2008年 02月 23日
○ 写真展 「MOVE」 【参加作家】 藤川弘毅 竹田あやこ 爲岡進 置田喜代美 廣島経明 足立成亮 高井稜 山岸せいじ 宇津木圭 久保ヒデキ・・・以上10名。 ーーーーーーーーーーーーーーーー(2・13) ○ 高井稜 高井さんの被写体は自然(風景)です。ありのままにカラーで、そしてありのままではなくダブらせて撮ります。ブレているのは作品自体がそうなので、僕のピンボケではありません。アクリル板の為に見難いのは我慢してください。 とても面白いと思った。というのは、普通人間などをボケて表現すると人間心理の負の面を表現しがちだ。ところが高井さんのボケ作品には何ともいえない清々しさがある。ブレによって見える自然の、見えない世界の視覚化に挑戦していると思う。それは風であったり、音であったり、匂いであるかもしれない。あるいは優しさだとか抱擁力という人間的なものであるかもしれない。もう一つの自然の姿、自然が自然として立ち現れる以前の「相」、それらを高井さんはブレた自分の作品を見ることによって確認しているように思える。 秘所に迫る心地良いブレ作品だ。 ○ 竹田あやこ 「ゆら」。完璧?なスナップ写真です。綺麗に撮ろうとか、仕上げを美しくしようとか、そんなことには無頓着に「素のまま」を提示した作品です。 確かに自然の空気感や、自然界のコスモス(秩序)を瞬間の中に優しく取り込もうとしているのでしょう。 ですが、僕には竹田さんが写真でしたいことよりも、その無防備な姿勢に驚きます。余りに素人っぽすぎるのです。この姿勢、この感覚をどこまで維持できるのでしょう?「撮っちゃった、上手くいかない、次。撮っちゃった、少しは良いわ、次。・・・・」終わったことにこだわらない軽さ、それでいて終わったことを重ねていくこだわり。 ・・・おそらくこのグループ展の具体的呼びかけ人は山岸さんでしょう。竹田さんへの興味は、選者・山岸への興味へと関心が移っていく。 全体の印象。 たぴおの変則的な壁面を巧みに利用しての展示だ。一人一人の個性が全体の中で嫌味なく響き会っていて飽きないで見ることができた。先にも書いたが、山岸さんの好みというか美的センスの反映でもあると思う。 彼はある一つの価値観、共通意思で全体をカバーするというよりも、個々の個性が全体でどういう風に作用しあうか、プラス・アルファーを求めてグループ展を開いているのではと思っている。更に、沢山の物を寄せ集めて、その集合が見えない何かの糸口になるのではないかという美意識・価値観を持っているのではないのだろうか、山岸さんという人は。 ↑:今展の山岸作品、「瞬」。 ピカピカ光る黒い紙にびっしりと写真が貼られている。美しきブラック・ホールだ。個々ばらばらな作品を一つにまとめあげてのマクロコスモス。ミクロとマクロの合一。しかも展示場所はすぐには気付きにくいところで、それでいて大判でしっかりと自己主張をしている。 彼の作品がミクロコスモスのようにたたずみ、他者が個性を生かしつつ親和力で結ばれて、会場全体でマクロコスモスへと。山岸という入れ子が、たぴおという入れ子へと膨らみ、新たな価値を付加する。俳優でもあり、演出家でもある「山岸せいじ」・ワールドを見る思いであった。 ↑:藤川弘毅 ↑:置田喜代美、「flow」。 1976年浜頓別生まれ。 会場にはプロフィールもあり、発表歴を知ることができた。数年前に発表することに開眼したようで、以来多くの発表をしている。昨年のアイボリーでの個展は、その質、量、統一感とイメージ・イメージ・イメージで押し寄せてきた。 まずは今年はたぴおからですね。そのイメージの深化・変容を楽しみに見ていこう。 (続く。後の方は簡単に書きます。)
by sakaidoori
| 2008-02-23 23:40
| たぴお
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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