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栄通記

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2007年 12月 16日

435) アートスペース201 「中村友三・作品展」 終了・12月6日~12月11日

○ 中村友三・作品展  

 会場:アートスペース201 6F 
    南2西1-7-8 山口中央ビル・北向き
    電話(251)-1418
 会期:2007年12月6日~12月11日
 時間:10:00~19:00(最終日?:00迄)

435) アートスペース201 「中村友三・作品展」 終了・12月6日~12月11日_f0126829_23241346.jpg
 昨冬、同じ会場でたまたま中村氏の個展を見ることができた。初見である。作家も居られた。この会場でしっかりした壁面作品の個展をされる方は少ないので印象的だった。場所の選定といい、風貌といい、反骨精神の強い人と判断した。楽しみにしていた個展であった。会期を勘違いしていて、最終日に行った。

 板画と前回聞いていた。彫り目を入れているから板画に間違いないのだが、板画に見たくないので困ってしまった。まるでキャンバスに何回も何回も重ね塗りをして、色の深みを出し、塗られた絵に引っかき傷を入れているように見えるのだ。板を肉感的に捕まえている。油と板、それでいて日本的な情緒が会場全体を包んでいる。もちろん板で絵を描く人はたくさんいるだろう。例えば神田日勝。経済的理由ということもあるが、絶筆以外は板である必然性を感じない。遅れてきた作家に板のことを尋ねたところ、相性の良さを語っていた。描いては拭き取り、描いては拭き取り・・・しかも、ナイフ(彫刻刀)?で引っかいていく。おそらく素手で板の感触を何度も確認しているのだろう。嘗めるようにして。

 作品は全て45cm四方。緑色を基調として、白、青、グレーが混ざっている。静謐な世界。前回は大きさもばらつきがあり、赤系の作品もありで、もっと楽しかった。自己規制というのか、発散する気分を抑えているようだ。画題も風景を上から見下ろしたものを抽象化しているのだが、不定形の部分は少なくて、小さくても心の中の明快なレントゲン図のようだ。近作などは、都市なのだがコンピューターの基盤を拡大したように見える。実際、画家は理系の出身だから、きっちりした姿が好きなのだろう。

 支持体や画材の扱い方、製作過程の職人的な感覚と、結果としての作品の理論的なカチカチさ。このアンバランスが絵に何ともいえない深みを出している。

 作家はセザンヌを高く評価し、その可能性がキュビニズムという方向のみで語られることに異議申し立てをしている。作家の口から「クレー」という言葉を聞いた。実際、緑色と線描の世界はクレーとの親近感を思う。クレーが水平的視線とするならば、中村氏は垂直視線だ。石と壁と不変のヨーロッパに対して、木と水と四季の変化の日本。

 また二年後も個展をされると思います。その時は更に突っ込んで中村絵画を語れればと自分に宿題を残します。

 
435) アートスペース201 「中村友三・作品展」 終了・12月6日~12月11日_f0126829_23451028.jpg ところで、会場にメカに強い方がおられて、持っていたのが左の写真の文明の利器。これはPHSだそうですが、携帯・ハンディー・パソコンですね。操作は爪楊枝のようなもので、チョチョイのチョイ。全然付いていけない栄通でした。

by sakaidoori | 2007-12-16 23:31 | アートスペース201


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