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栄通記

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2008年 02月 29日

544) たぴお 「美唄絵画サークル 絵画箱・展」  終了・2月18日(月)~2月23 日(土)

○ ー美唄絵画サークルー
    「絵画箱展」

 会場:ギャラリーたぴお
    北2西2・道特会館1F (中通り・東向き)
    電話(011)251-6584
 会期:2008年2月18日(月)~2月23 日(土)
 時間:11:00~18:00

 【出品作家】
 原田フジ 平野トキ 永洞タツエ 佐藤隆江 佐藤一美(かずよし) 工藤悦子 町田美智 安海美代子 高山青子・・・以上、9名。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(2・23)

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 たぴおオーナー林教司さんの教室展です。

 教室展の楽しみにいくつかあります。
 基本は作品そのものにあるのですが、指導画家のことをあれこれと気付かされることです。どうしても指導画家の特徴を生徒作品は反映しがちです。反映の仕方がいろいろで面白い。
 林教室の場合はどうでしょう?
 教室の始まりの頃は水彩からだそうです。十数年前のことで、それ以来の生徒さんもおられうそうです。一人一人の年齢は伺いませんでしたが、年配の方が多いそうです。その為か、激しい絵とか強い個性の絵とかは少ない。対象をしっかり見詰めて、描きなれたご自分の世界を優しく表現しています。水彩から出発していることが、油絵になっても淡い表現へと向かったのでしょう。
 指導者・林さんの影響はどうでしょう?林絵画は「人間を見つめる」中から生まれていると思っています。時に社会の矛盾も視野に入れます。人の心が矛盾に満ちたものである以上、その矛盾を画家の目で凝視しているのですから、社会に関心がいかないわけはありません。そして、全てにおいて最大の矛盾、それは「死」。
 ですがそんな難しいことを生徒には求めてはいません。「死」の反対の「生」、そのささやかな喜び優しさを絵を描くことで少しでも実現できたら・・・生徒さんの作品を見ているとそんな感じがしました。きっと和気あいあいと楽しく教室は運営されているのでしょう。

 何点か写真を載せて、簡単な感想です。

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 ↑:佐藤一美、左から「静物」「麓郷の森(五郎の拾ってきた家)」
 教室で唯一の男性。丹精にしっかりと描いています。紫の好きな人ではないでしょうか。色のムードが後まで残りました。


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 ↑:平野トキ、「ハープと少女」。
 今展で一番大きい作品です。30号くらいでしょうか。年配というのに若い絵ですね。変に少女を可愛く描いていないのがいい。緊張した顔の回りに装飾的なピンクの花びら、ハープとともに少女の性を賛歌しています。リアルな足がこちらを睨みつけて、何か言いたげです。手も特徴的です。


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 ↑:左側、原田フジ、「菊」。
 他の方の作品もそうなのですが、中心テーマを中央に大きくビシッと見据えています。(正確には中央より、ややずらしています。動きが生まれるのです。)まさしく、この作品もそうです。絵が大きく見える。そして、優しく色が華を添えている。軽やかに人生色々、花も色々です。みずみずしい絵です。

 右側、佐藤隆江、「三奈ちゃん」。
 佐藤さんは他にも風景画や静物を描いています。対象の特徴をしっかりつかむ姿勢が手馴れているなと思いました。写実力にもすぐれています。「三奈ちゃん」、幼児の生命力と同時に描く人の愛情が伝わってきます。


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 ↑:安海美代子、左から「女性」「まるめろ」。
 この「まるめろ」、好きな作品です。小品としてこんなに大きく描くのは大変でしょう。存在感の強い絵です。「女性」の目といい、睨みつけて絵を描いているのでしょう。和気あいあいの教室風景だと思いますが、絵を描く姿勢はなかなか激しいものがあるのでは。


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 ↑:永洞タツエ、「NUDE Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」
 おそらく教室では定期的に裸婦のデッサン会があるのでしょう。そして、永洞さんはそれを楽しみにしているのでしょう。
 裸婦デッサンは絵画の基礎的修練と聞きます。それは近代に確立した画界の方便だと思います。西洋人は「女の裸」が好きなのです。そのストレートな表現が裸婦デッサンだと思っています。その裸婦を女性が楽しみとして取り組んでいる。綺麗に描こうとしている。同性として。風景画や人物画の中で、こういうのがあると鑑賞に変化が生まれていいですね。

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 ↑:町田美智、「ほおずき」。
 一切余計な物は無く、ほおずきの色と形とリズムを描いています。楽しんでいます。もしかしたら絵手紙などを得意にしているのではないでしょうか。彼女の場合は大きく見せるというよりも余白美を楽しんだ絵手紙でしょう。日本画が好きかもしれません。


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 ↑:高山青子、「湿原」。
 油絵らしい作品。ガラスが反射して下からの撮影で、作品を正面から見た印象を伝えれませんでした。
 不思議な絵です。夕日の山並なのでしょうが、ひっくり返して見ることも出来ます。そうすると「燃える連山」です。ところがタイトルは「湿原」。再度絵を見直すことになります。それはタマタマなのか、高山さんの策略なのか。自分好みを発見できて良かった。


 (DMには工藤悦子さんの名前があります。気を付けて写真を撮ったのですが、彼女の作品を撮り忘れたかもしれません。すいませんでした。代わりにDMには無い高山青子さんの作品がありました。)

 いつになく教室展なのに細々と書いてしまいました。展示は林さんがされたと思います。作家ごとに並べるのを微妙に壊し、お洒落で工夫を凝らしています。リズミカルです。画家にこういう言葉は失礼ですが、本当にセンスの良い人なんですね。「矛盾」を抱えた人の、「矛盾」のない仕事です。

by sakaidoori | 2008-02-29 23:56 | たぴお


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