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栄通記

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2008年 01月 25日

494) 開拓記念館「第148回テーマ展 まるごとアンモナイト展」 10月26日(金)~2008年2月10日(日)

○ 第148回テーマ展
    「まるごとアンモナイト展」

 会場:北海道開拓記念館・2階(公称2階ですが、実質3階)
     札幌市厚別区厚別町小野幌53-2
     電話(011)898-0456
     ファクス(011)898-2657
 会期:2007年10月26日(金)~2008年2月10日(日)
 時間:9:30~16:30
 料金:無料
 ※冬期間は駐車場は無料開放。さらに、記念館手前の業務用の駐車場を開放中。
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 会場に入るととても日本人とは思えない青年が、こともあろうにアンモナイトを抱いてウロウロしている。何語で声をかけていいのか戸惑いながら、「ナニヲシテイルノデスカ?」・・・しっかりした返事が返ってきた、「アンモナイトヲ、ダイテイルノデス」・・・。

 失礼しました。写真の青年は記念館学芸員・添田雄二君(地史・地質学)です。同じく学芸員の山田悟郎氏ともども、今展の担当者です。快く写真登場を引き受けてくれたので、どうせならアンモナイトを抱いているシーンということになったのです。軽々と抱いてますが、相当に重たい。若さと博物館関係者の底力を垣間見てしまった。
 風貌はとても日本人とは思えない。思わず出身地を伺ったところ、生まれも育ちも大学教育もバリバリの道産子だ。人類混交の雄大な歴史劇の中で、遺伝子に隠れていた因子が有史以前を学ぶ学徒に出現したのだ。単なる運かもしれないが、運命でもあるかもしれない。これからの博物館は出土品のみならず、関係者の顔もどしどしと社会にアピールせねばならない。生き残りのレースが始まっている。添田君のその運に期待したい。閑話休題。

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 今展のアンモナイトは面白い。
 今展のアンモナイトの大半は北海道化石会(現会員数38名)の会員の発見物だ。
 彼らはアンモナイトを閉じ込めている原石を見つける。それを、まるで盆栽のように、あるいは立体造形物のようにアンモナイトを主人公にして、ミクロ世界を表現しているのだ。
 アンモナイト展といえば巻貝のような見慣れた姿の大判をイメージにしがちだ。今展もそういう物もあるが、大半は小さなコレクションのような物ばかりだ。特に異常巻きアンモナイト作品は興味が尽きない。
 展示アンモナイトを作品と呼ぼう。アンモナイトが化石として地表に現れる姿を、ノミ跡をのこしながら浮き彫りにしていく。ミミズのような這いずり回る姿を、優しく優しくノミでえぐり出していくのだ。作品には制作している人の意欲、執念、執着、愛情が染み込まれている。制作者のエネルギーが作品の中のアンモナイトに乗り移り、見るものに激しい驚きを与えるのだ。一つ一つの作品は個々が相手をライバル視して、そこに存在している。
 「どうだ、俺の方が立派だろう」「私のは生きているみたいでしょう」「私のほうが綺麗でしょう」「本当に大変だったのよ、見て見て、私を見て」
 6500万年前に彼等は絶滅した。太古の海で生息していた。どれほどの数がいたのか、多くの死骸は日の目を見ないだろう。その亡骸のほんの一部が彼らの手のよって私達の目の前に置かれている。
 化石会会員、良き仲間は良きライバルだろう。

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 ↑:これはもう、現場で見てもらいたいですね。ピンポイントで紹介できないので、ご理解下さい。
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 学芸員・添田雄二君を語った。北海道化石会のことも語った。普通の紹介とは逆になったが、今展の概要を簡単に記します。素材がすばらしいので、その切り口もなじみやすいです。
 
 「北海道のアンモナイト」をキー・ワードに4つのテーマでアンモナイトの魅力や不思議を紹介。

 1.北海道のアンモナイト。
  お雇い外国人・ライマン氏の地質研究、主に石炭の調査に付随してアンモナイトが採集された。石炭との関係、北海道が世界有数のアンモナイト産出地ということ、命名のエピソードなど。イントロ部分。

 2・アンモナイトはどんな生き物?
  どのような姿でどのような生活をしていたの?寿命は?食べ物は?天敵は?なぜ絶滅したの?
 ほとんどその生態は分かっていない、ということがテーマ。
 アンモナイトは貝ではなくイカやタコの仲間であること、「カラストンビ」の話、菊石、かぼちゃ石、・・身近な話題でアンモナイトの生態に接近。子供とのなぞなぞ会話にうって付けの部分。

 3.北海道のアンモナイトが生きていた時代。
  白亜紀(1億4400万年前~6500万年前)のお話し。
 白亜紀は温暖で極地にも雪は存在せず、世界中の広い海でアンモナイトは悠々自適に存在していたようだ。珊瑚の石灰岩が出土する夕張の崕(きりぎり)山の紹介。当時はあそこは海だったのだ。
 恐竜とともにアンモナイトも白亜紀とともに絶滅した。最後は巨大隕石の地球への落下が最後の印籠を渡した。だが、既に白亜紀という構造の中で恐竜達は衰退の道を歩んでいた。今西錦司風に言えば、「滅ぶべきして滅んだ(定向進化の結果)」。
 アンモナイトの異常巻きも衰退の流れの中での異常発生と最初の頃は思われていた。その形が定番に比べてあまりにも醜いのだ。醜いものは異常と呼びたがるのだ、我々は。だが、出土数もおびただしく、最近では環境の変化への対応と見られている。

 4.北海道化石会について。
   (既に僕なりの言葉で紹介したので省略。)

 一通りテーマに沿って展示は続き、会場の半分はアンモナイトのオン・パレードだ。

 2月10日まで。(1・17)

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 ↑:アンモナイトの生態の想像図。確かにイカ・タコに似ているナ~。

 北海道開拓記念館のH.P.⇒こちら
 

by sakaidoori | 2008-01-25 15:57 | ☆北海道開拓記念館


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