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栄通記

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2008年 05月 10日

619) オリジナル画廊 「古林玲美・展」・版画 終了・5月1日(木)~5月10日(土)

○ 古林玲美(ふるばやし れみ)・展
     MOSAIC

 会場:オリジナル画廊
     札幌市中央区南2条西26丁目3-10
     電話(011)611-4890  
 会期:2008年5月1日(木)~5月10日(土)
 休み:日曜
 時間:11:00~18:00(最終日は16:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(5・10)
 
 1981年 北海道栗山町生まれ
 2005年 東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース版画専攻卒業
 2007年 同上大学院芸術工学研究科修士課程修了
        現在札幌市在住


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 銅版画。エッチングが主体だと思うが、他にも腐食技法が使われているかもしれない。
 写真を見ても分かるように、約3cm四方の原版を縦横に並べて一版仕上げの版画だ。何が面白いかというと、相反することを同時に楽しめることだ。近くから見た時と離れて見た時の違い。個別に重きを置いて見るか、全体で見るか。技法としての版画としてみるか、イメージとしての絵画としてみるか。などなど。
 例えば、遠くから見ると何が描かれているかというよりも、全体の形や色のムードが気になる。隙間があるので不思議なデジタル装飾画になっていて、強烈な印象ではないのだが、見慣れない分だけ新鮮な感じ。それでいて奇を衒った手法と受け取られないのが好感度を2割ほど上げている。おそらく、作品全体から伝わる若さとそのエネルギーがストレートな感じだからだろう。隙間というのか並べ方がファージーなのもいい感じ。
 もっとも、この隙間に関してはバラエティーがあったほうが良いという意見もあるかもしれない。全体にもっと動きを求める人もいるかもしれない。将来の可能性としてはもっともな意見だと思う。でも、現時点では作家の問題意識はどうなのだろう?版画自体の可能性を工作風にいろいろと試みているのではないだろうか。原版の数だけ一版で多色刷りができる。腐食・非腐食技法など、いろいろな版画技法なども同時にできる。線を見せるか、ベタ塗りを見せるかということも一版で可能だ。仕上げは画家自身の感性でどうとでもできるだろう。技法を試すことによって、自然にでてくる自分自身の感性を確認しているのかもしれない。
 次に、近くに寄って何が描かれているかを好奇心をもって見ていくのだ。白い隙間が厚めの細胞膜、個々の作品は細胞だ。健全な細胞群だ。今度は全体に関係なく個別個別をあんぐりと楽しむのだ。殆んどは抽象的な線や色模様だ。小さい作品なのに細かな線描画がある。きっとドローイングの好きな人だろう。そうすると、このスタイルでドローイングを大きく表現したい衝動を持っているかもしれない。そういう気分はどう消化されていくのだろう。型にはまるのが嫌なモザイクもある。45度傾いて並べられている。そのわざとらしさが変に微笑ましい。

 細かさと大胆さ、この二つが更に大きく羽ばたくのを将来見れるかもしれない。壁一面を支持体にして、版画の部屋ができるかもしれない。

by sakaidoori | 2008-05-10 22:41 | (オリジナル)


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