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栄通記

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2008年 01月 04日

456)②ミヤシタ 「藤田真理・展 2007」 終了・12月13日(木)~12月30日(日)

○ 藤田真理・展 2007
    「Whited Dandelion(漂泊されたタンポポ)」

 会場:ギャラリーミヤシタ
    南5西20-1-38 西向き  
    電話(011)562-6977
 会期:2007年12月13日(木)~12月30日(日)
 休み:月曜日
 時間:12:00~19:00 (最終日17:00迄)

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 暗室の中はむき出しの白いブロック塀。割れたと思われる隙間から白き土と伴に白きタンポポがせり出している。二つの照明に照らされた、ただ白い世界。近づいてせり出し部分を見、その隙間から中を覗き込む。ほんの僅かしか開いていないので中の様子が分かりにくい。見せないようにして、見せようとしている中の世界と作家の意思。其処は何の起伏も無く、砂地のような平地にタンポポが咲いているだけ。白い白い廃墟の世界。

 作家にタイトルのことを伺うと、「漂泊されたタンポポ」とのこと。作家に尋ねたのはそれだけ、それだけで充分だ。技術的説明を加えれば、タンポポは手作り。ブロックは発砲スチロールで、石膏仕上げのように見えるが、樹脂を塗りつけている。などなど。

 ひと目で思うことは、「城破れて山河在り・・・」とでも言うのか、悠久の人の歴史、土塊の存在感や動き、象徴化されたタンポポに、生命体としての自然を白さの中に閉じ込めていると言う感じだ。

 だが僕には、中を覗こうにも覗けない不自然さが一番気になった。
 その壁は二つに割れている。割れていると言う表現が正しいのだろうか?不自然に分離している。
 門の残骸にしてはあまりに狭すぎる。向こう側から土塊が圧迫したならば、盛り上がった土量がそこにはあるべきなのに低草地跡だ。説明的にはこちら側から塀を圧迫しているのだろう。見ている僕等の塊とエネルギーが壁を壊し、押し寄せた生命のパワーの痕跡の象徴が割れ目に咲くタンポポと土の塊なのだろう。其処から濾過されるように塀の向こう側に流れ、涅槃図のように漂泊された白い世界がそこを覆っているのだろう。
 だが、その説明とて便宜的だ。割れ目は押し壊したとするには余りに綺麗な直線だ。ブロックは段違いには組んではいない。おそらく幻想としての壁と隙間(割れ目)なのだろう。限りなき断絶としての壁、行くに行かれぬ隙間。向こうにはきっと素晴らしい世界が「在る」、と作家は言いたいのか。しかし、断固白き世界に覆わせて見せようとはしない作家の頑固な意思。

 他人を引き寄せては突き放そうとする、作家・藤本真理の頑固な姿勢にたじろいでしまった。(12・27)

 (今展は当然、独立した個展です。作家は昨年も同じ場所、同じ時期に、今作と似て非なるインスタレーションによる個展をされました。僕自身はその作品に引っ張られて今展を見ました。どうしても昨年の作品が今展にも引き継がれていると思うので、次にその作品写真を載せたいと思います。)

by sakaidoori | 2008-01-04 23:55 | ミヤシタ


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