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栄通記

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2008年 05月 03日

618) 春の旅② ーカムイコタン遺跡

 早朝、宮島沼のマガンを見た後、次の寄り道はカムイコタンの神居古譚竪穴住居遺跡のカタクリ群生地へ。

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 沼からは直ぐに国道12号線に出ないで、なるべく石狩川の左岸を走った。時折り堤防に昇って川幅をはるかに超える川筋と、護岸のヤナギの新緑を愛でた。治水工事の今日の姿をあらためて振り返った。最近、石狩川を有する自治体の歴史を知る機会が多い。些細な歴史の知識ではあるが、知れば昨日までの景色が別の姿になって眼前を覆う。

 奈井江までは広々と石狩平野を眺めながら、そこからは国道をひたすらカムイコタンへ。カムイコタンのトンネルの手前に深川に行く交差点がある。そこを少し行くと、左に小さく「神居古譚竪穴住居遺跡」という看板がある。何の橋だか分からないが立派な橋梁が側に架かっている。

 ここのカタクリは大きい。以前に一度たまたま訪れたのだが、笹藪に囲まれて、地味豊かな古代遺跡跡地に大きくカタクリの群生地を発見できて感動したものだ。遺跡とカタクリ、何と素敵な組み合わせだ。あの景色を再度ジックリ見たかった。

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 入り口から50m歩き、そこから300mほど遺跡は続いている。花は白、黄色、ピンクと混じりあいながらも、棲み分けをして咲いている。なぜかしらエゾエンゴサクは一輪しか見つけきれなかった。茶色の落ち葉をサクサクと音を立てながら、川の音、日の光、雑木の陰と交わりながら遺跡道を歩いた。

 竪穴住居跡は全部で219基。擦紋時代(8C~12C)の遺跡だ。右側を流れる石狩川を遡上する鮭を主な生活の基盤にしての遺跡だろう。鮭の捕獲と加工は量が期待できればある程度の集団の方が有利だ。案内板によると一時期に最大でも10戸程度とのこと。連綿と100年単位での生活跡地だ。
 遺跡の最後尾にチャシコツがる。直径20mの半円形の堀が廻らされている。その窪地が明瞭に見てとれる。チャシは戦の砦という場合もある。ここは激しい石狩川に臨み、外敵の様子を伺うという立地条件ではない。直ぐ側に住居もあり、簡単な堀を廻らすことで、生活空間とは相対的に独立した祭祀空間ではなかろうか。メインの役割は鮭の豊漁と感謝の儀式だろう。堀は半円形だが、おそらく半分は石狩川に浸食されて崩れたのだろう。往古、このあたりの地形は10mは川にせり出していたと思う。現地を見れば川の流れの激しさ強さが春の獣に変わる姿が想像できる。

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 ↑:ちょっと分かりづらいと思います。真ん中が窪んだ竪穴住居。5m四方の穴が幾つもあって、花がお構いなく咲いています。


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 ↑:チャシコツ。堀の跡が良く分かります。堀は崖の辺りで途切れている。崖ぎりぎりに住居跡もあるので、おそらくは川に面した部分は崩壊したのだろう。


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 ↑:チャシコツの堀は崖跡に消えていく。

by sakaidoori | 2008-05-03 23:15 | ◎ 旅・飛行機・船


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