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栄通記

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2008年 01月 07日

462)時計台 「朝地信介・日本画展」 終了・2007年7月30 日(月)~8月4日(土)

○ 朝地信介・日本画展

 会場:時計台ギャラリー 2階A・C室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:2007年7月30 日(月)~8月4日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

(駒澤さんと同じ建物、同じ時期での展覧会。だから昨夏のお話)

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 朝地君は若い。30歳代前半であろう。
 彼の絵は日本画だ。一目で日本画と分かる人はたいしたものだ。明瞭な輪郭線に日本画の痕跡を認めるだけで、僕には油彩画との区別は付かない。
 ということは厚塗りの油彩画と、その感性が似ているということだ。

 だが、そんなことよりも彼の絵は面白い。
 何が面白いかというと、まず、そのあっけらかんとしたユーモア精神だ。絵は写実というものから無縁な世界で、朝地君が再構築した具象的絵画空間だ。昔の絵画はともかくとして、今の絵には人は居ない。変形・誇張気味の円や四角の形と、植物と建物を大いに得意としている。理知的な抽象的幾何学模様に進んでもいいのだが、朝地君はそんなことはしない。大いに生真面目に理知的なのだが、芸術心が歯車を狂わせて、ズッコケル絵にしてしまうのだ。絵の中では誰も笑っていないのだが、笑いを搾り取ろうという線を描く人なのだ。不謹慎な褒め言葉だが、「お笑い線芸人」と呼びたい。
 なぜ彼が日本画に執着するかは知らない。
 線描に対する体質的愛情ではないかと想像している。
 それと、余白や空間に対する美的バランス。濃密に書き込む箇所と、あっさりと描きすすむ箇所とのバランス感覚が日本画を選んでいるのでは。

 彼のユーモア精神が原点にあると思うのだが、線の可笑しさは構図の可笑しさへと進む。知的可笑しさというべきか。
 彼の絵は上下左右ひっくり返しても成立しそうなところがある。強烈には感じないが中心点を拡散したりずらしたりして、画面にトリック効果を導入している。今展は植物に画題のウエイトがあり、形のユーモアは鮮明だ。
 一方、構図のユーモアは二次的で、植物に覆われた建物群にわずかに作家の意図を留めているだけだ。おそらく、構図的ユーモアは相当に知的操作を伴うので、ジックリ暖めているのだろう。他の絵画的要素との整合性を練っているのかもしれない。何よりも今は人生の転換点でもあり、動きとリズムに関心があるのだろう。彼は積極的に動いているのだ。

 間違いなく彼の絵は面白い。期待度は高い。だが、それは可能性を言っているのであって、かれが本格的に何をしようとしているのかはわからないのだ。
 昨春、住居を留萌から札幌に変更した。仕事の都合と聞く。絵描きにとっては条件は向上したのだ。特に日本画を描く彼にとっては、画材をそろえるのにも不便であったろう。刺激も少なかったろう。自然を観照して画業を開くという絵ではないのだから。

 期待度は高い。更なる朝地・ワールドを見たいものだ。(2006・8・3)


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↑:上の二枚の会場風景はC室の模様。


タイトルとA室とC室の関係は後で書きます。。)

by sakaidoori | 2008-01-07 20:46 | 時計台


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