2008年 03月 05日
【出品作家】 犬養康太 松本直也 柚原一仁 関谷修平 大泉力也 川口巧海 石井誠・・・以上6名。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・7) ○ 関谷修平 ↑:「扉」とその部分図。 ※ 2005年 道都大学美術部デザイン科 卒業 2006年 同上 科目等履修生 修了 2007年 倉敷芸術科学大学大学院 通信制 院1年生 (写真がピンクがかって、本当に申し訳ありません。全体が「白」とイメージして下さい。後日、関谷作品を鑑賞する機会があれば、承諾の下、より良い写真を載せたい。) 「ミニマル・アート」、関谷君との会話で真っ先に耳にした言葉だ。 僕のこの言葉のイメージは、肉質性(個性)を排した機械的な反復で画面が構成されているというものだ。色も筆跡が残ってはいけない、印刷のようにベタでなくてはいけない。アメリカ生まれのポップ・アートが何でもありの大衆臭さを特徴とするならば、科学・知性好みのインテリ臭さと言い換えても良い。知と美の共存した絵画である。 関谷・作品、単純な線の反復だけの作品である。原版は同じ物。版を重ねるごとに微妙にずらしていく。何回もずらしながら、色を替えながら重ねるわけだが、画家が「これで良し」と判断した時が終わりだ。(版画一般にこういう多版形式の傾向があるが、シルク技法は特に顕著なのではないか。技法の一つなのだろう。) 作品は微妙な色のグラデーションで静謐な美を表現している。反復線の隙間隙間に人の目を引き付ける。機械的反復線、その隙間にミニマル=極小の世界を確認できる。塗られた色は薄くはあるが均一で全体からは一切の破調は無い。そういう意味では「ミニマル・アート」である。 だが、アメリカ生まれの美術用語で様式は語れても、精神までも語りつくすには無理がある。何よりあまりにも関谷作品には「東洋(日本)美、余白美」が渦巻いている。線も定規によるものではない。自身の線描だ。等間隔に緊張しながらおびただしい曲線を引いていく。どこか職人の巧みを思う。 きっと美意識の強い人だと思う。 学徒として多くの西洋美術・技術を学んだことであろう。それは継続中でもある。その一方で、自己自身の顕わになる美に西洋との違いを認めているだろう。 また、関谷君は北海道人である。日本人だが京都人のような泥臭い伝統美は持ち合わせてはいない。三岸好太郎がそうであったように、伝統の軽さは良き物を何でも取り入れる。関谷君は定期的に倉敷に通って学んでいるという。そこで日本を学んでいるのだろう。 西洋の理論を借りながら、一切を排した美を追求しているようだ。 ○石井誠 ↑:左から「帰道」、「ASTRONOMY」(天文学)。 石井君は二つのことを表現しているようだ。 一つは、表現主義的に自己の情動を直截にぶっつけること。「黒(自己)の世界」と仮に言おう。黒い線や模様がそれにあたる。若さ・勢い・情熱があって好ましいが、「汚い」仕上げになる時がある。自己格闘の軌跡であり、自己を見詰めることが作品の質の向上になっていくと思う。 一つは、シルクによる色を模索していること。色そのものの追求や構成などを勉強しているのだろう。「色の世界」と仮に言おう。背景のような役割になるのだが、あまり大仰にならずに、黒の直截な激しい世界に華を添えている。明るさやリズムがあり、シルクの技法の習得が質の高さに直結していくのだろう。 全体の黒と色の躍動感が石井・ワールドだ。 改めてタイトルを読むと石井君の思いがストレートに伝わる。真摯で情熱的な青年だ。更に、彼は活動的だ。作品を見れば分かるががむしゃらな所がある。 それは絵だけでは無さそうだ。まだ2年生だが、積極的にグループに参加し、作りもしている。札幌の若きアート・シーンの牽引車たらんとしている。 深く会話をしたことは無いが、外見は少し野暮臭く朴訥である。情熱を内に秘めて、積極的に行動するタイプなのだろう。 何も僕には出来ないが、見て、作品を語ることによって応援したい。 ○ 川口巧海 エッチングだと思います。他の6名がシルクスクリーンですが、川口君だけが銅板です。大きさも小振りで、会場構成の良いアクセントになっています。大きさの違いは彼の趣向というよりも、道都大学の設備の制約によるものだそうです。 人間の「死」、あるいは「業」とか「宿命」に関心があるようです。 他の方を書き過ぎました。次回の書く楽しみにということで、この展覧会の記を終わることにします。
by sakaidoori
| 2008-03-05 17:06
| (茶廊)法邑
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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