2008年 01月 09日
(464)①の続き。 ![]() ![]() 今展でもっとも関心の高かった作品。 軽やかなリズムと遊び心が実に気持ち良い。 画風そのものも以前とは違っているようだ。以前は頭に鳥を仮面のように描いていた。奇怪とまではいかないが、あらぬ世界を象徴的に表現していた。 この絵は動きの誇張さが自然で、無理なく板谷・ワールドに入っていける。形・色合い・線描が人物の滑稽な動きと和して一つの舞台になっている。この舞台は見るものを見えない部分に運ぶ装置にもなっている。 ![]() 僕が高橋さんを知ったのは入選作品としてのここだった。だから、他の人以上に親しく見ている。 当時も人物の顔はこの絵と全く同じだった。明るく賑々しく楽しい日本画であった。漫画の要素が高かった。 最近は人物の姿態を幻想的にしたり、色々工夫している。僕がこんなことを言うと失礼なのだが、グイグイと上達していると思う。 今作、単に動きを変えた女性像を描いているだけなのだが、なかなか見せてくれる。日本画のくっきりした輪郭線が二重画像にマッチングして、連想の幅を持たせているのではないだろうか。 ![]() 鑑賞者というものは実に勝手なものだ。 山崎さんは上空から透けた翼越しに下界の街の様子を描くことが多い。「他の絵も見たいな」とも思うのだが、今展は空ならぬ海だ。違う絵が出されると、「あの透けた翼が見たかったのに」と、心でつぶやいてしまう。 だが、共通項はある。空と海の青さ。翼越しの下界という画題は女性越しの窓枠の向こうの景色と等値かも知れない。そこで見えてくるのは別世界の演出、絵による向こうの世界、時には理想郷の世界の造形化であろう。 今作、青がまぶしい。やけに古風な輝きがあり、過去の世界に引っ張られそうだ。 ![]() 記憶とは恐ろしい。僕はこの絵をどこかで見ているはずなのだが、記憶がない。この絵のエスキスとしての小品が頭にこびりついていて、この大作がどうしても初見に見えるのだ。 そんなことより、初見か再会かは分からないがこの絵を見れて非常に満足している。というのは、「壁を描く竹津」から、「壁の向こうに進む竹津」というイメージを持っているからだ。 手前の部屋の中の空間、真ん中の外の空間、向こうの小屋の定点空間、三層の次元の違う空間とそれらを繋ぐ道。 説明(言語思想)としてではなくて、絵(視覚思想)としていかに実現するか、そんなことを作家の意思に関係なく楽しみにしているのです。 (山の手ギャラリーの11月の竹津個展の記事を書く予定です。本当に記憶が薄れていくので、簡単になると思います。) なぜだか、だらだら書いてしまいました。特選作品と写真のことを③に書くことにします。
by sakaidoori
| 2008-01-09 22:19
| 市民ギャラリー
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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