栄通記

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2007年 10月 29日

376)時計台 「野本醇・個展」 終了・10月22日(月)~10月27日(土)

○ 野本醇・個展

 会場:時計台ギャラリー 2階A室
    北1西3 札幌時計台文化会館・中通り南向き
    電話(011)241-1831
 会期:2007年10月22日(月)~10月27日(土)
 時間:10:00~18:00 (最終日17:00まで)

 全道展ベテラン会員の野本さんの個展。油彩画。

 渋い茶系による光と影、円や四角による抽象的絵画。この「抽象」という言葉に僕は引っ掛っていた。というのは、全道展でこの5年ほど見ているのだが、タイトルがとても具体的なのだ。例えば、「季節の扉」。円は何らかの象徴、ムードの反映と判断していいのだが、絵の画題は「部屋の中」という非常に具体的な世界だ。

 2年前の前回の個展でわかったのだが、野本さんは元々は具象画家だったようだ。時計台の広い2部屋(3部屋?)を利用して、回顧展風の展覧会だった。大きく画題を三度ほど変えていた。シュールなムードの風景画を経て、大胆に変貌した。今日の抽象画的絵画に至ったのだ。(記憶が定かではない。伊達にある、野本私設ギャラリーを訪問して、変遷を具体的に書きたい。)今の作風よりも以前のを好まれている方も多いかもしれない。

 今展は一部屋だが、展示構成が巧みだ。5面の壁ごとにテーマを変えている。
 正面のメイン壁は大判で、現在の表現をスレートに出した作品。仮に、すべてを部屋の風景と見ることができる。そのまま公募展に出品できるだろう。右側は中品。球体を中央上部にそろえて広い空間の中で、絵の動きを確認しているようだ。左は室内の静物画。小品。面白いことに、左右の作品はシュールではあるが具象画になっているのだ。
 作家というものは螺旋階段をぐるぐる回り上っているのがよく分かる。いったんは完全に近いほど具象性を削り取ったが、新たな作風の前に時の流れとともに回帰してくるのだ。鮭が生まれては川を下り、大海を泳ぎきった後に出生地に戻るように。そこで死ぬわけだが、卵を産んで新たな繰り返しが始まる。

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 ↑:「季節の扉」・120号。すべて正面の作品。球体の浮遊感、中央に無いのが特徴。

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 ↑:「不安の天体」。右側の壁の作品。マイナス・イメージをストレートに出したタイトル。全ての作品を「不安」とくくっては誤解を招きかねない。とにかく野本さんは円が好きだ。これが作家根性というものだ。太陽、月、ガラス球、不安、喜び、落ち着きの象徴にと何にでもその姿を変える。(10・27)

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 ↑:左側、「北窓の卓上」。右側、「白い壺」。ともに左側の壁の作品。
緊張感みなぎる具象絵画群。ここのコーナーは小品だが、野本氏の若さ、画欲の旺盛さが溢れている。

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 ↑:左側、第四の壁面の中から、「街ととり」。野本さんは小川原美術館のグループ展に定期的に出品している。この鳥、小川原作品の鳥に似ている。おそらく、小川原氏への鎮魂を踏まえているのだろう。この壁作品群は愛情に包まれている。

 左側、入り口にある水彩作品から、「花とレモン」。描くべきものは描く、省くものは省く、ふっくらとした線がお気に入り。

by sakaidoori | 2007-10-29 11:17 |    (時計台) | Trackback | Comments(0)
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