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栄通記

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2007年 10月 03日

334)②小川原脩美術館 「麗彩会展・徳丸滋作品」 終了・8月22日(水)~9月24日(月・祝) 

○ 徳丸滋・作品「カラマツ」(第49回 麗彩会展会場にて)

 会場:小川原脩記念美術館
     倶知安町北16東7
     電話(0136)21-4141
 会期:2007年8月22日(水)~9月24日(月・祝)
 休み;毎週火曜日
 時間:9:00~17:00
 料金:500円

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 徳丸滋(1934年~、倶知安町)、「カラマツ」2007年・油彩・アクリル・キャンバス91.0×116.7cm。


 カラマツに魅入ってしまった。
 この作品は既に個展の時に見たことがある。だが、深く見ることは無かった。

 黄色い背景に数本のカラマツが描かれている。葉も落ちきってしまって、幹と枝ばかり。りりしく立っている。とても風景的な絵とは言えないが、「秋の夕暮れ時」として見れる。心象?いや違う。カラマツという実在を通して、徳丸氏が自然の中に何かを見て、感じる現象を実在として絵として顕わになった姿だ。それは木と木が重なる処で、小枝と小枝が重なるところでせめぎ合っている。数本の木は重なってあるのかもしれない。だが、見た瞬間、一本の立ち姿が時間を凝縮したかのように後ろに後ろに姿を残しながら引き込んで行き、林の奥というよりも、絵の中に消え入り、消え入ると同時にその木がこちらに向かって、姿を残しながら、回帰してくるのだ。小枝と小枝の間に何かを引き連れての回帰でもある。トリックという技巧では無い。現代、いかに人間の感知能力が衰えたといえども、日常の世界で、目に見えない何かと拘っていることには間違いない。それを幽霊・霊魂として実体と感じる人がいるかもしれない。親和力・関係性という非実体的に思っても構わない。我等を取り巻く「空気」という海の中に不可視な何かがあるのだ。徳丸氏は絵として見せるのだ。木の太く細く、何本も交叉する世界。隙間の微妙な色の変化とリズム。木の色を含めて、言葉としてはわずかの種類の色しかない。黒、白、茶系、黄色・・それらと線の綾なす世界に、食い込まれていくのだ。一度、枝枝の世界に不思議を見た目には、黄色一色の背景の中にも不思議を見てしまう。絵の中のカラマツの往還図。

 稀有な体験をした。誰一人いない、明るく健康的な会場。一際目立つ黄色い絵。無音の部屋に小枝が絵の色と触れ合うの聞く思いだった。

by sakaidoori | 2007-10-03 22:31 | ☆(倶知安)小川原美術館


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