栄通記

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2008年 03月 05日

550 ) 法邑③「道都大中島ゼミ 『版’s SEVEN』」・版画 終了・1月30日(水)~2月7日(木)

【出品作家】
 犬養康太 松本直也 柚原一仁 関谷修平 大泉力也 川口巧海 石井誠・・・以上6名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・7)

○ 関谷修平

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↑:「扉」とその部分図。

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↑:「虜」

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↑:左側が関谷作品で「拍」。

※ 2005年 道都大学美術部デザイン科 卒業
  2006年 同上 科目等履修生 修了
  2007年 倉敷芸術科学大学大学院 通信制 院1年生

 (写真がピンクがかって、本当に申し訳ありません。全体が「白」とイメージして下さい。後日、関谷作品を鑑賞する機会があれば、承諾の下、より良い写真を載せたい。)


 「ミニマル・アート」、関谷君との会話で真っ先に耳にした言葉だ。
 僕のこの言葉のイメージは、肉質性(個性)を排した機械的な反復で画面が構成されているというものだ。色も筆跡が残ってはいけない、印刷のようにベタでなくてはいけない。アメリカ生まれのポップ・アートが何でもありの大衆臭さを特徴とするならば、科学・知性好みのインテリ臭さと言い換えても良い。知と美の共存した絵画である。

 関谷・作品、単純な線の反復だけの作品である。原版は同じ物。版を重ねるごとに微妙にずらしていく。何回もずらしながら、色を替えながら重ねるわけだが、画家が「これで良し」と判断した時が終わりだ。(版画一般にこういう多版形式の傾向があるが、シルク技法は特に顕著なのではないか。技法の一つなのだろう。)
 作品は微妙な色のグラデーションで静謐な美を表現している。反復線の隙間隙間に人の目を引き付ける。機械的反復線、その隙間にミニマル=極小の世界を確認できる。塗られた色は薄くはあるが均一で全体からは一切の破調は無い。そういう意味では「ミニマル・アート」である。
 だが、アメリカ生まれの美術用語で様式は語れても、精神までも語りつくすには無理がある。何よりあまりにも関谷作品には「東洋(日本)美、余白美」が渦巻いている。線も定規によるものではない。自身の線描だ。等間隔に緊張しながらおびただしい曲線を引いていく。どこか職人の巧みを思う。

 きっと美意識の強い人だと思う。
 学徒として多くの西洋美術・技術を学んだことであろう。それは継続中でもある。その一方で、自己自身の顕わになる美に西洋との違いを認めているだろう。
 また、関谷君は北海道人である。日本人だが京都人のような泥臭い伝統美は持ち合わせてはいない。三岸好太郎がそうであったように、伝統の軽さは良き物を何でも取り入れる。関谷君は定期的に倉敷に通って学んでいるという。そこで日本を学んでいるのだろう。
 西洋の理論を借りながら、一切を排した美を追求しているようだ。


石井誠

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 ↑:左から「帰道」、「ASTRONOMY」(天文学)。


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 ↑:上から「ここにいること」、「幾重にも」。


 石井君は二つのことを表現しているようだ。

 一つは、表現主義的に自己の情動を直截にぶっつけること。「黒(自己)の世界」と仮に言おう。黒い線や模様がそれにあたる。若さ・勢い・情熱があって好ましいが、「汚い」仕上げになる時がある。自己格闘の軌跡であり、自己を見詰めることが作品の質の向上になっていくと思う。

 一つは、シルクによる色を模索していること。色そのものの追求や構成などを勉強しているのだろう。「色の世界」と仮に言おう。背景のような役割になるのだが、あまり大仰にならずに、黒の直截な激しい世界に華を添えている。明るさやリズムがあり、シルクの技法の習得が質の高さに直結していくのだろう。

 全体の黒と色の躍動感が石井・ワールドだ。

 改めてタイトルを読むと石井君の思いがストレートに伝わる。真摯で情熱的な青年だ。更に、彼は活動的だ。作品を見れば分かるががむしゃらな所がある。
 それは絵だけでは無さそうだ。まだ2年生だが、積極的にグループに参加し、作りもしている。札幌の若きアート・シーンの牽引車たらんとしている。  深く会話をしたことは無いが、外見は少し野暮臭く朴訥である。情熱を内に秘めて、積極的に行動するタイプなのだろう。
 何も僕には出来ないが、見て、作品を語ることによって応援したい。


○ 川口巧海

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 ↑:左から「Torso」、「心電図」、「無限の象徴」、「蜘蛛の糸」・全て銅板。

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 エッチングだと思います。他の6名がシルクスクリーンですが、川口君だけが銅板です。大きさも小振りで、会場構成の良いアクセントになっています。大きさの違いは彼の趣向というよりも、道都大学の設備の制約によるものだそうです。

 人間の「死」、あるいは「業」とか「宿命」に関心があるようです。

 他の方を書き過ぎました。次回の書く楽しみにということで、この展覧会の記を終わることにします。

by sakaidoori | 2008-03-05 17:06 | (茶廊)法邑 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 石井誠 at 2008-03-08 02:49 x
講評ありがとうございます。
特に黒と色の躍動感という言葉は
今後自分の作品を説明する際に使いたくなるような
素敵な言葉です。
今後も精進いたします。
Commented by sakaidoori at 2008-03-08 12:57
>石井誠君へ

読んで頂き有難うございます。失礼な言葉は多々ありますが、他者の言葉は言葉として、グイグイ進んでいってください。次回も楽しみにしています。


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