2007年 11月 30日
![]() 力強い作品です。大型盆栽です。作品の下に鏡を敷き詰めているのが工夫ですね。強さ以上の感動がありません。何故でしょう?書で言えば、一文字書に近く、ほとばしるエネルギーは感じるのですが、内面のドラマがないのです。鏡を置くことによって、より美しく、しかも天地創造の理を表現したいのでしょう。 ![]() 最初に載せた斉藤道子と同じく、材料としての植物を使っていない作品。花の包装材を細くまるめて円形に立てています。小さな花柄の飾りが付けられています。現代美術というよりも、フラワー・アレンジメントといった感じ。赤と青の照明に当てられていますが、僕にはそんなに効果的とは思えませんでした。ハッとする要素が少ないのです。もっと周りを暗くして、斜めから一点の照明で、光と影を作ったほうが良かったのでは。要するに意外性が少なくて残念でした。 ![]() とうとう最後の作品になりました。今までの作品は会場周囲を右から紹介してきました。この作品は本当に正面にあるのです。本来真っ先に載せるべきでしたが、写真を撮った順番に載せました。他意はありません。意欲作だと思うのですが、僕にはよく分からないというか、ピンときませんでした。 和紙でできた立方体、中には枝が満たされ溢れています。壊れたトーチカから植物が育っている感じ。どんな大地でも生命が育む、城春にして草木深しでしょうか?間違いなく作家の意図はその辺には無いでしょう。 「いけばな」「現代美術」「インスタレーション」「伝統」とは何だろうということを作品紹介の動機としました。 いけばなの始まりは勉強不足で書くことはできません。以下推論。 中国帰りの僧侶が「茶」を持ってきた。室町時代に「床の間」が成立した。その空間で「茶」を点て、「書」を飾り、一輪の路傍の花を「活けて」、文化人のサロンが出来上がった。その茶室から、「花を活ける」という行為が独立した。江戸文化の一つの華にもなった。茶心と軌を同じゅうしているのでは。サロンの道具・飾りであること、人と人との関係を支える演出、更に進んで、「活ける」という行為が山川草木の自然への窓になり、日本人の自然観の象徴にもなっていったのでは。 そこに優勢な文化としての西洋美術を半強制的に移入することになった。西洋美術のエッセンスは神との関係であり、ドラマを視覚化することだと思う。近代では「神は死に」、個人の内面的ドラマの表出がキーになっている。それを観る者も、ドラマ・物語を作り、個人主義の支えにした。 個人主義やドラマと無縁な「いけばな」は、それでも現代を生き抜いていかねばならない。書や短歌がそうであったように。今展もそうだが、安易な現代美術化は不可能とつくづく思った。伝統的精神性を「いけばな」に託し、作家個人の精神性・近代人としての個人主義といかに調和していくか。現代日本人が伝統に対して直接的でないのは不幸なことだ。しかも、あまりに自然が豊かであったのと、濃密な人間関係から離脱できない為に日本人的個人主義?に発展してしまった。だがあせることは無い。「いけばな」人のドラマは始まったばかりだ。気を長くして付き合っていこう。 (以上はあくまでも僕の文化論です。賢明な助言、ご批判を請うものです。)
by sakaidoori
| 2007-11-30 17:42
| 大通美術館
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アバウト
![]() 丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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