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栄通記

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2008年 04月 30日

616) 門馬・ANNEX 「本田征爾・展 ー幻灯世界ー」 終了・4月20日(日)~4月29日(火)

○ 本田征爾・展
    ー幻灯世界ー

 会場:ギャラリー・門馬 ANNEX
     中央区旭ヶ丘2丁目3-38・(バス停旭ヶ丘高校前近く) 
     電話(011)562ー1055
 日程:2008年4月20日(日)~4月29日(火)・会期中無休
 時間:11:00~19:00

 ※オープニング・イベント:F.H.Cライブ
     ①14:00~②18:00~(無料)
ーーーーーーーーーーーーーーー(4・29)

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 1977年 京都府生まれ
 2000年 北海道大学水産学部卒
 2002年~以後、断続的にマグロ延縄調査船に乗船
 2004年 この年の2月にギャラリー・エルエテで初個展、以後札幌では今回が6回目か?。他に大阪で個展。

 プロフィールに書いたように2004年から本田君は精力的に個展をしている。作品は水彩で、小品ばかりだ。画題は深海?の不知の魚達がほとんどだ。幸いその多くを見てきた。不思議なものだ。見初めの時は僕自身の興味からはすこしズレていたが、なぜだか毎年彼の個展を楽しみにしている。慣れもあるのだろう、彼自身の表現力の上達ということもあるだろう、自分とは違う感性をギャラリー廻りで楽しむことを覚えたからかもしれない。

 さて今展、明快に言えることが二つある。
 一つは細密画への挑戦だ。挑戦といえば新たな試みにみえる。発表としてはそうではあるが、落書き、デッサンなど普段の延長でもあると思う。
 それで、この細密描写がなかなか良いのである。今までの絵が、青い海中から生き物達が立ち現れることに主眼があったと思う。目に見えない生命の違う形での出現に重きがあった。画家一般が言うところの、「見えない世界を、見える世界にする」という作業だ。本田君にとっては「新たな生命の出現」は自明なことになったようだ。おぼろげに出現する姿が絵画的幻想を伴い魅力的ではあっても、ムードだけに止まる事から一歩前進したようだ。魚たちの目鼻口の相貌、何よりその姿を美しくであるが克明に描くことが別次元での生命の存在の証明であるかのように振舞っている。
 「私の体を見て!近寄って近くで見て!細かい形と形の間も、色と色の間も見て!私はここにいるのよ!」彼の絵は男女が肉感的に絡み合うという意味でのエロスは少ない。ユーモアで生き物の営みの一つとしてのエロス表現がせいぜいだ。だが今展、細密画に拘ったから、ユーモア精神が微妙に揺らいで見えた。性にしろユーモアにしろ、本田絵画はまだまだ期待するところが大である。

 もう一つの特徴として、個展の幅を広くしたことだ。立体作品もある。これが将来大きなウエイトを占めるかどうかはわからない。絵画作業の息抜きとしても、見るほうへのサービスとしても良いことだろう。
 コラージュにも意欲的だ。絵そのものが水玉世界なのだが、ビーズをちりばめてトリック的だった。煙草の箱を使って、都会的なお洒落な作品もあった。

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 ↑:左から、「ハナタコフネ」、「Erosion」。


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 ↑:左から、「玉降る」、「狭間の星」。


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 ↑:「行き止まりの迷宮」。

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 ↑:「花魚 Ⅲ」。

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 ↑:「Orbitalis」。


 少し長くなるが最後に。
 彼は関西人だ。会話すれば直ぐに分かる。その話振りがぶっきら棒な感じがするが、あれがかの地のノリだから何等の敵意はない。おそらく関西人の言葉のアクは日本を代表する伝統、人口の多さと商業を中心にした生活感覚から来ているのではないか。「でしゃばり根性」がなければ自分を見失うのだ。
 本田君の絵画も人間関係の振る舞いとして見ることができる。いわゆるアイデンティティーの問題だ。
 絵画世界での不知の魚が本田君自身だ。小さい世界でのユーモア的生物、それは人口過密な世界で、小さくてもヒョウキンな立ち居振る舞いで自己発揮していたのだろう。深海という闇から鮮明に姿を現す魚達、それは彼自身が沢山の人の中で自己をだし始めたのだろう。自信の現われだと思う。そして今展の細密でしっかりした魚達、ようやく、「本田征爾を見よ」と宣言しているのではないか。街の中を闊歩し始めたのだ。
 以上、絵に表れた栄通の本田征爾論の序論です。


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by sakaidoori | 2008-04-30 13:43 | 門馬・ANNEX


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