栄通記

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2007年 12月 06日

426) 「FIXMIXMAX」に関して

 先月一杯、地下鉄東西線コンコース「バスセンター前駅」と「大通駅」の地下通路で「500mが美術館」というオープン美術展が催された。他にも関連イベントあったようだが、そこしか見ていないので他は何ともいえない。行政が場所の提供と広報を手がけ、現代美術家・端聡氏がプロデュースという役割だ。金銭的授受に関しては一切分からない。

 そのオープン美術展を書こうと思っていたが暇をむさぼって、延び延びになっている。この企画は昨年の「FIXMIXMAX」展とは直接関係しないが、民間関係者には参加の重複もあり、何より端氏が手がけようとしている現代美術札幌展の一里塚と位置づけていると思う。
 僕はその時の感想記をミクシーに書いた。読者は5人程度だから気楽な気持ちでの書きなぐりだ。誤解・誤謬は多々あると思うが、端氏達の活動の第一印象だから大事だと思う。実際、その時の不満な面がバリエーションを換えて顔を出している。後日、写真と伴に通路展覧会を書こうと思うが、そのイントロとして読んで頂ければ幸いです。当然批判的な部分もあります。

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○ 「FIXMIXMAX」本展  2006年11月13日記

426) 「FIXMIXMAX」に関して_f0126829_2026312.jpg 雨に濡れた。温かい雨だった。
 車で着替えをして、急いで観に行った。カメラを忘れた。土、日は三岸館前が駐車可能なので助かる。この日を逃すと面倒な感じだ。オープニング・パーティーには場違いな感じがしていたが、遅くまで見れるので無理して行った。

 なんと言えばいいのだろう。CAI展を若人の「学芸会」と語った。倣って言えば、「金をかけない、手作り風の文化祭」と言えるかもしれない。それも、かなり外(首都圏や外国)を意識した、発信というよりも宣伝臭を感じた。好きな、あるいは気にしている作家はいる。伊藤隆介、真砂雅喜、端聡、坂東史樹、黒田晃宏。今展で気に入った作品作家、今村育子「わたしのおうち」、伊藤隆介「Realistik Virtuality(Funhouse)」、真砂雅喜「黎明への深夜過ぎ」、黒田晃宏「ひとつの世界については、まだ、なんにもわからないな」。

426) 「FIXMIXMAX」に関して_f0126829_20273973.jpg なぜ、札幌から世界へ発信というのに道外勢が多いのだろう。しかも大竹伸郎は30年位前の道内風景を画題にした「デジタルインクジェットプリント」だ。古い作品があっても良い。外国人がいても良い。中央の著名人がいても良い。そうすることによって提示される現代美術としての「視覚風景」が、幾ばくかなりとも実現できたのか。敬愛する門馬さんがパーティー挨拶でおっしゃられていた。「若い人たちが自由に発表する場を育てたい、その種を私は蒔きたい、蒔くのです。この展覧会が定期的に開かれるのを夢見ます。」彼等の存在はその趣旨に反するのではないか。何故、自分等のしていることに、自信のある態度が振舞えないのか。あまりに会場全体を貫くバック・ボーンが脆弱すぎる。まぜこぜの楽しいだけの祭りならばそれに徹せられないのか。そもそも、僕は道内人の祭りを信用していない。歴史の薄さ、人口の希薄さ、貧富の格差の少なさが不可思議な空間を演出不能にしている。ついついこじんまりと綺麗にまとまってしまうのだ。

 僕は何を書こうとしているのか。僕は美術を「わかる・わからない」でくくりたくない。観るだけ、ただ見るだけ。対話したいと思っている。個々の作品はともかく、全体からは何も感じない。おそらく僕の共感能力が劣っているのだろう。門馬さんとて今展が200%満足できるものとは思っていないだろう。少なくとも「種は蒔いた。私の意思とは違うものになるかもしれないが、それでも構わない。若い人たちよ。大きく育ってください。」という気持ちだろう。やはり、門馬さんには適わない。

 道立近代美術館という場を生かしきっていないと思う。ネーム・バリューの具にしていると思う。明確な集団意思がないならば、札幌という街を舞台にして、個々人参加型の百展・百点、百火型の無手勝流のお祭りにすればいい。関係者諸君、誤魔化すことなく、今展の良い点・悪い点を明確にして、次回の糧にしてもらいたい。(写真は本展図録より。)

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○ CAI 「FIXMIXMAX」合同企画展  2006年11月08日記

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 門馬邸とは違って、近美との合同企画展覧会です。
 副題に「『まぼろし遊園』アーティスト100人展」とあります。実際は四人ほど不参加だそうです。理由が滑稽です。所在不明で連絡不能とのこと。だったら96人展にするなり、他に選定すればいいと思うのですが・・・。100人は沢山と解せよということなのでしょう。

 一言で言えば、「学芸会」です。この言葉を批判、非難と受け取らないで下さい。
 若い作家が大半ですが、札幌の力のある中堅作家も何人かいます。例えば、石川亨信、斉藤周、渋谷俊彦、仲嶋貴将、林亨などなどです。正直に言って、こういう方は参加しない方が良いと思います。生徒の中に先生が入っているような感じがして好感を持てません。「若い人の、若い人による、若い人のための」群れる発表会に徹してもらいたいです。偶然とはいえ、先程記した方たちは男性ばかりです。男不足をカバーしたいのでしょうか。

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 こういう展覧会は群れる姿を楽しまないといけない。こんな人も参加していると喜ばないといけない。知っている作家がどんな球を投げているか見届けないといけない。意外な発見や気付き出会いがあるかもしれない。 (写真は澤口紗智子さんのドローイング。)

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 最近端氏と会話する機会が増えた。その中で彼は、「批判は4割位あるのが理想的です。なぜなら、そうやって先人は今日の(美術などを)築いてきたのです」4割とは凄い。僕はとてもそんなには耐えれない。批判を述べることほど簡単な事は無い。その反対は相当に根性がいる。僕も見習いたいと思う。
 僕の言葉は批判以前ではあるが関係者が聞けば面白くないかもしれない。彼の言葉に免じて許して頂きたい。その言葉に甘えて、「良い点、不満な点」を書き綴っていきたい。

by sakaidoori | 2007-12-06 20:28 | CAI(円山)


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