人気ブログランキング | 話題のタグを見る

栄通記

sakaidoori.exblog.jp
ブログトップ
2007年 10月 21日

357)  短歌 菱川善夫選「物のある歌」-14・10月7日

 短歌 菱川善夫選「物のある歌」
 (北海道新聞2007年10月7日朝刊、日曜文芸・P25より)

・ミクロンの麹の菌糸伸びゆくは死の無き世界全くの生(冒頭歌)
・殺人の法をネットに学びたる少年の指少女の眼
・白鷺の風切羽のするどさに我の首より血潮吹きたり

   岩井 謙一。
  「揮発(2007年、雁書館)」。1959年函館市生まれ。北大農学部卒。宮崎県清武町在住。

 (二週間前の短歌です。遅れて記録するのは、少し情けない思いです。しかし、時間を置いて改めて再読した方が、意味がスーと心に入ってきます。初めて読んだ時にあれこれ考え、思考回路が時間の流れで整理されるのでしょう。絵も同じですね。見て直ぐに書くよりも、書きたい気持ちが温まって、言葉を見つけて書いたほうがいいと思うのです。一方で、書きなぐりであっても、瞬間の思いを文章化したほうが、第一印象が鮮明です。絵を見る実力がそのままです。非礼な言葉であっても、気持ちの上では嘘が無いでしょう。文章は嘘の有る無しで判断するものではないので、嘘が無ければ良いというものではないでしょう。そこから推敲して、「文としての嘘」を取り込み、読み手に書き手の意思に関係の無い確実な何かが伝わった時、初めて「文」といえるのでしょう。)

 麹の伸び行く姿、少年の指、少女の眼、首より血潮、作家は若き生命力にエロティシズムを抱いているようです。それはナルシズムとも重なるでしょう。
 歌人は北大農学部卒とのこと。マクロな生態系での植物のダイナミックな働き、ミクロの顕微鏡の中での細胞のせめぎ合い、生と死を見詰める学
究時代。社会人になり、その眼は「人」に注がり短歌を通して生を賛歌しているようです。


357)  短歌 菱川善夫選「物のある歌」-14・10月7日  _f0126829_10462913.jpg


by sakaidoori | 2007-10-21 11:17 | ◎ 短歌・詩・文芸


<< 358)  道外パンフレットよ...      356)ギャラリー情報 「AD... >>