2008年 02月 04日
○ 道彩会会員会友展(北海道水彩画会) 会場:時計台ギャラリー 2階全室 北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き 電話(011)241-1831 会期:2008年1月28日(月)~2月2日(土) 時間:10:00~18:00 (最終日17:00迄) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 水彩のグループがいくつかあって、そろぞれに名称が微妙に違います。中央との関係の有無もあるでしょう。 この会は通称何と読んだら良いのでしょうか?「ドウサイカイ」でいいのでしょう。道内画家の重鎮、八木保次さんが特別会員です。この会の絵を見ていると保次さんの影響を感じはしますが、奥さんの伸子さんの影響も無視できないでしょう。輪郭を不鮮明ににして、薄くさっささっさと筆跡を残していく、書道的な心象の発露としての八木保次風作品。全体の空気感というのかムードを重視する、白に思いを込めた静謐な八木伸子風作品。お二人をミックスした作品群です。 そうは言っても二人の画風だけで全ての画家の傾向が収まっているわけではありません。公募展形式で仲間を募っているので、年々お二人の求心性が薄くなっていくのかもしれません。毎年秋には市民ギャラリーで道彩展が開かれています。今年は28回目になると思います。 会場風景と好みの作品の感想を書きます。 ![]() ![]() ![]() ![]() ↑:寺西冴子、「夏の賛歌」。 画題としては青い水辺に緑の葉が浮かび、そこに小さくても花が咲いている、そういうみずみずしい初夏の喜びを表現したということでしょう。 僕は大いに寺西さんに関心があるのです。関心の中心はボリューム感です。 この場合は緑の部分の塊が目に彫刻のような立体作品として迫ってくるのです。この絵は具体的な何かを描いているのではなくて、イメージだと思う。彼女の場合、イメージが固まりとしてあるのだと思う。描写は二の次で、対象との距離感、対象をボリュームとして把握してリアリティーを表現する、そういう作家だと思うのです。 この絵はアフリカ大陸に見える。平面の地図のアフリカではなくて、球体の地球儀に円くへばりついて、輪郭が遠ざかっているアフリカ大陸です。存在全体を立体として際立たせる「寺西冴子」・・大きな絵です。 ![]() ↑:原口由美子、「夜空からの贈り物」。 画面全体が華やかで、会としては異色な感じです。どこか、一人我が道を行こんとする発散する情熱、水彩としてのつややかさも印象に残りました。 ![]() ↑うえ:左から小堀清純・「?(中国の風景)」、本田いさみ・「2007 リンゴ園風景」、工藤路子・「entrance」。 面白い展示の組合せです。特に小堀さんの風景画は他の写実的な絵画の中に挟まれると違って見えるのではないでしょうか。 三者それぞれが方法とニュアンスを異にしながら、向こうの目に見えないものを描こうとしているみたいです。 小堀さんの場合は旅愁に包まれながら、民家と水面に映るその姿を対比的に描いています。異郷の地の旅心と、水面を利用した虚実の世界が絡みあった静かな一つの世界です。 本田さんはりんご園ということですが、ほとんどそのことに捕われないで絵を見てしまいます。真中の何も無い空気感を表現したいのだと思います。その空間から向こうの世界へ風の流れのように誘いたい、そう画家は言っているみたいです。 工藤さんは少し描ききっていない感じですが、主張は鮮明です。 タイトルもズバリ「エントランス=入り口、玄関」です。辞書を引くと、同じ綴りで「他動詞:夢うつつにする、うっとりさせる」とあります。二つの意味に内的関連があるかどうか知りませんが、この絵のタイトルとしては意味深です。聖書の「狭き門」はエントランスという言葉を使っているのでしょうか? 入り口に立つ時、人はまだ見ぬ向こうの世界に淡い期待を抱きます。動物は日々変わらぬ保守性の中で生きていますが、時折訪れる入り口のドアの前で心ときめくものです。 ![]() ↑:蝦名富美子、「あ~ら なあに?」。 こういう絵を栄通記は外すわけにはいかないのです。このグループを一つにくくれるものではありません。蝦名さんはその代表選手ですね。 連絡事項⇒逸見富美子さんは道彩会の会員です。今展にも出品していました。写りが悪くて割愛します。2月5日~10日までユリイカで個展をされます。
by sakaidoori
| 2008-02-04 13:27
| (時計台)
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![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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