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栄通記

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2008年 03月 09日

551)テンポラリー 「小林由佳展  スベテハココカラハジマル」 終了・ 2月12日(火)~2月17日(日)

○ 小林由佳展 
    「スベテハココカラハジマル」

 会場:テンポラリー スペース
     北16西5 北大斜め通り・西向き 隣はテーラー岩澤
     電話(011)737-5503
 会期:2008年2月12日(火)~2月17日(日)
 時間:11:00~19:00(最終日は17:00迄)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・17)

 (この展覧会の時、僕は札幌を留守にして見にいけませんでした。いくつかの鑑賞を家内にお願いしての写真掲載です。直に見ていないので感想を書くには勘違い、間違いがあるとは思いますが、触発されるものがあるので記しておきたいと思います。携帯で撮った写真ですが、少しは参考にはなると思います。)

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 撮影者は20台の女性。被写体は江別駅前の現在。彼女は江別生まれで、幼い頃そこに住んでいた。おばーちゃんは江別のそこに暮らしているので、当然生地を離れても、それなりの頻度で「故郷」を訪れたことであろう。「ココカラハジマ」っているのだ。

 写真は最近(それ程古くない)の江別駅前であるが、回顧調の仕上げになっている。しかも、木に直に転写したものである。転写可能なように木に薬品を添付するのだが、薬品の塗りの濃淡が作品に反映されたりもしている。

 誰しもが分かるように、今の江別を故郷としての江別とダブらせて自分自身を見詰めているのだろう。不幸というべきか、現在の駅前アーケード街は寂れている。だから写真の回顧調の仕上げは本当に過去の写真と間違えそうだ。だが、「寂れた街」という印象は他者の目であって、撮影者・小林さんにとっては常にそこにある価値尺度以前のものであろう。


 一点の複雑さがある。江別、そこは主観的にどこまで「故郷」なのかということだ。
 もし、記憶を残しつつその後あまり訪れれる場所で無いならば、「故郷」は想い出として心に深くしみわたり、「観念としての故郷」として、美化され強固なものになるだろう。
 一方で、田舎生まれの田舎育ちの「故郷」にへばり付いた人達。その人達にとっては「故郷」とは問はれる以前の確固とした存在だろう。

 だが、彼女は頻繁に「故郷」を親戚の家に行くという理由で訪れることになる。おばーちゃんが優しく迎えてくれて、お小遣いも貰ったりしたことだろう。「故郷」ではなく、親戚の楽しい「場所」であっただろう。おそらく「故郷」を客観的に見ることは少なかっただろう。

 小林さんにとっては「故郷」は決して失われた場所ではない。意識的に獲得すべき場所=「ココ」なのだ。
 彼女の自我の芽生えがいつかは知らない。表現者は「自己とは何か」という命題を常に持っている。自己とは違う、時に決別し対峙し認め合う自分自身。今、小林さんは「故郷」を見詰めることによって、具体的に「探求の旅」を始めたようだ。・・・スベテハココカラハジマル。

 やや古びた民家でもあるテンポラリー・スペース。壁や昔の屋根裏に並べられた写真を慈しんで撮影者は見たことだろう。あの場所が溜め込んでいた写真の蘇生になったのだろう。
 直に見ることは無かった写真展だった。



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by sakaidoori | 2008-03-09 20:07 | テンポラリー


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