2008年 01月 14日
○「絵画の場合」展 会場:ポルトギャラリー 中央区南1西22 電話(011)618-7711 会期:2007年10月20日(土)~11月11日(日) 休み:月曜休館 時間:12:00~19:00(最終日17:00まで) ★お問合せ:北翔大学美術プロジェクト 林亨 電話(011)387-3894 出品作家:谷口明志、小林麻美、八子直子、久野志乃、大井敏恭、安藤文絵、田畑卓也、レスリー・タナヒル、渋谷俊彦、林亨・・・以上10名。 (小林さんも写真だけを先に紹介します。) 小林さんの作品は3階。 茫洋としている。が、それ以上に力強い。緊張の中で描ききった強い意志が伝わる。一見すれば、網目模様に囲まれた青春の閉塞状況ともとれる。 仮にそうだとしても、俯いて出口無しの様子に絶望していない。網の向こうからこちらを見返している「小林麻美」がそこにいる。だが、こういう閉塞状況、見返し根性の絵は彼女の絵画には常につきものだ。あまりに絵が強く、表現力がついた。人によっては文学的解釈に陥りがちになる。彼女が意識的に絵画で追求している、向こう側の世界がどう表現されたかも問題だろう。「向こう側」と言っても「あの世」・「常世」の世界ではない。(以上、2007年10月28日記) 比喩的に言えば、日常生活の三次元の時空の世界が身の回りにあって、その時空の場とほとんど重なっていて、別種の違う世界と言えばいいのだろうか。瞑想してその空間を体感するというよりも、空間そのものと全身が目になって対峙している時に、向こうのほうから攻撃的に迫ってくる塊のようなもの。逆に、気配の違いに感ずいて、こちらから力づくでこじ開けて侵入したい場。倫理的な、あるいは気持ちが良いとかいう情緒的な世界とは無縁だ。 物理学は宇宙空間を重力を含めて、四つの力で成り立っているという。小林麻美は「第5の力」を見極めたいと欲しているみたいだ。 西洋美術は己の美の追求、思想の追求の果てに「造形」という概念に至った。一つの真理の気づき、発見である。「造形」ということばで超歴史的にすべての視覚芸術を理解可能にした。縄文人は「造形」に関係なく「火焔土器」を創造した。我々はその土器に限らず、「造形」という美術的概念で古代文物を把握もし、十分に楽しむことができる。 小林麻美は画家である。自分の中に嘔吐したい異次元感覚を溜め込んで溜め込んで我慢して、我慢しきれずに吐き出した固まりに別の何かを見ようとしている。小林の目はその嘔吐物に釘付けになるのだ。それを「造形」でくくろうとしている。それは画家の傲慢な幻想かも知れない。もっともっと傲慢に幻想を顕わにすればいいのだ。 中・大作のタイトルは「網目(もうもく)の景色ー小屋・半月湖・広場」である。網目(あみめ)模様に覆われた風景、その網目を「もうもく」と呼べと作家は言っている。それは「網膜」や「盲目」を同時に意味しているのだろう。区切られた一齣一齣が映像のように網膜に写り、それらは一齣でも独立し、全体でも一つの世界を想定している。しかし、同時に盲目をも意味し、分別のつかないアナーキーな世界かもしれない。 (直ぐに続きを書く予定だったのに、そのままになってしまいました。以上のような記を書く予定ではなかったのです、あらぬ方向に行ってしまいました。蛇足のような言葉をつづった感じがしますが、これはこれで良しとします。)
by sakaidoori
| 2008-01-14 23:09
| ポルト
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アバウト
丸島 均。札幌を中心に美術ギャラリーの感想記、&雑記・紹介。写真は「平間理彩(藤女子大学写真部OG) 『熱帯夜』組作品の一点」。巡回展「それぞれの海.~」出品作品。2018.8.30記。2577)に説明有り。 by sakaidoori カレンダー
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