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栄通記

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2007年 11月 28日

415) 雑誌「HO」と書家・樋口雅山房

415) 雑誌「HO」と書家・樋口雅山房_f0126829_231279.jpg 地下街の紀伊國屋で雑誌を探していた。学研の「歴史群像」だ。うず高く積まれた雑誌が目に入ってきた。いかにも、「これを見てくれ」と言わんばかりの高さだ。ちょっと分かりづらいが、銭湯の黄色い洗面器「ケロリン」を横にして、不思議なデザインだ。特集名は「温泉でごろん」。僕はかなり道内の温泉地に行っている。外泊を伴った夏山登山をするからで、なかなかの知識の持ち主であります。





 おもむろに手にとってめくってみれば、何と印象記を書かねばならない人、書家・樋口雅山房が特集の巻頭を飾っているではありませんか。

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 場所はカルルス温泉で有名な新登別だ。奥さん同伴で、夫婦で屋外の温泉に足を遊ばせている。温泉の力か、夫婦旅行だからか、なんとも御夫婦の笑顔が微笑ましい。雅山房は1941年生まれだから66歳くらい。ご自身の書作の「書楽」のプロフィール写真はこわばっていて、いかにも「書家」という感じである。この写真は実に良い。自然体で、それなりに「やらせ」だと思うが、「人間」の魅了を引き出している。
 温泉地での書作ということでの紹介だ。温泉紹介もいろいろと手の込んだことをするものだ。今度は知り合いの画家に登場してもらいたい。例えば・・・。
 巻末には無料・半額日替わり温泉ー48軒の優待券が付いている。迷うことなく買ってしまった。財界さっぽろ出版、「HO」・2008年1月号・580円。

 早速、氏の下を訪れた。家が近いので行きやすいところではあるが、何かきっかけが無いと行きにくいものだ。幸か不幸かその日は奥さんがお留守で、長い長い時間、お邪魔をすることになった。
 話は雑誌のことから始まり、最近亡くなられた父上のこと、「お世話になった病院に作品を寄贈しようと思うのだが、小さいのと大きいのと、どちらがいいのだろう」、などなど話は尽きない。
 氏と付き合い始めてから少しは書家の名前やら、書のことを考えていたので、わからないことは分かった風に相槌を打ちながら書談義をしてしまった。雅山房の最大の長所は絶対に相手の意見を否定しないことだ。書家同志ならばともかくとして、素人を相手にして素人の感覚の長所を聞き取ろうとしたならば、否定していては話が進まない。「さいでござんすか」という口癖で、次から次へと話が進むのだ。こちらはいい気になって、書の勉強したことを、自分の文化文明史観を語るのである。もう細かい話は忘れてしまった。この刺激がもっともっと書を理解する肥やしになるのだ。

 その日の最大の収穫は上田桑鳩の臨書の案内書を教わったことだ。
 実に感心な本である。実作をしなくても、読書人ならば知っていて損はない。千円程度だから注文した。その本が到着した時に案内したいと思う。現代の「書」を考える上で肯定・否定に関係なく語られるべき本だ。おそらく理論家は否定的であろう、実践家は肯定せずともその魅力の虜になるだろう。デザイン学校のテキストにもなると思う。ということはデザイン関係の専門家も知っていて損のない本だ。理論の何たるかは無視して、ビジュアル的に読めるのだ。

 

by sakaidoori | 2007-11-28 23:51 | ◎ 個人記


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