栄通記

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2008年 02月 06日

518)時計台 ②「北海道教育大学大学院美術教育専修修了制作展」 2月4日(月)~2月9日(土)

 (①の続き)

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 ①の部屋とドアで繋がれた隣の部屋。2作家、3作品だけだ。大野さんの向かいに椅子が用意されていて、狭い場所で大きい大野作品と対決するようにして見ることになる。(2・5)

 二点並んだ方が大野恵理、左から「Kewpie」・210×183cm、「Tokyo/Pari」・228×183cm。
 独特な光具合、独特な色合いで大野さんと直ぐ分かる。こんなことを言うのも失礼だが技術・表現力と上手くなったものだ。今回のワイルド感、見ていて惚れ惚れする。
 左側のキューピットは凄い。アメリカ的美意識でドーンと迫ってくる。有無を言わせず、なりふり構わない絵だ。
 対する右側は赤裸々な一点焦点画。奥の方に吸い込まれそうに、奥から迫ってくるとようにも見える。キューピーがこちらに迫ろうとしているから、街の絵は無意識に奥に向かっているように見えた。対比的効果を狙っているのだろう。いずれにせよ、大野・光具合に誘導されながら視線が行ったり来たりして、感覚を日常性から解き放とうとしているのだろう。色合いに顕著なアメリカ性・異国情緒が役に立っているのかどうか?「激励賞」を進呈したい。

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 ↑:松尾道行、「order」、200×340cm。

 う~ん。油展では彼の小品が好きだったのだが・・・。基本的にテーマや画題は同じなのだが・・・。
 見た目は風景画・具象画で、青い空に白い雲がせめぎ合うように沸き立つ絵だ。油展の小品は縦長で雲が上空に拡がって行く様で、絵を離れてイメージが膨らんでいって気に入った。掛け軸のようだったので白壁とマッチして空間美・日本美を感じたので印象が良かったのだろう。
 だが、彼は基本的には抽象画を描いているのだと思う。というよりも、額装の内部という限定はあるが、現代絵画が追求している何かを追体験しているみたいに見える。学識不足で現代絵画の美術史、最前線の現状をよく知らないので、その辺のことは全然語れない。
 一方で、雲のようなものが空間でうごめいていたり、爆発している姿が生理的に好きな人間ではないのか。心象絵画ではなく、生理絵画というべきだろう。その生理を無批判的というのか、暴力的に突き進みたいという衝動を感じる。美術の最前線と自己の生理、この辺をどうするのだろう?

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 ↑:映像作品。吉澤美紗、「他人の遺伝子」・58分。

 10分位しか見ていない。何と58分の大作だ。
 確か「マーマレード」という名前がついた映像作品を教育大の発表会で見たことがある。おそらく同じ学生かと思う。何てことの無い作品だったが、今作も何てことなく話が進んで行くのだが、作家のたどたどしいナレーションと一緒になって、その「何てことのなさ」が気になっている。
 映像作品まで語る能力が無いので今回はパス。機会を改めて彼女のことを書きたい。

 会場には修了論文といえばいいのか、読み物が用意されてあった。字が小さいのとかなりの分量なので、最後まで読む方は少ないだろう。現役の最上級生の知の舞台だ。間違いなく有益な情報があると思う。個人的にも二部ほど欲しかった。もう少し大きな字で、製本などせずに白黒コピーを用意して、実費でわけてはどうでしょうか。学生にとって負担かな?

 ○「中国における油絵の流れと代表する画家たち」(楊)
 ○「空間知覚における諸要因」(松尾)
 ○「アストリッド・リンドグレーン  ~児童文学の中にみる芸術性~」(大野)
   他

by sakaidoori | 2008-02-06 12:48 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
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