切り絵業界の継承者との呼び声も高い。2007年に初の作品集「KI RI GA」を出版。2008年3月にはSTUDIO4℃と制作したオリジナル映像作品と原画をまとめた作品集『たらちね』も出版」(パンフより) 切り絵作家の切り絵作品展。作家のオリジナル映像作品が会場に流れていて、その原画展を含めた映像と切り絵展だ。それらはL字型会場の半分ほどで、上の写真の間仕切り左側。真ん中に台があるが、生け花があったのだ。ちょうど撤去したばかりだ。映像風景を完全に写真に撮り忘れた。写真の左側に大きなモニターと、その前の10脚ほどのイスを連想して下さい。 映像の為の原画作品だから、作家の全貌を伝える為の近作が趣向をこらして間仕切り右側に十数点の展示。 映像原画のシンプルさと、一点物の細やかな世界を楽しむのだ。 映像作品の正式名称をメモしてこなかったが、「たらちね(垂乳根)」と理解していいだろう。原画作品集のタイトル名がひらがなのそれだから。 「命」あるいは「誕生」をテーマにしている。盲目の子供と母と古里風景が題材。母が白無垢風の簡易な着物スタイルで、なぜだか割腹自殺する。死を通して、新たな生の誕生と神秘な力の世継ぎを暗示している。 映像作品原画はそんなに細やかさを追求してはいない。一目で顔の表現に刺青にも通じる不気味さ凄みがある。 顔のあやかしさは2面的だ。一つは映像作品がそうであるように、装飾過多と美への誘いへの新たな切り口としての手段だ。要するに映像全体が綺麗過ぎて、顔の不気味さからくるイメージとは違って、少し不満な感じ。安易な生命賛歌に陥りがちな映像である。音楽が流れていて、アイヌ・トンコリ奏者のオリジナル・メロディーなのだが、そのアイヌ調が異国的で全体にムービー効果を高めている。 原画以外の作品で、普段の彼女の魅力がわかる。 刺青的装飾美、ドロドロした線描画的世界が好きなのですね、作家は。確かに技術的にも、表現力としても一見の価値がある。それらは人間追求の表現手段としてではなく、線がうねって集まって、一つの生き物の輪郭を構成して、生きる物の活動の証・存在証明のような力動感だ。どこかでおぞましさが消えているから、一般受けし易いと思う。目に見えない「綺麗な部分」を表現していのだろう。 上の写真が映像原画。横たわった女の作品が好きだ。実にあっさりした線の世界だ。装飾性を消して、ストレートな力が伝わってくる。 下の作品は近作。写真ではその巧みの技は伝わりにくい。色は切り絵の下に色紙を置いて表現している。切り絵がデッサンだとしたら、全体で絵画になっているのだろう。
by sakaidoori
| 2008-05-25 00:22
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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